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2022年3月 2日 (水)

昨年2021年10-12月期の法人企業統計に見られる企業活動の回復は一時的なあだ花か?

本日、財務省から昨年2021年10~12月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は前年同期比+5.7%増の351兆11億円、経常利益も+24.7%増の23兆145億円、製造業・非製造業とも+20%増を超えています。そして、設備投資は+4.3%増の11兆5518億円を記録しています。季節調整済みの系列で見ても、売上高、経常利益、設備投資とも軒並み前期比プラスを記録していて、特に、GDP統計の基礎となる設備投資については前期比+3.4%増となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短かに引用すると以下の通りです。

21年10-12月期の設備投資、前年同期比4.3%増 法人企業統計
財務省が2日発表した2021年10~12月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の設備投資額は前年同期比4.3%増の11兆5518億円だった。プラスは3四半期連続。このうち製造業は5.1%増、非製造業は3.8%増だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となるソフトウエアを除く全産業の設備投資額(金融業、保険業を含む)は、前年同期比で5.0%増だった。
全産業の売上高は前年同期比5.7%増の351兆11億円で、うち製造業が9.2%増、非製造業は4.3%増。経常利益は24.7%増の23兆145億円で、うち製造業が22.1%増、非製造業は26.4%増だった。
今回の結果は、9日公表の21年10~12月期のGDP改定値に反映される。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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ということで、法人企業統計の結果を短く表現すると、昨年2021年10~12月期の企業活動や企業業績は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大が抑制されていたため、大いに回復したものの、2022年1月以降のCOVID-19オミクロン型変異株の感染拡大で、完全に過去の数字と考えるべきです。COVID-19の感染がかなりの程度に抑制されていて、同時に、部品などの供給制約や物流の停滞なども一時的に緩和されていましたので、製造業・非製造業ともに売上高も経常利益も増加を示しています。特に、上のグラフから明らかなように、売上高や設備投資は、いわゆるリーマン・ショック直前に記録した過去最高水準にまったく届いていませんが、経常利益だけはリーマン・ショック前の水準を遥かに超えており、過去最高のレベルに達するくらいの勢いであったことは確かです。ただし、繰り返しになりますが、すべてはオミクロン前の過去の数字であり、2022年の年明けからのCOVID-19オミクロン株の感染拡大、加えて、最近時点でのロシアによるウクライナ侵攻などなど、足元の2022年1~3月期は企業活動のみならず経済を下押しするイベントでいっぱいです。製造業の部品供給の制約が再び強まり、物流の停滞も生じている上に、今度は、広く報じられているように、サイバー攻撃を受けてトヨタがわずか1日とはいえ生産をストップするという事態も発生しています。もう、こうなると、エコノミストが経済の先行きを見通すことはとても難しくなります。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。見れば明らかなんですが、コロナ禍の中で労働分配率とともに設備投資/キャッシュフロー比率が大きく低下を示しています。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金だけが再び伸びを高めています。賃上げ促進については税制で対応するようですが、この利益剰余金にも本格的に課税する必要性が高まっている気がします。

なお、本日の法人企業統計を受けて、来週3月9日に内閣府から昨年2021年10~12月期のGDP統計速報2次QEが公表される予定となっています。私は1次QEから設備投資を中心として小幅に下方修正されるであろうと考えていますが、2次QE予想については、また、日を改めて取り上げたいと思います。

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