紀要論文 "Mathematical Analytics of Lewisian Dual-Economy Model" を書き終える!!!
大学の紀要に出す論文を、夜遅くになって、ほぼほぼ書き終えました。タイトルは、"Mathematical Analytics of Lewisian Dual-Economy Model: How Capital Accumulation and Labor Migration Promote Development" としています。はい、長いタイトルです。pdfファイルでアップロードしましたが、数式エディタへの反応悪く、カッコが変換されていない部分があります。ワープロ原稿ではキチンと数式エディタで組み立てられていますので、ご心配なく。明日にでも、紀要論文を取りまとめている研究部門に提出するつもりです。
実は、私の専門分野のひとつに開発経済学があって、国際開発学会の会員で学会発表したこともあったりするんですが、数週間前に、開発経済学の研究業績を取りまとめて提出する必要あったりしました。その中で、ジャカルタのころに書き上げたアーサー・ルイス卿の二重経済モデルのディスカッションペーパーを見ていると、手元にあるファイルで大きな欠落がありました。式5から式8に飛んでいて、当然ながら、式8は式7から導かれることになっていて、どう考えても提出するに及ばない、というか、提出しても評価されそうもない、と結論せざるを得ませんでした。ジャカルタのころには完全バージョンがあって、その後散逸して欠落バージョンしか手元に残っていないのか、それとも、ジャカルタのころから欠落バージョンで勝負していたのか、今となっては不明ですが、この欠落バージョンのディスカッションペーパーを有り難くも引用してくれていた中国人研究者もいたりしますので、ここはキチンとアップデートも加えて書き直そうということになり、式6と式7を何とか復元し、どうせなら公刊論文扱いになるので紀要に掲載してもらおうと予定しています。昨年も夏休みに推計一発の論文を取りまとめましたので、悲しくも年1本だけの研究成果です。今回は計量の推計がないので、出来をごまかすべく日本語論文ではなく英語で取りまとめていたりします。まあ、元になるディスカッション・ペーパーが英語なので、どうということはありません。
繰り返しになりますが、ノーベル経済学賞を受賞したルイス教授の二重経済モデルのそれぞれの部門に生産関数を設定したりして、いろいろと数学的に解析を進めて、近代的な工業などの資本家部門で資本蓄積が進んで、伝統的な農業などの生存部門から資本家部門へ一定規模の労働移動が生じれば経済発展=take offにつながる、という結論です。そして、この資本蓄積と労働移動によって二重経済が解消される過程で高度成長が達成されるんですが、このような大規模な労働移動は1回限りの現象であって、日本はもちろんほかの先進国でも戦後の高度成長を再び実現することはない、という示唆が得られます。ついでながら、ODAへのポリシー・インプリケーションも無理やり引き出しています。ジャカルタにはJICAの専門家として赴任していましたので、それなりの義理があります。なお、上の概念図はその労働移動を表しています。決して名のある国際的なジャーナルに投稿するわけではなく紀要論文の水準でしかありませんが、まあ、判る人にしか判らないと思います。悪しからず。一応、数式の展開は確認してあるつもりです。繰り返しになりますが、数式エディタのpdfへの変換がうまく行っていませんので、紀要論文に掲載されて印刷屋さんから改めてpdfファイルをもらったら、アップされている紀要のサイトを明らかにしたいと思います。
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