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2022年3月18日 (金)

6か月連続で上昇する消費者物価指数(CPI)はどう考えるべきか?

本日、総務省統計局から2月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+0.2%を記録しています。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は▲1.1%と下落しています。コチラは、2021年4月から10か月連続のマイナスです。逆に、エネルギーを含めたヘッドラインCPIは+0.9%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

2月の全国消費者物価、0.6%上昇 上昇は6カ月連続
総務省が18日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が100.5と前年同月比0.6%上昇した。上昇は6カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.6%上昇だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは99.2と、1.0%下落した。生鮮食品を含む総合は0.9%上昇した。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.6%の予想でしたので、ジャストミートしたといえます。基本的に、エネルギー価格の上昇と政策要因に近い携帯電話通信料の下落の差し引きで決まってきている部分が大きく、加えて、これも政策要因ながら、昨年2021年12月統計までは「GoToトラベル」事業停止によって宿泊料の上昇がありましたが、今年1月統計からはこの効果は剥落しています。第1要因のエネルギー価格が前年同月比で+20.5%の上昇を記録して、ヘッドラインCPIの上昇率に対して+1.41%の寄与を示している一方で、マイナス寄与の項目を見ると、第2要因の通信料(携帯電話)が前年同月比▲53.6%の下落で、▲1.48%の寄与となっています。ついでに、第3要因の宿泊料は2021年12月統計では+44.0%の上昇でヘッドラインCPI上昇率に対して+0.29%の寄与度でしたが、本日公表の2月統計では上昇率が+6.0%、寄与度が+0.05%に大きく縮小しています。要するに、エネルギー価格の上昇と政策要因に近い携帯電話通信料の下落のバランスで、寄与度だけを見ると携帯電話通信料の方が絶対値で大きいのですが、エネルギー価格の上昇が経済全体に波及して、さらに、人手不足の影響などもあって、全体としてのコアCPI上昇率としてはプラスという結果となったと私は受け止めています。特に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のオミクロン型変異株の感染拡大で懸念されるサービス業の価格動向についてもマイナスに寄与しているのでしょうが、上のグラフでサービスのマイナス寄与が大きく見えるのは、携帯電話通信料の影響が大きいと私は受け止めています。それにしても日本以外の欧米先進国では、かなりインフレが進んでいます。例えば、総務省統計局の「消費者物価指数」の月報参考表で1~2月の最新月の消費者物価上昇率を見ると、米国が+7.9%、カナダが+5.1%、英国が+5.5%、ドイツが+5.5%、フランスでも+2.9%となっています。米国で金融政策が引締めモードに入ったのも理解できるところです。他方、我が国だけはまだヘッドラインCPI上昇率で+0.9%と+1%にも達していません。日銀も苦労しているところなのでしょう。

いつもこのブログで主張しているところですが、国民生活をより豊かにするためには、より多くの消費財を家計に届けることが必要になるわけです。所得が分子で物価が分母に来ますので、所得を増やすか、物価を下げるかという選択になるわけですが、ここ20年超の我が国の経験からして物価下落のデフレは経済全体の成長を阻害して好ましくないという結果が明らかにされています。ですから、経済政策としては所得を増加させる方向性が志向されるべきであると私は考えます。もちろん、短期的には「激変緩和」の観点から個別品目の価格据え置きや値上がり幅の圧縮を目指す政策も許容されるのでしょうが、物価下落の方向ではなく、所得増加が志向されるべきであることは強調したいと思います。政府が介入できる余地は限られていますが、賃上げも必要です。加えて、現下の物価上昇は石油や天然ガス(LNG)といった化石燃料の値上がりに起因しています。ですから、石油や天然ガスの値上がりについて、その値上がり幅を短期的に圧縮するのはいいとしても、こういった化石燃料の値上がりは炭素税の税率引上げと同じ効果を持ち気候変動や地球温暖化の抑制につながります。ですから、石油価格の値上がり幅を圧縮するために企業に補助金を出すのではなく、新しい価格体系に応じて消費財を購入できるように家計の所得をサポートする政策が必要です。

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