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2021年6月30日 (水)

やっぱり岩崎投手が8回に失点してヤクルトと引き分けに終わる!!!

  RHE
ヤクルト000100010 291
阪  神100000010 260

やっぱり8回に岩崎投手が失点して、ヤクルトと引き分けでした。勝ち切れませんでしたが、負けもしませんでした。
ロースコアでの競った試合ながら、リリーフ陣の充実ぶりからして、終盤勝負であれば阪神有利と思われましたが、8回の岩崎投手がポロポロと失点するのが気がかりです。もちろん、勝てないのは打線が貧打だからであって、特に、4番サンズ選手、5番佐藤輝選手、6番大山選手で合わせて7三振はあまりにもひどい気がします。2打点と気を吐いたマルテ選手も走るのがツラそうで、足が悪いようにしか見えませんし、リードオフマンの近本選手の復調を活かせていません。投打ともに、ほぼほぼどん底の阪神と、一気に駆け上がってきたピークの巨人が、それでも3ゲーム差あるのは前半の貯金の賜物です。

明日は、
がんばれタイガース!

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大きな減産を記録した5月の鉱工業生産指数(IIP)は悲観的ではないものの楽観も出来ず!!!

本日、経済産業省から5月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲5.9%の減産でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産5.9%低下 半導体不足で自動車減産
経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は94.1となり、前月比5.9%下がった。低下は3カ月ぶり。世界的な半導体不足を受けた自動車工業の記録的な減産が響いた。新型コロナウイルスの感染拡大当初に生産が停滞した20年5月(10.5%低下)以来の下げ幅となった。
鉱工業生産指数の水準は20年12月以来の低さだった。15業種のうち13業種が低下した。自動車工業が19.4%下がったほか、半導体製造装置など生産用機械工業が5.9%、自動車用電気照明器具など電気・情報通信機械工業が4.5%それぞれ低下した。
自動車工業は20年5月以来の大幅な低下となった。マイナスは2カ月連続で、指数の水準は80.0と20年6月以来の低さとなった。5月の鉱工業生産指数の低下の半分は自動車の減産による押し下げだった。世界的な半導体不足や3月に発生した半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災の影響で生産が滞った。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は6月が前月比9.1%上昇、7月は1.4%低下となった。このうち自動車などの輸送機械工業は6月に14.2%上昇、7月も7.9%上昇を見込んでいる。経産省の担当者は自動車工業の生産に関して「5月を底に持ち直すのではないか」と述べた。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は▲2.3%の減産との見込みで、レンジの下限でも▲3.8%でしたので、もともと減産が予想されていたとはいえ、実績値の▲5.9%はこれを大きく下回り、第2次緊急事態宣言入り直前の2020年12月に記録した指数値94.0以来の低水準ということになります。先月4月統計の生産指数の速報値は99.6に達し、さらに、確報で100.0に上方修正されたものですから、上のグラフに見る通り、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック前に記録した2020年1月の99.1を上回ったんですが、「三日天下」というか、何というか、5月速報値は94.1ですから、1か月でアッサリと、しかも、大きく下回ってしまいました。ただし、引用した記事にもあるように、この生産の下振れは自動車部品のうちの半導体の供給制約に起因しており、それほど悲観視する必要はない、と私は考えています。すなわち、この半導体供給が復旧すると、いわゆるペンとアップ生産で、急速に生産も回復する可能性があります。ですから、製造工業生産予測指数では6月は+9.1%の増産、この製造工業生産予測指数のバイアスを補正しても+5.4%の増産と見込まれていますので、5月速報値の▲5.9%減を取り戻せるかどうかは微妙なところながら、統計作成官庁である経済産業省では、ここまで大きな減産にもかかわらず、基調判断を「生産は持ち直している」で据え置いています。例えば、引用した記事でも言及されているルネサス エレクトロニクス社のプレスリリースでも、3月19日に火災が発生し、4月17日に生産を再開した那珂工場では、「6月24日夜、火災発生前対比で100%の生産水準に復帰」したと明らかにしていますから、繰り返しになりますが、生産は数字に見られるほど悲観する必要はないものと私も考えています。もっとも、決して楽観的というわけでもなく、産業別に少し詳しく見て、大きな減産の要因は、確かに、自動車工業▲19.4%減なんですが、ほかにも、生産用機械工業▲5.9%減、電気・情報通信機械工業▲4.5%減、汎用・業務用機械工業▲4.1%減など、我が国主力産業が軒並み減産を記録しているのも事実です。加えて、常に経済の先行きに影を落とす新型コロナウィルス感染症(COVID-19)についても、感染再拡大やワクチン供給不足で職域接種の停止などが広く報じられており、まったく私には想像もつきません。

ということで、基本的に生産は、我が国よりも格段に進展している先進国でのワクチン接種に支えられた世界経済の回復に伴う輸出の増加により、増加の基調にあると私も考えていますが、我が国国内の諸条件の制約もあり、それほど楽観的にもなれず、その昔に流行った表現をすれば、cautiously optimistic ということになります。

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2021年6月29日 (火)

2回の攻撃で打線が思いっ切りつながって連敗ストップ!!!

  RHE
ヤクルト010100010 360
阪  神05000000x 5110

2回の攻撃で打線がつながって、連敗ストップでした。
2回にヤクルト村上選手のホームランで先制されましたが、そのウラにツーアウトから8番梅野捕手、9番青柳投手が連続ヒットで上位につなぎ、1番近本外野手、2番糸原内野手、3番マルテ選手、4番サンズ選手、そして、5番のルーキー佐藤輝選手まで、何と5本のタイムリーが連続で飛び出しました。そして、悲しくも、6番に降格した大山選手で攻撃を終えました。青柳投手は7回2失点と合格のピッチング、8回の岩崎投手がポロポロと失点するのが気がかりですが、9回はスアレス投手が3人でピシャリと締めました。

明日も、
がんばれタイガース!

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5月統計では商業販売統計も雇用統計も停滞色が強まる!!!

本日、経済産業省から商業販売統計と総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。商業動態統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+8.2%増の11兆9470億円、季節調整済み指数では前月から▲0.4%の減少を記録しています。失業率は前月からさらに+0.2%ポイント上昇して3.0%、有効求人倍率は前月から横ばいで1.09倍と、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)へ対応する緊急事態宣言については、沖縄県を除いて解除されましたが、雇用の回復には時間がかかりそうです。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の小売販売額8.2%増、3カ月連続プラス
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比8.2%増の11兆9470億円だった。増加は3カ月連続で、百貨店やコンビニエンスストアが前年同月を上回った。
2020年5月は政府が1回目の緊急事態宣言を出し、外出自粛で小売業販売額は大きく落ち込んだ。今年5月も3回目の宣言が出ていたが、地域が限られたことなどから前年同月よりも販売額は増えた。19年5月と比べると5.3%減で販売額の水準はなお低い。
百貨店は前年同月比58.8%増の2768億円だった。衣料品が80.0%、飲食料品は34.0%の増加だった。コンビニは5.3%増の9734億円だった。スーパーは1兆2641億円と1.2%減った。
小売業販売額を季節調整済みの前月比でみると0.4%減となった。経産省は基調判断を「横ばい傾向」に据え置いた。
5月失業率3.0%、0.2ポイント悪化 有効求人倍率は横ばい
総務省が29日発表した5月の完全失業率(季節調整値)は3.0%と先月から0.2ポイント上昇した。2カ月連続の悪化となった。厚生労働省が同日発表した5月の有効求人倍率(同)は前月から横ばいの1.09倍だった。4月下旬に発令された緊急事態宣言の影響もあり、雇用の回復にはなお時間がかかりそうだ。
完全失業率が3%になるのは2020年12月以来。完全失業者(原数値)は211万人で前年同月比13万人増で、16カ月連続で増えた。就業者数(同)は6667万人で同11万人増加した。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し企業などから何件の求人があるかを示す。5月の有効求人(季節調整値)は前の月から0.3%減となり、働く意欲のある有効求職者(同)は0.4%減少した。正社員の有効求人倍率は0.90倍で前の月を0.02ポイント上回った。
景気の先行指標となる新規求人(原数値)は前年同月比で7.7%増加した。ただ新型コロナ前の19年同月と比べると26.9%減った。特に「製造業」「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などで求人の回復が弱い。
就業地別の有効求人倍率は、最高の福井県が1.81倍、最低の沖縄県が0.83倍だった。緊急事態宣言が続いていた東京都や大阪府では1倍を割り込んでいる。
有効求人倍率は18~19年にかけて高く、1.6倍を超える水準に達して人手不足も指摘された。新型コロナウイルスの影響で20年中は1.04倍まで下落。足元でも大幅な回復がみられない状況が続いている。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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統計のヘッドラインとなる小売販売額は、第1次の緊急事態宣言のさなかだった昨年2020年5月と比べると、さすがに2ケタ近い増加ですが、4~5月の前月比を季節調整済みの系列で見る2か月連続で減少しており、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では基調判断を「横ばい傾向」に先月4月統計から下方修正した後、5月も据え置いています。小売販売額を季節調整済みの系列の前月比でもっと詳しく見ると、半導体供給制約で生産も減少した自動車小売業が▲5.9%減と大きな減少を記録したのに加え、機械器具小売業が▲4.4%減、燃料小売業が▲4.0%減、織物・衣服・身の回り品小売業が▲1.0%減、などと軒並み前月から減少しており、逆に、前月から伸びているのは+0.5%増の飲食料品小売業だけです。輸出への依存を強めつつも回復の兆しが見られる生産と比較して、内需に基礎を置く消費については、まだ緊急事態宣言が解除されない沖縄県を除いて、首都圏や関西圏では6月20日に解除されたとはいえ統計にはまだ現れない緊急事態宣言の影響やワクチン接種の遅れなどから消費の停滞が際立っています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスについては、失業率が2.9%だった一方で、有効求人倍率は1.08倍でしたので、これらの予想ほどには改善が進んでいない印象です。しかしながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の緊急事態宣言のために、方向性としては下げ止まりから改善に向かう動きがやや停滞しているのは事実ながら、失業率はまだ3%ですし、有効求人倍率も1倍を越えているわけですから、停滞が見られるとはいえ、雇用はかなり底堅いと私は認識しています。その要因としては、雇用だけは減少過程に入った人口動態に起因した人手不足の影響が見られる可能性が指摘できます。特に、正規雇用への需要が底堅いことは注目すべきです。例えば、正社員への有効求人倍率とパートとを比べると、もちろん、まだパートに対する求人倍率の方が高いとはいえ、COVID-19パンデミック前の2019年10~12月期にはパートの方が+0.6ポイントほど高かったのですが、足元の2021年4月で+0.2ポイントまで差が縮小してきています。繰り返しになりますが、まだパート求人倍率の方が高いとはいえ、相対的に正規雇用に少しずつシフトしてきている可能性が示唆されています。加えて、一時注目された休業者数も昨年2020年5月に+274万人増となった反動もあり、▲211万人減を記録しています。雇用から景気の回復が始まるのは日本的ではなく米国的ではありますが、決して悪いことではありません。

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2021年6月28日 (月)

木曜日7月1日公表予定の6月調査の日銀短観予想やいかに?

今週木曜日7月1日の公表を控えて、シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2021年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、2021年度も含めた先行き経済画に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、ワクチン接種や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+5
▲1
<+0.5>
n.a.
日本総研+17
+1
<+2.0%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+10%ポイントの改善を予想。ワクチン接種が進展することにより、経済活動が回復に向かうとの期待感が景況感を押し上げる見通し。
大和総研+14
+1
<+4.7%>
6月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+15%pt(最近からの変化幅: +1pt)、大企業非製造業は+6%pt(同: +5%pt)といずれも改善を予想する。
海外経済の回復や円安の継続といった要因が大企業製造業の業況判断DI(先行き)を押し上げると見込む。ただし、足元で進行する資源価格の高騰を受けた投入価格の上昇が企業にとってのコストの増加に繋がることが業況判断DI(先行き)を押し下げる方向に作用することで、全体としては小幅の改善に留まるとみている。大企業非製造業に関しては、6月20日に沖縄を除く地域で3回目の緊急事態宣言が解除される方針が示されるなど新型コロナウイルスの感染状況が改善に向かっていること、ワクチン接種の進展に伴って経済の正常化に向けた動きが加速することへの期待感が業況判断DI(先行き)を押し上げるとみている。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+15
+1
<+3.0%>
製造業・業況判断DIの先行きは4ポイントの改善を予測する。引き続き米中を中心とした投資の増加が見込まれることから、生産用機械やはん用機械の業況改善が予想される。また、自動車も、車載向け半導体不足が徐々に解消するとみられることから、改善するだろう。加えて、堅調なオンライン関連需要を受けて、電気機械も改善が見込まれる。
非製造業・業況判断DIの先行きは7ポイントの改善を見込む。リモートワークの恒常化に伴うソフトウェア投資増加等を受けて、通信や情報サービスが改善するだろう。また、宿泊・飲食サービスや対個人サービス、運輸・郵便、小売も改善が見込まれる。感染者数の減少に伴い、沖縄を除いて緊急事態宣言が6月20日に解除されることに加え、ワクチン接種の進展に伴う需要増加への期待が業況を押し上げるだろう。ただし、インバウンドの回復が見込めないことや各種感染予防策継続の必要性など、経済活動の完全な正常化には至らないことから、対人接触サービス業のDIは低水準での推移が続く見通しだ。
ニッセイ基礎研+14
+3
<+3.7%>
先行きの景況感については総じてやや改善すると予想。国内外でワクチンの接種がさらに進み、経済活動が回復に向かうことが期待されるためだ。特にこれまで接種が遅れていた国内での接種加速が見込まれることから、大企業では国内依存度の高い非製造業の改善幅が製造業をやや上回るだろう。ただし、感染力の強いコロナ変異株の流行や原材料コストのさらなる増加に対する警戒が重荷になる。東京五輪については、開催の不透明感に加え、開催される場合でも、一定の需要喚起材料とする見方とコロナ感染拡大要因とする見方が交錯することで、景況感への影響が限定的になりそうだ。
なお、中小企業非製造業については、もともと先行きを慎重に見る傾向が強く、先行きにかけて景況感改善が示されることが極めて稀なだけに、今回も小幅な悪化が示されると予想している。
第一生命経済研+20
+3
<大企業製造業+12.0%>
先行きは、製造業・非製造業ともにおおむね小幅改善を予想する。国内でのワクチン接種が高齢者を中心に進捗し、9月頃の消費活動を改善することへの期待感があるからだ。
三菱総研+15
+4
<+2.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が+20%ポイント、非製造業は+11%ポイントと改善を予測する。国内外でのワクチン接種の加速は、経済活動正常化に向けた明るい材料であり、業況改善につながるとみる。製造業は、米国経済の回復加速などを背景に、輸出・生産ともに緩やかな回復が続くだろう。非製造業は、3回目の緊急事態宣言の解除や段階的な経済活動正常化により、飲食・宿泊サービス業を中心に業況が改善すると見込む。もっとも、非製造業の業況判断DIは、コロナ危機前(2019年12月調査、+20%ポイント)と比較すると、依然として低い水準にとどまるだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+11
+1
<大企業全産業+10.5%>
日銀短観(2021年6月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2021年3月調査)から6ポイント改善の11と、ワクチン普及が先行する海外の需要を取り込んだ加工業種に牽引され、コロナ禍からの回復は続く見込みである。先行きは、国内でもワクチン接種が進み、内需が本格的に回復することが期待され、6ポイント改善の17となろう。

本年2021年年央6月の景況感は、総じて3月から改善を示し、加えて、3か月先の先行き景況感もわずかながら改善を示すとの予想が多い気がします。もっとも、マインドですから、どこまで事実に基づいた変化かは判断が分かれます。おそらく、6月時点での企業マインドはワクチン接種が進展したという事実に基づいていますが、総理は1日100万回とかなり意図的な虚偽のステートメントを出す一方で、官房長官は否定に回り、ワクチン接種担当大臣が世間的に受け入れられるような事実に近い記者対応をしている、というのが私の感覚です。最近時点では、職域接種に大きくブレーキがかかり、「やっぱり、日本政府はワクチン確保ができていない」という印象が広まっているのも事実です。ともかく、安倍総理から現在の菅内閣まで、虚偽のフェイクニュースを流すのが得意な日本政府ですので、これが国民の間でワクチンに関する不信感につながることがないように祈っています。何度も繰り返しましたが、経済の先行きはワクチン次第です。
最後に、下のグラフは、日本総研のリポートから引用しています。

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2021年6月27日 (日)

投打にまったくいいところなくDeNAに3タテされる!!!

  RHE
D e N A200311010 8121
阪  神000020010 380

まったくいいところなく横浜に3タテ食らうの巻でした。
先発伊藤投手は初回からホームランで先制されたのをはじめ、DeNAのホームラン攻勢に泣きました。それにしても、またまた、4番大山選手が5タコでしたし、ジャイアンツが7連勝で迫ってきた中で、打線の奮起を期待します。強く期待します。

次のヤクルト戦は、
がんばれタイガース!

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2021年6月26日 (土)

中軸打者がサッパリ打てずに横浜に逆転負け!!!

  RHE
D e N A000000210 3131
阪  神010000000 151

中軸打者がサッパリ打てず横浜に逆転負けでした。
先発伊藤投手はランナーを出しつつも粘り強いピッチングでゼロに抑え、結果的には及川投手が逆転ツーランを喫したわけですが、横浜に連敗したのは打線に責任ありと考えるべきです。そもそも5安打に終わりましたが、上位打線5番まででわずかに1安打で、ゲームセットは4番の大山選手の凡打ですから、打線の奮起を期待します。強く期待します。

明日こそ、
がんばれタイガース!

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今週の読書は話題の小説を生協で買って読んで計6冊!!!

今週の読書は、経済書のほかに話題の小説、エンタメのミステリと純文学を2冊と、加えて軽めの新書も3冊の計6冊を読みました。小説は2冊とも大学の生協で買い求めました。実は、大学生協の書店は広く知られているように、1割引きでの販売ですから、書籍流通の中ではやや軽く扱われていて、ベストセラー小説は時として入荷できない場合もあります。昨年の綾辻行人『Another 2001』はとうとう生協の書店には卸してくれず、私は図書館で借りた記憶があります。今回は生協ががんばってくれて入手することが出来ました。感謝です。たぶん、我が大学はそれなりに規模も大きくて、書籍流通業界からも一目置かれている可能性があると感じました。
それから、毎週アップデートしていますところ、今年に入ってからの読書は、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~5月で36冊、6月に入ってから今日取り上げる6冊を含めて20冊、すなわち、4~6月期で56冊、これらを合計して112冊になりました。Facebookなどでシェアしている旧刊書を除いた新刊書だけで、半期で100冊、年200冊ペースの読書と予想、目標ではなく、あくまで予想していましたが、そのラインをやや上回るペース、新刊書読書だけで年220~230冊近いペースで読み進んでいる気がします。強くします。

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まず、瓜生原葉子『行動科学でよりよい社会を作る』(文眞堂) です。著者は、同志社大学商学部の研究者であり、専門はソーシャルマーケティング、組織行動論、行動変容マネジメントだそうです。ということで、医療や制約の方から、おそらく、多額の研究費の寄付を得て、かなり大規模な調査を行っています。基本は、脳死後の臓器移植への国民の理解を深める、という国民世論操作型の研究のような気がします。もちろん、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)にも引っかけて、「新しい生活様式への行動変容」も販売の際の謳い文句になっていたりします。3部構成に成っていて、第Ⅰ部が、ソーシャルマーケティングの基礎理論的なパートを受け持っていて、高校の社会科を思い出させるような、いかにも暗記モノの学問という印象を与えかねない気がします。場合によってはすっ飛ばすのも一案かと思います。第Ⅱ部が実際の行動変容を促す実例です。臓器提供のための意思表示、から始まって、実際の行動変容までが取り上げられています。そして、最後の第Ⅲ部で行動変容のマネジメントと結論が提示されています。繰り返しになりますが、本書では然るべき方面からの研究費補助を受けて、その方面の理解を進めるための行動変容についての科学的、そうです、科学的な分析の学術書です。ですから、本書では臓器移植がテーマなのですが、数年前の米国大統領選挙ではケンブリッジ・アナリティカが投票行動を「変容」させるお仕事を請け負っていた可能性が指摘されていますし、ほかにも、社会的に疑問を生じかねない目的のために「行動変容」をもたらすべく努力している研究者がいるかも知れません。場合によっては、資金力さえあれば、それに見合った社会的な「行動変容」の利益を享受できる可能性すらあります。ですから、こういった「科学的」な研究の場合、何らかの倫理綱領かチェックのようなシステム的な配慮、そうです、科学者個人の倫理観ではなく、それをシステム的に担保できる制度が必要ではないか、というのが私の懸念です。例えば、生殖医療の倫理的なチェックすることは今では当然と考えられていますし、移植についてもそうです。ただ、おそらく、本書のような社会科学の分野では研究者に任されているような気もします。政府の政策決定については、選挙で民主的に構成された議会や大統領のバックアップをもってその点は担保されていますが、大学などの研究機関での「行動変容」の実行、あるいは、実効の前田イン会も含めたチェックは必要かもしれません。もちろん、現時点ではそれほど影響が大きくないと考えられますし、私の懸念は非常に極端なmad scientistの可能性を考慮に入れているわけですが、少なくとも、本書で取り上げられているような「科学的な行動変容」を何のチェックのマシに進めるのがいいのかどうかは、ある程度は判断できる読者が読むべき本だという気はします。つよくします。

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次に、東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎) です。著者は、ご存じ、我が国でも有数の売れっ子のミステリ作家です。ミステリ小説ですのでネタバレはなしで感想文を書くのは難しいのですが、とてもいい出来のミステリです。それだけは明らかです。ひょっとしたら、作者の最高傑作のひとつに入れるファンがいるかも知れません。ということで、東京の殺人事件が1984年の愛知県岡崎市の殺人事件とリンクします。ほぼほぼすべての人が、それぞれ人の観点からして誠実で真面目に生活をしています。例外はただ1人で、1984年の愛知県岡崎市の殺人事件の被害者です。いかにも実在の豊田商事を思い起こさせるような金のペーパー商法の詐欺をしていた人物が最初に殺されますが、まあ、何と申しましょうかで、「殺されても仕方ないくらいの悪い奴」という印象を与えかねないような記述になっています。そして、殺人事件以外に、最初の岡崎の殺人事件で被疑者となって自殺した人物もいて、3人の死者がいます。ただし、2つの殺人事件のうち、1984年の岡崎の事件については、すでに時効が成立しています。そして、時効が成立していない東京の殺人事件について犯人が自供し、加えて、岡崎の殺人事件についても自分が犯人であるとの自供を行います。それで前半が終わるのですが、後半で、この自供がまったくのデタラメ、というか、意図的に構成された虚偽のものであることが、徐々に明らかにされ、昔の岡崎の事件の真犯人が明らかにされるとともに、東京の事件の犯人が逮捕されます。被害者、あるいは、この場合は殺人事件ですから遺族、それに対応する加害者、あるいは、加害者の家族、それが、当初の虚偽の自白に基づく犯罪の構成から、真実が明らかにされた後には大きく逆転します。ですから、タイトルの「白鳥とコウモリ」とは、被害者、あるいは遺族としての「白鳥」と加害者、あるいは、加害者の家族としての「コウモリ」が対比されています。そして、地道に真実を明らかにするのは、当初自白した加害者と考えられていた人物の倅、それに、東京の殺人事件の被害者の娘、この両者が協力して事実を掘り起こして、真実に迫ります。そして、これまた、とても有能で誠実な警視庁の刑事がそれを裏付け捜査します。ジェフリー・ディヴァーも真っ青な強烈などんでん返しです。しかも、それが最後の場面で起こるのではなく、タマネギの皮を剥く用にジワジワと真実がひとつひとつ明らかにされてゆきます。2つの殺人事件の加害者に対しても、作者の温かい目が注がれています。500ページあまりの長編ですが、少なくとも、東野圭吾の小説のファンであるか、ミステリ小説好きであれば、もちろん、私のようにその両方であれば、ぜひとも読んでおくべきです。私は強くオススメします。

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次に、平野啓一郎『本心』(文藝春秋) です。著者は、我が母校京都大学の在籍中に芥川賞を受賞した純文学作家です。東京新聞などの地方紙に連載されていたものを単行本として出版しており、舞台は2040年という近未来の東京であり、そこでは自然死に対して「自由死」と呼ばれる安楽死ないし尊厳死が認められています。しかも、どうしてこんな制度が認められたかというと、社会保障費の縮減のためであり、経済的な格差が今以上に拡大しているという悲しい事情があります。主人公はアラサーの未婚男性であり、シングルマザーの母親と同居していましたが、その母親が自由死を目指す中で事故死してしまいます。そして、VF(バーチャル・フィギュア)と呼ばれるバーチャル空間での母親を復活させます。主人公は高校を中退して今ではリアル・アバターと呼ばれ、代理人として依頼を受けたことを実行する職業、私の知る範囲で、いかにもウーバーやウーバー・イーツになぞらえた低スキルかつ低収入の職業についています。しかし、ひょんなことからフィリピン人のコンビニ店員をかばう動画がネットで拡散し、アバター作成者である20歳前のセレブ少年に雇われますが、最後は学び直しの道を進む、というものです。ネタバレありかもしれませんが、ミステリと違ってプロットよりも表現力や言葉遣いや文体が重要な純文学ですから、ご勘弁願います。私自身は、最近のこの作者の作品でいえば『マチネの終わりに』がおそらく最高傑作といえると考えていますし、その考えは本書を読んだ後の現時点でも変化はなく、これはセレブの世界の恋愛を描き出しています。それから、『ある男』は一般ピープルを主人公に据えています。そして、この作品は格差の中では下の方、この作品では「こっちの世界」と表現されていて、アバター作者のセレブ少年は「あっちの世界」、すなわち、格差の上層にいると表現されています。「こっちの世界」の売春、ドローンを使ったテロが主として描き出されていますが、アバター作者や主人公が生前交流のあった小説家など「あっちの世界」の住人の視点も十分盛り込まれています。そして、何よりも、純文学らしく表現力、言葉遣い、文体、そして、ひらがなやカタカナと漢字の使い分けまで十分に吟味された後が伺われます。それらを読みこなすため、というか、何というか、東野圭吾『白鳥とコウモリ』のほうが本書よりもページ数が少し多いものの、私は本書を読む方に時間をかけた気がします。繰り返しになりますが、私は本書を読んだ今でも『マチネの終わりに』がこの作者の最高傑作だと思っていますが、本作こそ最高傑作と考える読者やファンがいても不思議とは思いません。本作品も大変な傑作と受け止めています。

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次に、橘木俊詔『渋沢栄一』(平凡社新書) です。著者は、京都大学でのキャリアの長かったエコノミストです。一線を退いていろいろと著書をお出しになっているようです。本書では、2024年から1万円札にその肖像画が印刷される渋沢栄一の生涯を取り上げています。NHK大河ドラマの主人公でもあります。大蔵省での経験から「官の強権」を実感した下りとか、経済活動における倫理的な要素、特に、投機的な経済活動に関する評価などは、特に目新しさこそありませんが、『論語と算盤』を口述筆記させた渋沢栄一のことですから、直接は知らなくても理解は難しくないと思います。劣悪な労働受験の改善を目指す社会政策的な高情報に対する渋沢栄一の見方や態度、あるいは、教育、特に女子教育に対する考え方などは、もちろん、その当時の時代背景に強く制約される点はあるものの、渋沢栄一の人格をよく表している気もします。加えて、これまた、時代背景も考慮する必要あるものの、朝鮮半島の植民地支配に関する見方も、納得できるものがあります。なぜか、渋沢栄一ご本人の私生活における女性関係が乱れていた点については、まったく言及せずに、経済関係の活動に関する渋沢栄一の貢献や考え方に絞って取り上げていて、まさに人間が出てこない経済書の通例を踏襲している雰囲気がありますが、大河ドラマでは当然に人間としての渋沢栄一が主人公となっていますので、やや印象が異なります。繰り返しになりますが、日本版の「金ぴか時代」を代表する経営者の実像に迫ろうとしていますので、時代背景も含めて、それなりに多角的な理解を進める方がいいような気もします。

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次に、虎尾達哉『古代日本の官僚』(中公新書) です。著者は、鹿児島大学の研究者で、専門は日本古代史です。本書の副題は「天皇に仕えた怠惰な面々」となっているように、古典古代の律令制国家=天皇制生国家であった日本において、調停で勤務する官僚は貴族も平民も決して勤勉ではなく、怠業や無断欠勤などが横行していたことを史料を駆使して明らかにしようと試みています。もちろん、副題にあるような怠惰な面はお仕事だけであって、受領などの地方官は、むしろ、せっせと不正蓄財に余念がなかったことも同時に明らかにしています。私も長らく定年まで官吏として政府に勤務していましたが、さすがに、笑ってしまうほど明瞭な怠業や欠席を繰り返す古典古代の官僚のようなわけはありませんでした。しかも、こういった官僚の怠業や欠勤に当たって、取り締まる側の政府あるいは天皇も決して強い態度で臨んでいるわけではなく、そういった官僚の怠慢や不正を容認するような部分も見受けられます。特に、官僚の人事をあずかる式部省の横暴ぶりは印象的でした。中国の律令制を真似て、専制君主による支配を志向したのですが、中国との違いを比較するような部分が本書にもあり、愕然としたりしました。どうしてそうなのかについては、本書では特段の分析がなかったように思いますが、5位以上の貴族も、6位以下の平民官僚も、およそ同じようにサボっているようですので、決して独自収入のある貴族だけに見られる怠業のようではないと考えられます。それでも政府が回っていたというのが大きは理由のひとつなのかもしれません。私の知る範囲でも、先進国に比べて途上国背は政府が効率的ではない、というのは常識ですし、要するに、日本が現在の途上国の段階にも達しないような古典古代の時代では、官僚はこうだった、ということなのかもしれません。本書では、表現もコミカルな部分もあって、とても読みやすく仕上がっています。私は通勤電車の中で読んで声を出して笑ってしまったこともありました。

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最後に、宮沢孝幸『京都大学おどろきのウイルス学講義』(PHP新書) です。著者は、京都大学の研究者で、ウイルス学が専門なんだろうと思います。基本的に、タイトル通りに、京都大学での講義の内容を中心に取りまとめてありますが、もちろん、かなりの程度に一般性を持っているんだろうと私は受け止めています。当然ながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックを受けての出版であって、ウイルス学全般、あるいは、ウイルス研究全般についても卓見が含まれています。というのは、まず、第1章冒頭で、新たなウイルス対応のための研究は「選択と集中をしてはいけない」と明言しています。おそらく、一部の限定的な応用研究を別にすれば、ウイルス学だけでなく数多くの基礎研究については同じことがいえるのだろうと私は考えています。そもそも、生物学的な「自然選択」、その昔の「自然淘汰」についても、生存のために有利な方向で進化したわけでは決してなく、いろんな方向にランダムに変異したうちの生存に有利な種が生き残ったわけですから、基礎的な研究についてもランダムに多様な研究を進めるべきであり、少なくとも、次に驚異となりそうなウイルスを特定した研究は、大きな意味があるとは考えられません。ほかに、ウイルスについては私はまったくの専門外なので、それ相応に読み飛ばしてしまったのですが、第3章ではそもそもウイルスとは何か、について、「遺伝情報を包んだ粒子」との定義を示し、遺伝情報としてその設計図や手順書を持っているものの、それを作り出す工場=リボゾームを持たず、ホスト=宿主の細胞内でのみ増殖する、といわれれば、判ったような気にもなります。レトロウイルスによって宿主の遺伝情報が書き換えられ、一定の方向への進化のようなものが生じ、そのひとつの現われが哺乳類の胎盤、など、生物の進化に貢献してきたウイルスの存在についても議論を展開していて、とても興味深く読むことが出来ました。COVID-19の話題をかなり少なく抑えているのも、むしろ、好感が持ています。

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2021年6月25日 (金)

リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

明週火曜日の6月29日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。まず、いつものグラフは以下の通りです。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していて、4月+0.7%増、5月+1.5%増となっています。伸び率が+2.0%を下回るのは、2020年10月から8か月連続です。他方、派遣スタッフの方は昨年2020年5月以降のデータが跳ねていたのですが、今年2021年5月はそのリバウンドで元に戻っています。上のグラフの通り、今年2021年5月は+1.8%を記録しています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は繰り返しになりますが、5月には+1.5%増の伸びまで縮小し、人手不足がメディアで盛んに報じられていた一昨年2019年暮れから昨年2020年年初のコロナ初期の+3%を超える伸び率から比べるとかなり低下してきています。三大都市圏の5月度平均時給は前年同月より+1.5%、+16円増加の1,091円を記録しています。職種別では「事務系」(+35円、+3.1%)、「販売・サービス系」(+14円、+1.3%)、「製造・物流・清掃系」(+24円、+2.3%)、「専門職系」(+13円、+1.1%)、「フード系」(+7円、+0.7%)と幅広い職種で増加を示し、「営業系」(▲1円、▲0.1%)だけが減少となっています。「営業系」が減少なのは、テレフォンアポインターが大きなマイナスを記録しているからです。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、5月は+30円増加、+1.8%増の1,725円に達しています。職種別では、「IT・技術系」(+87円、+4.2%)、「クリエイティブ系」(+70円、+3.9%)、「オフィスワーク系」(+42円、+2.8%)、「医療介護・教育系」(+23円、+1.6%)はプラスを記録した一方で、ここでも「営業・販売・サービス系」(▲51円、▲3.4%)だけがマイナスとなっています。派遣スタッフでも、テレオペ・テレマーケティング・スーパーバイザーが大きなマイナスです。地域別では関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。

派遣スタッフの時給が伸びを高めているのに対して、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響は昨年2020年5月ころに底を打ったように見えることから、雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないとはいえ、意外と底堅いという印象です。

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2021年6月24日 (木)

ガンケル投手のナイスピッチングと小刻みな加点で中日を圧倒!!!

  RHE
阪  神001120101 6130
中  日000000000 080

序盤から小刻みに加点し、ガンケル投手がナイスピッチングで中日打線を抑え込んで圧勝でした。
何といっても、ガンケル投手の好投につきますが、打線も派手さはありませんが、3回の先制点はガンケル投手のバントが実を結んだり、大山選手が確実に犠牲フライで走者を返したりと、佐藤輝選手が4タコでも2ケタ安打の6得点ですから立派なものです。終盤マウンドに立った及川投手と岩貞投手の両サウスポーもゼロで抑えて、キッチリと責任を果たしています。

明日殻の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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順調に上昇率の拡大が続く5月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%まで上昇幅を拡大しし、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が5月中は首都圏などで続いていましたが、昨年の4~5月が経済活動の底でしたが、その反動が現れています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、前年比1.5%上昇 広告や外航貨物輸送など堅調
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.8と、前年同月比で1.5%上昇した。前年比のプラスは3カ月連続。前年同月に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて経済活動が停滞していた反動が大きく出た。広告や外航貨物輸送などの価格が上昇している。
前年同月は新型コロナの感染拡大で、企業の広告出稿が大幅に減少した。広告単価も下がっていたが、これらの要因がはく落。外需の影響を強く受ける外航貨物輸送では、中国向け鉄鉱石の堅調な荷動きが押し上げ要因となった。運賃に含まれる燃料油価格の上昇も影響した。半面、前月比では0.2%下落した。
同指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。国際商品市況の影響を大きく受ける財に比べると、サービス価格の回復は緩やかだ。日銀は「ワクチン接種が進捗する中で、新型コロナが価格に与える影響を注視したい」としている。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは76品目、下落は38品目だった。

いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていましたが、今年2021年2月統計では保合いになり、3月統計でとうとうプラスに転じました。直近で利用可能な5月統計では上昇幅を拡大しています。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービスにも波及していると私は考えていますし、加えて、昨年2020年4~5月が我が国では第1次の緊急事態宣言の中で経済活動の水準がほぼ底だったため、その反動で今年はこの時期の前年同月比上昇率が上がっている、という面も否定できません。少し詳しく、SPPIの大類別に基づく前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率への寄与度で見ると、テレビ広告、インターネット広告、新聞広告などの広告が前年同月比+15.3%、寄与度+0.64%と大きな部分を占めています。景気に敏感な項目ながら、前年からの反動に加えて、東京オリンピック関連の入稿もありそうな気がします。また、不動産が上昇率+4.3%、寄与度+0.40%、宿泊サービズや土木建築サービスなどの諸サービスが上昇率+0.5%ながら、寄与度は+0.19%あり、運輸・郵便も上昇率+1.1%、寄与度+0.19%などとなっています。不動産については、前年の賃貸料の落ち込みからの反動が見られ、運輸・郵便では国際商品市況における石油価格の上昇を反映しているものと考えられます。前年からの反動という要素が無視できませんから、上のグラフに見られるように、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比は4月の▲0.4%0.3%下落に続いて、5月も▲0.2%の下落を記録しています。同じような現象で、景気に敏感な広告は前年同月比では+15.3%の上昇ながら、前月比では▲2.7%の下落となっていたりします。6月20日まで東京都や関西圏などでは緊急事態宣言が解除できなかったわけで、新規感染者数は横ばいないし微増を示していることから、COVID-19の経済的な影響はワクチン接種が進まない限り改善しない、と覚悟するべきです。消費者物価(CPI)やSPPIなどの物価ももちろん同じです。

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2021年6月23日 (水)

終盤に藤浪投手が中日打線に打ち込まれて万事休す!!!

  RHE
阪  神000101000 2121
中  日11000040x 681

終盤まで競り合った試合ながら、藤浪投手が中日打線に打ち込まれて万事休すでした。
中盤まで2-2の同点でもつれ込み、先発アルカンタラ投手に代打を送って7回ウラから藤浪投手をつぎ込みましたが、この継投が裏目となりました。フォアボールを連発して押出しの挙句に、走者をためて長打を浴びるという最悪の結果でした。ただし、ホントに罪深いのは打線であり、ヒットで塁上を賑わしながら決定打が出ませんでした。特に、1回、3回、8回と3度も4番大山選手で攻撃が終わっています。4番打者の不振は目を覆うばかりで、逆に、5番に据えて今夜もホームランをかっ飛ばした佐藤輝選手の打棒が活かせていません。

明日は、
がんばれタイガース!

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UNCTAD World Investment Report 2021 に見る直接投資の減少やいかに?

今週月曜日6月21日に国連貿易開発会議(UNCTAD)から World Investment Report 2021 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。世界の直接投資(FDI)は国連のSDGsターゲットのためにも重要ですが、2020年の直接投資(FDI)は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック防止のためのロックダウンなどにより投資プロジェクトが停滞し、もちろん、景気後退の影響もあって、前年から大きく減少を示しています。この World Investment Report はそれほど頻度高く取り上げているわけではありませんが、というよりも、ひょっとしたら初めてかもしれないと思いつつ、国際機関の英文リポートに着目するのは私のこのブログのひとつの特徴ですので、pdfの全文リポートからいくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから、p.2 Figure I.1. FDI inflows, global and by group of economies, 2007-2020 を引用しています。右上の円グラフは、2020年の地域別のシェアをプロットしており、ほぼほぼ1兆ドル($999billion)の直接投資(FDI)のうち、⅓近い$312billionが先進国であり前年比▲58%減と半減超の減少を示し、他方、⅔の$663billionを占める途上国FDIは▲8%減にとどまっていることが読み取れます。この途上国FDIの減少幅が小さい点は、"mainly because of resilient flows in Asia" と説明されています。いずれにせよ、世界全体のFDIフローは前年の$1.5trillionから▲35%減の$1.0trillionへ激減しています。

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次に、上のテーブルはリポートから、p.13 Table I.5. The pandemic impact on investment in SDGs: announced greenfield and project finance, change in value, 2019-2020 を引用しています。見れば明らかですが、リポートでも、SDG関連の新規投資はパンデミック前から▲33%低下し、国際的なプロジェクト・ファイナンスは▲42%減少していると報告しています。再生可能エネルギーの▲8%減を別にすれば、インフラや健康などすべてのSDGs関連セクターへの直接投資も大幅減を記録しています。

ただし、昨年2020年の落ち込みが大きかっただけに、今年2021年にはそれなりのリバウンドを見込むことができるようで、リポート p.16 には今後の見通しとして、"Global FDI flows are expected to bottom out in 2021 and recover some lost ground with an increase of 10-15 per cent." と結論されています。COVID-19パンデミックを乗り越えて、先進国からの直接投資が途上国のSDGsの進展を促進することを私は強く願っています。

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2021年6月22日 (火)

青柳投手が大野投手に投げ勝って中日に先勝!!!

  RHE
阪  神020000000 261
中  日000100000 140

異常なくらいに試合のペースが速く緊迫した投手戦で、青柳投手が大野投手に投げ勝って中日に先勝でした。
序盤2回に、佐藤輝選手のツーベースを足がかりに、糸原内野手と梅野捕手の連続タイムリーで2点を先取し、得点はそれだけでした。リリーフ陣は、8回に復活した岩崎投手が、9回はもちろんスアレス投手が、ともにピシャリと三者凡退に抑えました。さすがの大野投手とはいえ、やっぱり、打線、特に4番大山選手の奮起を期待します。

明日も、
がんばれタイガース!

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みずほリサーチ&テクノロジーズ「ワクチン接種加速の経済効果」やいかに?

昨日、ニッセイ基礎研のリポート「新型コロナワクチンをすぐにでも接種したい人とは?」「新型コロナワクチンをすぐには接種しない人の理由と特徴」を取り上げた際に、チラリと言及したのですが、6月18日にみずほリサーチ&テクノロジーズから「ワクチン接種加速の経済効果」と題するリポートが明らかにされています。最初に、菅総理が「1日100万回」と発言した際には、加藤官房長官が否定したりしたんですが、我が大学でも7月から職域接種が始まりますし、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が加速していることは事実であり、とても興味あるリポートです。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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私はエコノミストであり、専門外ですので、ワクチン接種の感染への影響などは十分に理解できているとは思えませんから、まず、いきなりながら、上の図表はリポートから ワクチン接種ケース別の日本経済への影響 を引用しています。当然ながら、ワクチンによる免疫獲得効果で新規感染者数が減少に転じるわけですが、このリポートではベースラインとして1日50万回と設定しており、上の左側のグラフの点線ケースがこれに当たり、感染者が減少傾向が明確になりピークアウトするのは9月に入ってからと見込まれる一方で、100万回ケースと125万回ケースでは新規感染者数がピークアウトする時期がそれぞれ8月上旬、7月下旬に早まるとともに、ピークの山もわずかながら低くなると予想されています。これに従って、、経済活動の正常化時期はベースラインの50万回ケースでは2022年4月ころなんですが、100万回ケースでは2022年1月ころと、まるまる1四半期前倒しすることが可能となる見込みとなっています。さらに、当然ながら、125万回ケースではもっと早まり、2021年10~12月期中に人出をコロナ前水準に戻すことができると見込まれています。ですから、ワクチン接種が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息を早める大きな要因と考えるべきです。そして、ワクチン接種によるCOVID-19終息の早期化による経済効果は、ベースラインの50万回ケースとの比較で、1日100万回ケースがGDP比+1.1%、1日125万回ケースでは+2.1%あると試算されています。

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次に、上の図表はリポートから 対人サービス業の売上への影響と雇用者所得への影響 を引用しています。2021年度において、1日50万回の接種ベースラインペーとの対比で見た対人サービス業の売上の増加率を試算すると、1日100万回まで加速した場合は大雑把に10%から20%の増加、1日125回まで加速した場合はほぼ20%から30%の増加が期待できます。サービス業は雇用吸収力が大きく、雇用への波及効果も大きいことから、1日100万回まで加速した場合、ベースライン対比で2021年度の雇用者所得は+2.4兆円増、雇用者数は+30.6万人増と試算しています。さらに、1日125万回まで加速した場合、雇用者所得は+4.0兆円増、雇用者数は+57.0万人増とさらに大きくなります。雇用者所得の2次波及効果も右側のテーブルに示されている通りです。

以上の通り、基本的にはワクチン接種の経済的効果は極めて大きいと考えるべきです。しかしながら、他方で、英国ではワクチン接種が進んだにもかかわらず変異株の感染力が強くてロックダウンが続いているのも事実です。ですから、この試算結果をどう評価するのか、すなわち、やや過大推計の恐れはないのか、といった批判的視点は必要と私は考えていますが、そうはいいつつも、ワクチン接種の加速化が必要であることはいうまでもありません。

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2021年6月21日 (月)

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ワクチンをすぐに接種したい人とそうでない人の特徴やいかに?

昨年から本格的になった新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対して、社会的あるいは経済的なマイナスの影響を払拭する決め手として期待されているワクチン接種ですが、高齢者だけでなく職域接種も含めて広がりを見せているのはアチコチで報じられている通りです。ワクチン接種の進展による経済効果としては、例えば、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポート「ワクチン接種加速の経済効果」によれば、「ワクチン接種ペースが1日100万回まで加速する場合、経済の正常化時期が前倒しされ、2021年度GDPを1%程度押し上げる (約6兆円の経済効果)」があると結論しています。しかし、他方で、ワクチン接種を受けるかどうかは基本的に個人の自由であり、積極的に摂取しようと考える人とそうでない人がいるのも事実です。こういった傾向について、ニッセイ基礎研から「新型コロナワクチンをすぐにでも接種したい人とは?」「新型コロナワクチンをすぐには接種しない人の理由と特徴」と題するリポートが先週6月15日に明らかにされています。いずれも、ニッセイ基礎研究所が実施した「第4回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査 (2021年3月)」のデータに基づいて分析が行われています。やや旧聞に属する話題ながら、簡単に図表を引用して取り上げておきたいと思います。

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まず、両方のリポートに共通して出ている 新型コロナウイルスのワクチン接種意向 のグラフは上の通りです。全体の1.4%が既に接種していたほか、24.1%が「すぐにでも実施したい」、51.2%が「しばらく様子を見てから接種したい」、15.9%が「あまり接種したくない」、7.5%が「絶対に接種したくない」と回答しています。
最初のリポートのすぐにでも接種する意向あるケースで見て、客観的な事実からは、女性よりも男性、年齢が高いこと、祖父母と同居している人、孫と別居している人が統計的に有意な結果が得られています。加えて、既往症からは、持病や肥満の場合には、統計的に有意に接種意向が高くなる、との結果が得られています。マインド的な意向としては、飲食店の店内での飲食、国内旅行、交際やつき合い時間を増やそうと考えている人が統計的に有意に高い接種意向を示しています。まあ、これは常識的な結果かもしれませんが、逆に、妊娠中・授乳中の場合はそれほど強い接種意向は示されていませんし、マイクロな感染による収入源、あるいは、マクロな日本経済の悪化といった経済面の不安あってもそれほど接種意向が強まらないような印象です。常識的な結果ながら、アンケート調査に基づいて、それなりの統計的な確認ができたのは、ファクトファインディングとしてはいいことだと私は考えます。

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次に、リポートから、すぐには接種を希望しない理由 のグラフを引用すると上の通りです。すぐには接種を希望しない理由については、「安全性への不安」、「順番待ち・様子見」、「面倒」、「ワクチン不要」の4要因に分類してあります。
まず、「安全性への不安」から、すぐには接種を希望していない人の特徴として、男性よりも女性、妊娠中・授乳中の人、肥満ではない人が統計的に有意な結果を見せています。「順番待ち・様子見」は個人属性としては、ほぼほぼ女性に限定されます。「面倒」は性別には関係ないようで、逆に、年齢が低いと統計的に有意な結果が示されています。「ワクチン不要」はさすがにほとんどの要因で統計的有意性が示されていませんが、数少ない要因のうち、持病がないとやや統計的に有意となっています。

とても興味深い結果だと私は受け止めています。しかし、私自身はあえていえば、すぐには接種を希望せず、「しばらく様子を見てから接種したい」と考えています。60歳を過ぎていますが、肥満ではなく持病もなく、それほどは飲食店の店内での飲食や国内旅行を増やそうとも思っていません。そもそも、流行の最先端を行くタイプではありません。Innovator理論でいえば、決してEarly Adoptersではなく、Laggardではないにしても、せいぜいがLate Majorityではないか、という気がします。強くします。

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2021年6月20日 (日)

あと一歩及ばず、巨人には今年も勝てないのか?

  RHE
読  売000002000 260
阪  神000001000 150

やっぱり、巨人には甲子園で負け越しでした。
先発秋山投手は6回2失点のQSながら、先制点を献上します。そのウラに佐藤輝選手のソロが出ますが、3番と4番が、ついでに、6番もノーヒットでは得点力が上がりません。9回なんぞは、引き続き積極的な走塁が見られたのですが、それだけでした。やっぱり、打線、特に4番大山選手の奮起を期待します。

次に中日戦は、
がんばれタイガース!

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2021年6月19日 (土)

今週の読書は経済書と歴史書など計5冊!!!

今週の読書は、左派リベラルの反独占の観点からの経済書や、やはり、左派のタックス・ヘイヴンの経済実態を広範に情報収集した結果を取りまとめた経済書、さらに、グローバル・ヒストリーに関する歴史書とともに、私の好きなミステリ作家のドキュメンタリーを基にした小説など、以下の通りの計5冊の読書でした。なお、来週は小説を読みたいと考えています。というのは、大学の生協にお願いして、平野啓一郎『本心』と東野圭吾『白鳥とコウモリ』を購入しました。こういったベストセラー本は1割引の生協には卸してくれない場合もあり、昨年の綾辻行人『Another 2001』は結局生協には入らずに涙をのんだのですが、今回はがんばってくれたようです。どちらもかなり分厚い本ではありますが、せっせと読みたいと思います。
それから、毎週アップデートしていますところ、今年に入ってからの読書は、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~5月で36冊、6月に入ってから今日取り上げる5冊をはじめとして14冊、これを合計して106冊になります。今年上半期で100冊に達するんではないかと想像していたのですが、とっくに先週の段階で100冊に達しています。ですから、Facebookなどでシェアしている旧刊書を除いた新刊書だけで年200冊ペースと予想、目標ではなく、あくまで予想していますが、そのラインをやや上回るペースで読み進んでいる気がします。強くします。

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まず、ティム・ウー『巨大企業の呪い』(朝日新聞出版) です。著者は、民主党系のエコノミストと思われ、オバマ政権末期に国家経済会議(NEC)のメンバーとして競争政策を担当していましたが、短期間で政権交代があり、その後、現在のバイデン政権でテクノロジー・競争政策担当の特別補佐官に起用されています。英語の原題は The Curse of Bigness であり、2018年の出版です。なお、英語の原題は、米国の最高裁判事を務め独占資本と戦ったブランダイス判事の1934年の著書と同じです。ブランダイス判事については第3章で詳しく取り上げられています。ということで、戦前のファシズムの台頭から説き起こし、ドイツや日本で独占資本が形成され、とくに、1930年代のドイツの古典的なオルド自由主義が、共産主義革命や労働運動の激化とともに、社会的に「まだまし」という評価でナチスの政権奪取を許す結果になった反省を振り返り、戦後はIBMの分割訴訟、さらに、AT&Tの地域分割などの裁判を取り上げ、こういったテクノロジー企業の独占的支配を緩めることにより技術革新が進んだと指摘します。ただし、他方で、マイクロソフトに対する訴訟は共和党のブッシュ政権下で取り下げられ、現在もGAFAMなどのテクノロジー企業の独占的な経済支配下で、かなり歪んだ経済社会が形成されつつある現状を半独占の観点から批判しています。日本の失われた30年は独占資本による消費者利益の無視から生じた面があるとも指摘しています。私は基本的に日本経済の停滞は需要サイドから生じており、著者の指摘するような供給サイドの要因は、それほど大きな要因ではないと考えていますが、ひとまず同意できる点はたくさんあります。特に、我が国では、中国も同じですが、グローバル化の進展とともに歪んだ国際競争力の観点から、企業のサイズを追求する政策や経営が取られて来たことは事実です。典型的には、メガバンクをはじめとする銀行業界での合併であり、流通業界の合併と大規模化、製造業ですら製鉄、化学、エネルギーなどで大規模な企業合併が進んでおり、その逆の企業分割は皆無といえます。そして、その企業合併促進のグローバル化への対応とともに、本書でも指摘してるシカゴ学派的、というか、ネオリベな市場価格だけをクライテリアとした見方があります。すなわち、独占が進んでも、その結果として価格が引き上げられなければ消費者への不利益は生じておらず、企業合併を不許可とする理由にはならない、というものです。私の従来からの主張の通り、右派的な経済学では市場価格を絶対的な指針とし、価格のみで判断を下す傾向がある点は社会全体の利益やコストを無視している可能性があることから好ましくなく、一例としては、宇沢教授のようなシャドー・プライスも含めた外部経済や規模の経済も含めて、社会的なコストやベネフィットを市場価格よりも重視すべき、と繰り返し私は主張しています。基本的に、こういった左派リベラルの経済学に沿った考えが、特に独占資本に対する経済学的な考えが、本書では展開されています。もちろん、極めて詳細な先進各国の実例を引いており、理論倒れの実践的観点の無視といった点はまったくなく、制作決定の実践的な指針としても有効な主張が展開されています。日本では、1960年代の「大きいことはいいことだ」以来のサイズに対する信仰が根強く、現在も展開中の大学生諸君の「寄らば大樹の陰」といった思考も含めて、経済活性化を妨げている可能性も否定できません。その意味から、独占資本の形成に対して極めて批判的な視点を提供する本書は、米国のみならず日本や欧州や先進各国、あるいは、社会主義を標榜する中国でも参考とすべき点を多く含んでいそうな気がします。200ページ足らずの小振りな小論ながら、大いにオススメです。

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次に、中村雅秀『タックス・ヘイヴンの経済学』(京都大学学術出版会) です。著者は、経済学の研究者ですが、すでに一線を退いて名誉教授となっているようです。G20や経済開発協力機構(OECD)などでも法人税の税逃れの防止のために、最低税率の設定などの議論が進んでいますが、その流れの中で、極めて詳細かつ網羅的にタックス・ヘイヴンについて取りまとめています。出版社からしても学術書であることは当然ですが、小難しい理論を展開しているわけではなく、実務的に様々な法人税逃れ、さらに超富裕層の所得税逃れの手法を系統立てて取りまとめています。ですから、基本は学術書なのですが、部分的には実務的な政策当局と企業のイタチごっこをスリル満点に追いかけているような記述も散見されて、経済小説を読んでいるような錯覚に陥ったりもします。逆にいって、どうしてグローバル企業や超富裕層は税金を払うことを回避するのか、あるいは、回避しようとするのか、といった視点は希薄です。もちろん、単純にいえば、コスト-ベネフィットであって、税金を回避するコストが節税額を下回るために租税回避が生じるわけですから、税当局は節税額が回避コストを上回らないように税率を下げる、といった、バカげた悪循環も生じかねないわけです。特に、カリブ海の小さな島国がタックス・ヘイヴンとして注目されがちですが、欧州のEU加盟国の中にもオランダやアイルランドといったタックス・ヘイヴンがありますし、米国の中の州でもデラウェア州などのタックス・ヘイヴンがあります。スキームとしては、第4章でアップルのいわゆるダブル・オランダ・アイリッシュ・サンドイッチが詳細な分析の対象とされています。まあ、何といいましょうかで、こういった合法的な節税スキームを考え出して、それ相応ながら節税額に届かない報酬を受け取ることをビジネスにしている弁護士や会計士がいっぱいいるんだと思います。ただし、私が経済学的なゲーム論で理解しているところ、節税スキームを指揮する弁護士や会計士は、節税可能額ギリギリまで報酬を釣り上げることが可能なハズであり、そうなると、節税スキームを利用する企業にはそれほど大きなネットのベネフィットは残らないハズなんですが、必ずしもそうなっていないようにも見受けられます。そのあたりの経済学的、あるいは、ゲーム論的な分析も今後の課題かもしれません。もちろん、課税当局の今後の課題としては、最近広く報じられたところで、先進国間で法人税課税の最低税率を共通に定めることも含まれます。OECDで議論されているBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)については、このブログでも昨年2020年10月15日付けで取り上げましたし、もちろん、本書でも期待を込めて議論されています。ただし、米国のGILTI=Global Intangible Low-Taxed Income 合算課税については、私が読み落としたのでなければ、本書には抜けているような気がします。逆に、本書では法人企業課税についてだけ論じているわけではなく、通常は取り上げられない超富裕層の個人(HNWI=High Net Worth Individual)も含めて包括的な議論を展開しています。制度的には私は詳しくありませんが、タックス・ヘイヴンについて批判的に概観した専門的学術書として本書は価値が高い気がします。

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次に、セバスティアン・コンラート『グローバル・ヒストリー』(岩波書店) です。著者は、ドイツ人でありベルリン自由大学の研究者です。もちろん、専門はグローバル・ヒストリーなんですが、日本近現代史も視野に収めているようです。英語の原題は What Is Global History? であり、2016年の出版です。ということで、本書はグローバル・ヒストリーに関して、その特徴や方法論などを展開している学術書であり、どのように歴史を語るべきかを論じており、グローバル・ヒストリーに基づいて歴史を語っているわけではありません。ですから、そもそものグローバル・ヒストリーの始まりから解き明かしています。すなわち、グローバル化が進んだことが大きなグローバル・ヒストリー研究の必要性を高めた要因であり、特に、研究が始まった契機のひとつとして冷戦の終了を上げています。そして、グローバル化の進展とともにITC機器の広範な普及に伴う通信革命などにより、従来の欧州中心史観の限界が露呈されたことに注目しています。その上で、グローバル・ヒストリーは世界中で起きるイベントをリンケージを持って理解するとともに、交換と接続に焦点を当てつつ、個別の事例を世界的な文脈の中でその世界的な統合にも留意しつつ理解しようという方向性を持っている、と結論しています。この冒頭のテーゼに基づいて、さまざまな実例が分析対象として取り上げられていたりします。具体的には、まず第3章から第4章で、グローバル・ヒストリーに競合する歴史に対するアプローチとして、比較史、トランスナショナル・ヒストリー、ウォーラステイン教授などの世界システム論、サバルタン・スタディーを含むポストコロニアル・スタディーズ、「複数の近代」論、などを取り上げ、その特徴やグローバル・ヒストリーとの対比をアプローチの観点から明らかにしようと試みています。その上で第6章から第8章で、グローバル・ヒストリーにおける空間、時間、そしてヨーロッパ中心主義を克服するポジショナリティについて、考察を加え、最後の第9章と第10章では、グローバル・ヒストリーの将来の方向性について議論しています。難解な学術書です。私は大学時代は歴史を専攻しようかと考えないでもなく、文学部を志したこともありましたが、諸般の事情で経済学部に進んで経済史を勉強していたりしました。歴史研究はランケの『世界史概観』を高校生の時に岩波文庫で読んだのが直接のきっかけですが、その後は長く歴史学から離れていましたので、なかなかに理解がはかどりませんでした。いずれにせよ、経済学でも歴史学でも、因果関係について考える場合が多く、本書では第5章で取り上げられています。実は、私は特にビッグデータに関しては因果関係よりも相関関係の方が重要と考えています。例えば、「紙おむつとビールの6パックはいっしょに買われる」というのはもう20年来有名なお話ですが、オムツとビールの間にそれなりの相関関係はあっても因果関係を認めるエコノミストやヒストリアンは決して多くないと私は想像しています。また、我が国における貧困のあり方として、喫煙・肥満・貧困の3要素がありますが、これらは分かちがたく結びついているように見え、何が何の原因であり、結果であるというのは解明する必要性に乏しいと私は考えています。ですから、私の研究では、もちろん、経済学の研究ですが、観測不能な何かの状態変数を設定した上で、状態空間モデルを用いて数量分析することが少なくありません。ですから、というか、何というか、これから先も、グローバル・ヒストリーの研究の進展・進化に当たって、因果関係に偏重しない方向性を模索して欲しいと私は考えています。

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次に、柳広司『アンブレイカブル』(角川書店) です。著者は、現代モノならざる歴史的な舞台に展開される作品が有名なミステリ作家であり、私も戦前・戦中のスパイ小説である『ジョーカー・ゲーム』のシリーズは愛読しています。本書も、1925年に「普通選挙法」とともに施行された古今東西稀代の悪法である「治安維持法」、さらにその「治安維持法」の執行を担った特高警察の餌食となった4人の文化人に光を当てて、4篇の短編から成っています。その4人を取り上げた4篇とは、少し前に『蟹工船』が新語・流行語にも入った小説家の小林多喜二の「雲雀」、型破りな反戦川柳作家の鶴彬の「叛徒」、横浜事件の犠牲者となった中央公論社の編集者である和田喜太郎の「虐殺」、そして、我が母校の京都大学を追われた天才哲学者の三木清の「矜恃」、となります。そして、こっら4篇に共通して、内務省のクロサキが登場します。小林多喜二が『蟹工船』のための取材に行く函館の水産関係者への工作、また、最後の三木清に対しては直接尋問したりもします。もちろん、小説なんですからフィクションであり、決して、事実そのものではないと考えるべきですが、江戸時代の出版や演劇と同じで事実を基に脚色しているわけで、現在の自由と民主主義の社会を生きている我々も、こういった暗黒の日本社会がかつて存在したことは忘れるべきではありません。また、日本だけではなく世界に目を向ければ、現在のミャンマーでは訓練され火器で武装した軍隊が市民に対して暴力で応じていると広く報じられていますし、あるいは、私が大使館の書記官として3年間働いたチリも1973年のアジェンデ大統領に対するクー・デタ後は市民の虐殺が行われていた確実な証拠があります。こういった自由と民主主義に真っ向から敵対する暴力は決して他人ごとと考えるべきではありません。その意味からも、こういったセミ・ドキュメンタリーな小説を読んだり、あるいは、映画を見たりして、私は自由と民主主義の大切さ、そして、自由と民主主義が失われる恐怖を強く確認したいと思います。ついでながら、ドキュメンタリー映画「チリの闘い」 La Batalla de Chile のDVDを大学の同僚教員とともに購入しました。でも、手元に回ってきたものの、まだ見ていなかったりしますので、やや努力が不足しているところ、がんばりたいと思います。

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最後に、玉木俊明『16世紀「世界史」のはじまり』(文春新書) です。著者は、京都産業大学の経済史の研究者ですが、私のように大学の経済学部で経済史を専攻していたのとは違って、文学部の史学科の出身です。まあ、学際的な分野ですので大きな違いはないのかもしれません。ということで、先ほどのコンラート教授の『グローバル・ヒストリー』では、その研究の開始をかなり厳格、というか、正確を期して戦後のグローバリゼーションが進展した最近数十年くらいと見なしていて、特に冷戦終了後に研究が活発になった、と考えているようですが、本書では著者の玉木教授は16世紀の大航海時代と考えています。ただ、本書の視点はあくまで「世界史」のはじまりであって、グローバル・ヒストリー研究とはビミョーに異なっている点は注意すべきかもしれません。第4章までは、大航海、宗教改革とカトリックの反転攻勢、などを扱っているのに対して、第5章からは王朝史になり、かなり大きく方向転換します。最終章は日本を扱っています。すべて、16世紀の枠内と考えて間違いありません。というのも、著者は、16世紀をもって欧州優位の始まり、そして、それが大航海を通じてグローバルに拡大し、世界史が成立した、というか、近代が始まった、と考えているからです。私の史観と決定的に異なっているのは、私は生産を重視して産業革命をもって欧州優位の基礎と考えるのに対して、本書の著者は販路拡大をもって欧州優位の基礎と考え、販路があればこそ生産拡大の源たる産業革命を準備した、と考えている点だろうと思います。もっといえば、私は需要があったればこそ生産面での産業革命があったと考えるのが合理的であり、ここまではおそらく私と著者の考えはそう大きく違っていません。その需要が販路の先の海外から来るか、欧州域内か、という違いです。典型的には、アジアでは胡椒などのスパイスに見られるように、あるいは、南米の金銀のように、大航海は海外の産品を求めての調達路の拡大であり、販路拡大ではなかった点は、本書の著者には見落とされているような気がします。ですから、私の場合は、「近代」という意味方からすれば、16世紀に世界史が始まった点は合意するのですが、欧州優位の成立はもう少し後の産業革命を待つ必要があると考えています。後半の王朝氏は、16世紀の歴史という枠内で書かれているのですが、さすがに、高校で習うような世界史であり、とても判り易く解説されています。ただ、最後に注意すべきは、繰り返しになりますが、グローバル・ヒストリーが明確に否定した欧州中心史観に立っていますので、本書は決してグローバル・ヒストリーではありません。

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2021年6月18日 (金)

序盤から猛虎打線が火を吹いて巨人を圧倒!!!

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序盤から猛虎打線が爆発して巨人を圧倒しました。
西投手は初回フォアボールもあって不安定な立ち上がりながらも何とかゼロに抑えると、2回に早くも猛虎打線が巨人先発メルセデス投手を捉えて、ツーベース4本で3点を先取します。3回にはノーアウト満塁からサンズ外野手が豪快に右中間に運ぶグランドスラムが飛び出し、序盤で試合を決めてしまいました。かつてはノーアウト満塁で点が入らず、悔しい思いをさせられただけに、サンズ選手のハッピーハンズがとても頼もしく見えました。西投手は100球を越えたあたりで降板し、及川投手と岩貞投手が8-9回をいずれも10球ほどでピシャリと巨人打線を抑えました。

明日も、
がんばれタイガース!

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エネルギー価格の上昇とともに1年2か月振りのプラスに転じた消費者物価指数(CPI)の先行きをどう見るか?

本日、総務省統計局から5月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は+0.1%の上昇と、1年2か月振りの上昇を示めしています。他方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.2%と下落に転じています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の全国消費者物価、1年2カ月ぶり上昇 エネルギー価格けん引
総務省が18日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.7と前年同月比0.1%上昇した。上昇は1年2カ月ぶり。原油相場の上昇基調を反映してエネルギー価格が大幅に上昇した。携帯大手各社の値下げによる携帯通信料の下落を補った。QUICKがまとめた市場予想の中央値も0.1%上昇だった。
エネルギー価格は前年同月比で4.2%上昇した。1年3カ月ぶりに上昇に転じた前月から2カ月連続で上昇した。内訳は、ガソリンが19.8%上昇となったほか、原油相場の影響がガソリンより遅行する電気代や都市ガス代もマイナス幅が縮小した。
火災・地震保険料は16.4%上昇したほか、巣ごもり需要が続きルームエアコンなど家庭用耐久財は2.3%上昇した。
NTT(9432)傘下のNTTドコモのオンライン専用プラン「アハモ」など、携帯大手各社が割安な新料金プランを開始した影響で携帯通信料は27.9%下落した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比0.2%下落と、2カ月連続で下落した。生鮮食品を含む総合は0.1%下落と、8カ月連続で下落した。天候が良かったことからトマトやレタス、キャベツなど生鮮野菜が7.4%下落した。生鮮果物も6.9%下落した。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは0.1%の上昇でしたので、ジャストミートしました。基本的には、エネルギー価格による押し上げの要因が強く、例えば、昨年の日経新聞の記事を見ると、2020年5月限月のWTI先物がマイナスを記録したと報じられたのが2020年4月下旬でしたから、まさに、こういったエネルギ価格低下からのリバウンドの効果が大きいと考えるべきです。従って、特に大きなコストプッシュ要因とは私は考えていません。すなわち、CPIのエネルギーの指数の水準で見て、2019年5月の104.0が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの2020年5月には98.6に低下し、そして、直近でCPI統計が利用可能な2021年5月には101.0に戻っただけですから。2021年5月のエネルギー価格の水準は2年前の2019年5月よりもまだ▲3%ほど低くなっていて、エネルギーの価格上昇が国民生活を圧迫するほどではないと私は見ています。ヘッドラインCPIの前年同月比上昇率に対する寄与度で見て、エネルギーの寄与度は4月統計では+0.05%でしたが、5月には+0.31%となっています。エネルギー価格上昇の中の大部分がガソリンであり、ガソリンだけでCPI総合への寄与が+0.37%を占めています。むしろ、生鮮食品価格が落ち着きを取り戻しつつあることから、食品価格が4月統計の前年同月比▲1.2%下落に続いて、直近の5月統計でも▲0.9%を記録していますので、生鮮食品はコアCPIには含まれないながら、国民生活上の観点からは悪くない価格の動きだという気がします。また、このブログで繰り返し指摘しているところで、政策要因、というか、政府からの強い圧力により、通信料(携帯電話)が5月統計でも前年同月比で▲27.9%下落しており、ヘッドラインCPIに対して▲0.54%のマイナス寄与を示しています。この携帯電話通信料の要因がなければ、ヘッドラインCPIの上昇率も+0.5%ほどの上昇を示していると考えられますし、沖縄県を除いて6月20日までで緊急事態宣言が解除されることが決定されていますし、ようやく、ワクチン接種の広がりも見られますので、宿泊料を大きく低下さかねないGoToトラベルが再開されなければ、国内需要の高まりとともに物価も着実に上昇幅を拡大するものと私は期待しています。

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2021年6月17日 (木)

「観光白書」はまだインバウンドの振興にしがみつくのか?

一昨日、「男女共同参画白書」を取り上げましたが、ちょうどその日の6月15日に「観光白書」、すなわち、「令和2年度観光の状況」及び「令和3年度観光施策」が閣議決定のうえ公表されています。基本的に、私は観光振興策にはさほどの興味はないのですが、インバウンドの決定要因には興味があり、昨年9月に紀要論文「訪日外国人客数およびインバウンド消費の決定要因の分析: VAR過程に基づく状態空間モデルの応用」を取りまとめたこともありますし、相変わらず、政府の観光政策はインバウンド頼みの観光振興策で終始していて、やや失望感を禁じえませんので、批判的にごく軽く見ておきたいと思います。

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上のグラフは「観光白書」第2章 日本の観光の動向 から 図表Ⅰ-12 訪日外国人旅行者数の推移 を引用しています。2020年のインバウンド観光客は前年比▲87.1%減の412万人となっており、412万人のうちアジアからの訪日外国人旅行者数が332万人、全体の80.6%を占め、さらに、中国が107万人、台湾69万人、韓国49万人となっています。
「観光白書」は4部構成で、第Ⅳ部が「令和3年度に講じようとする施策」になっていて、第1章 新型コロナウイルス感染症の対応と観光の復活、第2章 観光立国の実現に向けた観光施策、の2章構成です。私は少し前に同僚教員とおしゃべりしていて、「東京オリンピックは開催されるだろう」と発言したところ、その理由を鋭く問われて、「中止の決断ができないから」と回答した記憶があります。観光政策もどうもインバウンド偏重から脱するのが難しいようですし、もうどうしようもありません。

観光と深く関連して、カミさんと私が東京を脱出して1年余り、とうとう上野の国立科学博物館と国立博物館の前に、東京初のポケふたが6月14日に設置されたそうです。ヤジロン、ドーミラー、チゴラス、ソーナノがあしらってあります。上の動画はTBSニュースがYouTubeにアップしたものです。機会があれば見に行きたいと私は熱望しています。

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2021年6月16日 (水)

貿易統計に見るワクチン輸入増と自動車の輸出増はホントなのか?

本日、財務省から5月の貿易統計が、また、内閣府から4月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計では季節調整していない原系列で見て、輸出額は前年同月比+49.6%増の6兆2612億円、輸入額も+27.9%増の6兆4484億円、差引き貿易収支は▲1871億円の赤字を計上しています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+0.6%増の8029億円億円を記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の輸出49%増 自動車好調で41年ぶり伸び率
財務省が16日発表した5月の貿易統計速報によると、輸出額は6兆2612億円で前年同月比49.6%増えた。米国や欧州向けの自動車輸出が大幅に拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前年に大きく落ち込んだ反動もあり、1980年4月以来の高い伸びを記録した。
輸出は3カ月連続で増え、コロナ感染拡大前の2019年5月と比べても7%上回った。中でも自動車や自動車部品の輸出が前年同月の2倍以上に急増した。
地域別にみると、米国への輸出が1兆1044億円で前年同月比87.9%増えた。米国では中古自動車の価格が高騰するなど需要が高まっており、当面高い伸びが続きそうだ。欧州連合(EU)向けは同69.6%増の6169億円だった。
中国向けは1兆3926億円で同23.6%増加した。半導体製造装置が同63.9%増と高い伸びを記録した。アジア向けは同32.5%増の3兆6386億円だった。
輸入は6兆4484億円で同27.9%増えた。新型コロナのワクチンを大量に輸入したことで医薬品が大幅に膨らんだほか、原油価格の上昇も影響した。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1871億円の赤字だった。貿易収支が赤字になるのは4カ月ぶり。
4月の機械受注0.6%増、2カ月連続の増加
内閣府が16日発表した4月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)が8029億円となり、前月から0.6%増えた。増加は2カ月連続。半導体の需要や自動車関連の設備投資が増え、製造業が好調だった。
製造業は10.9%増の3796億円で4カ月ぶりの増加となった。業種別では造船業や石油製品・石炭製品などが前月からの反動もあって大幅に増えた。
非製造業は11.0%減の4119億円と2カ月ぶりに減少した。新型コロナウイルス感染拡大などの影響で、運輸業・郵便業(37.1%減)や情報サービス業(19.9%減)などで落ち込んだ。
内閣府は機械受注の基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べましたので長くなってしまいました。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスで貿易収支は約▲900億円の赤字でしたし、レンジの下限は▲5000億円の赤字でしたので、それほど大きなサプライズはなかったと私は受け止めています。引用した記事にもありますが、季節調整していない原系列の統計の前年同月比で見て、米中をはじめとする世界各国の景気回復により輸出額が+49.6%増と41年ぶりらしく、また、うち、数量が+38.6%増を記録していますが、なにぶん、昨年4~5月がコロナ・ショックの底であって、そのリバウンドが大きいものですから、それほど単純な評価は控えるべきです。また、これも引用した記事にある通り、輸入の増加のうち医薬品の寄与が大きくなっています。医薬品輸入額の伸びが+31.1%増であり、輸入額全体の+27.9%増に対して+3.0%の寄与を示しています。どこまでがワクチンなのかは統計からは私は把握できていませんが、それなりの大きさなんだろうと想像しています。というのは、米国及びEUからの医薬品の輸入額が前年同月比でそれぞれ+208.4%増、+84.7%増となっているからで、アジアや中国からの医薬品輸入額はむしろ前年と比べてマイナスです。私の計算では、医薬品の輸入増だけで前年同期から約1530億円に上ります。繰り返しになりますが、そのうちのワクチン分は不明です。しかしながら、ワクチン輸入増はホントのようです。目を輸出に転じると、輸出額が伸びたうち、大きな部分は自動車です。前年同月比で+135.5%を倍増を超えており、輸出額全体の伸びの+49.6%増に対して+10.4%の寄与となっています。ですから、引用した記事のタイトルのような評価になるのかもしれませんが、半導体の供給制約から自動車の生産が伸び悩むとの情報が行き渡っており、4月の鉱工業生産指数(IIP)公表時にも、自動車工業は4月には減産したとの結果が示されています。少し調べると、前年2020年5月の自動車輸出額は前年同月比で▲64.2%減とほぼ⅓に減少しており、3倍増=200%増近い大きな伸びにならないと一昨年2019年の自動車輸出額の水準には回帰しません。私が見た範囲では、ニッセイ基礎研のリポートではその点について、「19年5月と比較すると▲15.6%の減少」と鋭く指摘しており、私も同感です。従って、自動車の輸出増というのはやや怪しいと結論せざるを得ません。我が国のリーディング産業に関する分析ですので、単純な評価に終わるのはやや気がかりです。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、貿易統計のグラフと同じで、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で+2.5%増でしたし、予測レンジの下限が+0.1%でしたので、大きなサプライズはありませんでした。上のグラフから見ても、明らかに回復ペースが鈍ってきており、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「持ち直しの動きに足踏み」で据え置かれています。先月の統計公表時に取りまとめられた4~6月期の見通しでは、コア機械受注の伸びが前期比+2.5%増、うち、製造業が+7.0%、船舶と電力を除く非製造業が+2.7%増と、いささか整合性に欠ける見通しだったのですが、業種別内訳の整合性はともかく、4月統計の実績でも米中をはじめとする世界経済回復の追い風を受ける製造業と停滞したままの内需に依存する非製造業の違いは大きいといわざるを得ず、製造業+10.9%増、船舶と電力を除く非製造業が▲11.0%減となっています。ただし、コア機械受注の先行指標である外需が1兆円超えの高い水準にありますので、今後も緩やかな伸びが期待できると私は考えています。

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2021年6月15日 (火)

コロナ下の「男女共同参画白書」やいかに?

先週金曜日の6月11日に、内閣府から「男女共同参画白書」(令和3年版)が公表されています。白書冒頭の特集で「コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来」と題して、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックで女性に特に強い悪影響が及んだ点を分析しています。すなわち、「製造業が強い影響を受け『男性不況』ともいわれた平成20(2008)年のリーマンショックと対比して,『女性不況(シーセッション(She-Cession))』と呼ばれることもある。」と指摘しています。このブログでも、雇用や所得の点から簡単に取り上げておきたいと思います

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まず、上のグラフは、リポートから 就業者数の推移 のグラフを引用しています。私は東京から京都への引越し直後でしたから忘れもしませんが、昨年2020年4月6日から緊急事態宣言に入りました。そして、男女別の就業者数は2020年4月に前月差で見て、男性が▲39万人間を記録した一方で、女性は何と▲70万人間となっています。男女で2倍近い開きがある話目です。COVID-19パンデミック下で、決して、男性の就業が確保されたわけではありませんが、女性の就業が大きく損なわれたことはCOVID-19の経済的なダメージの中でも特筆されるべきであると私は考えています。ただし、その後の回復も女性の方が急速に進んでおり、昨年2020年3月から今年2021年3月までの12か月で見ると女性が▲10万人減であるのに対して、男性は▲42万人減となっています。回復が早いのはいいのですが、逆に見て、女性が雇用の調整弁として使われていて、変動の大きな部分を担っっているという見方もできます。

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次に、上のグラフは、リポートから 雇用形態別雇用者数の前年同月差の推移 のグラフを引用しています。ここでは先ほどの就業者の性別の動向が裏付けられています。すなわち、女性は非正規雇用が減少している一方で正規雇用もそれなりに増加しており、特に最近時点では非正規雇用の減少にかなりの程度見合うだけの正規雇用の増加が見られるのに対して、男性は一部の例外的な月を除けば正規雇用も非正規雇用もどちらも減少しています。全体として、女性の雇用の回復が早いのは正規雇用の部分で生じていることがうかがわれます。

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次に、上のグラフは、リポートから2020年における 産業別雇用者の雇用形態別割合 のグラフを引用しています。見れば明らかな通り、建設業、製造業、情報通信業、運輸業・郵便業などは男性正規雇用の比率が高い一方で、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などの対人接触の多いセクターは女性非正規雇用の占める割合が高くなっていて、まさに、この女性非正規雇用の働く場でコロナ・ショックが緊急事態宣言という形で生じていることが理解できます。

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最後に、上のグラフは、リポートから 雇用形態別個人年収、雇用形態別個人年収の変化 のグラフを引用しています。正規雇用であっても女性は男性よりも400万未満の割合が高く、非正規雇用では男女ともに400万未満が大多数を占めています。加えて、コロナ後に収入が減少した比率は、男女とも正規雇用であれば30%に満たないのですが、非正規雇用出れば30%を上回ります。このあたりも、非正規雇用のコロナによる収入の悪化がうかがわれます。

最後に、個人の目標として、あるいは、教師から学生に対するアドバイスとして、正規雇用に就職するという目標ないしアドバイスは大いに可能性あるところですが、政府として「非正規雇用にはならないように」というのは政策対応とはなりえません。政策対応としては同一労働同一賃金とともに、非正規雇用における雇用の安定は必要と私は考えています。

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2021年6月14日 (月)

電通による「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果やいかに?

先週水曜日の6月9日、電通から「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果が明らかにされています。第1回調査であり、pdfの全文リポートもアップされています。まず、長くなってしまいますが、電通のサイトから、【主なファインディングス】を5点引用すると以下の通りです。

【主なファインディングス】
  1. 「カーボンニュートラル」という言葉の内容まで理解している生活者は15%に留まる一方、取り組みの必要性は7割以上の生活者が感じている。
  2. グリーン成長戦略の14の重点分野に関する認知や内容理解について、6分野は話題となって社会に浸透する可能性が見えてきているが、全分野、生活者に定着するまでには至っていない。
  3. シニア世代>Z世代>ミレニアル世代の順でグリーン成長戦略への関心および関与意向が相対的に高い。特に60-70代はほとんどの分野の取り組みに対する関心度が相対的に高い。
  4. 取り組みの先導は「国」、正しい情報は「研究機関」、実施は「大企業」に期待されている。
  5. 「カーボンニュートラル」に取り組む企業・団体に対しては「時代の変化に適応し、チャレンジ精神や、長期定期な経営視点がある」とポジティブな印象を持ち、また、約8割の生活者は、この取り組みによる一定の追加費用の負担を許容している。

もうほとんどフォローの必要もないくらいに的確に取りまとめてあります。で終わってもいいのですが、いくつかグラフを引用しておきたいと思います。

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まず、電通のサイトから、「カーボンニュートラル」と「脱炭素」の認知度の質問 Q. 「カーボンニュートラル」「脱炭素」という言葉をどの程度ご存知ですか。 に対する結果は上の通りです。ハッキリいって、日本人の認知能力はかなり高いと私は信じていたのですが、その割には、「カーボンニュートラル」、「脱炭素」の認知度は高くない、と考えざるを得ません。特に、カタカナの「カーボンニュートラル」については、内容まで理解している人は15%に過ぎません。ただし、グラフは省略しますが、次の問の回答から、「カーボンニュートラル」への取り組みについては、「必要」と「どちらかといえば必要」を合わせると75%近い人が取り組みの必要性を認識しています。

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次に、電通のサイトから、その取組を行っている企業への評価の質問 Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する評価を教えてください。 に対する結果は上の通りです。基本的に好意的な評価であろうと私は考えたいのですが、中ほどの就職先や投資先あたりから、高評価が50%を下回っています。このあたりは、その昔に、ライシュ教授の『暴走する資本主義』を読んだときにも感じたところで、その企業に雇用されている場合であれば高賃金を期待する一方で、企業の生産物に対する消費者とか投資を行う場合などは、低賃金の労働者を利用して利益を最大化することを望むわけで、そのあたりは、決して一様な評価が出るとは限りません。でも、一般論としていわれているように、いわゆるESG投資は高利回りだそうですから、雇用者として働く場合と消費者・投資家の立場からの企業の見方は収斂する方向にあるのかもしれません。

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最後に、電通のサイトから、取り組みのコスト負担の質問 Q. 「カーボンニュートラル」 の取り組みの結果、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、月いくらくらいまでであれば許容できますか。 に対する結果は上の通りです。私は脱炭素やカーボンニュートラルの達成にためには、例えば、その昔の省エネで家計にプラスというだけでなく、実際に、いかに身銭を切って貢献できるか、という点も重要だと考えていますが、この結果について、どこまで評価できるのか、やや疑問が残るところです。

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2021年6月13日 (日)

楽天も3タテして交流戦は6連勝フィニッシュ!!!

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  RHE
阪  神001020201 670
楽  天000200210 5101

終盤しびれるような展開のシーソーゲームを制して、楽天も3タテして交流戦は6連勝フィニッシュでした。
ガンケル投手と早川投手の先発で始まり、さすがに両リーグの首位同士の対戦ということで、中盤からシーソーゲームとなりましたが、9回近本選手の決勝打で阪神の勝利となりました。阪神のベンチワークは系統に疑問あったものの、9回はツーアウトからの出塁を生かして盗塁を決めたのに対して、楽天は代走を出しながら動きなく違いを感じました。スアレス投手は12試合連続セーブの球団記録、同点にされて勝ち星のついた藤浪投手はご愛嬌ということにしておきます。それにしても、NHKの藤川さんの解説はとても論理的で明快でした。

レギュラー・シーズン再開後の巨人戦も、
がんばれタイガース!

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2021年6月12日 (土)

ルーキー伊東将志投手が田中将大投手に投げ勝って阪神5連勝!!!

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  RHE
阪  神000201006 9100
楽  天000100000 151

ルーキー伊東将志投手が投げ勝って、阪神5連勝でした。
球界を代表する田中将大投手に投げ勝って7回を1失点ですから大したものです。8回ウラは2点差でしたので鉄壁の藤浪投手に後を託しましたが、9回は大差がついて、エドワーズ投手が登板して締めくくりました。打線は、4番大山選手が4回にツーラン、5番佐藤輝明選手が6回にソロと、田中将大投手から3点をもぎ取っています。さすがに、打ち崩したとまではいえませんが、ホームラン2本で3点ですからまずまずといえます。9回は怒涛の勢いで6点を取ってスアレス投手は出番なしとなりました。

明日の交流戦最終戦も、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書中心に計5冊読んで今年上半期で新刊書読書が100冊を超える!!!

今週の読書は、またまた、やや主流を外れる経済書を何と3冊も読んでしまいました。加えて、子供向けの図書ながら話題の本を1冊、さらに、いよいよ開催が近づいたオリンピックにまつわるお金の話をジャーナリストが追った新書も1冊と計5冊です。毎週アップデートしていますところ、今年に入ってからの読書は、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~5月で36冊、6月に入ってから先週の4冊と今日取り上げる5冊の計101冊になります。今年上半期で100冊に達するんではないかと想像していたのですが、2週間を残してすでに100冊に達しています。ですから、Facebookなどでシェアしている旧刊書を除いた新刊書だけで年200冊ペースと予想、目標ではなく、あくまで予想していますが、そのラインをやや上回るペースな気がします。強くします。それから、新刊書読書ではないのですが、『ハリー・ポッターと賢者の石』の英語の原書を読んだ読書感想文をFacebookでシェアしてあります。それから、来週は、経済書とともに、歴史書も少し借りるつもりです。いずれも、ご参考まで。

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まず、L. ランダル・レイ『ミンスキーと<不安定性>の経済学』(白水社) です。著者は、現代貨幣理論(MMT)の理論家として知られる米国バード大学の研究者です。私は『MMT 現代貨幣理論』を読んで、一昨年2019年11月9日に読書感想文をポストしています。英語の原題は Why Minsky Matters であり、2016年の出版です。ということで、ミンスキー教授の経済学はもともとが極めて難解なわけですが、本書では、出版社のうたい文句にもあるように、MMTの源流としての位置づけがなされて、極めて詳細な解説が施されています。もちろん、ミンスキー教授の大きな貢献のひとつは「金融不安定性仮説」であり、リーマン証券破綻の後にはミンスキー・モーメントとともに、多くのエコノミストによって言及されています。本書ではミンスキー教授の初期の貢献として第3章で取り上げられています。「安定性が不安定性を生み出す (Stability is destabilizing)」というものです。すなわち、古典派以降のエコノミストは、経済は内在的に均衡に向かい、そのひとつの方向として定常状態なんかがあるわけですが、ミンスキー教授はこれを否定し、経済は均衡に向かうわけではなく、大きな銀行=中央銀行による金融政策と大きな政府による財政政策によって不安定性を抑制する必要がある、と主張しているわけです。その意味で、ミンスキー教授はケインジアンであり、特に、金融ケインジアンとみなされています。金融に関しては、MMTの源流として、キーストローク・マネーの源流たる「貨幣は常に無から創造される」という言葉が引用されていますし、財政については、MMTのひとつの特徴で、政府が「最後の雇用者 (ELR)」になるべきと主張しています。ですから、1960年代のケネディ政権やジョンソン政権における完全雇用の追求も批判されており、政府支出の拡大というよりは、政府そのものが然るべき賃金で失業者を雇用することが重要と主張しています。私はこの点についてやや理解がはかどりませんでした。判らないでもないのですが、実務的にどうするのかという疑問です。でも、これは明らかにMMTのJGP(Job Guarantee Program)の源流といえますし、1930年代のニューディール政策で実現されているのも事実です。大学で主流派の経済学を教えている教員から見ても、極めて難解です。英語の原書は Princeton University Press から出版されており、著者のレイ教授の意図として、数式を用いずに判りやすい記述に努めた配慮は見られなくもありませんが、基本的に、一般ビジネスパーソン向けではなく学術書と考えるべきだと思います。

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次に、平川克美『株式会社の世界史』(東洋経済) です。著者は、文筆家・起業家ほかとなっていますが、私にはよく判りません。いくつかの大学で非常勤講師をしているようで、その講義を書籍化したような紹介です。ということで、2部構成でタイトル通りの株式会社の歴史ともうひとつ株式会社の原理と病理を展開しています。第1部では、オランダや英国の東インド会社の前段階として、シェイクスピアの戯曲で有名なヴェニスの商人を最初に置き、次いで、東インド会社、そして、株式会社を支える複式簿記、スミスの『国富論』と米国の成立、第1部の終章でプロテスタンティズム、特にカルヴァン派と株式会社の親和性、共同体的な家族経営と株式会社の相違などを説き起こした後、第2部ではホモ・エコノミカスという合理性だけの経済人から始まって、株式会社とほかの重要な経済原理、すなわち、経営、欲望、倫理、イノベーションなどが取り上げられています。米国のレーガン政権や英国のサッチャー内閣以来、現在のネオリベ新自由主義的経済政策の下では、公営・国営部門の民営化が進められていたり、あるいは、そのマイルドな形態として独立行政法人化が進められていますが、本書では最初にそもそも民営化や株式会社化がなじまない部分がある点を強調しています。水道事業などです。私も同意し、水道事業をはじめとする一部の公的企業体で独立採算を目指すことも疑問に思っていたりします。私は先日授業で会社に対するアングロ・サクソン的な観点と日本的な観点の違いを説明し、アングロ・サクソン的な会社は株主の所有下にある一方で、日本的な会社はステークホルダーを考慮しつつ行動する、と解説しました。ただ、英語の授業だったので株主=shareholderとステークホルダー=stakeholderの違いを理解してもらうのにやや苦労はしましたが、両者の見方の最大の違いはここにあると考えています。本書は350ページを超える大作であって、こんな一言で済ませるのはムリなので、別の観点としても、例えば、互酬的で家族経営的な資本主義初期の株式会社とネオリベな現代の株式会社を比べたりしています。もうひとつの観点は、雇用者、すなわち、企業に働く身から見方と消費者や株主という企業の提供する何らかの便益を消費する身からの見方の相違です。これを指摘したのは、米国クリントン政権で労働長官を務めたライシュ教授の『暴走する資本主義』であり、国民は消費者としては安価な製品を選好するが、雇用者としては高い賃金を選好し、この両者はトレード・オフの関係にある可能性を指摘しています。本書ではそこまでクリアに主張しておらず、消費者・株主としては安価な商品の提供やより高い水準の利益の実現のためには、賃金の安い外国で生産したり、あるいは、国内労働者の賃金を引き下げるインセンティブがあるわけですが、企業で働くとすれば高賃金が欲しいわけです。おなじように、株式会社の活動についてもいろんな側面からの評価がなされて然るべき、という気もします。そして、最後に、終章で著者は、株式会社を制御する存在は株式会社である旨を主張しています。違うと思います。私は株式会社を制御するのは大きな政府だと考えています。

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次に、山村英司『義理と人情の経済学』(東洋経済) です。本書と最後の『オリンピック・マネー』は1年余前の2020年4月の出版なのですが、まあ、新刊書と考えていいのではないか、ということで取り上げておきます。著者は、西南学院大学の研究者です。専門は行動経済学などのようです。私は長崎大学に勤務した経験がありますので、福岡にあるこういった私立大学の特徴も少しなら知っているつもりなのですが、極めて大雑把にいって、福岡大学はややバンカラな早稲田大学や立命館大学と同じタイプ、それに対して西南学院大学はミッション系でお上品な慶応大学や同志社大学と同じタイプ、ということができます。でもまあ、最近では大きな違いはなくなっている気がします。それはともかく、直前の『株式会社の歴史』で著者が主張していたように、資本主義初期には互酬的で家族経営的な会社がいっぱいあった一方で、最近ではネオリベで利益や株価や企業価値の最大化を目標とする経営がまかり通っているわけですが、本書ではその資本主義の前記の経営を称賛するような内容となっています。ただ、ホントの資本主義初期の会社とは、まさに、『女工哀史』の時代であり、あるいは、『蟹工船』だったりするわけで、まあ、そこはイメージとして把握しておく必要があります。ということで、とても前置きが長くなりましたが、オキシトシンの分泌による幸福感のお話から始まって、義理に厚い会社、あるいは、当面はムダと思えるような出費を容認する会社の方が長期的な存続性や利益は決して悪くない、という、ちょっとばっかり、その昔に見たような主張が並びますが、本書が優れているのは、単なる著者の心情を吐露しているわけでは決してなく、キチンとフォーマルな分析に基づいた結論として提示しいている点です。もちろん、会社経営だけではなく、より格差の少ない経済社会を目指す政府の所得再分配政策についても、コミュニティ内での交流頻度に影響を受ける場合がある、などのフォーマルな研究成果も紹介しています。家庭生活でも、働く母親に育てられる男性の場合は家事分担割合が大きい、とか、娘を持つ経営者の方がESG投資割合が高い、とかの結果を引用しています。私には男の子しかおらず女の子を持ったことがありませんから、まったく実感がないのですが、女の子を持つと男親の人生が変わる可能性があるという点は聞いたことがあります。ただし、最初の方で言及していますが、時代や地域、特に国によって「義理と人情」が意味する中身が大いに変わることについては注意が必要そうな気がします。

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次に、エリカ・アームストロング・ダンバー & キャサリン・ヴァン・クリーヴ『わたしは大統領の奴隷だった』(汐文社) です。著者は、米国の歴史学の研究者と文芸創作法などの教師だそうです。そして、表紙に見られる黒人女性が、たぶん、本書の主人公であり、大統領の奴隷だったオーナ・ジャッジです。18世紀の後半1773年ころに米国のバージニアで生まれています。英語の原題は Never Caught, the Story of Ona Judge であり、2019年の出版です。邦訳タイトルはよく考えられていて、「大統領」とは米国初代大統領であり、米国独立の英雄であるジョージ・ワシントン大統領です。ジョージ・ワシントンといえば、米国初代大統領や独立戦争の英雄である、というだけでなく、我が国などでは、父オーガスティンが大切にしていたサクラの木を切ったことを申し述べた正直者として、偉人伝の中でその高潔な人格を褒め称えられるほどの人物です。もっとも、このサクラの木の逸話は作り話と考えられています。それはともかく、このジョージ・ワシントンに関しては、私も米国首都のワシントンDCで米国連邦準備制度理事会(FED)のエコノミストをしていた折に訪れた記憶がありますが、ワシントンDCからほど近いバージニアのマウント・バーノンの農園主という顔もあり、従って、100人を超える奴隷を所有、そうです、奴隷を所有していたことが明らかにされています。本書ではこのワシントン家から逃亡した奴隷を主人公にした物語ですから、かなりの程度に意図的なものも含めて、ジョージ・ワシントンをかなり人間的に、あるいは、人格的に問題ある人物として描き出そうと試みています。そのワシントン家のワシントン夫人の側に仕えたオーナがワシントン夫妻の孫娘の結婚祝いとして贈呈、そうです、贈呈される際に南部のバージニアから逃亡し、北部のフィラデルフィアに逃れて、その地で結婚し、周囲の自由黒人や理解ある白人の支えも得て、解放奴隷や自由黒人にはなれなかったものの、奴隷とは異なる自由な生活を送った点が強調されています。でも、決して、めでたしめでたしで終わるのはなく、生活は苦しく決して楽ではなかったとされています。老齢期に達してからの地方新聞から受けたインタビューなどを基に、ていねいな史資料の検討から、戸籍はもとより、ほぼ何の情報もないに等しい逃亡奴隷の生涯が、多くの推測をまじえながらとはいえ、かなり蓋然性高いストーリーとして再現されています。そして、黒人奴隷を見る奴隷主の見方として、奴隷に対する大いなる偏見が示されています。いうまでもなく、こういった歴史に基づいて、米国の中の黒人やネイティブ・アメリカンに対する差別意識はまだまだ強いものがあり、そういった差別に基づく悲劇も数多く生じています。本書はそういった米国の現状に対する強い批判を含んでおり、繰り返しになりますが、本来は、子供向けの図書ではありますが、60歳過ぎの私が読んでも感動を禁じえません。多くの方が手に取って読まれることを私は願っています。これから図書館に返却に行きます。

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最後に、後藤逸郎『オリンピック・マネー』(文春新書) です。著者は、毎日新聞や週刊エコノミスト誌などをホームグラウンドとしたジャーナリストです。タイトルはそのものズバリで、オリンピックにまつわるカネのお話です。でも、その前段として、ギリシアに端を発するオリンピック運動が決して平和の祭典でもなく、ナチスのプロパガンダに利用された歴史があり、あるいは、少し前までのアマチュアリズムは、あくまでスポーツからの収入を当てにしない生活の出来る富裕層のため、などというオリンピックの隠された真実は、私でもそれなりに知っているのですが、それ以降のオリンピックにまつわるお金の役割、というか、カネでオリンピックがいかに歪められているか、という事実をしっかりと追っています。本書の主張では、1976年のモントリオール大会が石油危機に起因するインフレなどで大赤字となった上に、政府などからの公的な支援も受けられなかった、という反省から、オリンピックが急速に商業化したことを説き起こしています。モントリオール大会の次のモスクワ大会は、ソ連のアフガニスタン侵攻に対するボイコットなどもあって、共産圏での大会だけにすっ飛ばすとしても、さらにその次のロスアンゼルス大会のユベロス組織委員長が、公的支援を求めることなく黒字化する、あるいは、赤字にさせない方策として、商業主義を強化させ、その後も商業主義の方向が取られ続けた、と後づけています。聖火リレーの走者を公募して参加料を徴収するほか、誰でも知っているようにテレビ局から莫大な放送料を取っていたりします。特に、ロサンゼルス大会後は米国NBCが放送権を高額で買い取り、そのために、米国のプライムタイムに合わせたオリンピック競技の時刻の設定が行われたりしています。ですから、米国とは地球の反対になる2008年の北京大会では、地元に迷惑なくらいの時間帯に競技が行われたり、欧州では早朝の時間帯になってしまって批判が生じたことなどが紹介されています。1年延期された東京大会でも基本は同じです。しかも、新国立競技場については、オリンピック終了後にサブトラックが撤去され、世界記録が認定されるような公式大会の会場としては使い物にならない、とかの事実も私は不勉強にして初めて知りました。このブログでも、私は何度か強調している通り、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のスーパースプレッダーになる可能性すらあり、特に日本にメリットが感じられないオリンピックは中止すべきと考えています。本書を読んで、その思いをさらに強くしました。

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2021年6月11日 (金)

青柳投手が涌井投手に投げ勝って楽天に先勝!!!

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  RHE
阪  神000012000 361
楽  天110000000 252

テンポの速い投手戦を展開しましたが、青柳投手が投げ勝って楽天に先勝でした。
涌井投手に投げ勝ったんですから大したものです。青柳投手は、序盤の1-2回に失点しますが、それから立ち直って、8回まで2失点で楽天打線を抑え込みます。打線は、5回に佐藤輝選手の盗塁を効果的に生かして、糸井選手のラッキーな内野安打がタイムリーとなり1点差と迫ります。そして、6回にマルテ選手の逆転ツーランで試合をひっくり返します。DHでの休養が効いているのかもしれません。私は8回の裏の楽天の攻撃が始まる前に、昨夜と同じようにお風呂に入り始めました。当然、8回ウラは藤浪投手の登板だと思ったからですが、何と、青柳投手の続投で最終回だけスアレス投手が締めくくったようです。まあ、いろいろあって4連勝です。

明日も、
がんばれタイガース!

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2四半期連続で景況判断BSIがマイナスを記録した法人企業景気予測調査から何が読み取れるか?

本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が公表されています。統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元4~6月期で▲4.5、続く7~9月期ででした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業景況感、2期連続のマイナス 4-6月
内閣府と財務省が11日発表した4~6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス4.7だった。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令や半導体不足の影響により、2四半期連続のマイナスとなった。
BSIは自社の景況が前の四半期より「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を引いたもの。5月15日時点で調査した。製造業はマイナス1.4と4四半期ぶりにマイナスに転じた。非製造業もマイナス6.2で、2四半期連続でマイナスとなった。
大企業の製造業では、半導体不足で自動車の減産があった自動車・同付属品製造業がマイナス16.3、車載向けプラスチック製品などを含む「その他製造業」がマイナス8.0となった。
非製造業では、サービス業がマイナス6.2だった。外出自粛や営業時間の短縮などが続き、宿泊・飲食サービス業はマイナス32.3と落ち込んだ。貸出先の業績悪化による信用コスト増などで金融・保険業はマイナス5.9だった。
7~9月期以降の先行きについて、財務省の担当者は「新型コロナのワクチン接種の進展に伴う経済活動再開への期待が見られる」とした。

続いて、法人企業景気予測調査のヘッドラインとなる大企業の景況判断BSIのグラフは下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。これまた、直近の2020年4~6月期直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。

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この統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)で見ると、2020年4~6月期に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言によるロックダウンの影響を受けて、▲47.6の大きなマイナスを記録した後、2020年7~9月期と10~12月期は2四半期連続のプラスを記録したものの、再度の緊急事態宣言により今年2021年1~3月期には▲4.5と3四半期ぶりの下降超、さらに、足元の4~6月期もマイナス幅を少し拡大して▲4.7となりました。ただし、翌7~9月期が+7.7、さらに、10~12月期も+8.4と企業マインドは上向きとのようにも見えます。加えて、DIですのでレベルよりも方向性に注目すべきである点は強調しておきたいと思います。もっとも、前回の統計公表時にも、先行きの4~6月期はプラスとされていましたので、先行き企業マインドに関するこの統計がどこまで信頼性あるかは不透明です。1~3月期については、大企業のうち製造業でプラス、非製造業でマイナスと、中国や米国など世界経済回復の恩恵を受ける製造業と、人的コンタクトが避けられない宿泊業、飲食サービス業などでまだ低い水準を続ける非製造業の差が出ていたのですが、足元の4~6月期には製造業もマイナスに落ち込みました。
統計のヘッドラインとなる景況判断BSI以外の注目点を上げると、従業員数判断BSIから見た雇用は不足気味超で推移しており、また、2021年度の設備投資計画は+7.4%増と、前回調査の+7.6%増から小幅に下方修正されたものの、増加の計画が示されています。製造業+10.7%増、非製造業+5.8%増とやや開きがあります。もちろん、ワクチン接種の進展に伴う景気回復期待も大きいのでしょうが、この統計のクセのようなものも含まれている可能性が十分あると私は考えています。

さて、7月1日に公表される予定の6月調査の日銀短観やいかに?

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2021年6月10日 (木)

盤石のリリーフ陣で逃げ切って日本ハムを3タテ!!!

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  RHE
阪  神000010111 4110
日本ハム000000101 271

盤石のリリーフ陣で競り勝って、日本ハムを3タテでした。
先発アルカンタラ投手は、よくも悪くも安定したピッチングで、ピシャリとゼロに抑えるわけではないものの、大崩れもしないタイプです。アクシデントにより6回途中で降板し、後をつないだ馬場投手が失点しましたが、8回にツーベースの佐藤輝選手をサンズ選手のタイムリーで返した時点で、私は安心してお風呂に入り始めました。8回には藤浪投手がいるという安心感です。結果的には、9回にクローザーのスアレス投手が失点しましたが、点差以上に差のついた試合だと思います。打線は4番大山選手にも当たりが欲しいところです。5回の先制後、最終回で大山選手にタイムリーが出ていれば、さらに安心して見ていられる試合だったような気がします。

明日の楽天戦も、
がんばれタイガース!

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前年同月比+4.9%の高い上昇率を記録した5月の企業物価指数(PPI)国内物価をどう見るか?

本日、日銀から5月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+4.9%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業物価指数、前年比4.9%上昇 前月比0.7%上昇
日銀が10日発表した5月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は103.9で前年同月比で4.9%上昇、前月比で0.7%上昇した。市場予想の中心は前年比4.5%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比11.0%上昇、前月比で1.0%上昇した。輸入物価は前年比25.4%上昇、前月比で2.2%上昇した。

とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価していますが、まさに、その通りの展開と受け止めています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+4.5%の上昇と見込まれており、レンジの上限でも+4.9%でしたから、まさに、このレンジの上限を記録したということになります。石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大していると私は受け止めています。国内物価について品目別で前年同月比を詳しく見ると、石油・石炭製品が+53.5%、非鉄金属が+41.6%、木材・木製品が+9.7%、化学製品も+9.0%、鉄鋼も+7.0%などとなっており、こういった品目はいずれも4月統計よりも上げ足を速めています。季節調整していない原系列の統計ながら、前月比も+0.7%の上昇を示しており、品目別で寄与度の大きい順に見て、石油・石炭製品が+0.20%、非鉄金属が+0.16%、石油・石炭製品が+0.10%などとなっています。基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復が背景にあるものと考えるべきです。例えば、輸入物価のうち国内通貨建ての原油価格は昨年2020年3月から12か月連続で前年同月比マイナスを記録していたのですが、今年2021年3月には+7.6%、4月は+72.9%、そして、直近で統計が利用可能な5月には何と+238.8%と跳ね上がっています。もちろん、昨年2020年5月が我が国のみならず世界的にも景気の底で、例えば、日経新聞の記事を見ると、2020年5月限月のWTI先物がマイナスを記録したと報じられたのが2020年4月下旬でしたから、まさにリバウンドの効果が大きいといえます。ですから、PPIの品目別の指数で見ても、原油価格指数は2021年5月に109.1と、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック初期の2020年1-2月の117.3にも達していないわけですが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ショックで低迷していた資源価格が元に戻りつつあると考えるべきであり、大きなコスト圧力となるかどうかは、今後の価格動向次第であるように受け止めています。ただ、私は先行きの資源価格動向はまったくの専門外ですので、シンクタンクなどのリポートを参考にすると、5月14日付けのみずほ証券のリポートでは「原材料高によるインフレ懸念は秋口まで継続か」とのタイトルになっていますし、5月末の日本総研の「原油市場展望」では「60ドル台の現行水準で推移する見通し」と結論しています。いずれにせよ、内需などの需要サイドからの物価押上げではなく、資源価格によるコストプッシュの色彩が強いものの、まあ、それはそれで、デフレ脱却に寄与するのであれば、決して悪い話ではない気がしないでもありません。相変わらず、日本の物価は金融政策よりも資源価格によって変動するようです。

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2021年6月 9日 (水)

中盤に猛虎打線が爆発して日本ハムに大勝!!!

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  RHE
阪  神010440100 10120
日本ハム100011000 372

中盤から、猛虎打線が爆発して日本ハムに大勝でした。
先発秋山投手は6回途中まで投げ3失点した後、後を託された及川投手が6-7回を無難に抑え、8回は齋藤投手、9回はエドワーズ投手とともにゼロに抑えました。打線は中盤4-5回にともに4得点で試合を決めました。昨夜と打って変わって、クリンナップ3人が3人とも2安打、6番に回ったサンズ選手が3安打4打点でヒーローインタビューでした。阪神ファン唯一の心残りは、育成からファーム、二軍から一軍に上がって、今夜の試合でスタメンに名を連ねた小野寺選手がノーヒットに終わったことではないでしょうか。

明日は3タテ目指して、
がんばれタイガース!

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大学教育で対面授業なしは義務不履行か?

我が家で購読している朝日新聞の記事ですが、今朝の朝刊で対面授業なしは義務不履行として学生が大学を提訴しているとのニュースを見ました。朝日新聞のサイトから記事の最初のパラだけを引用すると以下の通りです。

対面授業なしは「義務不履行」 学生が明星大を提訴へ
コロナ禍を理由に対面授業をやらないのは、大学として義務を果たしていない - 。そう訴える男子学生(19)が、学費の半額分の返還などを大学側に求める訴訟を東京地裁に近く起こす。学生は「オンライン授業を安易に続ける大学に不安や疑問を感じる学生は多い。誰かが声をあげないといけない」と話している。

何度かこのブログで示唆したように、私自身はオンライン授業はやりたくないと考えています。オンライン授業では、デジタル経済化の下で、Rosen (1981) "The Economics of Superstars" Ametican Economic Review 71(5) で示されているように、勝者総取りのスーパースター経済学が支配的となるわけですから、例えば、YouTube で自由に大学の授業を選ぶようなシステムが出来上がれば、私の授業なんぞは選んでくれる学生はとても少ないでしょう。すなわち、ブランド大学の有名教授の授業が大きな支持を集める一方で、私のような教員の授業はほとんど無視されそうな気もします。ですから、私としては対面授業を志向して、学生の顔色を見て鼻息をうかがい、質問や発言に耳を傾け、きめ細かでインタラクティブな授業を展開しないことには、私ごときの授業で学生の支持を集められるとは思っていません。他方で、同僚教員の中では対面授業ではなくオンライン授業を志向する意見が多いような気もしています。それだけ、ご自分と学生の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)への感染リスクを私よりも大きく見積もっているのか、スーパースター経済学が成り立っても生き残る自信が強いのか、あるいは、別の要因があるのか、私にはよく理解できませんが、大学によっても違うのだろうという気がします。
さて、話を戻すと、オンライン授業ばっかりの大学を提訴するという動きは、日本ではかなりめずらしいのですが、米国ではそうめずらしくもないような記事が昨年7月の段階で「ニューズウィーク日本版」で報じられています。タイトルだけ紹介すると、「学生が大学を訴える - 質落ちたオンライン授業に『学費返せ』」となっています。また、朝日新聞の記事をキャリーした Yahoo! ニュースのコメント欄を見た私の印象だけながら、オンライン授業を支持するコメントはあまりなく、逆に、対面授業支持の根拠として、①人脈形成、②学生が受ける恩恵、また、長くなりますが、③マスクを徹底するのもソーシャルディスタンスを取るのも難しい保育園児や幼稚園児は通えていて、分別のわかる大学生は安全のためにオンライン授業のみ、というのが一貫性がない、といった見方が示されているような気がします。また、別の観点ながら、授業料免除については、少なくとも施設が利用できないのであれば施設費は返却されるべき、という意見は合理性ありと私は考えました。というのは、私は今の大学に室内プールがあるのも福利厚生上でひとつの魅力、と考えていたのですが、1年余りに渡ってまったく利用できていません。最後に、オンライン授業からの恩恵という点に関しては、大学教育としては未確認ながら、経済産業研究所による分析「新型コロナと在宅勤務の生産性: 企業サーベイに基づく概観」では、在宅勤務はオフィスでのお仕事に比べて⅔くらいの生産性だと結論されていて、オンライン授業についても、「恩恵」かどうかはともかく、習熟度や到達度などはそれくらいではないかと私は想像しています。この観点からも、私自身は対面授業を志向しています。オンライン授業を志向する同僚教員からは「ヤな奴」と思われているのかもしれません。

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日本と世界のワクチン接種はどこまで進んだか?

先週金曜日の6月4日に取り上げた「OECD経済見通し」でも、経済回復はワクチン接種や財政支援にかかっている旨を明らかにしましたし、昨日、GDP統計が公表された際にも、私の考える今後の経済回復のカギは、ワクチン接種である旨を明確にしたのですが、それでは、現状でどれだけワクチン接種が進んでいるかを Our World in Data の Coronavirus (COVID-19) Vaccinations のサイトで確認したいと思います。端的にいって、以下のグラフの通りです。

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いずれも Share of people who received at least one dose of COVID-19 vaccine をプロットしており、上のグラフはおおむね6月6日現在の少なくとも1回のワクチン接種を受けた人口の比率、下のグラフは昨年2020年12月2日から今年2021年6月6日までのその比率推移、となっています。見れば明らかなのですが、我が日本ではようやく10%に達したところで、世界に占めるポジションはアジア平均をわずかに上回っているものの、世界平均には届いていません。カナダ、英国、米国、ドイツ、イタリア、フランスなどでは40%に達していて、こいういった先進各国から大きく遅れを取っており、新興国のブラジル、インドなどと比べても下回っています。
ということで、アスリートの方々には申し訳ないながら、私は従来から東京オリンピック・パラリンピックの開催には反対なのですが、現在の菅内閣では開催に疑問を投じている尾見茂先生が会長を務める新型コロナウイルス感染症対策分科会には開催の是非を諮問しないという頑なな態度をとっています。その昔、私が長崎大学に勤務していたころ、当時の学部長が健康診断を受けない主義を貫いており、どうしてかと問うと、健康診断を受けるときっとよくない結果が出るに決まっていて、最悪の場合、職を失う可能性もなきにしもあらず、といった趣旨の回答を聞いた記憶があります。まったく、ご同様なのだろうと私は想像しています。事実を直視せず、専門家の判断を回避するのは、とてもよくないとは思いつつも、一地方大学の経済学部長であれば、まあ、大きな影響が出ない可能性があるとはいえ、内閣あるいは内閣総理大臣の判断としてもしも現実を直視できないというのは、何とも情けない限りです。

例えば、今週の The Economist のコラムの Banyan では、日本のワクチン接種は "snail-slow" だとか、オリンピックが "a massive superspreader event" となりかねないリスクを指摘しつつ、それでも、主としてナショナリスト的な観点から日本がオリンピック・パラリンピックの開催を強行するだろうという論調となっています。願わくは、理性的かつ科学的な判断ができる国であってほしいと思います。

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2021年6月 8日 (火)

代打の切り札原口選手の決勝ツーベースで日本ハムに先勝!!!

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  RHE
阪  神200000001 340
日本ハム001001000 292

札幌に行くこともできず、今日もテレビ観戦でした。何とか終盤9回に、代打原口選手の決勝ツーベースで日本ハムに先勝でした。
先発西投手は6回途中まで投げ、岩貞投手に後を託しましたが、結局同点に追いつかれて、またまた勝ち星から遠ざかります。しかし、7回は藤浪投手、8回は馬場投手とつないで、最終回9回に勝ち越して、最後はスアレス投手で逃げ切りました。1回のノーアウト満塁で相手ミスからもらった2点だけでは勝てません。クリンナップ3人がノーヒットではねえ...

明日は、
がんばれタイガース!

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1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEから上方改定されるも4-6月期もマイナス成長か?

本日、内閣府から今年2021年1~3月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲1.0%、年率では▲3.9%と、1次QEから上方修正されたものの、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の緊急事態宣言の影響で大きなマイナスとなっています。ワクチン接種も含めて、先行きはまだ不透明感が残ります。まず、日経新聞のサイトから長い記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期の実質GDP改定値、年率3.9%減 速報値から上振れ
内閣府が8日発表した2021年1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.0%減、年率換算では3.9%減だった。3四半期ぶりに減少した。速報値(前期比1.3%減、年率5.1%減)から上方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比1.2%減、年率4.8%減と、速報値からやや上振れするとみられていた。
需要項目別にみると、個人消費は前期比1.5%減(同1.4%減)、住宅投資は1.2%増(同1.1%増)、設備投資は1.2%減(同1.4%減)、公共投資は0.5%減(同1.1%減)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.8%(同マイナス1.1%)、外需がマイナス0.2%(同マイナス0.2%)となった。
生活実感に近い名目GDPは前期比1.3%減(速報値は1.6%減)、年率は5.1%減(同6.3%減)だった。
同時に発表された2020年度の実質GDPは、前年度比4.6%減(同4.6%減)だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2020/1-32020/4-62020/7-92020/10-122021/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)▲0.5▲8.1+5.3+2.8▲1.3▲1.0
民間消費▲0.3▲7.2+2.6+1.8▲0.9▲0.7
民間住宅▲3.7+0.6▲5.7+0.0+1.1+1.2
民間設備+1.3▲6.1▲2.1+4.3▲1.4▲1.2
民間在庫 *(+0.2)(+0.1)(▲0.2)(▲0.5)(+0.3)(+0.4)
公的需要▲0.0+0.5+2.5+1.7▲1.6▲1.0
内需寄与度 *(▲0.2)(▲5.2)(+2.6)(+1.8)(▲1.1)(▲0.8)
外需寄与度 *(▲0.3)(▲2.8)(+2.6)(+1.0)(▲0.2)(▲0.2)
輸出▲4.7▲17.5+7.3+11.7+2.3+2.2
輸入▲3.0▲0.7▲8.2+4.8+4.0+3.9
国内総所得 (GDI)▲0.5▲7.1+5.3+2.8▲2.1▲1.8
国民総所得 (GNI)▲0.3▲7.2+5.1+3.2▲2.0▲1.7
名目GDP▲0.6▲7.8+5.6+2.4▲0.7▲0.4
雇用者報酬+0.2▲3.5+0.6+0.8+2.2+2.3
GDPデフレータ+1.0+1.4+1.2+0.2▲0.2▲0.1
内需デフレータ+0.8▲0.1+0.2▲0.6▲0.5▲0.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された今年2021年1~3月期の最新データでは、前期比成長率がマイナス成長を示し、GDPのコンポーネントのうち灰色の在庫以外がすべてマイナス寄与を示しており、特に、赤の消費のマイナス寄与が大きくなっています。

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先週火曜日のこの私のブログでも1次QE予想を取り上げましたが、小幅な上方改定を予想するシンクタンクが多かったように記憶しています。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは年率で▲4.8%のマイナス成長でしたから、大きなサプライズはないとはいえ、やや上振れした印象を持つエコノミストも少なくない気がします。需要項目別に見ても、住宅投資を別にすれば消費も設備投資も輸出も、内需も外需も、ほぼすべての需要項目がマイナス寄与しています。在庫がプラス寄与しているのは、売れ残りが出たからであって、後ろ向きの在庫の積み上がりと考えるべきです。加えて、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大やワクチン接種の状況から見て先行きも不透明です。すなわち、ニッセイ基礎研では4~6月期には前期比年率+1.1%のプラス成長を予測する一方で、第一生命経済研は「4-6月期の景気も停滞感が強い状況が続くことが予想される」と指摘していますし、みずほリサーチ&テクノロジーズは「2期連続のマイナス成長になる可能性が高い」と評価し、大和総研は6月末までの緊急事態宣言延長を想定しつつ、「前期比年率▲1.9%と2四半期連続のマイナス成長を見込んでいる」と具体的な数字を上げて予想していたりします。私も基本的に4~6月期もマイナス成長であろうと見込んでいますが、先行き経済動向が極めて不透明であることはいうまでもありません。

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GDP統計のほか、本日、内閣府から5月の景気ウォッチャーが、また、財務省から4月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月からさらに▲1.0ポイント低下の38.1となり、逆に、先行き判断DIは+5.9ポイント上昇の47.6を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列で+1兆3218億円の黒字を計上しています。いつものグラフだけ、上の通り示しておきます。上のパネルの景気ウォッチャーのグラフでは、現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。下の経常収支のグラフでは、青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。いずれも季節調整済みの系列をプロットしています。

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2021年6月 7日 (月)

「改善」続く4月の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から4月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+0.6ポイント上昇して103.0を示し、CI一致指数も前月から2.6ポイント上昇して95.5を記録しています。統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

4月の景気一致指数、2.6ポイント上昇 基調判断は据え置き
内閣府が7日発表した4月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.6ポイント上昇の95.5となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.6ポイント上昇だった。数カ月後の景気を示す先行指数は0.6ポイント上昇の103.0だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。

短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

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ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、先月基調判断を「改善」に上方改定して今月も据え置きとしています。基準として上げられているのは、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラスですから、これを満たしたことになります。もちろん、シンクタンクの2次QE予想を先週のブログで取り上げましたが、足元の4~6月期のGDPもマイナス成長と見込むエコノミストも少なくないわけで、やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。まあ、判断基準がとても透明性高いので仕方ありません。
4月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)、生産指数(鉱工業)などのプラス寄与が大きくなっています。ただし、4月については、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言が4月25日からという遅い時期でしたので、5月については引き続き「拡大」の基調判断が続くかどうかは不透明です。特に、景気動向指数と連動性の高い鉱工業生産指数(IIP)の製造工業生産予測指数は5月にはマイナスを示していますし、場合によっては、基調判断の「拡大」は2か月で終わってしまう可能性すらあると私は考えています。

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2021年6月 6日 (日)

王者ソフトバンクにまったく歯が立たず実力の差を見せつけられて大敗!!!

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  RHE
ソフトB300110030 880
阪  神000000021 383

昨日は午後から野暮用で見逃しましたが、今日はしっかりテレビ観戦でした。でも、王者ソフトバンクにまったく歯が立たず、実力の差を見せつけられて大敗でした。
先発はガンケル投手から西純矢投手に差し替えられ、初回3失点のスタートとなります。そのまま8回まで8-0で一方的な劣勢に立たされます。しかし、8回のマルテ選手のツーラン、9回の佐藤輝明選手のソロとホームランが出て、最終回に一瞬盛り上がりを見せましたが、それだけでした。ソフトバンクの8安打に対して、阪神は9安打だったんですが、3失策が効いたのかもしれません。オセロ状態もデーゲームの連勝も、すべてソフトバンクに止められてしまいました。

次の日本ハム戦は、
がんばれタイガース!

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2021年6月 5日 (土)

今週の読書はやや主流派を外れた経済書など計4冊!!!

今週の読書は、経済書が2冊と私の好きな時代小説、さらに、大ハズレの新書を1冊の計4冊です。なお、4冊のうち、時代小説の『高瀬庄左衛門御留書』は今朝の朝日新聞朝刊の書評欄で取り上げられていました。先週は財政均衡学派の主流派ど真ん中の経済書を読みましたが、今週は、かなり主流派から外れて、ノーベル賞エコノミストのセン教授を政治理論から解明しようと試みた思想書に加えて、まったく非主流派そのもののレギュラシオン学派の経済書を読みました。リフレ派のエコノミストの新書も読みましたが、やや品のない内容でガッカリさせられました。今年に入ってからの書読書は、ブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~5月で36冊、6月には入ってから今日取り上げる4冊の計96冊になります。今年上半期で100冊に達するんではないかと思います。ですから、Facebookなどでシェアしている旧刊書を除いた新刊書だけで年200冊ペースと予想、目標ではなく、あくまで予想していますが、そのラインに乗っている気がします。強くします。

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まず、ローレンス・ハミルトン『アマルティア・センの思想』(みすず書房) です。著者は、南アフリカにあるウィットワーテルスランド大学の研究者であり、専門は政治理論です。英語の原題は Amartya Sen であり、2019年の出版です。本書はほぼ学術書のレベルに達していると考えるべきです。ですから、一般のビジネスパーソン向けかどうかは議論の余地があります。十分な覚悟を持って読み始めることを私はオススメします。ということで、本書の対象となっているセン教授はノーベル経済学賞を受賞したインド出身のエコノミストですが、本書ではいくつかの視点、すなわち、章別に選択、ケイパビリティ、自由、正義、デモクラシーの観点から政治理論としてその思想が分析の俎上に上っています。ですから、開発、基金、ジェンダーといったセン教授特有の話題は個別の章として扱われるのではなく、各章のテーマに横断的な要素として取り込まれてしまっています。私も経済学を専門とする身で、開発にはそれなりの見方を持っていますので、やや残念ではあります。もちろん、経済学の観点からも政治理論の観点からも、セン教授のケイパビリティ理論は最重要な構成要素であることに変わりはありません。ただ、飢饉の問題については、もう少し重点を置いて欲しかった気がします。というのは、昨年からの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ショックで、去年の今ごろ、知り合いのエコノミストから提言取りまとめの参考にするといわれて素案を見せてもらったところ、食料生産の不足についての項目が入っていて、私は少しびっくりした経験があるからです。セン教授は飢饉について、食料不足の観点からではなく、本書の序章にもある通り、食料(入手あるいはアクセス)への権原=エンタイトルメントの不足、と捉えており、食糧生産不足がCOVID-19で生じる恐れはヤメにしておいた方がよく、せいぜいはフードロスの削減強化の方がいいんじゃない、と回答した記憶があります。加えて、自由についてはアクティブな正義の危険性とパッシブな正義については、まだしも私の理解の範囲でしたが、正義の問題をセン教授のコンテクストで考えると、どうしてもエコノミスト的には格差の是正に行き着きます。それは、セン教授の大きな枠組みの中では英国とインドの格差というものを想像させるからです。それをケイパビリティの観点から論じつのがセン教授の正義論だと私は考えていましたが、政治理論の専門家の分析によれば、実に広い正義があるものだと感心してしまいました。最後のデモクラシーにしても、本書でいうところのリアリストや、もっといえば、ラディカルなリアリストから見れば、セン教授のデモクラシーはやや理想主義的で実践力に欠ける、という見方も成り立つとはいえ、そういった純粋なデモクラシー、公共理性を表に立てる包容力の高いデモクラシーを、分断が進んだ現代の政治体制の中で実化することは、あながち、非現実的ともいえないように私は考えています。

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次に、ロベール・ボワイエ『パンデミックは資本主義をどう変えるか』(藤原書店) です。著者は、フランスの米州研究所のエコノミストであり、何といっても、レギュラシオン学派のリーダー的な存在の研究者です。レギュラシオン学派は第2次世界対戦後の現代社会における成長様式の危機に関する分析を主たる目標としており、手法としてはマルクス主義的な考え方が援用されているように見受けられます。もっとも、私は専門外ですのでよく判りません。よく判らないながら、おそらく、レギュラシオン学派からすれば、1970年代の石油危機の時代、2010年前後のリーマン証券破綻に続く何年か、そして、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの時代は、とても資本主義の危機の代表ではなかろうか、と私には見えます。そして、このコロナ・ショックは、本書で明確に指摘されているように、新自由主義的な経済政策の基礎を崩壊させたと私ですら考えています。まず、本書の指摘でもっとも新鮮だったのは、衛生や医療をはじめとする社会保障セクターは、ネオリベ=新自由主義的な経済政策からすれば、お荷物のコスト・セクターであり、特段の稼ぎがなく、それ故に、縮小させるべき部門だという点が、改めて見直されつつあります。例えば、ネオリベな小池知事の下での東京都では、COVID-19パンデミック進行中の2020年4月1日から都立病院の独立行政法人化が図られています。コスト・セクター縮小の動きです。同じように大阪府政でも病院の病床削減が進められています。現在も東京都や近畿の京阪神では緊急事態宣言下にありますが、本来、緊急事態宣言とは医療逼迫を防止するための措置であり、医療逼迫を防止するためには、分子の感染者数を減らすか、分母の病床数を増やすか、なのですが、後者の病床数の増加はまったくアジェンダにはなく、もっぱら感染者数の減少を目標とした施策が継続されています。ネオリベな政策の典型といえます。私の目からは、とても不思議なことに、国民は唯々諾々と中央政府や地方政府のいいなりになって、病床数の削減を進める政府の方向性には何ら反対することなく、国民サイドの問題として感染者数の増加を「我慢」という名の下に押し付けられています。その上に、オリンピック・パラリンピックのために医療リソースを差し出して、国民の健康、ひいては国民の命を犠牲にする覚悟も満点なように見えてしまいます。ついつい脱線してしまいましたが、本書に戻ると、ほかに興味深かった点として、本書独自の観点ではなく、HECのシボニー教授の主張から引用して、国民の健康維持、経済的損失の最小化、市民的自由の尊重の3つはCOVID-19パンデミック防止の際には同時には成り立たないトリレンマであると指摘しています。最後に、新しい政治経済理論の誕生についても目を開かせるものがありました。すなわち、新大陸の発見により大量の銀が流入して価格革命が生じたことから貨幣数量説が生まれたとか、まだ記憶に新しい点では、1930年代の世界大不況に対応するためにケインズ的なマクロ経済学が生まれた、とかです。COVID-19パンデミックからはどういった新しい政治経済学が生み出されるのでしょうか?

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次に、砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』(講談社) です。著者は、時代小説の新たな旗手と期待される新鋭作家です。朝日新聞の書評では、本書が2冊めであり、評者の江上剛氏は葉室麟の系譜であると示唆しています。私は初めて読みましたが、朝日新聞の書評のように、人によっては藤沢周平や葉室麟の系譜と位置づける場合もあったりするようです。ということで、主人公は郡方のしがない下級武士なんですが、50歳前後で妻に先立たれ、しかも、郡方のお役目を継いだ倅も在所回りの途次に事故で亡くしてしまいます。まあ、この倅というのが極めて優秀で、藩校での成績が優秀だったのですが、考試で次席に終わって止むなく郡方を継いでいて、倅とその妻は折り合いが悪く、倅の死後は旧家に戻されます。それでも、この義理の娘が主人公のところに絵を習いに来たりする仲です。といったように、波乱はありながらも静かに物語は進むのですが、何とも文体や表現が、いかにも時代小説っぽくですばらしいです。もちろん、私の好みなのですが、藤沢周平や葉室麟の後継者と評されるのも理解できます。作家から小説に話を戻すと、本書は2部構成になっており、わりと単純に1年目と2年目です。1年目で、ひょんなことから主人公の倅を上回って考試で主席となった英才と主人公が親しくなります。この主席は藩校の助教に任じられ、江戸遊学から帰国した際に主人公と関わりを持つことになり、在所にいっしょに出かけたりします。2年目に入ってから、その在所の動きが不穏なものとなり始め、一揆とか強訴ということです。そして、主人公は強訴に巻き込まれて、藩校の助教とともに虜になってしまいます。この強訴に黒幕、というか、先導者に主人公が疑われ、詮議の場で鮮やかな謎解きを繰り広げるのが助教の腹違いの兄の目付です。推理小説でいえば名探偵と行った役どころです。そして、もちろん、最後は円満に大団円を迎えます。私の好きな典型的な時代小説というのは、江戸時代を舞台として、世襲で安泰な藩主を取り巻く家臣団が内部抗争に明け暮れ、決して身分は高くないものの武士の表芸である剣術にすぐれた製品な武士が活躍し、当然、勧善懲悪で円満なハッピーエンドで終わる、というものです。この作品の主人公も若いころは剣術の腕でならしていたようで、数少ないながら真剣で命をやり取りする場面もあります。文体や表現力、漢字の使い方はもとより、いろんな広い意味で私の好きな時代小説の要素を満たしているように感じて、とても幸福な読書でした。

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最後に、田中秀臣『脱GHQ史観の経済学』(PHP新書) です。著者は、上武大学の研究者であり、日本経済思想史を専門としているようです。ご著者自身がツイッターで宣伝をしていたので、反緊縮経済学の一種であろうと考えて読んでみましたが、やや失敗でした。緊縮財政がGHQ由来であると主張し、著者ご本人はそれなりに論証しているつもりなのかもしれませんが、やや貧相な立論と判断せざるを得ません。加えて、反緊縮はいいとしても、根拠のない反共主義としか考えられないような部分も散見します。私は基本的に反緊縮なので、その部分はOKですが、思想史がご専門であれば、GHQの占領が終了したにもかかわらず、その後70年を経てなお緊縮的な財政政策、例えば、財政均衡が目指されているのか、についてのもっと踏み込んだ分析は欲しかった気がします。さらに、現在の財政運営は、というか、主としてコロナ前と考えてもいいのですが、大赤字を出している日本の財政運営は、どの観点から見て、緊縮なのか、あるいは、緊縮ではないのか、の分析ももう少していねいにしてほしい気もします。例えば、現代貨幣理論(MMT)ではインフレを指標に財政運営を判断しているようですから、まったく物価目標が達成できない現状の財政運営はデフレ的である、と判断することも可能です。というか、私なんぞは少なくともMMTのこの見方には賛成します。そして、歴史を見る上で、どうしてGHQ的な緊縮財政が続いているのかの方がより大きなパズルといえます。別の表現をすれば、確かに戦後財政はインフレ抑制の観点から均衡予算が志向されていたわけですが、デフレの状況下でもなお緊縮財政が志向されかねないのは、GHQのご威光ではなく別の観点からの要請があったのではないか、とうがかわせるに十分なものがありますが、その分析は一向になされていません。踏み込み不足とする大きな理由のひとつです。もっといえば、「GHQ由来の緊縮政策」と断じて思考停止しているようにすら見えます。さらに、別の観点から、実に適当な論証で反共主義を取り入れています。学術会議の任命拒否と従軍慰安婦の問題がそうです。学術会議については、学術会議の活動の機会費用の低さから、日本共産党やその影響下の組織の構成員が学術会議を支配するようになったと、かなり、無批判に著者ご自分の見方を披露しています。どこまでが事実なのかの検証のしようもありません。従軍慰安婦については、著者ご自身が設定した「性奴隷」であるかどうかの論証に力が注がれており、「性奴隷ではない」という結論を導いて、そこで思考停止しています。科学的な議論よりも、政府幹部によるいわゆる「ご飯論法」に近い印象すらあります。私は、従軍慰安婦が性奴隷であるかどうかよりも、もっと重要な論点があるように思えて仕方ないので大きな疑問が残りました。本書をステップに別の研究を進める意向があとがきで明らかにされていますが、私はもう読まないと思います。私から見てよく似たリフレ理論のエコノミストで、今は日銀政策委員をしている野口旭先生と本書の著者の違いがよく理解できた気がします。その点は収穫でした。

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2021年6月 4日 (金)

米国雇用統計に見る5月の雇用増はやや物足りないか?

日本時間の今夜、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は+559千人増と順調に増加し、景気回復を裏付けています。失業率は前月の6.1%から5月には5.8%に低下しています。まず、長くなりますが、Wall Street Journal のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の4パラだけ引用すると以下の通りです。

U.S. Employers Added 559,000 Jobs in May
U.S. employers added 559,000 jobs in May and the unemployment rate fell to 5.8%, in a pickup of the labor market’s recovery from the pandemic amid signs that businesses struggled to fill job openings.
Last month’s gain represented an improvement from April, when the unemployment rate was 6.1% and the economy added a revised 278,000 jobs, a gain much smaller than economists had forecast.
Economists had expected 671,000 jobs added and a 5.9% unemployment rate in May.
Job gains in May were led by leisure and hospitality, which added 292,000 jobs, education, and healthcare, the Labor Department said.

コンパクトによく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは昨年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、2020年4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

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引用した記事にもある通り、市場の事前コンセンサスは+670千人増くらいでしたし、実績の+559千人増はこれを下回りましたが、少なくとも大きくブレーキがかかった4月の+278千人増からは倍増でしたし、失業率も低下したことから、NY市場は好感して株価は上げています。産業別に少し詳しく見ると、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種が進み、コロナ禍でロックダウンされていたころから様変わりで、Leisure and hospitality 部門が+292千人増と民間雇用増の+489千人増の過半を占めており、雇用増を牽引しています。Health care and social assistance も引き続き+45.8千人増と堅調です。もっとも、COVID-19パンデミック前と比較すると、まだ▲7百万人も雇用者のレベルは減じており、毎月+500千人の雇用増があったとしても1年超の期間を要するわけですし、労働需要は景気の回復とともに盛り上がりを見せている一方で、労働供給の方の出足が鈍いように見受けられます。いわば、雇用のミスマッチが生じていて、この労働供給不足が物足りない雇用増の一因となっています。すなわち、報じられているところを私なりに取りまとめると、第1に、対人接触の多い飲食業などの求人に対して、ワクチン接種が進んだとはいえ、まだ、感染リスクに対する警戒感が強く残っており、加えて、第2に、失業給付の上乗せなどの所得補償が手厚いため、求職に応じるインセンティブが低下している、ということのようです。私はコロナ禍における米国の手厚い給付を、我が日本も見習うべきと考えていましたが、第2の点に関しては、何とも悩ましいところかもしれません。でも、手厚い給付で消費が盛り上がれば、賃金上昇に伴って労働供給も増加するものと私は期待しています。

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先発青柳投手のナイス・ピッチングでソフトバンクに完勝!!!

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  RHE
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阪  神22001010x 6101

今夜は、先発青柳当初のナイス・ピッチングでソフトバンクに完勝でした。
何といっても、青柳投手につきます。8回に失点して最終回こそ藤浪投手にマウンドを譲りましたが、堂々のピッチングでした。打線も序盤から先制し、4番大山キャプテンや6番佐藤選手のバットが振れており、中盤・終盤と効果的に加点しています。

連勝目指して明日のデーゲームも、
がんばれタイガース!

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「OECD経済見通し」の日本の成長率はホントに上方改定されたのか?

5月31日に経済協力開発機構(OECD)から「OECD経済見通し」 OECD Economic Outlook, Volume 2021, Issue 1 が公表されています。まず、プレス向けのプレゼンテーションからOverviewを引用すると以下の通りです。

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4点上げられており、見ての通りなんですが、おそらく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの最悪期はすでに過ぎており、将来見通しはリバウンドもあって明るくなっていますが、跛行性や格差が大きく、経済回復はワクチン接種のスピードにかかっている、というのは、OECDの従来からの考えと同じだと思います。

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続いて、OECDのサイトから成長率の見通し総括表を引用すると上の通りです。各年の成長率見通しの数字の右側にある矢印は前回2020年12月の見通しからの改定の方向なのですが、大いに注意して見る必要があります。というのは、昨年2020年12月の見通しの後に今年2021年3月9日に「OECD経済見通し中間報告」OECD Interim Economic Outlook が公表されており、このリポートでは日本の成長率は今年2021年+2.7%、来年2022年+1.8%とされており、少なくとも上の表にある今年2021年の+2.6%成長というのは、昨年2020年12月ではなく、直近の見通しから見れば▲0.1%ポイントの下方修正という点です。私の見た範囲でも、日経新聞の記事では、この点は正確に報じられています。引用すると、「日本の予測は前回から0.1ポイント下方修正し、2.6%にとどまった。輸出の回復は続くものの、ワクチン接種の遅れや潜在的な成長率の低さが響いている。」ということになります。従って、日本についてのカントリーノートでは、以下のように指摘されています。

Japan
In April, quasi-emergency measures were introduced to allow governors to order restaurants and bars to shorten their opening hours (with penalties and compensation) in affected cities. However, these measures appear to have been insufficient to stop the spread of new variants. Hospital capacity to deal with COVID-19 infections is limited - especially in Tokyo and Osaka currently - implying that stronger measures are required to bring infections under control. The vaccination campaign only started in mid-February and has made slow progress compared with other OECD countries

要するに、緊急事態宣言によって自治体から飲食店への時短営業要請を可能になったが、これらの対策は新たな変異株の感染拡大防止には不十分であり、特に、東京や大阪ではより強力な措置が必要で、ワクチン接種についても2月中旬にようやく開始されたが、他のOECD加盟国に遅れている、ということになります。緊急事態宣言による感染拡大への効果については、何ともいえないと私は考えていますが、客観的な指標から見て、日本がワクチン接種で他のOECD加盟国に遅れている、というか、大きく遅れている、というのは事実だろうと考えています。何度も繰り返しましたが、経済回復はワクチン接種にかかっており、日本政府の対応はまったく不十分です。

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2021年6月 3日 (木)

やっぱり岩崎投手が被弾してオリックスに逆転負け!!!

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  RHE
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阪  神210000000 370

今夜は、セットアッパーの岩崎投手が8回に被弾して万事休すでした。
先発アルカンタラ投手は相変わらず、というか、よくも悪くも安定したピッチングでした。すなわち、ピシャリとゼロに抑えるわけではないものの、2-3点の失点で大量点を与えずに中盤過ぎまで続投します。しかし、あとを受けた岩崎投手がまたまた被弾して失点し、3回以降はまったく得点できない打線も問題ありながら、終盤に勝ちパターンのリリーフ陣が失点すれば負け試合です。しかし、繰り返しになりますが、中盤以降まったく得点できない打線にも責任があります。

明日は雨かもしれませんが、
がんばれタイガース!

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1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEから小幅な上昇修正か?

必要な統計がほぼ出そろって、来週火曜日の6月8日に1~3月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。東京都と関西圏の京阪神などの緊急事態宣言の影響が気にかかるところですが、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。緊急事態宣言が出たり解除されたり、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の動向は、ワクチン接種の行方とともに、極めて不透明となっており、そういった影響も気にかかるところです。しかしながら、伝統的に2次QEは法人企業統計のオマケで予想されることも少なくなく、ほとんどのシンクタンクで先行きについては取り上げていません。先行きについて言及があるのは、みずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研の2機関だけでした。特に前者のみずほリサーチ&テクノロジーズについてはくわしく引用しています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+3.0%
(+12.7%)
n.a.
日本総研▲1.2%
(▲4.5%)
今般の法人企業統計などを織り込んで改定される1~3月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資や公共投資の減少幅が縮小する見込み。
大和総研▲1.2%
(▲4.6%)
2次速報では、年初に発出された緊急事態宣言の影響によって個人消費を中心に内需が落ち込んだ姿が改めて示されるだろう。
みずほリサーチ&テクノロジーズ▲0.9%
(▲3.6%)
さらに、4~6月期は2期連続のマイナス成長になる可能性が高い。
4月以降、感染力が強い変異株の感染拡大を背景として、近畿・関東を中心に感染が急拡大するなど、第2次緊急事態宣言が3月21日に首都圏で解除されてからわずか1カ月で日本は感染拡大の第4波に入ってしまった。
こうした中、政府は4月25日に東京、京都、大阪、兵庫の4都府県を対象として第3次緊急事態宣言を発令したものの、感染拡大の十分な抑制には至らず、当初は5月11日までとされていた発令期間は5月末まで延長された。対象地域も5月12日から愛知・福岡、5月16日から北海道・岡山・広島、5月23日から沖縄が追加され、全10都道府県(全国に占めるGDPシェアは約5割)まで拡大した。
今回の第3次緊急事態宣言では、飲食店への休業要請(酒類・カラオケを提供する飲食店が対象)に初めて踏み切ったほか、酒類を提供しない飲食店に対しても夜20時までの営業時間短縮要請が実施された。第2次緊急事態宣言で見送られた商業・娯楽施設に対する休業要請も盛り込まれた。5月12日以降の緊急事態宣言延長に伴い、商業施設の休業要請は時短要請に緩和されたが、東京、大阪は独自に商業施設の休業要請を継続している状況だ。
このように、休業要請の範囲という点では第2次緊急事態宣言よりも厳しい内容となったものの、感染者数の十分な減少には至らず、病床使用率が高止まるなど医療体制もひっ迫した状況が続いた。それを受けて、政府は、緊急事態宣言の発令期間を6月20日まで再延長することを余儀なくされた。
こうした状況を踏まえると、4~6月期の個人消費は、1~3月期から一段と落ち込む公算が大きい。みずほリサーチ&テクノロジーズは、6月下旬までの緊急事態宣言の延長を想定した上で、今回の第3次緊急事態宣言の発令により4~6月期のGDPが0.5%程度押し下げられると試算している。
さらに、世界的な車載向け半導体の供給不足や、国内半導体工場の火災を受けた自動車の減産が下押し要因となる。影響の大きさは(完成車メーカーの半導体在庫保有量などに依存するため)不透明な面が強いが、自動車の輸出・国内販売が減少することで、4~6月期の日本経済は大幅に下押しされる公算が大きい。みずほリサーチ&テクノロジーズは、国内生産が50万台超減少すると想定し、他産業への波及効果も踏まえ、4~6月期のGDPを1.5%程度押し下げると試算している。
ニッセイ基礎研▲1.2%
(▲4.8%)
6/8 公表予定の21年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲1.2%(前期比年率▲4.8%)となり、1 次速報の前期比▲1.3%(前期比年率▲5.1%)から若干上方修正されると予想する。
第一生命経済研▲1.2%
(▲4.7%)
4-6月期についても、感染者数の再拡大と3度目の緊急事態宣言発令・延長を受け、サービス消費を中心として個人消費は一段の悪化が予想される。輸出が好調に推移していることや設備投資の増加が見込まれることといった要因が下支えになることから、2四半期連続のマイナス成長は回避されるとみるが、消費の落ち込みが響く形で4-6月期の景気も停滞感が強い状況が続くことが予想される。
伊藤忠総研▲1.5%
(▲6.0%)
2021年1▲3月期GDP2次速報は、1次速報値の前期比▲1.3%(年率▲5.1%)から▲1.5%(年率▲6.0%)へ下方修正される見通し。2度目の緊急事態宣言に至ったコロナ感染第3波により、年明け後は内需が冷え込み景気が停滞した、という評価は変わらず。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲1.3%
(▲5.0%)
6月8日に内閣府から公表される2021年1▲3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-1.3%と1次速報値と同じ伸び率になる見込みである(年率換算では-5.1%から-5.0%に若干の上方修正)。
三菱総研▲1.2%
(▲4.9%)
2021年1-3月期の実質GDP成長率は、季調済前期比▲1.2%(年率▲4.9%)と、1次速報値(同▲1.3%(年率▲5.1%))から小幅上方修正を予測する。

伊藤忠総研を除いて、1次QEから小幅な上方改定がほぼほぼ主流のように見えます。私もそう考えます。見方が分かれるのは、足元の4~6月期の予想であり、私は連続してマイナス成長と見ていますが、プラスに回帰するとの予想もいくつかあるように受け止めています。ビミョーなところかもしれません。経済予測というよりも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大やワクチン接種の進展に関する予測の方が重要な要因ではなかろうかという気がします。もはや、エコノミストの出る幕ではないのかもしれません。いずれにせよ、1~3月期2次QEについては多くのエコノミストの意見が一致しているように思えます。
下のグラフはみずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。

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2021年6月 2日 (水)

勝ちパターンのリリーフ投手が北條選手の虎の子の2点を守り切る!!!

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  RHE
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阪  神00101000x 271

今夜は、勝ちパターンのリリーフ陣が逃げ切ってオリックスに競り勝ちました。
先発秋山投手は相変わらず安定したピッチングながら打線に得点力なく、6回途中から早めの継投に入ります。オリックス打線の中軸とのめぐり合わせもあって、馬場投手はまだ安定感に欠けるものの、こんなモンなんでしょうね。セットアッパーの岩崎投手とクローザーのスアレス投手はピシャリと抑え込みました。打線は何といっても、ファームから上がったばかりでスタメン出場し、2打点を稼ぎ出した北條選手が注目です。クリンナップに当たりが出ずに苦しい試合運びでしたが、先行逃げ切るが阪神の勝ちパターンです。悪くない展開だったと受け止めています。それにしても、交流戦に入ってから、勝ちと負けが交互に並ぶ不気味/不思議な星勘定だったりします。

明日も、
がんばれタイガース!

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世界経済フォーラムの Chief Economist Outlook やいかに?

昨日6月1日に、ダボス会議を主催することで有名な世界経済フォーラムから Chief Economist Outlook と第するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。我が国でいえば、日本経済研究センターが実施している「ESPフォーキャスト調査」のようなもので、いくつかのシンクタンクや国際機関などを代表するチーフエコノミストの予想を取りまとめています。冒頭に、"This quarterly briefing builds on the latest policy research as well as consultations and surveys with leading chief economists from both the public and private sectors" とあり、四半期ごとのサーベイのようなのですが、私は不勉強にして知りませんでした。簡単にリポート冒頭のグラフを引用しておきたいと思います。

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見れば判る通り、2つの質問に対するチーフエコノミストたちの回答の分布を示しています。質問は、2021年の世界経済の成長率見通し What is your global growth forecast for 2021? と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)前のGDP水準の回復の時期 When do you expect global GDP to return to its pre-COVID level? です。今年の世界経済の成長率は+5%台後半くらいで、コロナ前に戻るのは来年2022年上半期、まあ、常識的なセンですかね?

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2021年6月 1日 (火)

勝ちパターンのリリーフ投手が打たれれば負けます!!!

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  RHE
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阪  神000020000 262

同点で迎えた終盤8回に、勝ちパターンのリリーフ陣の岩崎投手と馬場投手が打ち込まれてオリックスに競り負けました。
先発西投手はこんなモンなんでしょうね。とっくにピークを過ぎたピッチャーですから、かつての井川投手のような信頼感はありません。でも、7回まで2失点ですから十分なQSといえます。その後をつないだ岩崎投手の乱調が目を覆うばかりです。少し調整期間が必要かもしれません。打線は、理由は不明ながら、ものすごく三振が多い気がします。27のアウトのうち13三振ですから、何とかならないものでしょうか?

明日は、
がんばれタイガース!

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設備投資の抑制が続く1-3月期の法人企業統計をどう見るか?

本日、財務省から1~3月期の法人企業統計が公表されています。法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は7四半期連続の減収で前年同期比▲3.0%減の334兆2549億円、経常利益は8四半期ぶりに増益となり+26.0%増の20兆746億円、設備投資は▲7.8%減の14兆4702億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比▲0.4%減の11兆4271億円となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1-3月期の設備投資、4四半期連続減 多くの業種で投資抑制続く
財務省が1日発表した2021年1~3月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比7.8%減の14兆4702億円だった。減少は4四半期連続。一方、全産業の経常利益は8四半期ぶりに増加に転じた。自動車含む輸送用機械など製造業の増益率は大きかったものの、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、多くの業種で投資抑制傾向が続いた。
設備投資の内訳を見ると、製造業は前年同期比6.4%減だった。輸送用機械は25.6%減で、財務体質強化のため投資を抑制する傾向があったという。電気機械も18.0%減だった。
非製造業は8.5%減と、20年10~12月期(2.6%減)から減少率が拡大した。需要の減少を背景に不動産業、運輸業、郵便業などが大幅に減少した。
全産業ベースの経常利益は26.0%増の20兆746億円と8四半期ぶりに増加した。そのうち製造業は10四半期ぶりに増加に転じた前回(21.9%増)をさらに上回る63.2%増と、大幅な増益となった。国内外で需要が好調だった輸送用機械、原油価格の上昇が追い風になった石油・石炭が寄与した。新型コロナの影響で需要が激減した前年同期が低水準だった反動も出た。
非製造業も10.9%の増益と5期ぶりに増益に転じた。純粋持ち株会社が分類されるサービス業が40.6%増と大幅な増益となっており、ソフトバンクグループ(9984)の寄与が大きいと見られる。純粋持ち株会社分を除くとサービス業は減益だった。
全産業の売上高は3.0%減の334兆2549億円と、7四半期連続で減少した。製造業は1.4%減、非製造業は3.6%減だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる金融業・保険業を含む全産業のソフトウエアを除く設備投資額は、前年同期と比べると9.3%減だった。20年10~12月期(5.9%減)から減少幅は広がった。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計した。今回の結果は内閣府が8日発表する21年1~3月期GDP改定値に反映される。

やたらと長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月ないし4~6月期を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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ということで、法人企業統計の結果を短く表現すると、企業活動や企業業績はかなりの程度に回復が見られる一方で、先行き不透明感から設備投資には慎重姿勢が続く、ということになろうかと思います。加えて、世界の景気回復の恩恵を受ける製造業と緊急事態宣言を受けた国内景気の停滞の影響が強い非製造業の違いが、昨年2020年101~2月期よりもさらに鮮明になった気がします。引用した記事の季節調整していない原系列の前年同期比の計数とはかなり印象が異なりますが、いずれも季節調整済みの系列やその前期比で見て、売上高は製造業が+3.4%増と3四半期連続の増収であったのに対して、非製造業は▲0.5%と減収でしたし、経常利益も製造業が+12.5%増の2ケタ増益を記録したのに対して、非製造業はわずかに+1.4%の増益にとどまっています。ただし、非製造業でも売上高が減収であるにもかかわらず増益であったのは、企業活動の回復を示唆していると私は受け止めています。特に、経常利益水準は1~3月期に18兆8771億円に達し、COVID-19パンデミック前の2019年10~12月期の18兆920億円を超えています。さらに、設備投資も製造業では前期から+0.5%増と1年半6四半期ぶりの増加を記録した一方で、非製造業は▲0.9%減となっています。もっとも、設備投資については製造業・非製造業ともに企業収益の回復と違って低迷が続いており、国内で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が一向に進まず、先行き不透明感が残っているためであろうと考えられます。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。見れば明らかなんですが、労働分配率は再び低下を始め、設備投資/キャッシュフロー比率もご同様で上向かず、他方で、ストック指標なので当然とはいえ、またまた利益剰余金だけが積み上がり始めています。COVID-19ショックで企業のキャッシュフローもダメージを受けたとはいえ、利益剰余金を広く社会に還元する方策が必要と私は考えています。

最後に、本日の法人企業統計を受けて、来週6月8日に内閣府から1~3月期のGDP統計速報2次QEが公表される予定となっています。私は1次QEから大きな変更はないものの、修正の方向は上方修正であろうと考えています。また、日を改めて取り上げたいと思います。

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