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2022年4月12日 (火)

3月統計の企業物価指数(PPI)上昇率は2ケタ近い+9.5%に達する!!!

本日、日銀から3月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+9.5%まで上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

3月の企業物価指数、前年比9.5%上昇 前月比0.8%上昇
日銀が12日発表した3月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は112.0で前年同月比で9.5%上昇、前月比で0.8%上昇だった。市場予想の中心は前年比9.3%の上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比13.1%上昇、前月比で3.0%上昇した。輸入物価は前年比33.4%上昇、前月比で3.3%上昇した。

とてもコンパクトながら、包括的に取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比で、3月は+9.3%の上昇と予想されていて、実績の+9.5%は、まあ予想のレンジ内とはいえ、やや上振れた印象です。実際に、国内企業物価上昇の要因は主として3点あり、コストプッシュが大きな要因となっています。すなわち、国際商品市況の石油価格をはじめとする資源価格の上昇、さらに、オミクロン型の変異株をはじめとする新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大による供給制約の2点がコストプッシュの要因です。ただし、資源価格の口頭についてはウクライナ危機だけではなく、一部のエコノミストから「中国要因」と呼ばれているように、新興国の景気回復による資源需要増という需要要因を背景としています。とはいえ、あくまで我が国から見ればコストプッシュとみなすエコノミストも多いと考えられます。しかしながら、コストプッシュとはいえ、物価の上昇そのものは本格的なデフレ脱却には決して悪くない条件を提供している可能性があります。コストプッシュなのですから製品価格に転嫁しつつ、労働者に対して生計費の上昇に対応した所得増を実現する、という企業行動や経済政策がデフレ脱却につながる可能性です。逆に、コスト増で企業経営が苦しいからといって労働者が賃上げ抑制を押し付けられたり、あるいは、現在の政府のガソリン補助金のようにコストプッシュの方を抑え込んで価格引上げを抑制しようとする方向は、なかなか払拭できないデフレマインドをさらに強固に定着させかねない危険すらあります。もちろん、日本では企業規模格差に伴って、下請中小零細企業が大企業に対して価格引上げを要求しにくいという面は無視できませんが、他方で、化石燃料の価格上昇を容認すれば、タバコ値上げとよく似た効果があり、石油や天然ガスなどの消費を抑制して、地球温暖化や気候変動への対策にもつながる可能性も指摘できます。3月PPI統計のうちの国内物価について品目別で前年同月比を少し詳しく見ておくと、木材・木製品が+58.9%、鉄鋼+27.9%、石油・石炭製品が+27.5%、非鉄金属が+23.5%、化学製品+13.2%までが2ケタ上昇となっています。そして、ついでながら、これらの品目は2月の前年同月比上昇率よりも本日公表の3月統計の上昇率の方が、鉄鋼を除いて、わずかながら縮小しています。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴って石油価格はさらに一段の上昇を見せており、PPIの円建て指数もまだ3月統計で上昇しており、何とも、先行きは見通し難く感じています。

このところ、欧米をはじめとして世界的にはインフレが高まっています。従って、広く報じられている通り、米国では連邦準備制度理事会(FED)がすでに金融引締め局面に舵を切っています。他方で、日本ではまだまだ本格的にデフレから脱却した、とまでは言い切れない物価状況が継続していますが、それでも、消費者物価指数(CPI)で見ても、本日公表の企業物価指数(PPI)で見ても、いずれも、足元で物価が上昇しつつあることは明らかです。消費者物価指数(CPI)上昇率も、携帯電話通信料金の効果が剥落する4月統計では+2%の日銀インフレ目標に到達する、あるいは、到達してしまうんではないか、と私を含めた何人かのエコノミストは予想しています。そうすると、日銀はどうするんでしょうか。ひょっとしたら、米国FEDと同じように、引締めに舵を切るんでしょうか。政策面の不透明さも不安が残ります。

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