6月統計の景気動向指数は外需による景気拡大が内需の停滞をカバーして4か月連続で「改善」が続く!!!
本日、内閣府から6月の景気動向指数公表されています。CI先行指数が前月から+1.5ポイント上昇して104.1を示し、CI一致指数も前月から+1.9ポイント上昇して94.0を記録しています。まず、統計のヘッドラインを手短に報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
6月の景気一致指数、1.9ポイント上昇 基調判断は据え置き
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント上昇の94.0となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.9ポイント上昇だった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.5ポイント上昇の104.1だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す
短いながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しているんですが、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に同定しています。
ということで、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、3月に基調判断を上方改定して、今月も4か月連続で「改善」に据え置きとなっています。基準がどうなっているかというと、「3か月後方移動平均が3か月連続して上昇していて、当月の前月差の符号がプラス」ですから、後者の当月の前月差はマイナスながら、3か月後方移動平均が3か月連続して上昇しているので「改善」と据え置かれています。逆に、3か月後方移動平均がマイナスとなれば、「足踏み」となるわけです。やや機械的な判断という批判が出るかもしれません。逆に、判断基準がとても透明性が高いともいえます。
6月統計について、CI一致指数を詳しく見ると、寄与が大きい順に、有効求人倍率(除学卒)、生産指数(鉱工業)、 鉱工業用生産財出荷指数などのマプラス寄与が大きくなっています。逆に、マイナス寄与を見ると、 商業販売額(小売業)(前年同月比)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が足を引っ張っています。すなわち、ワクチン接種で大きく日本に先んじた諸外国、特に米国については大型の財政政策も含めて、日本と景気局面が異なることから、外需によって生産が拡大し、生産の派生需要として雇用も改善している一方で、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応した緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による経済的な影響が商業販売などの内需に及んでいるわけです。すなわち、外需の景気拡大効果が内需の停滞をカバーした形で景気改善が進むという姿であることは忘れるべきではありません。
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