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2022年4月26日 (火)

雇用統計は失業率も有効求人倍率も緩やかながら改善を示す!!!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも3月の統計です。失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.6%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.01ポイント上回って1.22倍に達しています。全体として、雇用は緩やかな改善が続いている印象です。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の完全失業率2.6% 前月比0.1ポイント低下
総務省が26日発表した3月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月比0.1ポイント低下した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.7%だった。
完全失業者数(同)は179万人で、前月比9万人減少した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は5万人減、「自発的な離職」は7万人減だった。就業者数(同)は6711万人で18万人増加した。
併せて発表した2021年度平均の完全失業率は、前の年度に比べて0.1ポイント低下の2.8%だった。
3月の有効求人倍率、前月比0.01ポイント上昇の1.22倍 経済正常化へ求人増
厚生労働省が26日に発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.22倍だった。3カ月連続で上昇した。「まん延防止等重点措置」の解除で、経済活動が正常化に向かうなか、有効求人が前月比0.2%増加した。ワクチン接種前に求職活動を控える動きが出て、分母にあたる有効求職者数が0.6%減となったことも影響した。
新規求人数(原数値)は、前年同月に比べ7.5%増えた。宿泊業・飲食サービス業は、大型連休を前に求人を積極化する動きが出て5.0%増となった。製造業は活発な求人活動が継続し、22.0%増だった。情報通信業や運輸業・郵便業なども増加した。一方、教育・学習支援業は1.6%減だった。
有効求人倍率は、QUICKがまとめた市場予想の中央値(1.22倍)と一致した。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.16倍と、前月に比べ0.05ポイント低下した。正社員の有効求人倍率(同)は前月比0.01ポイント上昇の0.94倍だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、雇用統計のグラフは下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスについては、失業率が2.7%と、また、有効求人倍率は1.22倍と、ともに、ほぼほぼジャストミートしました。しかも、実績としては、失業率も有効求人倍率もともにわずかながら改善しましたので、やや鈍い動きながらも雇用は底堅いと私は評価しています。しかしながら、他方で、3月21日になって全面的にまん延防止等重点措置が解除されたとはいえ、コロナ禍が続く中で景気回復の足取りは鈍く、求職することなく労働市場から退場したままになっている人も少なくないという実感が同時にあります。統計的に確認されているのは、季節調整していない原系列の産業別就業者数の前年同月差であり、3月統計では、宿泊業、飲食サービス業こそ前年同月から+1万人増加していますが、卸売業、小売業では▲39万人減、生活関連サービス業、娯楽業でも▲10万人減と減少を示しています。ですから、必ずしも統計的に確認されているわけではなく、事例としていくつか聞き及んでいるだけですが、中核労働者ではなく、特に、高度成長期から周辺労働力として考えられているグループ、すなわち、主婦パートや学生アルバイトなが労働市場への再参入をためらっている、ないしは、諦めている可能性が高い、と私は受け止めています。景気回復がさらに鮮明になり求人が盛上がりを見せれば、こういった伝統的な周辺労働力も労働市場に再参入する動きが強まると私は予想しているのですが、延防止等重点措置が解除された3月下旬以降の統計を改めて確認したい気がします。いずれにせよ、いつもと同じ嘆き節なのですが、景気や雇用の先行きはコロナとウクライナ危機次第、というのは私のエコノミストとしての限界です。ただ1点だけ、資源高が企業経営を圧迫すれば雇用に悪影響が出る可能性があります。そのためにも、資源高を製品価格に転嫁できるような所得政策や中小企業支援が必要です。

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