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2021年9月28日 (火)

まちまちな見通しの日銀短観予想はどうのような結果に落ち着くか?

今週金曜日10月1日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2021年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、残りの2021年度も含めた先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、ワクチン接種や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+14
+1
<+7.1>
n.a.
日本総研+14
▲1
<+6.7%>
先行き(2021年12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比+3%ポイントの改善を予想。
ワクチン接種が加速するなかで、行動制限の緩和への期待感などが景況感を押し上げる見通し。
大和総研+15
+1
<+7.9%>
9 月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+16%pt(最近からの変化幅: +1%pt)、大企業非製造業は+6%pt(同: +5%pt)といずれも改善を予想する。
大企業非製造業では、緊急事態宣言等の解除に伴う経済活動の活性化への期待感が、「小売」、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」といった業種を中心に先行きの業況判断 DI を押し上げよう。対照的に、大企業製造業では資源価格の上昇が一服していることを受け、素材業種の業況判断 DI(先行き)の改善ペースは鈍化するとみられる。加工業種に関しては、全体として世界的な景気回復に伴う需要の拡大が業況判断 DI(先行き)を小幅に改善させるとみられる。ただし、資源高に遅行する形で投入コストが増加することや、半導体不足や感染拡大に起因する供給制約による影響には警戒が必要だ。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+10
+2
<+6.8%>
製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの小幅な改善を予測する。東南アジアでの感染拡大の影響が徐々に縮小するとみられることから、自動車は改善が見込まれる。また、大幅な改善は見込みづらいものの、半導体や資本財への堅調な需要を背景に電気機械や生産用機械、はん用機械のDIは高水準で推移するだろう。
非製造業・業況判断DIの先行きは6ポイントの改善を見込む。リモートワークの恒常化に伴うソフトウェア投資増加等を受けて、通信や情報サービスのDIは高水準で推移するだろう。また、宿泊・飲食サービスや対個人サービス、運輸・郵便は改善が見込まれる。緊急事態宣言の解除が見込まれることに加えて、ワクチン接種者や陰性者への行動制限緩和に伴う需要増加への期待が業況を押し上げるだろう。ただし、当面インバウンドの回復が見込めないことや感染予防策継続の必要性など、経済活動の完全な正常化には至らないことから、これらの業種のDIはマイナス圏(「悪い」超)での推移が続く見通しだ。
ニッセイ基礎研+17
+2
<+7.3%>
先行きの景況感については総じて横ばい圏に留まると予想。国内外でワクチンの普及に伴う経済活動の回復が期待されるものの、冬場に向けて感染力の強い変異株の拡大やブレークスルー感染によるコロナ感染の再拡大も懸念されるため、楽観に傾きにくい。原材料価格の高止まり懸念も燻るだろう。菅政権辞任表明に伴う自民党総裁の交代劇については、結果や影響が不透明であることから、景況感への影響も限られると見ている。
なお、中小企業非製造業については、もともと先行きを慎重に見る傾向が強く、先行きにかけて景況感の改善が示されることが極めて稀であるだけに、今回も小幅な悪化が示されると予想している。
第一生命経済研+18
▲1
<大企業製造業+12.0%>
先行きは、10・11月にもコロナ禍での行動制限緩和が予定されていて、そこでの需要回復が期待される。先行きの業況DIは少し上向く予想である。
三菱総研+17
0
<+6.1%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が+19%ポイント(9月時点の業況判断から2%ポイント上昇)、非製造業は+4%ポイント(9月時点の業況判断から 4%ポイント上昇)と、いずれも改善を予測する。国内のワクチン接種は11月には希望する国民への接種が完了する見込みであり、政府は行動制限緩和に向けた議論も開始している。これらの動きは、経済活動正常化に向けた明るい材料であり、先行き判断の改善につながるとみる。特に防疫措置の長期化で、現状の業況判断が非常に厳しい飲食・宿泊サービスなど外出関連業種では、先行き判断の改善が見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+17
+2
<大企業全産業+9.4%>
日銀短観(2021年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2021年6月調査)から3ポイント改善の17と予測する。回復が遅れていた素材業種の改善幅は大きいが、加工業種の改善が鈍く、コロナ禍からの回復は続くものの、そのペースは鈍化するとみられる。先行きは多くの業種で慎重な見方が示され、2ポイント改善の19となろう。

上のテーブルを見れば明らかなのですが、予想は業況判断DIも設備投資計画もいずれも両方向が示されており、決して同じ方向ではなさそうです。すなわち、大企業製造業の業況判断DIについては、おおむね改善を見込んでいますが、みずほリサーチ&テクノロジーズのように悪化を見込むシンクタンクもあります。同じように、非製造業の業況判断DIについても、改善・悪化とも小幅ながら、両方向の予想が示されています。我が家で購読している朝日新聞でも、「日銀短観9月調査、景気『足踏み』か 民間14社予想」と題した記事を見かけました。いくつかの要因が重なり合って、先行き不透明な印象です。まず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進んだ先進国では、やや遅れを見せた我が国と違って、景気の足取りが順調な拡大局面に達している国もあり、外需は堅調ですから輸出に助けられる製造業などで景況感は改善を見せる可能性があります。ただし、先進国と違って、やや遅れてCOVID-19パンデミックがまだ続いていてワクチン接種も進んでいない新興国や途上国もあり、製造業の部品生産などでサプライ・チェーンが細っている産業もあります。我が国リーディング・インダストリーの自動車がそうだったりしますし、そういった産業・企業では景況感が悪化していても不思議ではありません。非製造業でも回答時期によりCOVID-19の新規感染者数がどのようになっていたかによりビミョーに景況感に影響が出た可能性もあります。設備投資計画も含めて、まあ、総じて見るに「方向感がない」という表現がピッタリなんではないかという気もします。
下のグラフは、日本総研のリポートから引用しています。

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