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2021年8月31日 (火)

甲子園に戻っても中日に打ち負けて連敗街道まっしぐら!!!

  RHE
中  日005000300 8170
阪  神000050000 5100

広島に3タテされた後、中日にも負けて連敗街道まっしぐらでした。
もう打線を組み替えても、何をしても負けるみたいです。昨日はもっとも頼りになる秋山投手で負けて、今日もチーム勝ち頭の青柳投手で負けて、復帰したマルテ選手がヒットをかっ飛ばしても、すべてに投打の歯車が狂っている気がします。このままズルズルと行って欲しくはありませんが、結果的にそうなる可能性も十分あると覚悟すべきかもしれません。

明日は、
がんばれタイガース!

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半導体の供給制約で減産となった鉱工業生産指数(IIP)と着実な改善見せる雇用統計!!!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.5%の減産でした。また、失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.8%、有効求人倍率は前月から上昇して1.15倍と、雇用は着実に改善を示しているように見えます。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じた記事を手短かに引用すると以下の通りです。

7月鉱工業生産1.5%低下 2カ月ぶり、自動車など減産
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は98.1となり、前月比で1.5%下がった。低下は2カ月ぶりで、自動車工業や電気・情報通信機械工業などが減産した。世界的な半導体不足の長期化や新型コロナウイルスの感染拡大による東南アジアからの部材調達の停滞が響いた。
全15業種のうち9業種が下がった。自動車工業は普通乗用車などの減産で3.1%、電気・情報通信機械工業はリチウムイオン蓄電池やセパレート形エアコンの生産が減って3.4%低下した。フェノールなどが減産した無機・有機化学工業は3.9%下がった。
「自動車やエアコンは半導体不足の影響が出た」(経産省)。自動車は感染拡大で経済活動が制限された東南アジアからの部材調達が滞ったことも影響した。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は8月が3.4%の上昇、9月は1.0%の上昇となった。このうち自動車などの輸送機械工業は8月に7.3%の大幅な低下を見込む。9月は3.1%の上昇を見込むものの「東南アジアの感染拡大による部材調達の混乱を十分に織り込んでいない可能性があり下振れリスクがある」(同)という。
7月失業率2.8%、2カ月連続で改善 有効求人倍率1.15倍
総務省が31日発表した7月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.8%と前月から0.1ポイント低下し、2カ月連続で改善した。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(同)は1.15倍で、前月から0.02ポイント上昇した。
新型コロナウイルス禍は長期化しており、厚労省は「雇用情勢は回復に向かっているわけではなく、依然厳しい状況」としている。
完全失業者(原数値)は191万人で、前年同月から6万人減だった。18カ月ぶりに減少した。男性は18カ月連続で増えた一方、女性が同8万人減で15カ月ぶりに減少した。就業者数(同)は6711万人で同56万人増加。卸売・小売業の増加が目立った。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対して何件の求人があるかを指す。有効求人数(219万人)が3カ月ぶりに増加した一方、有効求職者数(190万人)が前月比0.5%減少。相対的に有効求人倍率が上がった。求職活動を新型コロナウイルスのワクチン接種後まで控える動きがある。
産業別に新規求人(原数値)をみると、製造業の回復が前年同月比40.8%増と目立つ。コロナ禍で時短営業や酒類提供制限などの影響を受ける宿泊・飲食サービス業は厳しく、同0.9%減だった。コロナ禍前の19年7月と比べると44.5%減となっている。
地域差も大きく、就業地別の有効求人倍率は最高の福井県が1.95倍、最低の沖縄県は0.84倍で、1ポイント以上の差が出た。沖縄県のほか、東京都と神奈川県、大阪府は1倍を下回った。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は▲2.5%の減産との見込みで、レンジの下限が▲3.1%でしたので、大きなサプライズはありませんでした。加えて、足元の8月については、製造工業生産予測指数で見る限り、+3.4%の増産を予測しており、さらに、9月も+1.0%増と見込まれています。基本的に、引用した記事にもあるように、7月の減産は半導体の供給制約などによる自動車の減産に起因しており、自動車工業、電気・情報通信機械工業、無機・有機化学工業などにおいて原産が見られた一方で、生産用機械工業、パルプ・紙・紙加工品工業、電子部品・デバイス工業などでは増産しています。今後の生産の行方は半導体の供給制約次第という面はありますが、大雑把には、内需に依存する部分の大きい非製造業とは違って、世界経済の回復とともに製造業の生産は緩やかに回復方向にあるのは間違いないと私も考えていますが、半導体の供給制約に加えて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック次第で、それほど単純な道のりではない、と考えるべきです。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスについては、失業率が2.9%と前月統計から横ばいが予想されていた一方で、有効求人倍率は1.12倍と前月から改善する見込みであったものの、これらの予想を上回る改善が進んでいる印象です。人口減少過程に入った日本経済における人手不足の影響と考えられます。ただし、引用した記事にもあるように、首都圏や関西圏をはじめとする緊急事態宣言下で対人サービス産業では厳しい雇用情勢が続いていることも確かで、失業率が3%を下回り、有効求人倍率が1倍を超えているからといって、決して雇用が盤石というわけではない点は忘れるべきではありません。その意味で、日本経済の先行きについては本日公表の統計よりは悲観的な方向で考えるべきであると私は考えています。

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最後に、本日、内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。前月から前月から▲0.8ポイント低下して36.7を記録しています。消費者態度指数のコンポーネントの中でも、特に、「雇用環境」と「暮らし向き」の低下幅が大きくなっています。いつものグラフを上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで、ほかの鉱工業生産指数(IIP)や雇用統計と同じように、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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2021年8月30日 (月)

商業販売統計の小売販売額は5か月連続で前年同月を上回る!!!

本日、経済産業省から7月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.4%増の12兆7300億円、季節調整済み指数では前月から+1.1%の伸びを記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を手短かに引用すると以下の通りです。

7月の小売販売額、2.4%増
経済産業省が30日発表した7月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比2.4%増の12兆7300億円だった。増加は5カ月連続。季節調整済みの前月比は1.1%増だった。
大型小売店の販売額については、百貨店とスーパーの合計が1.3%増の1兆7138億円だった。既存店ベースでは1.3%増だった。
コンビニエンスストアの販売額は6.1%増の1兆484億円だった。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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繰り返しになりますが、通常、この統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で見ていて、その数字は前年同月比+前年同月比+2.4%増の12兆7300億円となっている一方で、季節調整済み指数では前月から+1.1%の伸びを示しています。もっとも、経済産業省のリポートでは、季節調整済み指数の後方3か月移動平均で基調判断を示しているようで、7月の移動平均指数は前月から+1.3%増となっていて、7月までのトレンドでは「横ばい傾向」としています。ほかにも、GDP統計なんかの消費は季節調整済み系列で判断することを考えれば、月次で+1%強というのはかなりの伸びと私は受け止めています。ただし、注意しておかねばならないポイントは、商用販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていないことから、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言によるダメージは過小評価されている可能性が高い、と考えるべきです。すなわち、飲食や宿泊のような対人接触型のサービスが緊急事態宣言で受けるネガティブな影響は、商業販売統計には十分には現れないことが予想され、実際の日本経済の先行きについてはこの統計よりも悲観的に見るべきであると私は考えています。

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2021年8月29日 (日)

広島に3タテされて首位陥落!!!

  RHE
阪  神000000000 081
広  島30000020x 580

広島に3タテされて首位陥落でした。しかも、一気に3位まで落ちました。
もっとも頼りになる秋山投手が初回から被弾して先制され、打線は相変わらず沈黙したままで得点を上げられず、なすすべなく連敗でした。投手陣は失点を重ね、打撃陣はチャンスに得点できません。

甲子園に戻っての中日戦は、
がんばれタイガース!

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いよいよ草津まで足を延ばしてマンション見学に行く!!!

今日も、またまた、カミさんとマンション見学に行きました。京都を飛び出て、先日、隣県である滋賀県の大津の物件を見た後、とうとう今日は草津まで足を延ばしてしまいました。草津は大津の隣接市なんですが、県庁のある大津よりも商業施設などはむしろ立派に見えました。私は東京では三菱銀行の口座がメインだったのですが、我が家や大学最寄り駅などの近くには支店はもちろんATMすらなかったのですが、草津駅東口には看板が見えました。立派に栄えている雰囲気がありました。

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上の写真は、いつものレプリカリング、今日はゴージャスにゴールドです。真ん中の写真はJR草津駅を出たところにある宿場の標識です。「東海道いせみち」と書いてあるんでしょうか。一番下は定番のJR草津駅のカンバンです。立派に栄えている街ですので、このあたりでも十分OKという気がします。それなりに大きな買い物ですので、もちろん、いろいろと考えますが、現時点では、今日行った草津が滋賀県最深部の限界と受け止めています。その先の栗東とか守山までは足を伸ばすつもりはありません。でも、草津市内でもう少し見るかもしれません。

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2021年8月28日 (土)

投手陣がザルのように失点して最下位広島に連敗!!!

  RHE
阪  神100201110 6120
広  島21200200x 780

最下位広島に連敗でした。
4番出しゃん大山選手をスタメンから外し、それなりに得点力は上がったものの、投手陣がザルのように失点して勝利は遠のきました。次にスタメンから外れるのは佐藤輝選手ですかね?

明日は、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書なしで歴史書や小説とともに出来の悪い新書まで計3冊!!!

今週の読書は、経済書なしで歴史書と小説と新書の3冊だけでした。新書は経済学のテーマですが、まあ、学術書ではありません。しかも、出来が悪いです。新刊書以外にいろいろと肩のこらない小説を読んだのと、紀要論文の取りまとめで大量に経済学の文献を読んだため、読書がはかどらなかったような気がします。特に、昨年もそうだったんですが、紀要論文は2週間ほどのヤッツケで仕上げていますので集中力には自信がつきました。もっとも、私のことですから読んでおいて忘れてしまったのかもしれません。あり得ます。なお、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げたものを含めて7~8月で43冊、これらを合計して154冊になりました。

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まず、高田貫太『アクセサリーの考古学』(吉川弘文館) です。著者は、国立歴史民俗博物館の研究者です。新羅・百済・大加耶に高句麗を加えた朝鮮半島の4国に、もちろん、我が国の当時の呼び名である倭と5か国の交流についてアクセサリーとともに解明を試みています。当時のアクセサリーは垂飾付きの耳飾り、冠、飾り帯、飾り履、首飾り、腕輪、指輪などです。現代人にとっては、最後の3点、すなわち、腕輪=ブレスレット、首輪=ネックレスないしペンダント、指輪=リングが中心になりますが、本書が対照としている4~6世紀の朝鮮半島と日本では少し様相が異なります。実は、私も基本的にアクセサリーは身につけます。左手薬指の指輪、ネックレスとブレスレットはほぼほぼ毎日です。これも基本的に光りものなんですが、汗をかくことが十分予想されている時など例外的にシリコンゴムのアクセサリーを選ぶ時もあります。何と申しましょうかで、そこまでしてアクセサリーを身につけたいわけです。なお、首にするのは、男ですので、基本的にペンダントヘッドのないチェーンのネックレスなんですが、時折、ペンダントヘッドのあるペンダントもします。プールで泳ぐ時はシリコンの指輪を左手薬指にして泳ぎます。おそらく、男性として圧倒的にめずらしいと自分自身で考えているのは、夏場のサンダル着用時限定ながら、アンクレットを身につけることです。光りものもありますが、ミサンガのような紐を左足の足首につけることが多いです。時折、イヤカフスもします。ということで、自分のアクセサリー趣味はいいとして、朝鮮半島の国々が圧倒的に我が国よりも先進国であった古典古代の時期において、和戦両用の国際交流をにらみつつ、アクセサリーを通じた国際関係の解明が本書では楽しめます。それなりに、オススメの教養書・歴史書です。

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次に、木内一裕『小麦の法廷』(講談社) です。著者は、ほぼ私と同年代の小説家ですが、不勉強にして、私はこの作者の小説を読むのは初めてでした。弁護士になったばかりの若い女性を主人公に、東京の殺人事件と横浜の暴行傷害事件、さらに、九州の遺産相続案件と3件の依頼がひとつに収束して、最後は見事な結末を迎えるというミステリ、といっていいんだろうと思います。もっとも、ミステリとしても、いわゆる倒叙型であって、謎解きがメインになっているわけではありません。主人公は高校時代はレスリングに打ち込んでいて、オリンピック代表まで狙える位置にあったという設定ですので、急に弁護士になるとか、ましてや父親も実は弁護しながら、悪事を働いて弁護士資格を剥奪されたとか、やや、通常ではありえないような小説らしい設定となっています。でも、ネタバレながら、横浜の暴行傷害事件で有罪になることを目指し、それをアリバイにして東京の殺人事件の無罪を狙う、というそのスジの男性に対して、実に明快に水掛け論を法廷で展開し、勧善懲悪の結果に持って行っています。いろんな設定が出来すぎで、いかにも事件を望ましい方向で解決するためにムリをしている気もしますが、まあ、小説とはそういうものかもしれません。

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最後に、柿埜真吾『自由と成長の経済学』(PHP新書) です。著者は、経済学の研究者のエコノミストです。本書の目的は明確であり、斎藤幸平『人新世の「資本論」』を批判して、論破しようと試みています。私はこの目的は基本的に失敗していると受け止めています。最大の理由は、地球温暖化に対する疑問ないし否定を含んでいることです。この科学的な根拠満載の地球温暖化や気候変動を否定するのであれば、そもそも、『人新世の「資本論」』への反論はそれだけで済みます。後は、ソ連型社会主義や中国型社会主義への、一部に偏見も含めた否定があればそれでOK、ということになります。格差や貧困の拡大を中心的な論点として、現在の資本主義の行き詰まりを論じるエコノミストが多いにもかかわらず、産業革命以降くらいの長い時間的なスパンで考えれば、資本主義が工場法制定前から現在まで大いに自由をもたらし、成長を実現してきたのは当然で、本書で教えてもらうまでもありません。その資本主義が格差や貧困から行き詰まっている点を認識できないのが本書の弱点です。これらを認識し、科学的な根拠がいっぱいある地球温暖化や気候変動を現実の問題としてアジェンダに上げつつ、その上で、どのような解決策があるのかを論じられなければ、本書の失敗の二の舞を踏むことになると私は想像します。

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2021年8月27日 (金)

先発投手が打たれて4番がチャンスに凡退しまくれば負けます!!!

  RHE
阪  神011000020 4101
広  島00120021x 6121

競り負けた大きな原因は先発西投手のピッチングとチャンスで凡退する4番打者でした。
西投手がこれだけ負け続けているのですから、先発投手陣の再編成もアリなんではないでしょうか。また、4番大山選手も満塁で併殺打、3番が敬遠されたあとで凡退といいところがありませんでした。2人ともファームでの調整も視野に入れて、打線とローテーションを考えたほうがよくはないでしょうか?

明日は、
がんばれタイガース!

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リクルートによる7月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週火曜日の8月31日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる6月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。まず、いつものグラフは以下の通りです。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、停滞感ありながら底堅い印象で、4月+0.7%増、5月+1.5%増、6月+1.5%増に続いて、7月も+1.1%増となっています。ただし、伸び率が+2.0%を下回るのは、2020年10月から10か月連続です。他方、派遣スタッフの方は昨年2020年5月以降のデータが跳ねていたのですが、今年2021年5月からはそのリバウンドで元に戻っています。上のグラフの通り、今年2021年7月は+1.3%を記録しています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、5~6月には+1.5%増の伸びまで縮小し、7月も+1.3%増にとどまっています。人手不足がメディアで盛んに報じられていた一昨年2019年暮れから昨年2020年年初のコロナ初期の+3%を超える伸び率から比べるとかなり低下してきています。三大都市圏の7月度平均時給は前年同月より+1.1%、+12円増加の1,095円を記録しています。職種別では「事務系」(+39円、+3.4%)、「営業系」(+36円、+2.8%)、「専門職系」(+20円、+1.7%)、「販売・サービス系」(+17円、+1.6%)、「製造・物流・清掃系」(+8円、+0.7%)、「フード系」(+6円、+0.6%)とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、7月は+22円増加、+1.3%増の1,742円に達しています。職種別では、「オフィスワーク系」(+70円、+4.7%)、「IT・技術系」(+84円、+4.0%)、「クリエイティブ系」(+52円、+2.9%)、「営業・販売・サービス系」(+6円、+0.4%)はプラスを記録した一方で、「医療介護・教育系」(▲7円、▲0.5%)だけがマイナスとなっています。派遣スタッフを詳しく見ると、「オフィスワーク系」のOAオペレータ、また、「IT・技術系」のOAインストラクターが前年同月比▲100円を超えて大きなマイナスです。地域別では関東でマイナス、関西と東海でプラスと分かれました。

派遣スタッフ、アルバイト・パートともに時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますが、まだまだ底堅い印象も十分あります。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的な影響は昨年2020年5月ころに底を打ったように見えることから、雇用については典型的には失業率などで景気動向に遅行するケースが少なくないとはいえ、アルバイト・パートや派遣スタッフのお給料もまだ底堅さが残っている気がします。

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2021年8月26日 (木)

投打がかみ合って横浜に大勝!!!

  RHE
横  浜010001001 391
阪  神10400031x 9102

先発ガンケル投手のナイスピッチングと猛虎打線爆発で横浜に大勝でした。打者のヒーローインタビューは先頭打者ホームランの近本選手でしたが、序盤から終盤まで猛虎打線がよく打ちました。投げてはガンケル投手が7回途中まで2失点と好投し、終盤は勝ちパターンのリリーフ陣を温存して馬場投手と浜地投手で楽々と逃げ切りました。ファームで好投した藤浪投手を早く一軍で見たいです。

明日からの広島戦も、
がんばれタイガース!

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企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率は7月+1.1%と4か月連続で+1%台の順調な上昇を続ける!!!

本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.1%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックに対応した緊急事態宣言が5月中は首都圏などで続いていましたが、昨年の4~6月期が経済活動の底でしたが、その反動の影響がやや薄れつつある印象です。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、7月は1.1%上昇 五輪裏番組の広告意欲鈍る
日銀が26日公表した7月の企業向けサービス価格指数は前年比1.1%上昇となり、5カ月連続で上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ前年の反動で、「広告」が指数を押し上げる構図が続いているものの、伸び率は前月の1.3%から縮小した。
「広告」は前月の13.3%上昇から9.2%上昇に伸び率が縮小。テレビ広告は18.1%上昇となり、前月の33.7%上昇を大きく下回った。東京五輪開催に伴い、五輪中継の裏番組の低視聴率を予想した企業の出稿意欲が鈍った。
一方、「諸サービス」は前月の0.4%上昇から0.8%上昇に伸び率を拡大。指数を0.29%ポイント押し上げた。宿泊サービスは10.8%上昇で2015年10月以来の高い伸び。五輪関係者の需要が高まった。もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が低迷する中、指数は79.0で引き続き低水準。日銀の担当者によると、一時的な需要増にとどまるとの声が出ているという。
146品目中、上昇は79品目、下落は37品目だった。

いつもながらよく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、2019年10月の消費税率引上げの効果が剥落した昨年2020年10月からマイナスに陥っていましたが、今年2021年2月統計では保合いになり、3月統計でプラスに転じました。直近で利用可能な7月統計では+1.1%の上昇を記録しています。基本的には、石油をはじめとする国際商品市況の上昇がサービスにも波及していると私は考えていますし、加えて、昨年2020年4~6月期が我が国では第1次の緊急事態宣言の中で経済活動の水準がほぼ底だったため、その反動で今年2021年5~6月くらいまでは前年同月比上昇率が上がっていて、7月統計にもその影響が残っている、という面も否定できません。少し詳しく、SPPIの大類別に基づく前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率+1.1%への寄与度で見ると、テレビ広告をはじめとする広告が+0.41%、宿泊サービスや土木建築サービスなどの諸サービスが+0.29%、運輸・郵便が+0.24%、などとなっています。前年同月比上昇率でも、特に、広告はテレビ広告の+18.1%、インターネット広告の+10.9%などをはじめとして広告全体で+9.2%の上昇を示しています。ただし、引用した記事にもあるように、先月統計から上昇率は大幅に鈍化しています。いずれにせよ、強行開催した東京オリンピックの効果なのかもしれないわけで、景気敏感な広告の価格上昇なんですが、景気要因だけとは限らないような気もします。

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2021年8月25日 (水)

紀要論文 "Mathematical Analytics of Lewisian Dual-Economy Model" を書き終える!!!

大学の紀要に出す論文を、夜遅くになって、ほぼほぼ書き終えました。タイトルは、"Mathematical Analytics of Lewisian Dual-Economy Model: How Capital Accumulation and Labor Migration Promote Development" としています。はい、長いタイトルです。pdfファイルでアップロードしましたが、数式エディタへの反応悪く、カッコが変換されていない部分があります。ワープロ原稿ではキチンと数式エディタで組み立てられていますので、ご心配なく。明日にでも、紀要論文を取りまとめている研究部門に提出するつもりです。
実は、私の専門分野のひとつに開発経済学があって、国際開発学会の会員で学会発表したこともあったりするんですが、数週間前に、開発経済学の研究業績を取りまとめて提出する必要あったりしました。その中で、ジャカルタのころに書き上げたアーサー・ルイス卿の二重経済モデルのディスカッションペーパーを見ていると、手元にあるファイルで大きな欠落がありました。式5から式8に飛んでいて、当然ながら、式8は式7から導かれることになっていて、どう考えても提出するに及ばない、というか、提出しても評価されそうもない、と結論せざるを得ませんでした。ジャカルタのころには完全バージョンがあって、その後散逸して欠落バージョンしか手元に残っていないのか、それとも、ジャカルタのころから欠落バージョンで勝負していたのか、今となっては不明ですが、この欠落バージョンのディスカッションペーパーを有り難くも引用してくれていた中国人研究者もいたりしますので、ここはキチンとアップデートも加えて書き直そうということになり、式6と式7を何とか復元し、どうせなら公刊論文扱いになるので紀要に掲載してもらおうと予定しています。昨年も夏休みに推計一発の論文を取りまとめましたので、悲しくも年1本だけの研究成果です。今回は計量の推計がないので、出来をごまかすべく日本語論文ではなく英語で取りまとめていたりします。まあ、元になるディスカッション・ペーパーが英語なので、どうということはありません。

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繰り返しになりますが、ノーベル経済学賞を受賞したルイス教授の二重経済モデルのそれぞれの部門に生産関数を設定したりして、いろいろと数学的に解析を進めて、近代的な工業などの資本家部門で資本蓄積が進んで、伝統的な農業などの生存部門から資本家部門へ一定規模の労働移動が生じれば経済発展=take offにつながる、という結論です。そして、この資本蓄積と労働移動によって二重経済が解消される過程で高度成長が達成されるんですが、このような大規模な労働移動は1回限りの現象であって、日本はもちろんほかの先進国でも戦後の高度成長を再び実現することはない、という示唆が得られます。ついでながら、ODAへのポリシー・インプリケーションも無理やり引き出しています。ジャカルタにはJICAの専門家として赴任していましたので、それなりの義理があります。なお、上の概念図はその労働移動を表しています。決して名のある国際的なジャーナルに投稿するわけではなく紀要論文の水準でしかありませんが、まあ、判る人にしか判らないと思います。悪しからず。一応、数式の展開は確認してあるつもりです。繰り返しになりますが、数式エディタのpdfへの変換がうまく行っていませんので、紀要論文に掲載されて印刷屋さんから改めてpdfファイルをもらったら、アップされている紀要のサイトを明らかにしたいと思います。

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2021年8月24日 (火)

青柳投手のナイスピッチングで横浜に快勝!!!

  RHE
横  浜000000200 290
阪  神01204001x 8110

先発青柳投手のナイスピッチングで横浜に快勝でした。打者のヒーローインタビューは先制打の木浪選手でしたが、誰といわず彼といわず、猛虎打線がよく打ちました。4番大山選手もツーランをかっ飛ばしました。終盤は、勝ちパターンのリリーフ陣を温存してアルカンタラ投手と小川投手で悠々と勝ちを収めました。

明日も、
がんばれタイガース!

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第一生命経済研リポート「緊急事態宣言拡大で遠のく景気回復」やいかに?

本日、第一生命経済研から「緊急事態宣言拡大で遠のく景気回復」と題するリポートが明らかにされています。現在の13都府県に加えて、明日の8月25日から北海道と愛知県をはじめとする東海3県にも緊急事態宣言が拡大され、しかも、その中でパラリンピックを強行開催するという政策的にムチャクチャなことをやっている気がしますが、リポートではこの4回目の緊急事態宣言に伴って、(1)消費押し下げ圧力は▲1.4兆円から▲1.5兆円程度に拡大、(2)同様にGDPの減少額は▲1.2兆円から▲1.3兆円程度に拡大、(3)2021年7-9月期のGDPを▲1.0%程度押し下げる(年率換算では▲4.0%程度)、(4)3か月後の失業者の増加規模はトータルで+6.6万人から+7.3万人程度に拡大、といった試算結果を示しています。基本的に、これですべてなんですが、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフはリポートから、月次個人消費の推移 を引用しています。ブルーのラインとオレンジのラインの乖離が緊急事態宣言による押し下げなんですが、グラフエリアにあるように、1回目の緊急事態宣言による個人消費の押し下げは▲4.4兆円、2回目は1.2兆円、3回目も▲1.2兆円でしたが、今回の4回目は緊急事態宣言拡大前の▲1.4兆円から▲1.5兆円に押し下げ額が広がると試算しています。ただし、個人消費には輸入も含まれることから、これらを調整してGDPベースで7~9月期に▲1.2兆円から▲1.3兆円に押し下げ額が拡大し、四半期ベースで▲1.0%、年率換算で▲4.0%のGDP押し下げに相当すると結論しています。オークン法則に近い方法で雇用を推計すると、3か月後の失業者の増加規模はトータルで+6.6万人から+7.3万人程度に拡大するということのようです。そして、最後に、COVID-19前の2019年10~12月期のGDPは名目で556兆円、実質で547兆円であり、直近2021年4~6月期では名目546兆円、実質539兆円まで低下しているものの、それほどの隔たりはないように感じられるが、枚目・実質ともに▲1.5%から▲2%近い乖離となっていて、これに、7~9月期に▲1%の下振れが加わると、年内にGDPの水準がCOVID-19前に戻ることはほぼほぼ絶望的と結論しています。

私はこういった市場価格のみに基づく経済試算に対しては、きちんとシャドウ・プライスやスピルオーバーも含めるべきであって、やや懐疑的なのですが、少なくとも、前の安倍内閣から現在の菅内閣に至るまで、かなり場当たり的に Stop and Go 政策が展開されてきており、政策評価としては一定程度受け入れる余地もあるのではないかと考えています。それにしても、まもなく行われる政権選択の総選挙で示される国民の判断について、私自信も投票に行くのはモチロンですが、その判断結果にとても興味があります。

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2021年8月23日 (月)

最低賃金引き上げは企業の雇用にどのように影響するか?

やや旧聞に属するトピックですが、先週木曜日の8月19日に東京商工リサーチから最低賃金の28円引き上げの企業の雇用に対する影響をアンケート調査した結果が明らかにされています。

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まず、東京商工リサーチのサイトから引用した 最低賃金引き上げの影響 に関するグラフは上の通りです。何と申しましょうかで、最低賃金の全国平均28円の引き上げについて、7745社(構成比83.4%)が「自社の人員戦略に影響を与えない」と回答しています。ただ、まったく影響がないわけでもなく、最低賃金の引き上げは、正規雇用より非正規雇用に影響しそうと東京商工リサーチでは分析しています。すなわち、全規模で503社(同5.4%)が非正規の削減意向を示し、大企業(同3.6%)よりも中小企業(同5.7%)で比率が高くなっています。ただし、逆に、正規従業員の増員を検討する企業は、中小企業(同10.4%)が大企業(同6.7%)を+3.7ポイント上回っていますので、見ようによれば、なんでしょうが、最低賃金引き上げへの反応としては中小企業ほど雇用確保への動きが積極的、とも分析されています。ただし、グラフは引用しませんが、「正規雇用を削減する」と回答した理由の最大の理由は、「現状の業績では賃上げ分を吸収できない」で65.1%(187社)となっており、ネオリベ理論も一定正しそうな回答ではあります。いずれにせよ、正規も非正規も同時に増減させるとする回答が多く、最低賃金との関係は薄くて、業績や業況の先行きの方がずっと大きな要因をなしていることは明らかでしょう。

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2021年8月22日 (日)

秋山投手のナイスピッチングで連敗ストップ!!!

  RHE
阪  神010001000 250
中  日000000000 040

先発秋山投手のナイスピッチングで連敗ストップでした。ロハス選手のソロホームランで先制し、6回にも貴重な追加点を上げ、最後は岩崎投手とスアレス投手で逃げ切りました。クリンナップがノーヒットで苦しい打線ですが、ピッチャーが抑えるしかないのかもしれません。ジャイアンツの追い上げ急な中、何とか首位キープです。

次の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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2021年8月21日 (土)

今週の読書は米国経済の格差の暗黒面をえぐる経済書をはじめ計5冊!!!

今週の読書は、経済書のほか、小説と気楽なエッセイ、さらに、社会心理学の新書など、以下の通りの計5冊です。これらの中でも、特に、万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』上下は大学の生協で買い求めました。東野圭吾の『白鳥とコウモリ』以来ではないかという気がします。なお、いつもお示ししている本年の読書の進行ですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げたものを含めて7~8月で40冊、これらを合計して151冊になりました。

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まず、アンガス・ディートン & アン・ケース『絶望死のアメリカ』(みすず書房) です。著者はどちらも米国のエコノミストであり、ディートン教授はノーベル経済学賞を受賞しています。英語の原題は Deaths of Despair and the Future of Capitalism であり、2020年の出版です。一言でいえば、米国における死のエピデミックについて論じています。すなわち、中年の白人アメリカ人の自殺率が急速に増えていることから、先進国では、というか、世界を見渡しても考えられないように、米国の中年白人の平均寿命が低下している事実を分析しようと試みています。そして、その原因は自殺、薬物、アルコール、クオリティの低い医療制度、そして、何よりも貧困や格差の拡大があると指摘しています。米国における経済的な不平等は、私の理解によれば、金持ちが一層金持ちになっていくことで拡大した一方で、日本では低所得層がさらに低所得に陥ることで拡大している、との定説を受入れてきたのですが、本書では、低所得層を犠牲にした形で高所得につながっていると指摘されています。加えて、巨大デジタル企業による独占の進行、語ローバル化による移民の受け入れなどについても論じられています。そのうえで、最終第16章で医療制度の改革、労働組合とコーポレートガバナンス、累進税制とユニバーサルなベーシックインカムの導入、反トラスト政策の推進、レントシーキングの防止策、教育制度の改善、などについていくつかの例を示しています。私も大学に来て愕然とさせられたのですが、格差の上の方にいる人は成功すればすべて自分の能力に起因すると考えて、逆に失敗すれば運が悪かった、ということになるわけですので、格差の上の方にいる人に格差是正を進めようというインセンティブはまったくありません。反対に、私のような格差の下の方にいる人間は成功すれば運がよかった結果で、失敗すれば実力通りとみなされ、格差の上の方にいる人たちに対して反旗を翻して格差是正を進めるパワーは生まれようはずもありません。私のように、役所でも大学でも格差の最底辺にいる人間は、格差の上の方の人間から自慢話を聞かされたり、エラそうにアレせいコレせいと指示を受けたり、そういった対象としかみなされていません。自己責任と能力主義、ひょっとしたら、この2つがガンだと思い始めている今日このごろです。

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まず、万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』上下(幻冬舎) です。著者は、私の後輩に当たる京都大学出身のエンタメ作家です。従って、というか、何というか、京都・奈良・大阪・琵琶湖などの関西圏を舞台とする小説が多かったのですが、この作品ではとうとうメソポタミアに進出します。しかも、メソポタミアの神話の世界だったりします。主人公は榎土3兄弟、というか、3つ子の梵天、梵地、梵人です。この3人には特殊能力があります。少し省略して、3人が自衛隊に入隊してイラクのPKO活動に従事し、神話の世界に入り込んでミッションを成し遂げる、ということなのですが、何せ、上下巻で総ページ数がラクに900ページに達するにもかかわらず、ストーリーの展開がまったく想像を超えた万城目ワールドを形成していて、大いに引き込まれて一気に面白く読めてしまいます。イラクでのPKO活動ですから、当然に自衛隊の上司の士官が登場し、それも女性の広報担当3尉がオリンピックに挑戦しようかという射撃の名手だったりし、同時に、米国海兵隊のツワモノも登場します。そして、メソポタミアの姉妹神、ライオンを従えた神のミッションに挑戦させられ、成し遂げます。成し遂げたからには、それなりのご褒美もあったりします。この作者の作品らしく、ファンタジーの要素がかなり大きく、タイトルにある「ぜっと」はゾンビのzだったりして、砂漠に古代メソポタミアのゾンビ兵も現れます。そこに、超近代的なドローンやロケットランチャーなどで偵察・通信したり、攻撃したりするわけです。本書は、私にしてはめずらしく買い込みました。でも、その値打ちはあったと思います。

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次に、酒井順子『ガラスの50代』(講談社) です。著者は、『負け犬の遠吠え』で有名なエッセイストです。Webマガジン「ミモレ」に連載されていたのを単行本化しています。いつもの通り、よく下調べされたていねいなエッセイと私は受け止めています。本書は、更年期に関する体調の変化など、女性にかなり話題が限定されているものの、少なくともカミさんを理解しようとする場合には役立ちそうな気もしました。50代の女性として、何と申しましょうか、がんばるべきところと、がんばり過ぎるとイタくなるところ、特に女性のそういった部分に関しては、私にはなかなか判断が難しいのですが、実に明快に指摘されています。若くありたいという男女を問わず人間誰でも感じる欲望と、逆に、年齢相応に、という大人の対応と、私はすでに60代に突入してしまいましたが、50代というのはそのあたりの分岐点なのかもしれません。同年代の女性を理解する手がかりとして、あるいは、年配女性の理解を深める手段として、またまた、単なる暇つぶしに、この著者のエッセイはいつでも役に立ちます。

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最後に、藤田政博『バイアスとは何か』(ちくま新書) です。著者は、関西大学の社会心理学の研究者です。心理学には、私の知る限り、マイクロな臨床心理学とマクロな社会心理学があるのですが、本書は後者の社会心理学であり、経済学とも接点が深く、本書ではツベルスキー&カーネマンの理論を中心に取り上げています。バイアスというテーマですが、私が感じた限りでは、広く認識論まで及んでいて、余りにバイアスについて論じていると不可知論まで陥ってしまいそうな気もしましたが、新書ですのでそこまでの深みはありません。ただ、本書で特徴的なのは、そういったバイアスを学問的、というか、理論的に明らかにするだけでなく、どうすればバイアスを回避できるのか、あるいは、バイアスを回避できないとすれば、どのように共存するのか、付き合っていくのか、といった点が最後のパートに含まれていることだと思います。しかも、よくある年寄の感想や実感めいたものではなく、キチンと学問的に検証された方法が明らかにされており、巻末の参考文献も役に立ちます。

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2021年8月20日 (金)

ワクチン接種後の発熱を免れて在宅勤務する!!!

昨日、大学の職域接種でモデルナ製ワクチンの2回めの接種を受け、同僚教員からお気遣いいただいたメールをちょうだいしたりして、誠に有り難い限りです。私の知る範囲でもモデルナ製ワクチンの場合、ほぼほぼもれなく2回め接種の翌日には発熱している人ばかりなんですが、何と、私は発熱なしで過ごしています。昨日のブログに書いたように、朝日新聞の記事によれば「2回目接種後に37.5度以上の発熱が出たのは78.4%、38度以上も61.9%」だそうなのですが、運よく残り20%に入ったようです。もっとも、これから発熱する可能性は残されているんですが、まあ、大丈夫そうな気もします。
もちろん、すべて通常通りというわけでもなく、倦怠感があったり、接種部位に痛みがあったりはします。ただ、この1-2か月の間でもっと強い倦怠感を感じたイベントはいっぱいありましたし、60オーバーの年齢に差しかかっているわけですので、この程度は仕方ない範囲かという気もします。ですから、在宅で、新たに発注した計量ソフトウェアの購入手続きを進めたり、午前中にポストしたように、消費者物価指数(CPI)の情報を取りまとめたりしています。

モデルナ製ワクチンは発熱の確率高い一方で変異株には免疫力強い、ともいわれていますし、どちらかといえば、発熱あっても変異株に強ければOKという意見も聞きます。私のように発熱なければ、モデルナも十分よさそうです。ということで、たぶん、明日からは、可能な範囲で通常生活に戻って、プールにも泳ぎに行きたいと予定しています。

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7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は基準改定でマイナスに逆戻り!!!

本日、総務省統計局から7月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、2020年基準への改定により、▲0.2%の下落を記録しています。他方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲0.6%とやはり下落しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月の全国消費者物価、0.2%下落 下落は12カ月連続
総務省が20日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が99.8と前年同月比0.2%下落した。下落は12カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.4%下落だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは99.4と、0.6%下落した。生鮮食品を含む総合は0.3%下落した。
総務省は5年ごとにCPIの基準改定を実施している。今回の発表から、これまでの「2015年基準」から「2020年基準」に切り替わった。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.4%の下落でしたので、やや上振れた印象です。まあ、基準改定1回目の指数の公表ですので、ピタリと予想するのは難しいのかもしれません。当然ながら、基本的なトレンドは2015年基準指数から変わることはなく、国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、ガソリン・灯油などのエネルギー価格が前年同月比で+5.8%の上昇を見せて、ヘッドライン上昇率に対して+0.41%の寄与を示した一方で、政策要因に近い通信料(携帯電話)が大きなマイナス寄与を示しており、前年同月比▲39.6%の下落で、▲1.09%の寄与となっています。ヘッドラインの前年同月比上昇率が▲0.3%の下落ですので、その大部分がこの2品目で説明できてしまいます。基準改定で、コアCPI上昇率は一時的にマイナスとなったものの、国内外の景気回復とともに、先行きは緩やかに上昇に転じていくものと私は考えています。

消費者物価指数(CPI)を離れて、とても狭いエコノミストの世界で、経済心理学・行動経済学のアリエリー教授の論文のデータに疑義を呈する匿名の研究者が現れ、少し噂になっています。Data ColadaのEvidence of Fraud in an Influential Field Experiment About Dishonestyという記事なのですが、私は従来からこの分野に大きな疑問を持っています。すなわち、(1)学問的な究明よりも、実際の営業担当者のマーケティングの方が経験的に確かであり、実務家の方がデータを持っている、(2)ソーシャル・エンジニアリングなどで設定された目的が社会的に正しいかどうかの検証が不可能、防衛研究が典型ですが、研究費補助次第でどんな目的も正当化されかねない、(3)データがどこまで正確か検証できない、と考えています。(1)については、学術的に定量的な確認はそれなりに意味あると思いますが、(2)と(3)については私の疑問は解けそうもありません。もちろん、ネオリベな効率性万能主義も疑問が大きいのは確かです。

最後の最後に、昨日、2回めのモデルな製ワクチン接種を受けて、今日は発熱すると覚悟していたのですが、現時点ではまだ平熱です。午後から発熱するかもしれないので、チャチャッと思いつく限り取りまとめてポストしておきます。

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2021年8月19日 (木)

試合は負けたが藤浪投手の次の先発登板に期待する!!!

  RHE
阪  神000020101 470
横  浜20002001x 5110

試合は惜しくも横浜に逃げ切られましたが、先発藤浪投手は力投でした。佐藤輝選手も23号を放ちました。まあ、それでも負ける時もあります。次の試合を勝てばいいんです。前半戦は尻すぼみで終わりましたが、後半に入って2カード連続の勝ち越しです。この調子をキープしてがんばりましょう。

明日の中日戦も、
がんばれタイガース!

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2回めのワクチン接種を終える!!!

本日午後、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種2回めを終えました。大学での職域接種でモデルナです。モデルナのワクチンは2回め接種の翌日に猛烈に発熱するとの報道がありました。下のリンクは我が家で購読している朝日新聞のサイトにある記事です。

記事には、「モデルナ製のワクチンを打った自衛隊職員らを調べると、2回目接種後に37.5度以上の発熱が出たのは78.4%、38度以上も61.9%だった」とあります。数字の出どころは、厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会 のうち、8月4日に開催された第66回会合の資料「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)健康観察日誌集計の中間報告」であり、最終ページの まとめ にこれらの数字が上げられています。鍛えまくって屈強な自衛隊員ですら、これだけの発熱があるんですから、私のような60歳オーバーの大学教員は、たぶん、ひとたまりもなく高熱にうなされるんだろうと覚悟しています。明日は総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が公表される予定なのですが、強烈な発熱があったならパスします。悪しからず。

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2021年8月18日 (水)

伊東将投手の粘り強いピッチングで横浜を下して4連勝!!!

  RHE
阪  神010000031 5110
横  浜000100100 240

伊東将投手のナイスピッチングで横浜を下し、4連勝でした。7回までは先発投手が投げあった投手戦ながら、8回に阪神が一気に逆転して、9回にも佐藤輝選手のタイムリーでダメを押し、最後はスアレス投手が逃げ切りました。

明日の先発藤浪投手も、
がんばれタイガース!

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輸出の増加が続く貿易統計と4か月ぶりの前月比マイナスを記録した機械受注の先行きやいかに?

本日、財務省から7月の貿易統計が、また、内閣府から6月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+37.0%増の7兆3563億円、輸入額も+38.5%増の6兆9153億円、差引き貿易収支は+4410億円の黒字を計上しています。機械受注の方も、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比▲1.5%減の8524億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を引用すると以下の通りです。

7月輸出37%増、米中向けが伸びる 財務省貿易統計
財務省が18日に発表した7月の貿易統計速報によると、輸出額は前年同月比37%増え7兆3563億円だった。経済回復で先行する米国への自動車輸出や中国向けの半導体関連の伸びが目立った。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は4410億円の黒字と、2カ月連続の貿易黒字となった。
輸出は5カ月連続で増えた。前年の新型コロナウイルスの影響の反動もあるが、2019年7月と比べても1割ほど多かった。輸出額は7月としては08年7月に次ぐ2番目に高い水準だった。自動車は前年同月比4割、自動車部品は6割増え、鉄鋼も88.3%増と伸びが目立った。
地域別にみると、米国への輸出が1兆3840億円で同26.8%増だった。自動車や自動車部品のほか、原動機の増加も寄与した。欧州連合(EU)向けは同46.1%増の6399億円だった。
中国向けは1兆5806億円で18.9%増えた。プラスチックが26.5%、半導体などの製造装置が21.4%伸びた。アジア向けも32.5%増えて4兆2076億円だった。鉄鋼が90%と高い伸びになった。
輸入は28.5%増の6兆9153億円だった。原油価格の上昇が影響し、数量ベースでは原油の輸入が減ったものの、金額ベースで2倍以上に増えた。ほかに鉄鉱石や非鉄金属の伸びが目立った。米国や欧州からの新型コロナのワクチンの輸入も全体を押し上げた。
6月の機械受注、前月比1.5%減 市場予想は2.9%減
内閣府が18日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.5%減の8524億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.9%減だった。
製造業は3.6%増、非製造業は3.8%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は18.6%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
同時に発表した4~6月期の四半期ベースでは前期比4.6%増だった。7~9月期は前期比11.0%増の見通し。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べましたので長くなってしまいました。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスで貿易収支は約+2000億円の黒字でしたし、レンジの上限は+5000億円超の黒字でしたので、それほど大きなサプライズはなかったと私は受け止めています。季節調整していない原系列のデータでは、輸出入ともに前年同月比で大きく増加しているのですが、特に、輸入についてはワクチン輸入という特殊要因もあるとはいえ、石油価格の前年からの上昇が我が国輸入額の増加に寄与している印象です。ですから、上のグラフの下のパネルを見ても明らかなように、季節調整済みの系列では輸出入ともに前月比では減少していたりします。ですから、原系列の統計で見るか、季節調整済みの系列で見るか、によって貿易統計の印象が異なるのですが、いずれにせよ、主として欧米の景気回復に従って我が国の輸出は今後とも増加基調を続けるものと私は予想しています。ただし、中国は別としても、特に東南アジアで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染拡大が深刻となってきている点については注意が必要です。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールにより勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で▲2.9%減でしたしので、実績はやや上振れた印象があります。特に、2月の前月比▲8.5%減のリバウンドの要素があるとはいえ、3月+3.7%増、4月+0.6%増、5月+7.8%増の後の6月▲1.5%減ですから、まあ、何と申しましょうかで、「傷は浅い」といったところでしょう。しかも、季節調整のアヤとはいえ、6月統計では製造業+3.6%増、船舶と電力を除く非製造業もやっぱり+3.8%増となっていますので、コア機械受注は4か月ぶりの前月比マイナスながらそれほど悲観する必要はないものと私は受け止めています。その証拠に、7~9月期のコア機械受注の見通しは+11.0%増と見込まれており、4~6月期の+4.6%増から加速する可能性が示唆されています。

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2021年8月17日 (火)

佐藤輝選手の2連発で横浜を下して3連勝!!!

  RHE
阪  神101001030 6101
横  浜000200000 2100

今夜は諸事情あって遅くなり、帰宅すると8回の猛攻中でした。ここで試合を決めて横浜を下し、3連勝でした。序盤から中盤にかけて、佐藤輝選手のホームラン連発などでリードし、8回に試合を決めたということです。先発青柳投手は6回2失点のQSで、終盤はアルカンタラ投手、岩崎投手、スアレス投手で締めました。

明日も、
がんばれタイガース!

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消費者物価指数の基準改定はどのような影響を及ぼすか?

かなり旧聞に属するトピックながら、先々週の8月16日に総務省統計局から「消費者物価指数2020年基準改定による遡及結果について」と題するメモランダムが示されています。これによれば、今年2021年4~6月期の各月については、ヘッドライン指数の上昇率でも、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率でも、あるいは、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI上昇率でも、ほぼほぼ▲0.7%ポイントの下振れが生じています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポート「2020年基準への改定で消費者物価はマイナス圏へ」から 基準改定によるコアCPI 前年比変化率への影響 のグラフを引用すると以下の通りです。

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なお、上のグラフを引用した三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートのほかにも、大和総研のリポート「CPIの2020年基準への改定による影響②」でも、同じく、ほぼほぼ▲0.7%ポイントの下振れという同様の基準改定の影響が報告されています。ただし、8月6日の総務省統計局のメモが出る前の先月7月の段階では、大和総研のリポート「CPIの2020年基準への改定による影響」とか、ニッセイ基礎研のリポート「消費者物価指数基準改定の影響試算」では、▲0.2%ポイントから▲0.3%ポイントの下振れが予想されていました。もともと、我が国のCPIに限らず、多くの物価指数は固定バスケットに基づくラスパイレス指数ですから、基準年から離れるに従って上方バイアスがかかるのは、多くのエコノミストの間の常識でしたが、基準改定による下方改定幅については議論あるところでした。
CPIの基準改定による新旧基準の乖離については、(1)ウェイト効果、(2)リセット効果、(3)品目効果、(4)モデル効果の4つが指摘されており、ウェイト効果とは、そのものズバリで基準改定に伴うウェイトの変更による効果です。リセット効果とは、基準年に指数が100に統一されることによる効果で、上昇・下落の変化率と幅が100を基準としてリセットされるため、下落品目の絶対値での寄与度が大きくなる一方で、上昇品目の寄与度が小さくなります。品目効果では、指数に採用される品目の追加・廃止などによる効果ですが、これは決して大きくないと考えるべきです。最後のモデル効果とは、品質調整のためにヘドニックで推計されている品目などのモデルが変更される効果です。これまた、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートに従えば、▲0.7%の下方改定を要因分解すると、(1)ウェイト効果▲0.19%、(2)リセット効果▲0.18%、(3)品目効果▲0.03%、(4)モデル効果▲0.30%、と試算されています。大和総研のリポートでも、グラフが示されており、ウェイト効果とリセット効果とモデル効果が大きくなっている点が確認できます。ウェイト効果とモデル効果では、いずれのリポートでも、携帯電話通信料のウェイトが高まり、大手通信会社の値下げの効果などの影響が大きいと結論しています。

さて、金曜日8月20日公表のCPIの結果やいかに?

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2021年8月16日 (月)

4-6月期GDP統計速報1次QEは年率+1%超の成長なるも前期からの反動の範囲にとどまり停滞続く!!!

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.3%、年率では+1.3%と、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の緊急事態宣言の影響でマイナス成長を記録した前期からリバウンドを示しています。COVID-19感染拡大は首都圏や関西圏をはじめとして勢いが止まることなくパラリンピックに突入しようとしており、加えて、ワクチン接種も供給不足から停滞気味と報じられており、景気の先行きは不透明感を増すばかりです。まず、日経新聞のサイトから長い記事を引用すると以下の通りです。

4-6月GDP、実質年率1.3%増 2四半期ぶりプラス成長
内閣府が16日発表した2021年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増、年率換算で1.3%増だった。プラス成長は2四半期ぶり。企業が手控えてきた設備投資が持ち直しプラスに転じたことなどが寄与したが、新型コロナウイルスの感染拡大で成長率全体は低めだった。
4~6月の大半は、政府が東京都や大阪府などに緊急事態宣言を出していた時期と重なる。個人の外出抑制や飲食店の営業時間の短縮、大型商業施設の休業などの措置がとられた。QUICKがまとめた4~6月期の民間エコノミスト予測の中心値(年率0.6%増)より大きかった。
コロナ禍の日本のGDPは、初めて緊急事態宣言が出た20年4~6月期に大幅なマイナス成長となったが、7~9月期と10~12月期はプラス成長が続いていた。21年1~3月期は東京都などへの緊急事態宣言の発令による個人消費の落ちこみが全体を押し下げ、3四半期ぶりのマイナス成長に転じていた。
GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.8%増と、2四半期ぶりに増加したが持ち直しは鈍かった。サービス消費が1.5%増、家電などの耐久財が0.4%増といずれも2四半期ぶりに増加した。衣類などの半耐久財は1.9%増とプラスとなったが、消耗品などの非耐久財は0.6%減だった。
内需のもう一つの柱である設備投資は1.7%増だった。プラスは2四半期ぶりで、これまで企業が先送りしてきた設備投資の再開が背景にある。半導体製造装置などの生産用機械や、デジタル対応などへの投資が目立った。住宅投資も2.1%増えた。公共投資は1.5%減り、2四半期連続のマイナスだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2020/4-62020/7-92020/10-122021/1-32021/4-6
国内総生産GDP▲7.9+5.3+2.8▲0.9+0.3
民間消費▲8.3+5.1+2.3▲1.0+0.8
民間住宅+0.6▲5.7+0.0+0.9+1.0
民間設備▲6.0▲2.1+4.3▲1.3+1.7
民間在庫 *(+0.1)(▲0.2)(▲0.5)(+0.4)(▲0.2)
公的需要+1.1+2.3+1.6▲1.5+0.1
内需寄与度 *(▲5.1)(+2.6)(+1.8)(▲0.7)(+0.6)
外需(純輸出)寄与度 *(▲2.9)(+2.6)(+1.0)(▲0.2)(▲0.3)
輸出▲17.5+7.3+11.7+2.4+2.9
輸入▲0.7▲8.2+4.8+4.0+5.1
国内総所得 (GDI)▲6.9+5.2+2.8▲1.6▲0.1
国民総所得 (GNI)▲7.1+5.0+3.1▲1.5▲0.0
名目GDP▲7.6+5.4+2.3▲1.0+0.1
雇用者報酬 (実質)▲3.5+0.6+0.9+2.2▲1.4
GDPデフレータ+1.4+1.2+0.2▲0.1▲0.7
国内需要デフレータ▲0.1+0.1▲0.7▲0.4+0.6

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された今年2021年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、GDPのコンポーネントのうち、赤の消費や水色の設備投資のプラスが大きく見えます。

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先週金曜日のこの私のブログでも1次QE予想を取り上げましたが、私は前期比年率で1%超くらいの数字を予想していました。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは年率で+0.6%の成長率予想でしたから、大きなサプライズはないとはいえ、やや上振れした印象を持つエコノミストも少なくない気がします。需要項目別に見ても、緊急事態宣言によるマイナス成長からのリバウンドですから、基本的に、消費の寄与度が+0.5%ともっとも大きくなっています。ただし、注意せねばならないのは、消費について考えると、1~3月期に前期比で▲1.0%減を記録した後、4~6月期の+0.8%増ですから、4~6月期は消費がリバウンドしたとはいえ1~3月期の水準には戻っておらず、引き続き消費は停滞したままだと考えるべきです。設備投資もならせば同じと考えるべきです。在庫についてはマイナス寄与なのですが、成長率への寄与という面ではなく、在庫調整が進んだと考えるべきであり悪い材料ではありません。内外需については、内需寄与度+0.6%に対して、外需=純輸出の寄与度が▲0.3%を示しました。景気局面の違いというよりは、国産ワクチンを持たない日本が世界市場でワクチンを調達して輸入額が膨らんだ、ということだろうと考えられます。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックがまったく終息しそうな気配すらなく、まだ感染者が増加を続けています。当然のように、重傷者も増加を示しており、この先、さらにロックダウンが強化される可能性すらあります。日本におけるワクチン接種が先進各国から遅れたのはかなりダメージ大きく、感染力の高いデルタ変異株に対する集団免疫獲得の閾値が上がってしまって、追いかけっことなってしまった上に、ワクチン供給の不足も広く報じられています。先行き景気は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック次第であり、何とも不透明感が広がっている気がします。

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2021年8月15日 (日)

秋山投手のナイスピッチングから完封リレーで広島に連勝!!!

  RHE
広  島000000000 072
阪  神10100001x 360

先発秋山投手のナイスピッチングで広島に連勝でした。6回以降も及川投手、馬場投手、アルカンタラ投手、そして最後は岩崎投手で完封リレーでした。近本選手の先頭打者ホームランから始まった打線は、わずかに6安打ながら効率的に3得点し、少ない点差で逃げ切る阪神らしい試合運びでした。

次の横浜戦も、
がんばれタイガース!

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2021年8月14日 (土)

猛虎打線が序盤から爆発して仁保投手が広島から初勝利!!!

  RHE
広  島100002000 362
阪  神02140020x 9160

昨日からペナントレースが再開されたとはまったく気づかず、今日からの観戦開始となります。ということで、猛虎打線が仁保投手に初勝利をプレゼントでした。サンズ選手が2発に、大山選手も2発放り込み、猛虎打線が目を覚ましました。佐藤輝選手が1安打に終わったほかは、下位打線も活発です。勝ちパターンのリリーフ陣を温存し、首位キープでした。

明日も、
がんばれタイガース!

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今週の読書はマルクス主義経済学の経済書のほか計4冊!!!

今週の読書は、なぜか、専門外のマルクス主義経済学の経済書2冊と新書2冊の計4冊です。マルクス主義経済学の本はそれほど馴染みがないため、自分でもどこまで理解できたかは自信がありません。今週は京都を離れて大都会まで出向いたため、移動に要した時間を読書に当てましたが、マルクス主義経済学の経済書を軽く読み飛ばすことすら出来ずに、その気もないのにじっくりと読み込むハメになって、理解がはかどらず通常以上の時間がかかった気がします。一応、辞書的にその後の調べ物などの対応には役立ったのではないかと思います。毎週お示ししております読書量なのですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げたものを含めて7~8月で35冊、これらを合計して147冊になりました。すでに8月の夏休みに入っており、実は、万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』上下をすでに買い込んでありますので、この先の夏休みはのんびりと軽い読書を考えています。

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まず、基礎経済科学研究所[編]『時代はさらに資本論』(昭和堂) です。著者は、マルクス主義経済学の学会であり、実は私も会員となっています。会員資格は、所員・所友・研究生とあるのですが、私はフル資格を得られる所員ではなく、所友という会員です。役員なんかにはなれないんだろうと思いますが、他方で、会費は少し安くなっているんではないかと思います。いずれにせよ、大学の研究費で支払っています。会員ですから、会費の範囲で無料で配布を受けています。タイトルはいうまでもなく、マルクスの『資本論』に由来しており、中身としても、『資本論』全3巻の構成に準じて、ではないとしても、3部から成っています。実は、10年余前にこの学会は『時代はまるで資本論』という本を出版しています。残念ながら、私は読んでいません。その当時は私はまだ国家公務員として働いており、研究所の会員ではありませんでした。終章ではベーシック・インカムを取り上げています。第1部では労働に焦点を当て、第2部では『資本論』の中心部分をなす商品と資本蓄積、資本の再生産に着目し、第3部で利潤率の傾向的低下や経済の金融化などから資本主義の終わりとその先を見据えた議論を展開しています。私の理解は十分ではないと思いますが、おそらく、広く一般向けではないと受け止めています。それなりに、経済学の基礎知識ある学生やビジネスパーソン向けであろうと思います。興味あふれる内容ながら、専門外の私は十分に理解したとは思えませんので、読後の感想はこれくらいにしておきます。

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次に、松尾匡[編著]『最強のマルクス経済学講義』(ナカニシヤ出版) です。著者は、立命館大学の研究者であり、私の同僚です。本書も松尾教授からご寄贈いただきました。誠に申し訳ないながら、あまりに専門外ですので研究費でも買おうとは思わなかったかもしれません。とうか、ご寄贈いただくまで、知りもしませんでした。本書も前の『時代はさらに資本論』と同じように3部構成となっています。資本論体型、数理マルクス経済学、経済史から成っています。400ページを超えるマルクス主義経済学のテキストであり、「妥協しない本格的マル経教科書」を標榜しています。私は、『資本論』全3巻は読んでいて、役所の採用面接の際にもそれを明言して採用された記憶があるのですが、赤道を挟んだ海外勤務2回を含む何度かの引越しのため、なぜか、『資本論』は散逸していたりします。本書に即していえば、今までまったく知りもしなかった第2部の数理マルクス経済学のモデル分析と実証分析が、私の専門分野にやや近いという気もしました。ただし、実証研究については、基本的に、産業連関分析が中心となっており、動学的な時系列分析にはマダ踏み込んでいません。その分、というか、何というか、第3部がごく短いながら経済史となっていて、長期の動学的な変動という意味の歴史を取り上げています。ただし、マルクス主義的な歴史、特に経済史というのは、生産関係の変更に基づく発展段階説ですので、同じ資本主義的生産における動学的な変動が分析対象になっていないのは、私の専門分野との大きな違いかもしれません。おそらく、私が認識していないだけで、産業連関分析やクロスセクション分析という静学理論と超長期の経済発展論の間を埋める理論体系がどこかにあるんだろうと思います。これまた、十分な理解からはほど遠いかもしれませんが、読後の感想でした。

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次に、西井開『「非モテ」からはじめる男性学』(集英社新書) です。著者は、臨床心理学の研究者です。どうでもいいことながら、私が知る限り、心理学は臨床心理学と社会心理学があり、前者が経済学におけるミクロ分析、後者がマクロ分析なんだろうと、ほのかに認識しています。ということで、世の中にはフェミニズムや女性学というのは、それなりに、一定の認知を受けているのですが、男性学というのは女性学よりは社会的に認められていないような気もしますし、加えて、「非モテ」から男性学を解き明かそうという試みは私は初めてでした。ただし、あくまで臨床心理学的な観点からの男性学ですので、テクニカルに「非モテ」を脱して、女性にモテるようになるための指南書ではありません。男性というホモソーシャルな集団の中で、高校生くらいから「非モテ」はからかいや緩い排除の対象とされ、自己否定を深めていくプロセスが見られるわけですが、おそらく、何らかの集団の中で、明確なシグナルをもって差別されるのではなく、こういった緩い差別を受けることに関しては、職業生活の中でもあり得ると私は受け止めています。私の場合も、東大卒がかなりの多数を占めるキャリアの公務員の中で京大卒でしたし、今の大学では大学院教育も受けていなければ、学位も持っていないと、ひどく見下されてイヤな思いをしています。しかも、「非モテ」と同じで、ほぼほぼすべてが「自己責任」で処理されています。本書では何ら指摘されていませんが、「非モテ」の生き辛さも「自己責任」による場合が多いと私は認識しています。加えて、私の場合は、ひょっとしたら、生物学的に男性として欠陥があるような気がしていたりします。例えば、著者自身も認めているように、他者に優越することを目指したり、いわゆるマウンティングを目指す男性的志向は私の場合はほとんどありません。特に、年齢を経てこの傾向が著しくなった気がします。ただ、「非モテ」の経済的なバックグラウンドには「自己責任」を強調された上で、低所得や、その典型としての非正規雇用などがあるような気がする一方で、私の場合は経済的には格差の真ん中へんないし上にあったですし、体格的には男性性が決して低くないので、リア充とはいわないまでも、「非モテ」にはならなかったのかもしれません。特に、30歳前後でバブル経済の派手な生活の経験を持っていますので、バブル期にはみんなが遊び回っていた記憶があり、「非モテ」はいなかった、ないし、少なかったのかもしれません。

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最後に、古谷敏・やくみつる・佐々木徹『完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦』(集英社新書) です。著者は、ウルトラマンのスーツアクター、漫画家にして大相撲他のマニアック分野の専門家、そして、週刊誌などでプロエスや音楽の記事を配信しているライターの3人です。集英社新書プラスのサイトの連載記事「ウルトラマン不滅の10大決戦 完全解説」を基に出版されています。10大決戦は、10番目から始まって以下の通りです。第10位 ゼットン、第9位 アントラー、第8位 ケロニア、第7位 ギャンゴ、第6位 ザンボラー、第5位 ジラース、第4位 ジャミラ、第3位 シーボーズ、第2位 ゴモラ―、第1位 ダダ、となっています。選ばれている基準は本書を読むしかないのですが、まあ、ウルトラマン世代に近い私なんかには理解できる気もします。本書冒頭の3ページほどに、これら10大決戦ほかのカラー図版が収録されています。まあ、何と申しましょうかで、判る人には私なんぞから中途半端な解説や書評は不要でしょうし、判らない人には何ページ費やしても判らないと思います。ご興味ある人にはたまらない企画かもしれませんが、ネットでかなりの部分が利用可能ですので、図書館で借りるのが吉ではないでしょうか。

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2021年8月13日 (金)

先週に続いて夫婦で大津のマンションを見学に行く!!!

またまた、カミさんとマンション見学に行きました。先週に続いて大津です。営業の人の迷惑を顧みずに、すでに夏の行楽と化している気がします

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上の写真はいつものレプリカリングです。3組あって、先々週・先週に続いて3組目です。先々週のシルバー、先週のゴールドに続いて、今週はシルバーとゴールドの組み合わせだったりします。今日のマンション見学は午後の予約だったので、大津駅にあるスターバックスで軽く昼食を取ります。その昔、南青山の公務員住宅に住んでいたころは、少しムリして歩けば徒歩圏内に3-4店のスタバがあったんですが、城北地区にマイホームを買ってからは駅ビルの1店になり、京都に引越してからは、とうとう地下鉄で山科まで出ないとスタバがなくなってしまいました。まあ、このスタバへのアクセスで見て段々と都心から遠ざかっているのを実感させられます。今日のマンションは、琵琶湖沿いの好立地ながら、やや通勤には不便な場所で、悩ましいところです。通勤しないカミさんはいいのですが、70歳までまだ数年の通勤を残す私には負担増かもしれません。毎週続いた金曜日のマンション見学も、今週で一区切りとして来週金曜日はパスしますが、9月に入ればまた行楽を兼ねて再開するかもしれません。

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来週月曜日8月16日公表予定の4-6月期GDP統計速報1次QE予想は小幅のプラス成長か?

必要な統計がほぼ出そろって、来週月曜日の8月16日に4~6月期GDP統計速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。ワクチン接種がなかなか進まない中で、東京オリンピックなどのため、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックがまたまた拡大して、首都圏や関西圏などに緊急事態宣言やまん延等防止重点措置が出ていて、影響が気にかかるところですが、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出たり解除されたり、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の動向は、ワクチン接種の行く方とともに、極めて不透明となっており、そういった影響も気にかかるところです。各シンクタンクでも、そのあたりは気にかけているようで、ほとんどの機関で先行きについて言及しています。逆に、先行きについて言及がないのは、下のテーブルの下の方の3機関、すなわち、伊藤忠総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングと三菱総研だけでした。いつもの通り、みずほリサーチ&テクノロジーズについては超長く引用していますが、実は、大和総研もGDPの需要項目をすべて引用するともっと長くなるため、消費だけに限定して引用しています。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.8%)
7~9月期を展望すると、飲食店の営業時間短縮やイベントの収容人数の制限、外出自粛などの要請が継続されたものの、ワクチン接種の拡大などを受けて徐々にサービス消費が回復するため、4~6月期を上回るプラス成長となる見通し。
大和総研+0.2%
(+0.6%)
7-9月期の日本経済は、4回目の宣言が個人消費の重石になる2ものの、輸出や設備投資といった企業部門の回復が続くことでプラス成長になるとみている。その後はワクチン接種率が高まり、経済活動の正常化が進むことで、個人消費を中心に回復基調が鮮明になろう。
個人消費は、7-9月期は4回目の宣言発出などによりサービス消費が横ばいで推移する一方、財消費は堅調な増加が見込まれる。政府は埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県を8月2日から宣言の対象に加えるほか、宣言の期限を適用中の東京・沖縄を含め8月31日までに延長する方針を固めた。また北海道・兵庫・京都・石川・福岡の5道府県は新たにまん延防止措置の対象とする見込みだ。変異株の影響が大きかったり、ワクチンの接種ペースが低下したりすれば、宣言対象地域の更なる拡大や期間の延長が見込まれ、個人消費を下押しする可能性が高まる。他方、足元のワクチン接種ペースを維持することができれば、10-12月期以降はワクチン接種率の十分な高まりにより感染拡大リスクが低減し、個人消費は持ち直すとみている。
みずほリサーチ&テクノロジーズ▲0.1%
(▲0.3%)
7~9月期も、変異株の感染拡大や4回目の緊急事態宣言の発令・延長などが下押し要因となり、弱い伸びになると予測している。
足元の新型コロナウイルスの感染動向をみると、感染力の強いデルタ型変異株(いわゆるインド型変異株、以下デルタ株)の広がりを受けて首都圏の新規感染者数が一段と増加しており、関東全体でみても5月の感染第4波のピークを超過している。特に、東京の新規感染者数は前週比約1.6倍で増加しており、デルタ株の感染力はアルファ株(英国型)対比で相当に強い可能性が高い。東京都iCDCの変異株スクリーニング検査では、デルタ株の比率が7/19~7/25時点で58.8%(速報値)と前週(46.3%)から上昇しており、アルファ株(英国型)からの急速な置き換わりがみられる。
政府は7月12日に東京都を対象として4回目の緊急事態宣言を発令し、酒類・カラオケ設備を提供する飲食店・遊興施設などに対する休業要請と、それ以外の飲食店・遊興施設への営業時間短縮要請(午前5時から午後8時まで)を実施した。現時点では人出を抑制する効果の十分な発揮には至っておらず(東京都の小売・娯楽モビリティの水準は本稿執筆時点でコロナ禍前対比▲25%近傍と、緊急事態宣言発令前からほぼ変わらない水準での推移が続いている)、首都圏や各地域で感染拡大が続いていることを受け、政府は7月30日に埼玉、千葉、神奈川、大阪に対して追加発令し、発令期間は8月31日まで(東京・沖縄も同日まで延長)とする方針だ。入院者数・重症者数は既に増加に転じており、8月上旬には医療体制のひっ迫が懸念されることから、規制措置の強化(例えば大規模イベントの中止、大規模商業施設への休業要請等)や発令期間の再延長がなされることも十分に考えられるだろう。
宣言の再延長・規制強化がなされる可能性が高いことに加え、感染者数の急増や医療体制のひっ迫を巡る悲観的な報道が増えることで(アナウンスメント効果)、先行きの人出は減少が見込まれる。7~9月期の個人消費は、対人接触型サービス消費を中心に低迷が続くと予測する。
さらに、車載向け半導体の供給不足を受けた自動車の減産が引き続き下押し要因となるだろう。巣ごもり需要や顧客側の在庫獲得競争を受けてマイコンの需要が急増しており、車載向けでも需要増に供給が追い付かない状況が続いている。半導体メーカーが増産投資をしても、装置発注から半導体出荷まで約2年を要するため、需要増を受けた設備投資が供給力に寄与するのは2022年以降になるとみられる。加えて、感染拡大による東南アジアからの部品供給減もマイナス要因になるだろう。自動車メーカーが夏場にかけて一部の工場の生産停止を発表する動きもみられており、7~9月期においても自動車の輸出・国内販売が下押しされるだろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.5%)
当研究所では、緊急事態宣言の解除を前提として 7-9月期は前期比年率 5%程度の高成長を見込んでいたが、7/12から東京都で緊急事態宣言が発令されたこと(沖縄県は 5/23~)、新型コロナウイルス陽性者数の増加を受けて緊急事態宣言の期間延長、対象地域の拡大が見込まれることから、消費の低迷はさらに長期化し、高成長が実現する可能性は大きく低下した。現時点では7-9月期は前期比年率1%程度のプラス成長を予想しているが、実質GDPの水準はコロナ後のピーク(2020年10-12月期)にも届かない。
海外経済の回復を背景に輸出が堅調を維持すること、住宅投資、設備投資など民間消費以外の需要項目は緊急事態宣言の影響を受けなくなっていることから、マイナス成長に陥る可能性は低いとみられるが、実質GDPがコロナ前(2019年10-12月期)の水準を回復するのは2022年入り後までずれ込む可能性が高い。新型コロナウイルス陽性者数が増加するたびに行動制限の強化を繰り返す限り、経済の正常化は実現しないだろう。
第一生命経済研▲0.0%
(▲0.1%)
7-9月期についても状況は芳しくない。足元で感染が急拡大し、緊急事態宣言が再発令・対象地域も拡大されたことで、夏場の個人消費は再び下押しされる。輸出や設備投資の増加が続くことからマイナス成長は避けられるとみるが、年前半の弱さの後にしては戻りは限定的なものにとどまるだろう。筆者は従来、ワクチン接種の進展から7-9月期に高成長が実現すると予想していたが、感染の予想以上の急拡大により、回復時期は10-12月期に後ずれする可能性が高くなった。現時点では、ワクチン接種のさらなる進展と、それに伴う感染抑制によりサービス消費がリバウンドすることで、年度後半以降は高成長が実現すると予想しているが、感染動向次第では回復時期がさらに後ずれするリスクもあることに注意が必要である。
伊藤忠総研+0.5%
(+1.9%)
4~6月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラスに転じた模様。個人消費が持ち直したほか、輸出が増勢を維持し設備投資が増加に転じたとみられる。今後も個人消費の持ち直し傾向は続くがコロナ感染拡大で勢いは抑制され、当面は輸出と設備投資頼みの景気回復となる見込み。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.4%
(+1.7%)
8月16日に内閣府から公表される2021年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率換算+1.7%)とプラス成長に復帰する見込みである。大都市圏を中心として4月に3回目の緊急事態宣言が発出され、その後、地域が拡大され、期限も延長されたことを背景に個人消費が低迷したものの、設備投資、住宅投資、輸出が順調に増加したため、全体ではプラスとなった。ただし、1~3 月期の落ち込み分(前期比-1.0%)を取り戻せておらず、力強さに欠ける。
三菱総研+0.1%
(+0.2%)
2021年4-6月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.2%)とほぼ横ばいを予測する。

見れば明らかなんですが、みずほリサーチ&テクノロジーズと第一生命経済研はマイナス成長を予想していますし、ほぼほぼゼロ成長という見通しもありますが、小幅なプラス成長という見方も根強く、私はそれなりのプラス、すなわち、前期比年率で+1%か、やや上回る成長率を予想しています。逆にいえば、緊急事態宣言やまん延防止等特別措置がそれほど機能していない、という見方もあり得るんではないかと思います。足元7~9月期もそれなりのプラス成長だと私は考えていますが、その前提はワクチン接種の拡大であり、極めて不透明な気も同時にします。エコノミストには不明なのかもしれません。というか、私には確実に不明です。
下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2021年8月12日 (木)

前年同月比上昇率が+5%を超えた7月の企業物価指数(PPI)国内物価をどう見るか?

本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+5.6%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

7月の企業物価指数、前年比5.6%上昇 前月比1.1%上昇
日銀が12日発表した7月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は105.7で前年同月比で5.6%上昇、前月比で1.1%上昇した。市場予想の中心は前年比5.0%上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比11.2%上昇、前月比で0.4%上昇した。輸入物価は前年比27.9%上昇、前月比で1.8%上昇した。

とてもコンパクトに取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、2020年5月を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで同定しています。

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このところ、順調に足元で物価が下げ止まりつつあると私は評価しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスではPPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で+5.0%の上昇と見込まれており、レンジの上限でも+5.4%でしたから、レンジの上限を突き抜けて大きく上振れた印象です。国際商品市況における石油をはじめとする資源価格の上昇に起因するとはいえ、このところ、順調に物価上昇率が拡大していると私は受け止めています。国内物価について品目別で前年同月比を詳しく見ると、石油・石炭製品が+38.8%、木材・木製品が+33.1%、非鉄金属が+32.3%、鉄鋼+11.8%、化学製品+10.9%などが2ケタ上昇となっています。ただし、石油・石炭製品と非鉄金属と木材・木製品の類別については、7月統計の上昇率は6月統計を下回っており、前年同月比上昇率で見ればすでにピークアウトした可能性があります。米国の消費者物価指数(CPI)前年同月比上昇率も、食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアCPIで見て6月の+4.5%から7月には+4.3%に上昇幅がやや縮小していますので、ほぼほぼ同じ傾向かと私は受け止めています。また、我が国のPPIに戻ると、季節調整していない原系列の統計ながら、前月比も+1.1%の大きな上昇を示しており、類別・品目別で寄与度の大きい順に見て、石油・石炭製品が+0.28%、電力・都市ガス・水道も+0.27%、鉄鋼が+0.10%、化学製品と木材・木製品が+0.09%などとなっています。これらの統計からも、基本的に、国際商品市況における石油ほかの1次産品価格の上昇とともに、中国をはじめとする新興国における景気回復が背景にあることが確認できると考えるべきです。

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2021年8月11日 (水)

しばし京都を離れて大都会のビジネス街を歩く!!!

わずか1泊だけですが、久しぶりに、京都を離れて大都会に行ってきました。
通い慣れた霞が関や永田町周辺でしたらもっとよかったのかもしれませんが、昨日の昼過ぎには、炎天下のビジネス街を地下鉄2駅分くらい歩いてswatchショップに行って修復を依頼したりしていました。下の写真のようにクロノグラフとミュージコールと呼ばれる年季の入った古い時計です。

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大学ではつまんない言葉のやり取りなんかでひどく疲れ果ててしまい、ちょっとした機会を捉えて京都を離れてリフレッシュした気がします。やっぱり、街行く人は洗練されていますし、UberEatsの自転車がいっぱい走っています。我が家近くの田舎道と違ってロードバイクはちゃんと車道を走っています。スターバックスは2キロほどの距離で何店かあったりします。炎天下とはいえ、ビルがやたらと高いので日陰も出来ます。でも、ついでに、東京、というか大都会のビジネス街へのホームシックめいた気分も味わってしまいました。生まれ故郷とはいえ、関西の方に引っ込むんではなく、東京の並外れて活気ある経済を身近に感じられるシーンに身を置いておくべきではなかったか、と今さらながらに反省しています。気楽にそういうことをいっていると、「いやいや、長らくキャリアの公務員を勤め上げて定年退職し、大学教授に再就職できるんだから、そんな文句をいってはいけない」と年下にたしなめられてしまいました。そうかもしれません。でも、チャンスがあれば東京に戻る準備は整えておこうと思います。チャンスはない可能性がグンと高いことは自覚しつつ...

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2021年8月 9日 (月)

久しぶりに体重がBMI22を割る!

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最近1年近く、昨年2020年9月からのBMIの推移です。毎日、風呂上がりに記録していますので、昨夜の分までです。
昨年11月上旬に向かって体重が減少し、その後、大きく増加に転じていたのが見て取れます。その後、6月中旬から減少に転じて、特に、7月半ばからはこの傾向著しく、昨夜はBMI21.4まで低下しました。
ただし、必ずしも健康的に体重が減少したというわけでもなく、やや不健康な減り方かもしれないと自覚はしています。学卒の私には出来かねる仕事を割り振られて気分が滅入ったり、ソフトウェアが商売道具の私なのに研究費が不足して、最低でも3本必要なソフトウェアを1本だけしか買えずに、STATA一本足打法になったりで、睡眠不足とか食欲不振に陥り、不健康に体重が減って元に戻った気がします。でもまだ、夏休みは始まったばかりですから、10月の後期授業開始までに健康を回復したいと思います。

明日から少し京都を離れます。ブログはお休みしますので悪しからず。

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2021年8月 8日 (日)

今度は大津までマンション見学に行く!!!

今日ではなく、一昨日の金曜日だったのですが、またまた、カミさんとマンション見学に出かけました。ついに、京都府を飛び出して隣県滋賀の大津まで出向いてしまいました。

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一番上は、レプリカ・リングです。先週のシルバーと違って金色です。もちろん、価格からして金ではあり得ず色だけです。真ん中は、大津駅のカンバンです。この大津駅ビルの2階に入っているカフェでランチでした。最後は、マンションから歩いて琵琶湖岸まで行った写真です。モデルルームの営業の方にいわせると、東海道本線と琵琶湖岸の距離が一番近いのが大津だそうで、この先の草津などはかなり遠いといいます。ただ、このあたりは埋立地ですので、やや地盤の強度に不安があります。その点、京都は文字通り盤石で、特に、御所周辺はマンションでも深くまで杭打ちをする必要もあまりなく、フツーの家だったりすると、そのまま置いただけでも十分、とすらいいます。まあ、実際には検知器基準法の規制は当然にあるものと思います。取りあえず、来週で一旦の区切りとする予定です。つまり、来週の金曜日もマンション見学にお出かけします。

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2021年8月 7日 (土)

今週の読書は興味深い経済書をはじめとして『枝野ビジョン』まで計5冊!!!

今週の読書は、格差問題を専門とするエコノミストが資本主義について論じた学術書や慶應義塾大学の研究者のエネルギーに関する学術書をはじめとして、立憲民主党の枝の代表の著書まで、幅広く経済に関する読書にいそしみました。以下の通りの計5冊です。
毎週お示ししております読書量なのですが、このブログで取り上げた新刊書だけで、1~3月期に56冊、4~6月も同じく56冊、今日取り上げたものを含めて7~8月で31冊、これらを合計して143冊になりました。すでに8月の夏休みに入っており、先週の段階ではのんびりと軽い読書を考えないでもなかったのですが、実は、大学の同僚教員などから、何と、まったくの専門外ながらマルクス主義経済学の経済書を2冊ほどちょうだいしています。専門外なので軽く読み飛ばすか、あるいは、じっくりと取り組むか、いかなる結果になるかは予測不能ながら、少し京都大学のころにやらなかったわけでもないマルクス主義経済学について勉強を試みようかと考えています。でも、ムリかもしれません。

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まず、ブランコ・ミラノヴィッチ『資本主義だけ残った』(みすず書房) です。著者は、世銀のエコノミストを経て不平等の研究で有名なルクセンブルク所得研究センター(LIS)の研究者をしています。私は世銀エコノミストのころの『不平等について』や『不平等』を読んでいて、このブログの読書感想文にもポストしています。後者の『大不平等』でエレファント・カーブが表紙にあしらわれていたと記憶しています。英語の原題は Capitalism, Alone であり、2019年の出版です。ということで、本書は不平等や格差の問題も念頭に置きつつ、歴史的な発展段階説を考察しています。冷戦が集結して、ソ連東欧的な共産主義が消え去った後ながら、アジア的、というか、中国やベトナムのような市場経済を導入しながらも、社会主義や共産主義と自称する経済システムは残っていることを背景に、マルクス主義的な歴史発展説に修正を加えて、資本主義から社会主義、そして、共産主義に至る歴史発展、すなわち、西洋的な発展過程において共産主義が最終的な経済システムとなる考えではなく、むしろ、資本主義が最終的な経済システムであり、中国やベトナムのような社会主義・共産主義においては、その発展段階において市場の欠落というマイナスよりもインフラ整備などのプラス面の方が大きく、一定の経済発展を経た上で市場を導入して資本主義に至る、という経路が想定されて然るべき、という議論を展開しています。すなわち、本書で「第3世界」と呼ばれている発展途上段階にある諸国では、マルクス主義的な見方でいうところのブルジョワジーが果たすべき資本蓄積やインフラ整備を社会主義政府が代替する、という歴史観です。なかなか示唆に富んでいる気がします。ただ、本書の議論の中心的な論点は、米国を代表とするリベラル能力資本主義と中国を代表とする政治的資本主義を対置して、後者が所得の増加とともに前者に収斂する、という歴史観です。所得水準の収斂についてはバロー教授の研究成果などから、一定のコンセンサスがあると私は考えています。他方で、本書の著者はトマス・フリードマンの『レクサスとオリーブの木』に示されたようなマクドナルドの世界展開による戦争の抑止力、すなわち、グローバル化による相互依存関係の深化が平和を必要とする、あるいは、平和を促すという効果は明確に否定しています。逆から見れば、資本主義が帝国主義に転化し、先進国が途上国を植民地にするという形でグローバル化が進む中で、第1次世界大戦が生じたことから、こういった資本主義や帝国主義が戦争をもたらすというマルクス主義的な見方を、少なくとも否定するわけではない、ことが示唆されていると私は受け止めていますし、付録Aにも明記されています。ただ、マルクス主義は北欧に代表されるような社会民主主義的な資本主義の可能性を軽視、ないし、無視しているという指摘も、そうかもしれないと思います。しかし、私の共産主義に対する考えは、後の方の大澤真幸の『新世紀のコミュニズムへ』で明らかにするつもりです。ともかく、情けないながら、よく判らない部分がいっぱいです。私の勤務する大学では、我が母校の京都大学をはじめとする旧制の帝国大学の経済学部のようにマルクス主義経済学が無視し得ないウェイトを占めていて、いくつかそういった経済学の本をもらったりしているので、少し夏休みに勉強しておこうかと思わないでもありません。

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次に、野村浩二『日本の経済成長とエネルギー』(慶應義塾大学出版会) です。著者は、慶應義塾大学のエコノミストです。昨年菅内閣が打ち出した「2050年カーボンニュートラル」も見据えながら、本書はエネルギー政策や環境政策に関するほぼ教科書的な分析を提供しています。ただし、出版元から考えても、かなり純粋な学術書といえます。まず、いくつかの期間に渡る我が国のエネルギー生産性向上(EPI)を見ても理解できるように、需要に基づく生産の拡大ほどにはエネルギー消費は増加しているわけではありません。すなわち、本書でいうところのエネルギに対する労働の浅化と資本ストックの深化により、最終生産物や付加価値に対してエネルギー消費が大きくならない、というか、エネルギー効率生が高まっているといえます。産業構造の変化とともに、本書で指摘するように、エネルギーを別の財に姿を変えて輸入するという場合もあります。例えば、本書では触れられていませんが、日本ではアルミ生産がかなり前に放棄されているのは、ボーキサイトからアルミを精錬するコストは電力コストが極めて大きな部分を占め、その競争力がなくなったからです。ですから、私がジャカルタにいたころに、インドネシア国内のアルミ精錬工場の見学に行きましたが、ダムを建設して水力発電で電力を確保した上での工場建設でした。このアルミを輸入するということは、電力エネルギーを輸入する部分も決して無視できないわけです。エコノミストとして、ついつい、何らかの比率を固定的に考える場合があり、典型的には貨幣数量説を念頭に、リフレ派の金融政策を取っている現在の黒田総裁下の日銀が、サッパリ、インフレ目標を達成できなかったりするわけですが、特に、専門外の私なんぞが考えるエネルギーについてはその傾向が強いと私は考えています。産業構造の変化を別にするとしても、生産が拡大するにつれてエネルギー消費が増加し、それが化石燃料が大元にあるエネルギーであれば二酸化炭素排出も増加する、と考えるわけです。ですから、齋藤幸平『人新世の「資本論」』のように、脱成長を目指すことでしか地球環境問題への対応はできない、と考えてしまうのですが、それはエネルギー消費の生産性やその基本となる技術の問題を無視ないし軽視しているように見えます。私は逆U字型の環境クズネッツ曲線を推計した結果を前の長崎大学の紀要論文に取りまとめたことがありますが、この環境クズネッツ曲線はほぼほぼまやかしに近くて、産業構造の変化とか、形を変えたエネルギーの輸入によると考えるべきですが、ホントの技術革新による省エネルギーや二酸化炭素排出の減少も今後はできる可能性が十分あります。ただし、何度かこのブログで示したことがあるように、現在の資本主義的な市場ではエネルギーの価格付けが正しく行われていないのではないか、と私は危惧しています。ですから、本書で指摘するように、日本の戦後の歴史の中で政府規制ではなく市場価格によりエネルギー消費が抑えられてきた点を強調しすぎると、やや逆効果な気がします。過去の実績あるエネルギー消費の抑制と同じ手法で二酸化炭素排出の抑制を実施できると考えるのは、現状の地球環境の変化に対しては楽観的すぎるような気が私はしており、より強力な直接的規制もしやに入れリ必要あるのではないか、と考えています。

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次に、白井聡『主権者のいない国』(講談社) です。著者は、京都精華大学の研究者であり、政治学が専門のようです。私はこの著者の本は『永続敗戦論』や内田樹との対談集『属国民主主義論』を読んでいます。ですから、基本的なこの著者の立ち位置は、マルクス主義、あるいは、左翼と私は受け止めています。そして、本書では、タイトルの意味するところは終章(p.314)にあり、「標準的日本人は、『政府も政権もダメだ』と思っているにもかかわらず、どういうわけか選挙になると正反対の投票行動を示す。」という謎の解明にあるようです。巻末の初出一覧にあるように、各種媒体で既出の論考を集めたものですので、かなり重複もあるわけですし、逆に、矛盾しかねない難解な記述も散見されます。ただ、決定的に不足しているのは、経済政策の解明です。つまり、本書では前の安倍政権と現在の菅政権の政策について、コロナ対策についてはPCR検査の抑制やワクチン接種の遅れなど、どうしようもない劣悪な実態を明らかにするとともに、国体という観点からも指示し難い政策を列挙しています。特に、対米従属の正当化の観点から、アジアにおける北朝鮮の存在をもって、アジアでは冷戦が終わっておらず、朝鮮戦争が終結を迎えるくらいなら、もう一度戦闘行為がある方を選びかねない保守派の見方を紹介していて、それはそれなりに解釈のあり方なんでしょうが、経済政策で国民を引きつけているという視点がまったくありません。もちろん、福島第一原発の処理を巡っても、民主党政権の政策対応のまずさは際立っていますが、同時に、経済政策では「事業仕分け」という名の緊縮財政に走り、日銀の独立性を余りに重視した緊縮金融政策の容認とともに、国民生活を経済面から苦しめた点が忘れられています。私が、特に前の安倍政権下におけるアベノミクスで評価するのは雇用の拡大です。もちろん、非正規雇用による格差の拡大とか、賃金上昇の不足とか、いろんな論点はありますが、雇用がここまで拡大し、不本意非正規雇用がそれほどでないという事実は忘れるべきではありません。政策的なアベノミクスだけでなく、政策とは関係なく人口減少下での人手不足という要因も大きいことながら、雇用の拡大に対する支持が決して無視できない点が本書では大きく抜け落ちています。ですから、5年ほど前の2016年5月に取り上げた松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』の世界をもう一度思い起こすべきです。政治的には改憲を目指すウルトラ右派な安倍政権が、かなりリベラルで左派的な政策を推進したと私は考えており、こういった国民生活を見据えた経済政策を左派リベラルが提案しないと、ホントに自由と民主主義が奪われかねない、と危惧しています。立憲民主党と共産党が左派連合を組んで、最初に取り組む経済政策が緊縮財政による予算均衡の達成だったりすると、2009年の「政権交代」の失敗の二の舞になることは明らかです。経済政策で国民の支持を取り付けるという発想が欠けると、そうなりかねない危険があることを強く指摘しておきたいと思います。

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次に、大澤真幸『新世紀のコミュニズムへ』(NHK出版新書) です。著者は、社会学者であり、専門は理論社会学ですから、エコノミストではありません。ですから、キュブラー・ロスによる死の受容5段階なんてのが出て来たりします。ただ、現在のコロナ禍が人新世の環境変動の一環として理解されるというパースペクティブは私も、ハッキリいって、初めてで、それなりに新規な見方であると感じました。エコノミストの発想ではないような気がします。ということで、コロナ禍の経済的帰結として、もっとも重要なもののひとつが格差の拡大であるという点は、私も十分認識しており、このブログでも何度か主張してきましたし、大学の授業においても取り上げています。この格差拡大を階級間の格差拡大と捉え、その上で、国際的か普遍的な連帯を放棄して、水際対策などと称して、むき出しの国家エゴに走る姿を重ね合わせて、資本主義から新たな経済システムを遠望する、という形の論考となっています。さらに、進んで、ユニバーサルなベーシックインカムについても論じ、その財源として、ポズナー&ワイル『ラディカル・マーケット』において導入が主張されている共同所有自己申告税(common ownership self-assessed tax=COST)を候補として上げています。そして、ハーディン的な「コモンズの悲劇」の逆を行って、コモンズを拡大する方向を志向します。そして、齋藤幸平の『人新世の「資本論」』と同じように、脱成長に基づくコミュニズムにより地球環境問題の解決も同時に視野に収めています。エコノミストの私としても、第4章の途中まではかなりの程度に理解できる、というか、合意できるんですが、第4章の最終節から先については、コモンズの形成に関する部分も含めて、私の理解を超えてしまいました。私は、どちらかというと、というか、絶対的に加速主義の左翼なのであろうと自覚しています。ですから、生産性がさらにさらに向上し、すべての商品が希少性を失い、そのために価格がなくなり市場メカニズムが崩壊するの段階、がコミュニズムだと考えています。その前段階で、基礎的な衣食住などの商品の希少性が失われるのが社会主義なのかもしれない、と考えています。コチラは違うかもしれません。それらの段階では、誠にご都合主義的なのですが、技術進歩により、決して環境クズネッツ曲線的でなく、環境負荷が劇的に減少する段階に至る、と考えています。まあ、私のマルクス主義経済学に関する知識はそんなもんです。

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最後に、枝野幸男『枝野ビジョン』(文春新書) です。著者は、ご存じ、立憲民主党の代表です。ということで、2009年に政権交代を成し遂げた民主党が希望の党に合流する際に、合流から排除された国会議員で始まった立憲民主党ですから、さぞ左派、リベラルを任じているのではないかと思いましたが、ご本人は保守であり、むしろ、戦後自民党の保守本流であった吉田内閣、あるいは、池田内閣、佐藤内閣、などの流れに立憲民主党を位置づけています。確かに、今世紀に入ってからの小泉内閣以来、特に前の安倍内閣や現在の菅内閣は、エコノミストの私から見てもネオリベそのものですから、ひょっとしたらそうではないかという気すらします。ということで、本書で著者は、日本の歴史をひもといて、水田耕作を効率的に勧めるために、自由競争ではなく地縁血縁による共同作業を重視するとの観点から、「支え合い」と「助け合い」をキーワードにしたビジョンを力強く示しています。特に、主流派経済学でも情報の非対称性などから市場が成り立たないと考えられている医療や教育については、財政赤字のためにネオリベな観点から効率化を求められ、コロナ禍もあって、システムとしては崩壊していると断言し、もしも崩壊していないとすれば、これらの仕事に携わる個々人の使命感に支えられたことを理由に上げています。私も大いに合意するところです。過度の自己責任を否定し、「支え合い、分かち合う」精神で、経済政策においても効率性よりも所得再配分政策をより重視する姿勢を打ち出しています。そして、高齢者の過剰貯蓄、というか、過小消費については、将来不安を理由に上げるのは当然としても、結論として年金の増額ではなく、医療をはじめとする社会保障の現物給付に重点を置く姿勢を際立たせています。確かに、所得を積み増しても将来不安のために貯蓄される割合が高まる可能性も十分あり、傾聴に値する意見かもしれません。もちろん、こういった財源論をはじめとして、国際収支の黒字を保つとか、ツッコミどころはいっぱいあって、現時点で完成した次期政権交代へのビジョンとして受け止めるのはまだ雑な部分が多く残されていますが、今年は必ず政権選択選挙である総選挙がある年ですから、ひとつの提案として真面目に議論するに値する気がします。いずれにせよ、現在のネオリベな格差社会というのは、おそらく、その昔の表現でいえば「勝ち組」、すなわち、格差の上の方にいる人には居心地がいいんでしょうね。私なんぞは、学卒で働き始めて役所を定年で退職して大学教員になったわけですので、大学院教育は受けていませんし、博士号などの学位もありません。そういった私のような資格や能力ない教員が大したサポートもなく、自己責任だけ強調されてアップアップで苦しんでいるのに対して、スイスイと授業や研究をこなしている教員も多いわけで、うまく格差社会の波に乗っている人は気分いいのは判る気がします。その上、ひょっとしたら、私のようなアップアップの姿を上から目線で見下すのは、見下される方からはたまったものではありませんが、見下す方は気分よかったりする可能性も否定できません。コチラは、私には判りません。判らないながら、授業や研究などの仕事の話はヤメにしようといっているのに、どうしても私相手に仕事の話をしたがる同僚教員もいますから、気分いいのかもしれないと思ったりします。しかしながら、本書の立場ではありませんが、見下されて虐げられる者は革命を志向するような気もします。

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2021年8月 6日 (金)

7月統計の米国雇用統計はかなり強めの数字ながら慎重な見方も必要か?

日本時間の今夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は今年2021年に入って着実にプラスを記録しており、本日公表の7月統計では+943千人増の大幅増を記録しています。同時に、失業率は前月の5.9%から7月には5.4%に大幅に低下しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の4パラだけ手短に引用すると以下の通りです。

Economy adds 943,000 jobs in July despite COVID surge, worker shortages as unemployment falls to 5.4%
U.S. hiring surged again last month as the economy continued to reopen, with employers adding 943,000 jobs despite a spike in COVID-19 cases as persistent worker shortages appeared to ease.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey of households, tumbled from 5.9% to 5.4%, the Labor Department said Friday.
The job gain, the largest since August 2020, topped the 900,000 projected by economists surveyed by Bloomberg.
So far, the U.S. has recovered 16.7 million, or 74%, of the 22.4 million jobs lost last spring, leaving the nation 5.7 million jobs below its pre-pandemic level.

まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは今年2020年2月を米国景気の山と認定しています。ともかく、2020年4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

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引用した記事の3パラ目にもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスでは+900千人の雇用増が予想されていましたので、+943千人増はやや強めの数字と受け止められています。しかも、失業率も大きく低下しています。ただ、引用した記事の最後の4パラ目にあるように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で失われた雇用22.4百万人のうち、74%の16.7百万人の雇用が取り戻せたところですから、まだ、パンデミック前の水準から比べて▲5.7百万人の雇用が減少しているわけですので、この先も雇用に置いては強い数字が続く可能性が十分ある、ということになります。もっとも、必ずしも楽観的な見通しばかりではありません。広く報じられている通り、新たなデルタ株の変異ウィルスの感染力はかなり強力なようですし、米国で再び感染が拡大しているのも事実です。加えて、ワクチン接種が遅れているアジアの生産が米国の景気拡大ペースに追いつかずに、新たな供給制約が生じる可能性も指摘されています。米国労働市場だけに着目すると、アイダホやモンタナなど、いくつかの州で失業給付に加算された上乗せ部分を6~7月に前倒しで打ち切る動きもあります。米国労働市場のモビリティは日本より格段に高いのですが、どこまで労働市場の調整に役立つか、今回ばかりは未知数です。

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6月統計の景気動向指数は外需による景気拡大が内需の停滞をカバーして4か月連続で「改善」が続く!!!

本日、内閣府から6月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+1.5ポイント上昇して104.1を示し、CI一致指数も前月から+1.9ポイント上昇して94.0を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、1.9ポイント上昇 基調判断は据え置き
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント上昇の94.0となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.9ポイント上昇だった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.5ポイント上昇の104.1だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す

短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。

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ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、今月も4か月連続で「改善」に据え置きとなっています。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」ですから、後者の当月の前月差はマイナスながら、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇しているので「改善」と据え置かれています。逆に、3か月後方移動平均がマイナスとなれば、「足踏み」となるわけです。やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。逆に、判断基準がとても透明性が高いともいえます。
6月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、寄与が大きい順に、有効求人倍率(除学卒)、生産指数(鉱工業)、 鉱工業用生産財出荷指数などのマプラス寄与が大きくなっています。逆に、マイナス寄与を見ると、 商業販売額(小売業)(前年同月比)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が足を引っ張っています。すなわち、ワクチン接種で大きく日本に先んじた諸外国、特に米国については大型の財政政策も含めて、日本と景気局面が異なることから、外需によって生産が拡大し、生産の派生需要として雇用も改善している一方で、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による経済的な影響が商業販売などの内需に及んでいるわけです。すなわち、外需の景気拡大効果が内需の停滞をカバーした形で景気改善が進むという姿であることは忘れるべきではありません。

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2021年8月 5日 (木)

明治安田生命「夏に関するアンケート」の調査結果やいかに?

我が家は来週から本格的な夏休みに入る予定なのですが、その前から夫婦でマンション見学というお出かけを楽しんでいたりして、夏の行楽をとてもお安く上げているのですが、一昨日8月3日に、明治安田生命から「夏に関するアンケート」の結果が明らかにされています。夏休みに使う金額は昨年から▲1万円余りダウンし、外出自粛により自宅でゆっくり過ごす人が多くなり、今年の夏休みを表す漢字はズバリ「家」という結果が示されています。マンション見学を含めて、我が家もおおむねその通りなので、簡単にこのアンケート調査の結果を取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 夏休みに使う金額の推移 のグラフを引用すると上の通りです。2018年10月を直近の景気の山として景気後退局面に入ったため、2019年夏の支出額は前年から大きく落ち込んでいるのが見て取れますが、その後も新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックのために減少が止まりません。今年2021年の夏の支出は調査開始以来の最低額を記録し、前年比▲11,350円ダウンの53,807円にとどまりそうです。加えて、夏休みに使う金額を減らす理由については、1位が「外出自粛により使い道がないため」が68.4%ともっとも大きな理由となっていて、2位が「収入が減少したため」27.9%、3位が「将来の不安のため預貯金に回し、使用したくないため」25.4%などと、ほぼほぼ新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響であるといえます。

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次に、リポートから 今年の夏休みの過ごし方 のグラフを引用すると上の通りです。複数回答のようですが、見れば明らかな通り、「自宅でゆっくり」が73.4%と圧倒的です。ただし、同時に、理想の夏休みの過ごし方も聞いており、この回答の方は「国内旅行」が50.6%と「自宅でゆっくり」の45.0%を抑えてトップとなっています。ホントは旅行ぐらいは行きたいところ、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で自宅でゆっくりしなければならない、という本音が透けて見えます。「帰省」も理想の方では24.6%を占めているのですが、上のグラフの現実では10.4%と半分以下になってしまっています。

最後に、グラフは引用しませんが、今年の夏休みを表す漢字1文字を質問しているところ、「自宅でゆっくり」過ごす夏休みを反映して「家」が35.9%でトップとなっています。これに続いて、2位が控えるの「控」23.5%、3位が「近」23.0%など、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で外出自粛や遠出を控えて支出を抑える夏休みから連想される漢字が続いています。ある意味、やや悲しいという気がしています。

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2021年8月 4日 (水)

有害な言論はどこまで警戒すべきか?

一昨日8月2日、エコノミスト誌のGraphic Detailのコーナーに、People in the West are least worried about hurtful speech と題するグラフが掲載されています。

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まず、エコノミスト誌のサイトから引用すると、上の通りです。有害スピーチ hurtful speech、とは、我が国でいえば「ヘイト・スピーチ」ということになるのかもしれませんが、エコノミスト誌では、一般に左派は有害な言論に対して非寛容的であり、公共の場での容認できない有害な発言を規定する法令の必要性を感じているのに対して、右派はこういった規制が行き過ぎると言論の自由がリスクにさらされる可能性を危惧する傾向がある、と指摘しています。
その上で、英国のキングスカレッジ・ロンドンの世論調査員であるモリ氏が行った最近の調査、2020年12月から2021年1月にかけて28か国の23,000人の成人に言論の自由に対する調査を実施した結果が上のグラフの通りです。左のパネルの棒グラフでは、青い方が有害スピーチに寛容で、赤い方は非寛容でスピーチの変更を求める、ということになり、右のパネルでは、ズバリ、報道の自由と有害スピーチへの寛容性を2次元のカーテシアン座標にプロットしています。左のパネルから、我が日本は調査対象国の平均よりも有害スピーチに非寛容であることが読み取れます。もっとも寛容なのは英国であり、もっとも非寛容なのは中国という結果になっています。日本は先進民主主義国の中ではもっとも非寛容という結果です。そして、主たる結論を引き出している右のパネルに着目すると、みごとに報道の自由と有害スピーチに対する寛容度は正の相関を示しています。通常は相関関係なのですが、高校の数学で習った関数に従って、y=f(x)ですから、x軸の変数がy軸の変数を決める、という因果関係が暗黙に想定されています。つまり、報道の自由が十分に保証されていれば、有害スピーチにも寛容、というか、変更を求めるわけではなく、それほど気にしない、という結論です。

ポリティカル・コレクトネスと報道や言論の自由と有害スピーチ、この3者の関係について、なかなかthought-provokingな調査結果でした。

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2021年8月 3日 (火)

野村総研のコラム「緊急事態宣言拡大による経済損失は東京五輪の経済効果の1.3倍に」やいかに?

先週金曜日の7月30日に、野村総研から「緊急事態宣言拡大による経済損失は東京五輪の経済効果の1.3倍に」と題するコラムがポストされています。というのも、広く報じられているように、東京都と沖縄県に加えて、昨日から首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言が出されるとともに、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県がまん延防止等重点措置の区域となっています。無観客とはいえ、東京オリンピックを強行開催したことがすべての原因とは思わないものの、少なくとも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大、そして、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の一因となっている、と私は認識しています。ですから、本来のスピルオーバーを含めない市場価格による比較とはいえ、緊急事態宣言による経済的なマイナスと東京オリンピックの強行開催に伴う経済効果を比較する議論はなされて然るべきと私は考えています。

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まず、上のテーブルは、野村総研のサイトから引用しています。第4回緊急事態宣言拡大の経済効果が示されています。見れば明らかな通り、個人消費の減少だけで▲2兆円を超える負の経済効果が試算されています。年間GDPに対する比率は0.4%あり、厳密ではないものの、ほぼほぼ緊急自体宣言によって2021年の成長率は▲0.4%引き下げられるということです。もちろん、これに伴って失業者も1万人近く増加します。

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次に、上のテーブルは、別の野村総研のサイトから引用しています。東京オリンピック・パラリンピック観客制限による経済効果の減少の試算結果が示されています。これも、見れば判る通り、無観客での東京オリンピック・パラリンピックの経済効果は1.664超円と試算されています。上のテーブルに示されているように、緊急事態宣言による負の経済効果が▲2.19兆円ですから、差し引き5000億円超のネットの負の経済効果だけが残ることになります。別の見方をすれば、本日のタイトルに取った野村総研のコラムの通りに、無観客での東京オリンピック・パラリンピックの経済効果の1.3倍に上る負の経済効果が緊急事態宣言から生じていることになります。繰り返しになりますが、今回の緊急事態宣言がすべて東京オリンピック・パラリンピックの強行開催が原因であると主張するつもりはありませんが、ネットの経済効果はふと試算されたのは事実です。

私はこれらの経済効果は、いつも主張しているように、市場価格だけに基づいて試算されたものであって、スピルオーバーを含めない仮の試算に近いと考えていますが、それにしても、東京オリンピック・パラリンピックは、ネオリベな視点からしても「生産性がない」、といわざるを得ません。

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2021年8月 2日 (月)

消費者態度指数はコロナの感染拡大あるもワクチン期待で前月から小幅に改善!!!

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.1ポイント上昇し 37.5を記録しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大が消費者マインドに影を落としていることはいうまでもありません。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の消費者態度指数、小幅に2カ月連続上昇 ワクチン期待で
内閣府が2日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.1ポイント上昇の37.5だった。上昇は2カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大は続いたが、ワクチン接種の進展期待がわずかに指数を押し上げた。
指数を構成する4指標のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」の3つが上昇した。内閣府の担当者は「ワクチン接種が進むことへの期待感があると推測される」と話した。
調査期間は7月7~20日だった。7月12日に東京都を対象に4回目となる緊急事態宣言が発令された。感染者数が増加傾向にある中、先行きへの不安は指数の上昇を抑制したとみられる。
内閣府は消費者心理についての基調判断を「依然として厳しいものの、持ち直しの動きが続いている」と前月から据え置いた。
株式や土地などの「資産価値」に関する意識指標は前月比1.2ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上の世帯が対象)では「上昇する」と答えた割合は79.3%(原数値)と前月から0.6ポイント低下した。
消費者態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。

いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に同定しています。

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まず、消費者態度指数コンポーネントについて、前月差で見ると、「暮らし向き」が+0.4ポイント上昇し39.0、「収入の増え方」が+0.3ポイント上昇し 37.9、「雇用環境」が +0.1ポイント上昇し35.1と、ここまでは前月差プラスなんですが、「耐久消費財の買い時判断」はだけは▲0.6ポイント低下し37.8となりました。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大とワクチン接種の進展のバランスの上の数字、という解釈のようです。ただ、引用した記事にもあるように、感染者数の増加はますます加速度的に進んでいるわけですし、そのために、緊急事態宣言が首都圏3県と大阪府に出されて、我が京都府をはじめとして北海道、石川県、兵庫県、福岡県がまん延防止等重点措置の区域となったわけですから、感染拡大だけの要因を考えても、8月上旬の足元ではマインドがさらに悪化している可能性も否定できません。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置はいずれも8月末日までですから、消費者態度指数の8月統計が発表されれば、いくぶんなりとも、明らかになりそうです。加えて、ワクチン接種も供給不足が明らかとなって、地方公共団体や職域接種の企業等でワクチン予約の受付を停止しているケースが出て広く報じられるなど、ハッキリと、現内閣の失政が露呈しているところですから、この供給不足のワクチン要因からもマインドが悪化している可能性があります。他方で、マインドとしては東京オリンピック・パラリンピックについては、無観客開催ということで、ほぼニュートラルなのではないか、という気がします。

私はすでにエコノミストとしての役割を放棄して、経済見通しはすべからくコロナ次第、「コロナ」の中身は3項目あって、感染拡大とワクチンと特効薬開発と考えています。ハードデータの見通しもそうですし、ソフトデータのマインドはもっとコロナ次第です。

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2021年8月 1日 (日)

レプリカの結婚指輪をしてまたまたマンション見学!!!

今日ではなく、一昨日の金曜日だったのですが、またまた、カミさんとマンション見学に行きました。さして買う気もないのに、営業の方にはご迷惑なことと思うんですが、まあ、老齢に差しかかった夫婦が夏休みに楽しみにしている行楽のひとつとしてお付き合いいただいております。

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今回見学したのは、まさに建設まっ最中のマンションで、先週のようにすでに建築を終えて実際の部屋をモデルルームにしているわけではなく、近場の別の建物内にモデルルームを設えてありました。従って、マンションそのものの写真はありません。現地は見たのですが、基礎工事をしているところでした。
ということで、上の写真は出かける際にしていたレプリカの結婚指輪です。実は、私は結婚指輪、というか、左手の薬指には原則として常に指輪をしています。例外は入浴時とかの極めて限定的なケースだけです。しかしながら、長崎大学に出向していた単身赴任の際に、この大切な結婚指輪をなくしてしまいました。カミさんはもうサイズが合いません。ですから、京都に引越す際に、私の親戚に会う機会も多かろうということで、いくつか、安物ながらレプリカのおそろいの結婚指輪もどきを買い込みました。上の写真はそのうちの一組であり、カミさんのお気に入りです。私は、おそろいでも何でもない左手薬指用のレプリカリングは他にもいくつか持っていたりします。というのは、リングを一時的に外しても、クッキリとその部分が凹んでいるのが明らかなので、何でもいいので何かリングをしないと格好がつかないからです。プールで泳ぐ時には、色鮮やかな赤とか青とかのシリコンゴムのリングをしたりします。
下の写真は、見学したマンション近くにある三条通りのアーケード商店街です。京都の街ですので、三条・四条・五条・七条に加えて丸太町とか御池のの東西の通り、河原町・烏丸・堀川・千本などの南北の通りがあるのは、広く知られていると思います。そのうちの三条通りの商店街が近くにあり、今回のマンション見学は午後2時からでしたので、このアーケード商店街にあるイタリアン・レストランでランチをいただいてからモデルルームを拝見に行きました。

とても人気が高まっていて、ご関係者もお忙しい中とは思いますが、今週も少し足を伸ばしてマンション見学に行きたいと予定しています。

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