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2022年4月20日 (水)

IMF World Economic Outlook, April 2022 やいかに?

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook, April 2022 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。ヘッドラインとなる今年2022年の成長率を国や地域別に見ると、米国が1月時点の見通しから▲0.6%ポイント下方修正されて+3.3%、ユーロ圏欧州が▲1.1%ポイント下方修正されて+2.8%、我が日本が▲0.9%ポイント下方修正されて2.4%となっています。まず、IMFのチーフエコノミストであるグランシャ教授のIMFブログのサイトから成長率見通しの総括表 Latest World Economic Outlook Growth Projections を引用すると以下の通りです。

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見れば明らかな通り、一次産品輸出国などのごく例外的な一部を除いて、世界のほぼすべての国と地域で成長率が鈍化し、下方修正されています。いうまでもありませんが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響です。資源価格が高騰し、各国中央銀行が金融引締めを強めるリスクが成長の鈍化をもたらすという見通しです。ですから、IMF World Economic Outlook, April 2022 の サブタイトルは War slows recovery ですし、Chapter 1 Global Prospects and Policies は "The war in Ukraine has triggered a costly humanitarian crisis that, without a swift and peaceful resolution, could become overwhelming. Global growth is expected to slow significantly in 2022, largely as a consequence of the war." という書き出しで始まります。

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その戦争の影響について、同じくグランシャ教授のIMFブログのサイトから Shaken by war というタイトルのグラフを引用すると上の通りです。繰り返しになりますが、世界全体で2022年の成長率見通しは1月時点から▲0.8%ポイント下方修正されています。左のパネルの通りであり、その結果の成長率見通しは右のパネルに示されています。左のパネルに見られる通り、▲0.8%ポイントの下方修正のうち、ロシアの寄与度が▲0.3%余りとなり、EUが▲0.2%ポイントほどで、残りがほかの世界各国の寄与となります。リポート第1章の p.4 から始まる Forecast Revisions では真っ先にウクライナを取り上げているのですが、2番めがロシアであり、冒頭で、"The tight trade and financial sanctions-including loss of correspondent banking privileges, access of some banks to the SWIFT payments system, and the interdiction of central bank assets-and the oil and gas embargo by some large economies will have a severe impact on the Russian economy." と指摘しています。なお、誠についでながら、この見通し見直しに関して、日本は Asia のところでごく簡単に取り上げられていて、"Notable downgrades to the 2022 forecast include Japan (0.9 percentage point) and India (0.8 percentage point), reflecting in part weaker domestic demand-as higher oil prices are expected to weigh on private consumption and investment-and a drag from lower net exports." とだけ言及されています。日本が大国の地位を維持することについて、否定的な見方もあるようですが、私はアジア地域代表としての外交的な場での発言力も併せて考えると、まだまだ経済大国として振る舞うべき場合が少なくない、と授業で主張していたりします。でも国際機関のリポートではこれくらいの扱いなのか、と思わずにはいられませんでした。

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その需要とインフレについて、リポート p.12 から Figure 1.12. Core Inflation versus Private Domestic Demand (Percent) を引用すると上の通りです。フィリップス曲線の応用と考えるべきで、横軸に民間内需のコロナ前からの乖離、そして、縦軸にこれもコロナ前からのコアインフレ率の乖離を取っています。いつもの指摘ですが、カーテシアン座標ですから基本的には相関関係なのですが、無意識のうちに横軸が原因で、縦軸がその結果、と見なしているように思えてなりません。ということで、民間部門の内需が落ち込んでいれば、インフレも低い、という結果が示されています。そして、日本や中国などは右上がりの破線の下に位置していますので、世界標準よりも物価が下がりやすい、もしくは、物価が上がりにくい、という結論になりそうです。

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最後に、本日、財務省から3月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列で見て、輸出額が+14.7%増の8兆4609億円、輸入額も+31.2%増の8兆8733億円、差引き貿易収支は▲4124億円の赤字となり、8か月連続で貿易赤字を計上しています。原油や石炭などエネルギー製品の輸入額が大きく増加しています。

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