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2022年5月31日 (火)

減産に転じた鉱工業生産指数(IIP)と横ばいから持ち直しに転じた商業販売統計と堅調な雇用統計と消費者態度指数をいっぺんに見る!!!

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、さらに、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.3%の減産でした。商業販売統計のうちの小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.9%増の12兆5510億円、季節調整済み指数でも前月から+0.8%増を記録しています。失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.5%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.01ポイント上回って1.23倍に達しています。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じた記事を手短かに引用すると以下の通りです。

4月の鉱工業生産指数1.3%低下 上海など都市封鎖影響
経済産業省が31日に発表した4月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は95.2となり、前月比1.3%下がった。電子部品・デバイス工業、生産用機械工業、自動車工業などが低下し、3カ月ぶりのマイナスになった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国の上海市をはじめとする都市封鎖(ロックダウン)などに伴い、生産や物流が停滞した影響が出た。
2月以降は新型コロナに伴う供給制約の影響が和らいで回復していたが下落に転じた。経産省は生産の基調判断を前月までの「持ち直しの動きがみられる」から「足踏みをしている」に引き下げた。
全15業種のうち7業種が低下、8業種は上昇した。電子部品・デバイス工業はモス型半導体集積回路(メモリ)や液晶パネルの生産が減り、6.6%下落した。新型コロナを受けたパソコンやゲームなどの「巣ごもり需要」が一服した影響が出たもようだ。
生産用機械工業は2.7%、自動車工業は0.6%の低下だった。上海市などのロックダウンで部品の調達や物流が滞ったことが響いた。
電気・情報通信機械工業は4.7%、汎用・業務用機械工業は3.5%、無機・有機化学工業、医薬品を除く化学工業は4.3%上昇した。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は5月が4.8%、6月は8.9%の上昇を見込む。5月はロックダウンの影響が続くものの部品などの調達の制約が一定程度緩和される見通しだ。中国・上海市が6月1日にロックダウンを解除するため6月はさらなる回復が進みそうだ。ただ新型コロナの変異型などが再び拡大するリスクは残り、先行きは見通せない状況が続く。
小売販売額、4月2.9%増 基調判断「持ち直しの動き」
経済産業省が31日発表した4月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比2.9%増の12兆5510億円だった。外出が増えたことなどが影響し、2カ月連続で増加した。百貨店などで前年同月を上回り、経産省は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に引き上げた。
百貨店は前年同月比18.2%増の4181億円となった。経産省は「2021年までの時短営業や休業の反動に加え、外出の機会が増加した」と分析した。
スーパーは0.6%増の1兆2058億円、コンビニエンスストアは2.7%増の9873億円、家電大型専門店は1.4%増の3578億円だった。ホームセンターは1.5%減の2986億円だった。
小売業販売額を季節調整済みの前月比で見ると0.8%増加した。
失業率3カ月連続改善 4月2.5%、まん延防止解除が影響
総務省が31日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1ポイント下がり2.5%となった。改善は3カ月連続となる。厚生労働省が同日公表した4月の有効求人倍率も0.01ポイント上昇の1.23倍と4カ月連続で改善した。
新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置による行動制限が3月に解除され、経済活動が活発になった影響がみられる。一方、ロシアのウクライナ侵攻による原材料不足や円安などの不安材料もある。
有効求人倍率は仕事を探す1人に対して求人が何件あるかを指す。4月の有効求人数は前月に比べ0.9%増えた一方、有効求職者数は0.1%減ったため倍率は上がった。
新規求人数(原数値)は前年同月比12.3%増だった。特に宿泊業、飲食サービス業での改善が著しく、49.6%増となった。低調だった前年からの反動もある。製造業は21.9%増、サービス業は15.3%増だった。
就業地別の有効求人倍率は、最高が福井県の1.99倍、最低が沖縄県の0.92倍だった。

まあ、どうしても、数多くの統計を取り上げていますので長くなってしまいます。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月と比べて▲0.2%のわずかな減産という予想でしたが、実績の▲1.3%減は予想レンジの下限である▲1.5%減に近いと私は受け止めています。減産の主因は海外需要の減少、特に、上海のロックダウンに起因すると考えられています。また、先行きに関しては、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測指数によれば5月の増産は+4.8%なのですが、経済産業省では上方バイアスを除去すると補正値では▲0.5%の減産との試算を出しています。そんなこんなで、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断を前月までの「持ち直しの動きがみられる」から「足踏みをしている」に引き下げています。ただ、今月の減産の主因がホントに海外需要の減少、特に、上海のロックダウンであるのなら、広く報道されているように、明日の6月1日からロックダウンが解除されれば、5月はともかく、6月の生産は増産に転じる可能性が十分あります。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染拡大も抑制されていますから期待は大きいものがあります。生産は減産を記録したものの、出荷は前月から横ばいですし、在庫率は低下して在庫の解消は進んでいますから、ますます期待は膨らみます。ただ、自動車の半導体不足などについては、ウクライナ情勢とともに、先行きは不透明です。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。ということで、上海のロックダウンなど、海外需要の減退を受けて生産が足踏みしている一方で、小売販売は3月21日にまん延防止等重点措置が終了したことに伴って、内需にサポートされた回復を示していると私は受け止めています。季節調整済み指数の後方3か月移動平均で判断している経済産業省のリポートでは、4月統計では、この3か月後方移動平均が+0.5%の上昇となり、基調判断を「横ばい傾向」から「持ち直しの動き」に上方改定しています。ただし、いつもの注意点ですが、2点指摘しておきたいと思います。すなわち、第1に、商業販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていません。第2に、商業販売統計は名目値で計測されていますので、価格上昇があれば販売数量の増加なしでも販売額の上昇という結果になります。ですから、サービス業へのダメージの大きな新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響、さらに、足元での物価上昇の影響は、ともに過小評価されている可能性が十分あります。すなわち、物販よりも飲食や宿泊のような対人接触型のサービスがCOVID-19の感染拡大で受けるネガティブな影響が大きいのですが、商業販売統計には十分には現れていない、と考えるべきです。加えて、燃料小売業の販売額は前年同月比で+13.9%増なのですが、かなりの部分は物価上昇による水増しが占めると考えられ、売上数量が伸びているというよりも、販売単価、すなわちインフレ部分が大きいのではないかと私は想像しています。この2点を考え合わせると、実際の日本経済の現状についてはこの統計よりもさらに現実的に見る必要が十分あります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。失業率も有効求人倍率もともにわずかながら改善しましたので、やや鈍い動きながらも雇用は底堅いと私は評価しています。他方で、3月21日になって全面的にまん延防止等重点措置が解除されたとはいえ、コロナ禍が続く中で景気回復の足取りは鈍く、1月から3月にかけては、季節調整していない原系列の休業者数の前年同月差が、3か月連続で増加していましたが、4月には前年から10万人の減少となりました。正規の職員・従業員はまだ4月統計でも前年から+5万人休業者が増加しているのですが、パートは▲5万人、アルバイトも▲8万人、非正規の職員・従業員合わせて▲13万人の休業者が増加しています。非正規雇用の増加に関しては、いろいろな見方があるでしょうが、ジワジワと雇用の裾野が広がっていることが実感できます。

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最後に、本日、内閣府から5月の消費者態度指数が公表されています。前月から+1.1ポイント上昇し34.1を記録しています。指数を構成する指標のうち、「雇用環境」が2.9ポイント上昇し39.0と、特に大きく前月から上昇しています。ということで、消費者態度指数のグラフは上の通りで、ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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2022年5月30日 (月)

帝国データバンク「『食品主要105社』価格改定動向調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、5月23日に帝国データバンクから「『食品主要105社』価格改定動向調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。
エネルギーなどの資源価格に加えて食品価格も大きく上昇を示しており、内容量を減らして値段を据え置く「ステルス値上げ」や企業努力によるコストプッシュの吸収も限界に達し始めており、今年に入ってから食品価格の引上げが相次いでいます。この夏から秋にかけても、この傾向は継続しているようです。

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まず、リポートから、2022年の食品値上げについて月別の値上げ品目数のグラフを引用すると上の通りです。1月から相当品目の食品価格の引上げが続いており、4月の年度始めで一段落し、5月の値上げ品目数は落ちましたが、6月以降も値上げが相次いでいます。上のグラフから明らかな通り、5月までの値上げ品目は4,770品目、そして、6月以降に予定されているのが3,615品目と、現時点で2022年中に予定されている食品値上げの累計品目数が8,385品目、平均値上げ率も12%に達しています。

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続いて、リポートから、価格改定の食品について分野別に集計したグラフを引用すると上の通りです。ちょっと判りにくいのですが、例えば、「加工食品 2,909品目 ▶ 3,609品目 (43%)」とあるのは、先月調査時点までに今年度内の値上げ(実施済み+計画)品目が2,909判明していて、今月新たに判明したものを加えて3,909品目となり、そのため、加工食品が価格改定される食品の中で品目数の単純集計で43%を占める、という意味なのだろうと、私は読み取りました。同様に、調味料が1,702品目、酒類・飲料が1,188品目、などと続いています。

リポートでは、今年に入って食品価格が値上げされているのは、食用油と小麦粉、中でも、輸入小麦の政府売渡価格が前年比2割アップの水準が続いたことで、小麦粉を主原料とする食品の値上げが相次いで実施されたり、原料とする周辺商材にも影響が急速に波及したのではないか、と分析しています。ただ、分析はここまでで、対応策については言及ありません。まあ、仕方ないところかもしれません。これに関して、私は従来から価格上昇に対応した所得の増加を後押しする政策の必要性を主張しています。加えて、2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた際に食品については軽減税率が適用されたわけですから、8%品目の食品の消費税率を5%に戻すとか、あるいは、すべての消費税率を5%に戻すとか、消費税率を政策手段として用いる可能性も考慮すべきではないか、と思っています。もちろん、食品会社の3月期決算の数字はとても興味あるところです。燃料価格の上昇で総合商社が大きな利益を上げている点も忘れるべきではありません。

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2022年5月29日 (日)

終盤に追いすがるも初回の逸機が最後まで響いてロッテに逃げ切られる!!!

  RHE
阪  神000000020 290
ロ ッ テ01200000x 390

終盤に佐藤輝選手のツーランで追いすがりましたが、逃げ切られてロッテに敗戦でした。
まず、投手陣については、先発の伊藤将司投手は序盤からポロポロと失点しましたが、1回オモテの無死満塁の好機を4番以下が逃したのですから、やや気落ちしたのはやむを得ないかもしれません。7回3失点ですから、悪くない内容だろうと思います。相変わらず、問題は打線であり、初回のチャンスを逃してから、またまたゼロ行進でした。8回に佐藤輝選手のツーランが出ましたが、「時すでに遅し」の感がありました。

甲子園に戻っての西武戦は、
がんばれタイガース!

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2022年5月28日 (土)

初回からサウスポーを攻略してロッテに連勝!!!

  RHE
阪  神301000002 6102
ロ ッ テ000000002 281

初回に3点をはじめ序盤からサウスポーを攻略して、ロッテに連勝でした。昨日は最終回のホームランによる1点だけだったんですが、今日はクリンナップ+6番で6打点を稼ぎ出しています。
まず、投手陣については、先発の青柳投手はほぼほぼ完璧でした。9回に2失点したものの、岩貞投手が最後のバッターを三振に切って取り、点差からしても危なげない安定したピッチングを見せつけました。打線は、相変わらず、外国人なしの純国産打線を組み、サウスポー先発にもかかわらず、6番まで右打者は3番の大山選手しかいないラインナップでしたが、序盤から活発に、というか、阪神打線としては活発に得点を上げました。

明日は3タテ目指して
がんばれタイガース!

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今週の読書はアダム・スミスに関する教養書とミステリと新書の3冊!!!

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、ジェシー・ノーマン『アダム・スミス 共感の経済学』(早川書房)は英国の保守党国会議員による評伝であり、スミスに関するいくつかの神話ないし誤解の解明を試みています。次に、東野圭吾『マスカレード・ゲーム』(集英社)は我が国でもっとも売れているミステリ作家の1人によるミステリであり、ホテル・コルテシアを舞台とするシリーズ4作目にして、出版社では「総決算」と呼んでいます。最後に、トム&デイヴィッド・チヴァース『ニュースの数字をどう読むか』(ちくま新書)は報道などで示されるデータについて、そもそも、データの算出プロセスにおける誤解、というか、誤解を誘おうとするかのようなプレゼン、そして、データを解釈する際のバイアスなどについて広く解説しています。
今週は、新刊書読書はこの3冊なのですが、やや旧作のミステリを何冊か読んでいます。すなわち、翔田寛の『真犯人』(小学館文庫)、東野圭吾『白馬山荘殺人事件』(光文社文庫)、方丈貴恵のデビュー作『時空旅行者の砂時計』(東京創元社)の3冊です。この3冊についてはFacebookでシェアしておきました。さすがに、旧作ミステリを3冊読むと新刊書読書は少し伸び悩んだりします。
最後に、今週の3冊を含めて、今年に入ってから新刊書読書は計96冊と去年に比べてちょっぴりスローペースながら、少しずつ追いついてきた気がします。何とか、年間200冊くらいには達するのではないかと考えています。

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まず、ジェシー・ノーマン『アダム・スミス 共感の経済学』(早川書房)です。著者は、英国の現役の保守党国会議員であり、哲学の博士号を持っていたりもします。英語の原題は Adam Smith: What He Thought, and Why It Matters であり、2018年の出版です。ということで、第1部 生涯、第2部 思想、第3部 影響、の3部構成を取って、スミスに関するいくつかの神話ないし誤解の解明を試みています。すなわち、自己利益の養護者、金持ち贔屓、政府嫌い、本質的には経済学者、などの5点です。そして、基本的に、本書の結論では否定されていたりします。特に、私のようなエコノミストはアダム・スミスの第1の功績は『国富論』であり、近代的な経済学の確立者の1人である、と考えていますが、本書では、道徳哲学者、特に哲学者であるとの主張です。本書では、もちろん、『国富論』がもっとも人口に膾炙いていることは認めつつ、その前の著書である『道徳感情論』と『国富論』の間の『法学講義』も重視しつつ、エコノミスト=経済学者だけでなく、法学者や哲学者としてのアダム・スミス像を浮き彫りにしてくれています。同時に、経済学の文献としてはアローの一般均衡理論を重視しています。このあたりは、私にはよく理解できません。私はマクロエコノミストですので、英国人であれば特にケインズが登場してしかるべきと思うのですが、違います。もちろん、アダム・スミスは昨今の新自由主義=ネオリベなエコノミストとは違って、市場が機能するためには政府の力が必要だと考えていましたし、本書の著者が主張するように不平等や貧困に対しては厳しい見方をしていました。特に、市場における見えざる手については、市場での交換=取引を損得だけで考えるのでははなく、市場での取引が法律、制度、規範、アイデンティティなどに支えられている点を重視していることが明らかにされています。もう15年近くも前に、大阪大学の堂目教授が『アダム・スミス -「道徳感情論」と「国富論」の世界』を中公新書で出版して話題を集めましたが、本書も、著者の視点からした哲学者という面も重要ながら、私のようなエコノミストが「経済学の父」としてのアダム・スミスを念頭に置きつつ読むのにも最適です。400ページを超える大作ですが、おそらく、経済学の専門的知識がそれほどなくてもスラスラと読めるような気がします。たぶん、邦訳がいいのではなかろうかと考えています。

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次に、東野圭吾『マスカレード・ゲーム』(集英社) です。著者は、私がコメントする必要のないくらい、我が国で最も売れているミステリ作家の1人といっていいと思います。今作品は「マスカレード」のシリーズの第4作となります。順に、『マスカレード・ホテル』、『マスカレード・イブ』、『マスカレード・ナイト』、そしてこの作品です。私の勝手な感想ながら、最初の『マスカレード・ホテル』は長編ながら連作短編集として読めましたし、次の『マスカレード・イブ』は第1作の事前譚の純然たる短編集ですし、おそらく、『マスカレード・ナイト』がシリーズで初めての本格的な長編で、この作品も長編です。まあ、何と申しましょうかで、箱崎の近くにあるホテル・コルテシア東京を舞台に、ホテルのコンシェルジュ、従業員である山岸尚美と警視庁の刑事である新田浩介のコンビがホテルでの犯罪を未然に防止するというものです。新田はホテルの従業員に扮して潜入捜査を行います。その点に関してはシリーズに共通しています。この作品では、まず、おそらく同じナイフを用いたと考えられる3件の殺人事件が短期間に発生します。そして、これらの殺人事件の被害者がかつて人を死なせた経験があり、しかも軽微な罪にしか問われなかったりして、被害者感情には合致しない形で「更生」と認められて、フツーの人生を送っている点が共通しています。そして、とても偶然とは思えない中で、クリスマスイブに3件の殺人事件で殺された人物に命を奪われた遺族が、はい、ややこしいです、なぜか全員コルテシアに宿泊します。加えて、殺人事件の4人目の被害者の候補となり得る人物、すなわち、心神耗弱で罪に問われなかったものの、恋人を刺殺した女性もホテルに宿泊します。どう見ても偶然とは思えないわけで、この4人目が被害者とならずに事前に犯罪を防止する目的で、新田は女性警部の梓とともに潜入捜査を命じられます。そして、梓警部がやや暴走したりする一方で、米国ロス・アンゼルスの系列ホテルで働いていた山岸が帰国して新田ら刑事たちをサポートします。もちろん、ミステリですので犯人のネタバレはしませんが、出版社がこの第4作をシリーズの「総決算」と呼ぶのは理由があります。すなわち、最後の最後に、新田が警視庁に辞表を提出して刑事を辞職しようとし、ホテル・コルテシアの総支配人がホテルの警備マネージャーに新田をスカウトしようとします。はたして、このシリーズは新田がホテル従業員となって継続されるんでしょうか。それとも、辞表は受理されないんでしょうか。続きがとても楽しみだったりします。

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最後に、トム&デイヴィッド・チヴァース『ニュースの数字をどう読むか』(ちくま新書) です。著者は、英国のサイエンス・ライターとエコノミストです。同じ苗字ですので、兄弟なのか、親子なのか、私には判然としません、訳者のあとがきでも触れられていません。英語の原題は How to Read Numbers であり、2021年の出版です。更生としては区別されていませんが、大雑把に2つのグループから成っていて、前半で数字を提供するサイドでの統計的なごまかしや誤解を招く手法について解説されていて、後半では数字を受け取るサイドでのバイアスなどを取り上げています。特に目新しさはなく、私が今までに読んだ類書と同じなのですが、新書らしくコンパクトに取りまとめていますし、各トピックについて明確に章で分割していますので、とても読みやすく仕上がっています。表紙画像にあるように、22章構成で260ページほどですので、各章平均的に10ページあまりのボリュームです。反面、簡略な解説に終わっているので、キチンとした数式などが示されておらず、pp.25-26のSIRモデルの式はカッコが足りなかったりします。もうひとつだけ疑問に思ったのは、RCTとかを用いて、確かに因果関係を把握することは重要なのですが、最近のビッグデータの世界であれば相関関係も十分役に立つ、という点はもっと強調されていいんではないかと私は受け止めています。例えば、日本では低所得と喫煙と肥満が、まるで「三位一体」のように特定の層に現れることがよくあるのですが、この3要素はいずれがいずれの原因で結果か、ということを考えるのは適当ではありません。まあ、そういっ細かい点は抜きにして、本書のように統計的なリテラシーを高めようと試みる方向性は望ましいと私は考えています。加えて、行動科学によって悪い方向に引きずられないような観点もこれから必要になるかもしれません。

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2022年5月27日 (金)

リクルートによる4月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週火曜日5月31日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる4月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。参照しているリポートは以下の通りです。計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、以下の出典に直接当たって引用するようお願いします。

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まず、いつものグラフは上の通りです。アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響ありながら底堅い印象で、前年同月比で見て、1月+1.1%増、2月+1.5%増、3月+1.6%増の後、4月も+1.5%増となっています。ただし、2020年1~4月のコロナ直前ないし初期には+3%を超える伸びを示したこともありましたので、やや物足りない気もしますが、時給を見れば、昨年2021年年央から1,100円を上回る水準が続いており、かなり堅調な動きを示しています。他方、派遣スタッフの方は今年2022年1月+1.1%増、2月+1.4%増の後、3月は▲0.1%減とマイナスを記録したものの、4月統計では+1.3%増となっています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、4月には+1.5%、+17円増加の1,120円を記録しています。職種別では、「営業系」(+68円、+5.5%)、「専門職系」(+50円、+3.9%)、「フード系」(+37円、+3.6%)、「事務系」(+42円、+3.5%)、「製造・物流・清掃系」(+24円、+2.2%)、「販売・サービス系」(+19円、+1.8%)、とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。なお、すべての職種で、前年同月から+1.8%以上の伸びを示しているにもかかわらず、平均で+1.5%増というのは、いわゆるシンプソン効果で、平均時給が低い職種の雇用が増加しているのだと推測しています。あるいは、何らかのバグがプログラムに入っている可能性も否定できません。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、4月は+21円増加し、伸び率も+1.3%増を記録しました。職種別では、「オフィスワーク系」(+49円、+3.2%)、「製造・物流・清掃系」(+40円、+3.1%)、「医療介護・教育系」(+37円、+2.6%)、「営業・販売・サービス系」(+28円、+2.0%)、「クリエイティブ系」(+16円、+0.9%)、はプラスとなっている一方で、「IT・技術系」(▲29円、▲1.3%)だけがマイナスを記録しています。派遣スタッフの6つのカテゴリを詳しく見ると、「IT・技術系」の時給だけが2,000円を超えていて、段違いに高くなっていて、全体の平均を押し下げています。なお、地域別には、東海だけがマイナスで、関東と関西はプラスを記録しています。

基本的に、アルバイト・パートも派遣スタッフもお給料は堅調であり、まん延防止等重点措置の解除後の順調な景気回復に伴う人手不足の広がりを感じさせる内容となっています。ただし、最後に、この4月統計から、リクルートによれば、「今回の調査より集計対象の求人を拡大するとともに、昨今増加している職種小分類を増やすなどリニューアルしています。」ということのようです。先月のこの統計を取り上げた際に、私からデータの動きが不自然で、「何らかのバグがプログラムに入っている可能性」を指摘しておきました。繰り返しになりますが、今月4月統計でも、特に、アルバイト・パートの時給は、6つのカテゴリーですべて+1.8%以上の前年同月比で伸びている一方で、全体の平均では+1.5%の伸びにとどまっています。これも繰り返しになりますが、平均時給の水準が低い職種の雇用が増加しているシンプソン効果だとは思うのですが、引き続き、統計としての信頼性には注意したいと思います。

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2022年5月26日 (木)

+1.7%の上昇を見せた4月の企業向けサービス価格指数(SPPI)の伸びはコストプッシュだけなのか?

本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.7%を記録し、変動の大きな国際運輸を除く平均も+0.9%の上昇を示しています。サービス物価指数ですので、国際商品市況における石油をはじめとする資源はモノであって含まれていませんが、こういった資源価格の上昇がジワジワと波及している印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

4月企業向けサービス価格、1.7%上昇 20年2月以来伸び
日銀が26日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は106.7で、前年同月比で1.7%上昇した。伸び率は20年2月(2.1%)以来の大きさで、前年比のプラスは14カ月連続。ロシアのウクライナ侵攻を背景とした燃料費高騰などを受け、運輸・郵便が上昇に寄与した。指数は前月比では横ばいだった。
前年比で上昇したのは運輸・郵便のほかに、宿泊サービス、広告などがあった。宿泊サービスは3月下旬のまん延防止等重点措置の解除を受け需要が増えた。広告は金融や通販関連向けの需要が堅調であったことから上昇した。今後は「国内における行動制限の緩和や、海外からのビジネス客、観光客の受け入れ増加が各種サービス需要に与える影響に注目している」(日銀)という。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは91品目、下落は21品目だった。

極端なまでにコンパクトに取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の最近の推移は、昨年2021年4月にはその前年2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響の反動もあって、+1.0%の上昇となった後、本日公表された今年2022年4月統計まで13か月連続で+1%以上の上昇率を続けています。前年同月比プラスも2021年3月から14か月連続です。基本的には、石油をはじめとする資源価格の上昇がサービス価格にも波及したコストプッシュが主な要因と私は考えています。もちろん、新興国や途上国での景気回復に伴う資源需要の拡大に加えて、ウクライナ危機の影響もあります。もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく4月統計のヘッドライン上昇率+1.7%への寄与度で見ると、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.64%、土木建築サービスや宿泊サービスなどの諸サービスが+0.46%、景気に敏感なテレビ広告をはじめとする広告が+0.27%、リース・レンタルが+0.14%、損害保険、金融手数料などの金融・保険が+0.13%、不動産が+0.12%、などとなっています。また、寄与度ではなく大類別の系列の前年同月比上昇率で見ても、特に、運輸・郵便は+3.9%の上昇となったのは、燃料価格の上昇が主因であると考えるべきです。もちろん、資源価格のコストプッシュ以外にも、人材系や金融系の需要が拡大したインターネット広告をはじめとする広告の+5.6%の上昇は景気に敏感な項目だけに、需要の盛り上がりによるデマンドプルの要素が大きいと私は受け止めています。ですので、資源価格のコストプッシュだけでなく、国内需要面からもサービス価格は上昇基調にあると考えていいのかもしれません。

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2022年5月25日 (水)

帝国データバンクによる「2022年度の設備投資に関する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週5月18日に帝国データバンクから「2022年度の設備投資に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。帝国データバンクの試算では、2022年度の実質民間企業設備投資額は87.0兆円となり、依然として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大前に当たる2019年度の90.8兆円を下回る見込みであるものの、2年連続での増加が見込まれる、と報告しています。まず、調査結果のサマリを3点帝国データバンクのサイトから引用すると以下のとおりです。

調査結果
  1. 2022年度に設備投資を行う予定(計画)が『ある』と回答した企業は58.9%となった。規模別でみると、「大企業」は72.0%で設備投資が『ある』一方、「中小企業」は56.3%、「小規模企業」は43.7%にとどまる。また、2022年度の設備投資予定額は平均1億3,083万円(2021年度は1億2,572万円)となった
  2. 設備投資計画の内容(複数回答)では、「設備の代替」(41.5%)がトップ。以下、「既存設備の維持・補修」(32.5%)、「省力化・合理化」(26.2%)、「情報化(IT化)関連」(24.5%)が続いた。特に、「情報化(IT化)関連」と、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」のいずれかを選択した企業は34.3%。従業員数が多い企業を中心にデジタル投資が予定されている
  3. 設備投資を行わない理由では、「先行きが見通せない」(53.0%)がトップ。以下、「現状で設備は適正水準である」(26.4%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.8%)、「借入負担が大きい」(13.3%)、「原材料価格の高騰」(13.1%)が続く

長々と引用しましたので、これで十分かという気もしますが、pdfの全文リポートからグラフも引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは帝国データバンクのリポートから2022年度に設備投資を行う予定・計画の有無について質問した結果を取りまとめています。すでに、「調査結果」で引用して繰り返しになりますが、設備投資を行う予定・計画が「ある」のは58.9%で、規模別で見ると、「大企業」は72.0%、「中小企業」は56.3%、「小規模企業」は43.7%と、規模が大きいほど設備投資の計画・予定を持つ企業比率が高いことが明らかです。
続いて、これも調査結果の要約の繰り返しになりますが、設備投資計画の内容(複数回答)については、「設備の代替」が41.5%でトップ、。次いで、2位「既存設備の維持・補修」(32.5%)や3位「省力化・合理化」(26.2%)、さらに、4位「情報化(IT化)関連」(24.5%)が続いています。5番目が「増産・販売力増強(国内向け)」(21.2%)、6位が「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」(18.0%)となります。特に、「情報化関連」か「DX」のいずれかを選択し、デジタル投資を検討している企業は34.3%と3社に1社を閉めています。従業員数が多くなるほどデジタル投資の割合が上昇する傾向が見られ、従業員数が1,000人を超える企業では「情報化関連」が45.3%、「DX」が33.7%、いずれかを選んだ企業は61.6%と高い割合になっています。まあ、そうなのかもしれません。

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2022年5月24日 (火)

リクルートワークス研のコラム「なぜ今最低賃金を引き上げるべきなのか」を読む!

昨日、リクルートワークス研のサイトにコラム「なぜ今最低賃金を引き上げるべきなのか」がポストされています。私自身の見方に近い部分が多く、グラフとともに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、ワークス研のサイトから 最低賃金の推移とパート労働者の時給 のグラフを引用すると上の通りです。民主党政権から安倍内閣のアベノミクスにおいて、まだまだ不十分とはいえ、最低賃金がかなり上昇を示してきたことは事実だろうと私は考えており、上のパネルはその私の直感をサポートしていると受け止めています。さらに、世間一般では、そうはいっても、日本の賃金はサッパリ上がっていないではないか、という見方が広く普及しており、私もその見方に賛成なのですが、下のパネルはパート労働者の時給をプロットしており、最低賃金の上昇率に近い伸びとなっている点が明らかに示されています。すなわち、世間一般の賃金は平均的にはそれほど上がっていませんが、最低賃金に近い非正規労働者の賃金は最低賃金に並行して上がっているわけです。

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続いて、ワークス研のサイトから 人手不足と景況感 のグラフを引用すると上の通りです。見ての通りに、景気動向指数と日銀短観に加えて、労働力調査から失業率をプロットしています。失業率は逆サイクルながら、3指標が十分シンクロしているのが見て取れます。実体経済に合わせて企業マインドがシンクロしていますので、日本経済が人手不足の状態にあるとコラムでは結論しています。そして、「失業率が高く、働きたいのに働けない人が労働市場に多くいる環境下においては、最低賃金の引き上げは好ましくない」一方で、「企業が深刻な人手不足の状態に陥っており市場に働き手が不足している状況下にあれば、最低賃金の引き上げはそのデメリットよりメリットの方が上回る」と主張し、「現在の日本の労働市場の状況を振り返ってみれば、最低賃金引き上げのデメリットを憂慮するような状況にない」と結論しています。最低賃金を引き上げれば雇用が減少する、という新古典派的な理論上の帰結、すなわち、「最低賃金引き上げのデメリット」を、日本経済の現状に照らして真っ向から否定しています。まったく私も同感です。

外国人技能実習生のお話など、私が疑問に思わないでもない議論も含まれていますし、最後のパラで「今日本の技術発展の最も大きなネックとなっているのは、労働市場における安い労働コスト」というのも、基本的にいいとしても、やや過ぎたる表現のような気がしないでもありません。特に、中小企業への支援は必要と私は考えています。そして、最後に、最低賃金は政府が決めるとしても、労働市場次第で賃金が自動的に上がるわけではなく、労働者サイドの団結したパワーも必要である点はこのコラムでは忘れられています。こういったいくつかの点は別にしても、最低賃金を上げるべきであるとの分析は、まさに、そろそろそういった議論がなされるシーズンだけに大いに結構ではないか、と私は考えています。

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2022年5月23日 (月)

筋トレは60肩の予防に役立つか?

60肩になりかけています。通常、利き腕でしょうから、私の場合は右肩です。右肘を後ろに持って行こうとすると肩が少し痛むようになりました。このまま悪化すれば、本格的な60肩になってしまいかねません。60肩になると、まあ、40肩でも、50肩でも同じで、私の場合は60歳超ですので「60肩」ということになりますが、私の経験からすれば、腕を後ろから回すと肩が痛みます。スポーツの動きでいえば、野球のボールをオーバースローで投げるときの動きであり、テニスならサービスとかスマッシュの動き、私の場合は、水泳のクロールの腕の動きとなります。このまま60肩になってしまうと困るので何とかしようと考えていたら、筋トレがいいんではないか、という無視し得ない意見がありました。私の場合は、年齢が年齢でもあり、筋トレは志向せず腹筋運動すらしておらず、自転車とか水泳とかの有酸素運動ばっかりなもので、筋肉を鍛える必要がある、とのご意見でした。

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でも、いきなり筋トレというのもムリそうな気がするので、通勤時に歩く時にダンベルでも持ってみようかということで買いました。私は駅から大学まで30分超歩くのです。買い求めたダンベルは上の写真の通りです。1キロか、2キロか、あるいは、より軽いのか、で悩みましたが、月に何回か京都に行く際に、河原町三条を少し下がったところにあるミーナに入っているロフトの健康雑貨で試したところ、2キロはとてもではないですが、通勤時に振り回すのは重すぎると考え、1キロのダンベルを買い求めました。筋トレにはややウェイト不足ながら、30分あまり歩く際のお供には適当です。ピンクのは、まあ、普通の形で、水色のはウォーキング・ダンベルといって、まさに、歩いたり、ランニングをしたりする時向けの用途だそうです。この週末に買い求めて、今日の月曜日から早速使い始めました。今日は水色のウォーキング・ダンベルを持って大学に来ましたが、次の機会はピンクの普通のダンベルにしようかと考えています。
さて、60肩の防止には役立つのでしょうか?

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2022年5月22日 (日)

2回の4得点を守って伊藤将司投手がジャイアンツ相手に復活完封勝利!!!

  RHE
読  売000000000 082
阪  神040000000 470

ジャイアンツ相手に甲子園で、コロナから復帰した伊藤将司投手の完封勝利でした。昨日・今日と、長坂捕手のリードも光りました。なお、特に問題はなかったように感じましたが、球審はアノ白井さんだったんですね。
まず、投手陣については、先発の伊藤将司投手はほぼほぼ完璧でした。打線は外国人なしの純国産打線を組み、2回に近本外野手、大山選手、佐藤輝選手のタイムリーで4点を先取し、そのまま押し切りました。欲をいえば、中押し、ダメ押しともう少し得点が欲しいところでしたが、まあ、打線はこんなもんかもしれません。なお、近本外野手は100盗塁も達成しました。
伊藤将司投手に続いて、次に復活するのは藤浪晋太郎投手であって欲しいと私は願っています。強く願っています!!!

交流戦に入っても、
がんばれタイガース!

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2022年5月21日 (土)

序盤の2点を何とか守り切ってジャイアンツに1点差で競り勝つ!!!

  RHE
読  売000000001 161
阪  神11000000x 270

序盤の2点を守って、ジャイアンツに競り勝ちました。
まず、投手陣については、先発のウィルカーソン投手は7回を散発3安打無失点とナイスピッチングでした。とっても安定した内容です。湯浅投手が8回に登場し、最終回は岩崎投手が打ち込まれて失点しましたが、最後は何とか逃げ切りました。打つ方は、序盤に2得点を上げましたが、3回のチャンスを逃してからはゼロ行進に戻ってしまいました。結果的には、2回の長坂捕手によるスクイズが決勝点となりました。

明日は伊藤投手の復帰を祝しつつ、
がんばれタイガース!

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今週の読書は観光に関する学術書をはじめ計5冊!!!

今週の読書感想文は以下の通りの計5冊です。
まず、遠藤英樹[編著]『アフターコロナの観光学』(新曜社)はタイトル通りに、コロナ禍の後における観光学に関する社会学から見た理論とフィールドワークを収録した学術書です。竹中佳彦・山本英弘・濱本真輔[編]『現代日本のエリートの平等観』(明石書店)は1980年に実施された同種のアンケート調査を40年の時間の経過の後に再度実施し、さまざまな数量分析を行っている学術書です。特に「運の平等主義」に関わる考え、さらに、「機会の平等」の重視に関する重要な示唆を与えてくれます。クーリエ・ジャポン[編]『海外メディアは見た 不思議の国ニッポン』(講談社現代新書)かいろいろな海外メディアで報じられた日本の経済社会における奇妙な特徴についてコンパクトに取りまとめています。宮城修『ドキュメント <アメリカ世>の沖縄』(岩波新書)では、1952年産フラシンスコ講和条約で日本が独立を取り戻してからも、1972年の本土復帰まで米軍の過酷な軍政下にあった沖縄の実体を取りまとめたドキュメントです。最後に、板野博行『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』(王様文庫)は、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも参考にされているらしい北条執権得宗家の準公式歴史書である『吾妻鏡』を同時代の『愚管抄』の著者である慈円の視点から解説しています。なお、どうでもいいことながら、本日5月21日付けの朝日新聞の書評欄で、4月30日の読書感想文で注目した『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が取り上げられています。ご参考まで。
最後に、今週の5冊を含めて、今年に入ってから新刊書読書は計93冊と去年に比べてちょっぴりスローペースながら、少しずつ追いついてきた気がします。何とか、年間200冊くらいには達するのではないかと考えています。また、新刊書読書ではないのですが、西村京太郎の『特急ゆふいんの森殺人事件』(光文社文庫)を読みましたので、このブログではなくFacebookでシェアしておきました。

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まず、遠藤英樹[編著]『アフターコロナの観光学』(新曜社) です。著者は、実は、私の勤務する大学の研究者なのですが、私と同じ経済学部ではなく、観光社会学を専門としています。本書も社会学から分析した観光の専門書といえます。実は、9月卒業の外国人留学生の修士論文が最終盤に入っており、観光の新しい視点を求めて図書館で借りて読んでみました。2部構成であり、第1部が社会理論、第2部がフィールと的考察となっています。いろんなフィールドの論文を集めています。観光の社会学については英国のジョン・アーリ教授が有名であり、『場所を消費する』、『モビリティーズ』、『オフショア化する世界』の3冊を読んだ記憶があります。ただし、もっとも有名な『観光のまなざし 』については未読だったりします。まあ、専門外ですから手が届かない、というところです。ということで、観光とともに、ポップカルチャーについても少し論じられていて、第1部の理論については、少し「観光」というものの定義が必要そうな気もします。なぜなら、オンラインによる観光は私自身は十分観光であろうと考えるのですが、アーリ教授などのモビリティとか移動、あるいは、場所の消費という点から観光とは、少なくともその昔は、考えられていない可能性があるからです。特に、歓待=ホスピタリティの観点から、実際にその場所に移動する必要についてどう考えるかの整理も必要です。私は移動ではなく体験という観点から、オンライン観光は十分アリだと考えています。VRによる観光も同じです。そうなると、エコノミストとしては観光が収益につながりにくくなるケースも考えるべきかもしれません。交通費がかからず、飲食費も場合によっては不要で、参加費だけが必要になる観光です。でも、現時点でもこういった観光はあるわけで、アミューズメントパークでの活動は、こういったオンライン観光に近い気もします。そして、コロナとともに発達したデジタル技術はこういったバーチャルな観光を、リモートワークとともに大いにサポートし、新しい仕事のあり方や観光様式を生み出しつつあります。第2部は、「フィールド」という観点から、基本的にケーススタディが集められていあmす。コロナの時代における移動についての与論島のケース、浅草での和装しての観光、ペナン島ジョージタウンでのオーバーツーリズムの是正、インドネシア観光のレジリエンス、北タイ山地民カレンの観光に関するモラル・エコノミーの考察、コロナ禍における宗教観光となっています。「コロナ」と「観光」が2つの大きなテーマとなっている本書ですので、移動を伴う観光とともに、オーバーツーリズムの是正も重要な観点であろうと思います。特に、SDGsの観点からも観光のサステイナビリティを回復すべき観光地はペナン島以外にも少なくないと私は感じています。最後に、一昨年に取りまとめた紀要論文が典型的ですが、私はマクロエコノミストですので、マイクロな観光振興とかは不得手な分野で、観光や観光消費の数量分析が主たる興味分野になります。本書は、観光学やフィールドしての観光実践に関するコロナ後の展開について、そういった分析の基礎となる参考文献として役立ていたいと考えています。

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次に、竹中佳彦・山本英弘・濱本真輔[編]『現代日本のエリートの平等観』(明石書店) です。著者たちは、政治学の研究者です。同志社大学の研究者であった三宅教授らが1980年に行った「エリートの平等観」調査をアップデートした内容の調査を2018-19年度に筑波大学を中心に実施した結果を10人ほどの研究者が取りまとめています。本書でいう「エリート」とは、政党・政治家、官僚・自治体職員、経済団体、労働団体、農業団体、商工団体、市民団体・NPO、専門家、学者・文化人、マスコミの10分野から全国レベルと地方レベルで選ばれています。もちろん、「エリート」という母集団は明確ではありませんが、大雑把に緩やかなコンセンサスが出来る範囲か、という気はします。大規模な調査に基づいて、数多くの専門家が定量的な分析を加えていますので、かなり大量のファクト・ファインディングが得られています。例えば、前回調査の1980年から今回調査の2018-19年にかけて、多くの回答が経済的な不平等が拡大していることを認めています。まあ、当然です。この間、40年近くが経過しているわけですが、ほぼ「1億総中流」と称された時代の末期から、1979年に英国のサッチャー政権が、そして、1981年に米国のレーガン政権が、それぞれ発足し、あるいは同時期に日本でも中曽根内閣が政権に就いて、いわゆるネオリベラルな経済政策が展開され、現在まで経済的な不平等が大きく拡大した最近時点までの不平等の進行については、幅広い社会的なコンセンサスがあると考えるべきです。さらに、経済的なものばかりではなく幅広い平等観を考えると、いわゆる権力エリートとか、支配エリートと呼ばれ、主流を構成するエリートは平等意識が弱い一方で、こういった主流派に反対の目標や異なる体制の樹立を目指す対抗エリートでは平等意識が高い、という、これまた、かなり明白な結果が得られています。私が忠告したのは、特に、「運の平等主義」に関わる考えです。すなわち、自らの選択の結果として生じた不平等は共用される一方で、個人の選択が及ばない理由によって生じた不平等は許容されない、という考え方です。これに基づけば、親ガチャによる子供の不平等は救済されるべきである、ということになります。しかし、他方で、この考え方は、いわゆる「機会の平等」さえ確保されていれば、その結果については自己責任である、という考え方にもつながります。我が業界である教育については、教育の機会が各個人に平等に与えられる点が重要であり、その選択の結果としての学歴と能力などに基づく所得の不平等は許容されるのが機会の平等であり、そうではなくて、教育の結果である学歴や能力などにかかわりなくすべての人が大きな差のない所得を受け取る、というのが結果の平等です。この機会の平等の重視が1980年時点では77%であったのですが、2018-19年には84%に上昇しています。加えて、今回調査で明らかになったのは、エリートばかりではない有権者レベルでも66%と⅔の日本人が機会の平等を支持している点が明らかにされています。しかし、私自身はこの結果の平等の重視に大きな疑問を持っています。というのは、これも何度も書きましたが、基本的人権、というか、他の重要なポイントである自由、あるいは、民主的な権利の行使のためには、結果の平等が必要だからです。衣食住などのナショナル・ミニマムがある程度の水準を超えて満ち足りており、特に、「親ガチャ」を防止して不平等が世代を超えて継承されるのを防ぐためには結果の平等が重要です。自由を保証し、民主的な権利を実行できるようにするためには、現在では、例えば、インターネットに接続できるパーソナルなデバイスが必要であり、その必要不可欠な水準は10年前や20年前からずいぶんと上昇してきている点を理解すべきです。ですから、機会の平等を重視するエリートの比率が上昇しているのは、望ましくない要素を含んでいると私は考えています。

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次に、クーリエ・ジャポン[編]『海外メディアは見た 不思議の国ニッポン』(講談社現代新書) です。編集したクーリエ・ジャポンは、自らの取材というよりも、米国「ニューヨーク・タイムズ」、英国「ガーディアン」、フランス「ル・モンド」などのいわゆる高級紙をはじめとして、世界中のメディアから厳選した記事を日本語に邦訳してwebで提供しています。私は有料会員ではないのですが、一応、会員登録をして時々見ていたりします。ですから、本書もこういったメディアからの邦訳を取りそろえています。ということで、本書は5章構成となっていて、最後の章では天皇制や皇族について取り上げています。まあ、私のことですからパスします。第1章が、日本株式会社の不思議と題して、会社にすべてをささげるサラリーマンから始まって、働きすぎなのに生産性が低い、とか、世襲政治家が多い理由、なぜファックスをやめられないのか、会社員を縛る「義理チョコ」という集団心理、居眠りは勤勉の証、などに着目しています。第2章では日本社会を考察し、年功序列の理由を考えた上で、日本でポピュリズムが台頭しない理由についても解き明かそうと試みています。第3章ではニッポンの今を歩くと題して、日本人の自殺率が高い理由、「人間より人形が多い」限界集落、創業1000年の老舗の生存戦術、などに焦点を当てています。第4章では日本の若者の実体に迫り、なぜ若者は海外へ行かないのか、女性スポーツ選手に「女らしさ」を求める理由、なぜ若者の投票率は低いままなのか、などの解明に取り組んでいます。確かに、こういったいくつかの疑問、これらは外国メディアだから「不思議」に感じるのではなく、私のような日本人ど真ん中からかなり外れた人間にも「不思議」に感じられる謎が少なくありません。また、日本におけるポピュリズムについては、こういった見方もできるのだということを改めて思い知らされました。東京から関西に戻って来て、就職するまでは影も形もなかった大阪維新の会なんて政党がポピュリズムを振りまいているご近所で暮らしていながら、ローカルのポピュリズムとナショナルなポピュリズムを海外メディアはこう見ているのだ、というのがよく理解できました。まあ、でも、何といってもポピュリズム的な排外主義が高まらないの理由は移民の影が薄い、というのに尽きるんでしょうね。

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次に、宮城修『ドキュメント <アメリカ世>の沖縄』(岩波新書) です。著者は、沖縄出身で、「琉球新報」のジャーナリストです。タイトル通りに、1952年のサンフランシスコ講和条約発効から1972年5月15日の施政権返還まで、沖縄が米国、というか、米軍統治下に置かれていた期間のドキュメンタリです。なお、タイトルに関して、本書冒頭から引用すれば、「<アメリカ世>の「世」とは、しまくとぅばで「時代」を指す」ということです。なお、「世」には「ゆー」とルビが振ってあります。先週の読書感想文で取り上げた坂上泉『渚の螢火』(双葉社)と同じで、今年2022年5月15日が沖縄の本土復帰ちょうど50年、ということで読んでみました。実は、私はその当時の県民生活についても興味を持っていたのですが、そういった情報はまったく収録されていませんでした。1950-60年代といえば、日本はまさに高度成長期を謳歌していて、「三種の神器」と呼ばれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機、さらに、「3C」と称されたカラーテレビ、自動車、クーラーなどの耐久消費財が幅広く普及し、国民生活がガラリと変化したころです。そのころ20年間の沖縄における生活も知りたかった気がしますが、本書では政治向きのトピックばかりでした。すなわち、情報のソースは当時の新聞報道や日米沖の政治家による回想が主となっています。この点は少し残念ですが、逆に、米軍統治下の沖縄の対米従属的な位置関係が実に生々しく描き出されていました。当時の沖縄における最高権力者である高等弁務官とは米国の軍人であり、まさに軍政が敷かれていたわけです。一応、沖縄県民による議会や政府、さらには裁判所もあって機能はしているのですが、すべてを米軍がひっくり返す権力を持っていました。琉球警察は米国軍人に対する操作権も逮捕権もありませんでした。裁判は高等弁務官次第で米国本土で行われることもあり、軍人に対しては米国の軍事裁判所が判決を下したりしました。ですから、本書にも収録されているように、米国軍人が運転するトラックが信号無視して交差点に突っ込み、沖縄の中学生が死んだ交通事故では、「太陽光の反射で信号が見えなかった」という言い訳で無罪になったりしましたし、その昔の関税自主権を回復する前のように、県民の重要なタンパク源であったであろうイワシが急に関税20%をさかのぼって課されたり、いろんな理不尽を県民は被っていたわけです。ただ、私は単純に沖縄県民は米軍施政下から本土復帰を目指していたのであろうと想像していたのですが、無視し得ない意見として、貧しい日本に復帰するよりも豊かな米国の信託統治領のまま存続する、という意見もあったといいます。そして、本書では沖縄の本土復帰、ちょうど50年前のイベントですが、に至る過程をていねいにあとづけて、その折々に重要と考えられるさまざまな事件、暴動、運動、選挙をはじめとする政治的な動き、あるいは、日米沖間での交渉と駆引きと得られた結論、などについて浮き彫りにしています。1960年代から1970年代前半にかけて激化するベトナム戦争、あるいは、先の見えない東西の冷戦、そういった世界規模での地政学的な要因も本書では取り上げられておらず、県民生活の実体の描写の欠落とともに、私にはやや不満が残りますが、私のような専門外の人間にもわかりやすく沖縄の本土返還へのプロセスを明らかにした基調な記録であると考えます。

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最後に、板野博行『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』(王様文庫) です。著者は、予備校のカリスマ講師です。同じ出版社から、『源氏物語』、『万葉集』、『徒然草』、『平家物語』などの「眠れないほどおもしろい」のシリーズを出版しています。ということで、『源氏物語』、『万葉集』、『徒然草』、『平家物語』などに比べて、『吾妻鏡』はややマイナーな歴史書なのですが、鎌倉幕府の特に執権得宗家である北条氏の準公式歴史書と位置づけられています。その『吾妻鏡』を本書では解説しているのですが、何と、同時代の『愚管抄』の著者である慈円に成り代わって解説しています。ですから、執権得宗家である北条氏のために話を盛っている部分を批判的に解説しているわけです。現在のNHK大河ドラマである「鎌倉殿の13人」の放送が続いていて、私はまったく視聴していないのですが、そういったドラマファンにはとても参考になりそうな気がします。もちろん、公家=貴族の時代から、平家政権の時期を経て、本格的な武家社会を画期した時代、とはいえ、まあ、とても血なまぐさいトピックでいっぱいです。現在の21世紀でもロシアの戦争犯罪が広くメディアで報じられているわけですから、まあ、当然なのかもしれません。少なくとも、徳川期まで数百年の間武家支配が続いていたわけで、そして、徳川期に武家の作法や心構えが出来上がるまでは、日本社会というのはかなり大雑把で、礼儀作法の心得がどこまであるか疑わしく、例えば、男女の性的な関係はいうに及ばず、主君への忠誠なんぞよりも下剋上を目指してがんばってみたり、生き残るためにはお味方を裏切るなんて日常茶飯事、といった社会であったと考えるべきです。ですから、本書もそういった時代背景を持つ『吾妻鏡』を正面から解説しているわけです。特に、公家社会から武家が支配する世の中となれば、武力でコトを決着する傾向は強くなったであろう点は疑いありませんし、平家のように都に悪慣れしない用心として鎌倉に本拠を置いたために、貴族的な礼儀作法よりも武家的な実力行使の能力が幅を利かせたであろうことは想像の通りなのでしょう。そういった内容が、私の想像通りに満載です。たぶん、あくまでたぶん、なのですが、一般的な『吾妻鏡』の入門書としては十分な内容ではないかと思いますし、NHK大河ドラマにインスパイアされての読書という点でもOKなのでしょう。ただし、私はこの著者の類書を読んでいないので十分な評価は出来かねますが、それは、『吾妻鏡』がややマイナーな歴史書であるためであろうと私は理解しています。すなわち、私ですら『源氏物語』や『平家物語』の現代訳は読んでいるわけですので、こういった超有名な古典文学を取り上げたシリーズでは、評価が違ってくる可能性がある、大いにある、という点は忘れるべきではありません。

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2022年5月20日 (金)

日銀のインフレ目標を超える+2.1%に達した消費者物価指数(CPI)上昇率をどう見るか?

本日、総務省統計局から4月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.1%を記録しています。物価上昇は七か月連続です。7年ぶりの+2%超の物価上昇です。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.8%にとどまっています。これでも、1年9か月ぶりの上昇です。また、エネルギーを含めたヘッドラインCPIは+2.5%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を最初の3パラだけ引用すると以下の通りです。

4月の物価上昇率、7年ぶり2%超 エネルギー価格高騰で
総務省が20日発表した4月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.4となり、前年同月比2.1%上昇した。消費増税の影響があった15年3月(2.2%)以来、7年1カ月ぶりに2%を超えた。資源高で電気代やガソリン価格などエネルギー関連が大きく上昇した。原材料高で食料品も上がった。
2%は、日銀が目標としてかかげている。米欧も同様の水準をめざしている。物価がこのペースで安定して上がることで、企業収益の拡大や賃上げにつながり、経済が活性化する好循環が生まれると考えられている。
日本の場合、物価上昇圧力は弱く、外的要因に左右されやすい。上昇率が2%に達するのは、消費税を8%に上げた14年4月からの1年間を除くと、世界的な資源高だった08年9月以来、13年7カ月ぶりとなる。今回、生鮮食品も含む総合指数が2.5%上がった。消費増税の影響があった時期を除くと、1991年12月以来の高い上昇率になった。

いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.1%の予想でしたので、ジャストミートしました。基本的に、ロシアによるウクライナ侵攻などによる資源とエネルギー価格の上昇による物価上昇と考えるべきです。もちろん、円安による輸入物価の上昇も一因です。すなわち、コストプッシュによるインフレと考えるべきです。CPIに占めるエネルギーのウェイトは1万分の712なのですが、4月統計における上昇率は+19.1%に達していて、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度は+1.38%あります。この寄与度のうち、電気代がちょうど半分の+0.69%ともっとも大きく、次いで、ガソリン代の+0.32%、都市ガス台の+0.21%などとなっています。ただし、エネルギー価格の上昇率は3月には20.8%であったものが、4月統計では+19.1%とホンのちょっぴり上昇率は下げ止まりました。ただ、かなり高い上昇率で高止まっていることは確かです。加えて、生鮮食品を除く食料も+2.6%の上昇を示しており、+0.58%の寄与となっています。
物価について、いくつか考えるべきポイントがあります。第1に、+2%というのは2013年からの日銀物価目標であるということです。ようやく9年間もの異次元緩和を続けて、そして、悲しくも、こういった異次元緩和によるディマンドプルではなく、コストプッシュによりインフレ目標がようやく達成されたというわけです。しかも、欧米では、特に米国で+8%超の物価上昇となっているなど、日本のインフレを大きく上回る物価上昇となっている点は忘れるべきではありません。第2に、このインフレに対して、日経新聞の記事を見ると、松野官房長官は政府の方針として、「価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにする」と述べています。私はかねてから主張しているように、賃金や所得が増えないことを前提として物価を抑え込もうとするのではなく、物価上昇に見合った賃上げの実現が必要と考えています。ですから、基本的に政府のこの方針には賛成です。ただし、単に、企業に価格転嫁や賃上げを求めるだけでなく、政府としても、保育園・幼稚園や小中高をはじめとして学校は公立が多くて、しかも、「ブラックな職場」と考える国民も少なくないわけですから、これらの教職員のお給料を増額し、さらに、介護報酬などを適切に引き上げることが求められます。公務員給与に対する人事院勧告という制度的な制約は理解するものの、積極的な賃上げや報酬引上げが必要となります。加えて、エネルギー価格上昇で経営が苦しくなる中小企業などへの支援も必要です。第3に、そうはいっても、現在のインフレは短期に終了する可能性が高く、少なくとも、1970年代のような物価上昇率がさらに高まるリスクは極めて小さい、という緩やかなコンセンサスがエコノミストの中にはあるように私は受け止めています。おそらく、1年後にはふたたびインフレ率が+2%を下回っている可能性がかなりあると考えるべきです。一方で、過剰にインフレに反応すべきではない、という説も成り立ちますが、他方で、+2%の物価目標をサポートするためにも賃上げや所得の増加を志向した企業行動や政策が必要と考えるべきです。

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2022年5月19日 (木)

いずれも市場予想から上振れした4月の貿易統計と3月の機械受注をどう見るか?

本日、財務省から4月の貿易統計がまた、内閣府から3月の機械受注が、それぞれ公表されています。貿易統計では、季節調整していない原系列で見て、輸出額が+12.5%増の8兆762億円、輸入額も+28.2%増の8兆9154億円、差引き貿易収支は▲8392億円の赤字となり、9か月連続で貿易赤字を計上しています。機械受注では、民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比+7.1%増の8,695億円となっています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから各統計について報じた記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字9カ月連続 4月、原油高で輸入額最高に
財務省が19日発表した4月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8391億円の赤字だった。赤字は9カ月連続。輸出、輸入額ともに4月としては過去最高だった。原油などエネルギー価格の高騰で輸入額が前年同月比28.2%増の8兆9154億円に膨らみ、輸出額の伸びを上回った。
輸入額は単月としても過去最高だった。3月に続き、2カ月連続で最高を更新した。原油を含む原粗油は99.3%増、液化天然ガス(LNG)は2.5倍に膨らんだ。数量ベースではそれぞれ9.4%増、12.1%増だった。エネルギー価格の高騰が全体を押し上げた。
輸出額は12.5%増の8兆762億円で、単月として3月に次ぐ過去2番目の水準だった。鉄鋼がイタリア向けを中心に37.1%増、自動車が米国向けを中心に4.8%増と伸びた。いずれも数量は減っており、製品単価が上昇している。新型コロナウイルス禍からの経済の回復過程で、原材料価格や物流コストが膨らんだ。鉱物性燃料はシンガポール向けの重油が増え、2.3倍だった。
地域別にみると、対中国の貿易収支は13カ月連続の赤字となった。輸出が5.9%減の1兆4890億円、輸入が5.5%減の1兆6573億円といずれも落ち込んだ。輸出は2020年3月以来、輸入は20年9月以来の低水準だった。ゼロコロナ政策による上海の封鎖が影を落とす。
対ロシアの貿易収支は1633億円の赤字で、赤字幅は前年同月より2割増えた。自動車や一般機械を中心に輸出は237億円と69.3%減った。ウクライナ侵攻を踏まえた政府の輸出禁止措置や企業の自主的な事業の停止などが響いた。
輸入は67.3%増の1870億円だった。原油は43.2%増、石炭は2.7倍になった。それぞれ価格の高騰が大きく、数量は減っている。
機械受注21年度9.3%増、3年ぶりプラス コロナ前届かず
内閣府が19日発表した2021年度の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く)は前年度比9.3%増の10兆3732億円だった。プラスは3年ぶり。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の19年度(10兆4036億円)の水準には届かなかった。製造業は26.7%増、非製造業は3.4%減だった。 22年1~3月期の受注額(季節調整値)は前期比3.6%減の2兆5805億円だった。マイナスは4期ぶり。4~6月期は8.1%減を見込む。ウクライナ情勢などの不透明感から、先行きも弱含む可能性がある。
1~3月期は非製造業が8.1%減だった。建設業が減少したほか、金融業の電子計算機も減った。製造業は0.8%増だった。化学機械や非鉄金属が増えた。
3月単月の受注額(季節調整値)は8695億円と前月比7.1%増えた。増加は3カ月ぶり。伸び率はQUICKがまとめた市場予測の中央値(3.7%)を超えた。非製造業は11%増、製造業は7.1%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。

とても長くなってしまいましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲兆円を超える貿易赤字が見込まれていて、予想レンジで貿易赤字が最も小さいケースでも▲8682億円でしたので、実績の▲8392億円の貿易赤字はやや上振れた印象です。季節調整していない原系列の統計で見て、貿易赤字は昨年2021年8月から今年2022年4月までの9か月連続なんですが、上のグラフに見られるように、季節調整済みの系列の貿易赤字は昨年2021年4月から始まっていて、従って、1年を超えて13か月連続となります。なお、季節調整していない原系列の貿易赤字は▲8392億円である一方で、季節調整済みの系列では▲1兆6189億円と、▲1兆円を軽く超えています。もっとも、私の主張は従来から変わりなく、エネルギーや資源価格の上昇に伴う輸入額の増加に起因する貿易赤字なのですが、輸入は国内生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易赤字や経常赤字は悲観する必要はない、と考えています。
4月の貿易統計を品目別に少し詳しく見ると、すべて季節調整していない原系列の統計の前年同月比で、輸出では自動車の輸出が金額ベースで+4.8%増と伸びているのですが、台数ベースでは▲11.1%の減少を示しています。その昔の1970年代の石油危機で石油価格が大きく上昇した際には、燃費のいい日本製の自動車が販売を大きく伸ばしており、足元でも同じように石油価格が上昇しているのですが、物流と部品供給の制約のために自動車輸出はやや停滞しています。金額ベースで増加しているのは為替の円安などの価格要因と考えるべきです。同じように、半導体等電子部品のうちのICも金額ベースでは+8.7%増と大きく伸びましたが、数量ベースでは▲9.9%減となっています。金額ベースで構成比が3%以上あって、我が国の主力輸出品と考えられるものの中では、プラスチック、鉄鋼、一般機械のうちの原動機についても、金額ベースでは伸びている一方で、数量ベースでは減少している輸出品が少なくありません。輸入では、まず、国際商品市況での石油価格の上昇から原油及び粗油の輸入額が大きく増加しています。これも前年同月比で見て数量ベースで+9.4%増に過ぎないにもかかわらず、金額ベースで+99.3%増と、昨年からほぼほぼ倍増しています。液化天然ガス(LNG)も数量ベースでは+12.1%増であるにもかかわらず、金額ベースでは+151.6%増と、昨年から2.5倍に膨らんでいます。加えて、ワクチンを含む医薬品が急増しています。すなわち、前年同月比で見て数量ベースで+19.9%増、金額ベースで+26.9%増を記録しています。でも、当然ながら、貿易赤字を抑制するために、ワクチン輸入を制限しようという意見は極めて少数派ではないかと考えられます。国別では、ゼロコロナ政策により上海などがロックダウンされている中国との貿易が輸出入ともに減少を示している一方で、米国や西欧との貿易は輸出入ともに順調に増加を示しています。中東からの輸入は、たぶん、石油などの燃料が主ではないかと思いますが、急増しています。

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続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て、前月比で3%台後半の伸びの予想でしたし、レンジの上限でも+6.6%増でしたので、実績の+7.1%増は貿易統計と同じで少し上振れた印象です。ただし、統計作成官庁である内閣府では先月統計の段階で、基調判断を「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方改定していて、今月はそのまま据え置いています。今年に入って1~3月期のコア機械受注は前期比で▲3.3%減でしたし、上のグラフでも明らかなように、6か月後方移動平均のトレンド線でも、それほどの上向きとも見えません。併せて、四半期ごとに公表される先行き見通しについても、4~6月の「船舶・電力を除く民需」のコア機械受注は前期比▲8.1%減の2兆3,706億円と見込まれています。単月の大きなプラスで基調判断を改定するにはためらいがあったものと私は受け止めています。なお、3月統計の前月比では、製造業+7.1%増、船舶と電力を除く非製造業+11.1%増と、ともに前月比プラスとなっており、非製造業は2月統計の▲14.4%減からのリバウンドがあるとはいえ、外需を取り込める製造業と内需への依存度が高い非製造業とで決して大きな差はない、との結果となっています。引き続き、設備投資の先行指標としてのコア機械受注は先行き横ばいないし緩やかな増加を示すものと私は考えています。

最後に、昨日公表の1~3月期GDP統計速報1次QEの評価について、テレビのニュースや本日の朝刊などを見ている限り、どうも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のためのまん延防止等重点措置によって消費が伸び悩んだのがマイナス成長の主因、といった趣旨で報じられている気がします。同時に別件で、円安については輸入物価の押上からインフレ高進に拍車をかける、といった観点からの報道が多い気がします。どちらも、私はビミョーに違っていると受け止めています。コロナの感染拡大抑制のためのまん延防止等重点措置が消費に対して抑制的に作用した点は事実ですし、円安が輸入物価の上昇幅を大きくしているのも確実です。しかし、1~3月期GDPがマイナス成長だった最大の要因は交易条件の悪化による海外への所得流出であり、そして、この海外流出に円安が拍車をかけている、と私は考えているわけです。GDP成長率の評価については、私が見た範囲では、Yahooニュースへのエコノミストのコメントの中に、いくつか私の意見と合致するものがありました。まさかとは思いますし、勘ぐりすぎかもしれませんが、どこかで、まん延防止等重点措置と円安に対する国民の反対意見を喚起するために、カッコ付きの「情報操作」めいたことが行われていたりするんでしょうか。私は、まん延防止等重点措置についてはともかく、少なくとも円安については、現状くらいのレベルであれば、日本経済への総合的なインパクトはプラスであろうと考えています。もちろん、円高によって交易条件が改善することは確かですが、貿易を通じたマイナス効果の方が大きいと考えています。

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2022年5月18日 (水)

1-3月期GDP統計速報1次QEは外需の寄与によりマイナス成長を記録!!!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計速報1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲0.2%、年率では▲1.0%と新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響などによりマイナス成長を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1-3月GDP1.0%減、2期ぶりマイナス コロナ制限響く
内閣府が18日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.2%減、年率換算で1.0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。感染力の強いオミクロン型の新型コロナウイルスの拡大で、飲食店の営業などを制限するまん延防止等重点措置が適用され、個人消費が伸び悩んだ。
マイナス幅はQUICKがまとめた市場予測の中央値(年率1.8%減)より小さかった。前期比で0.2%減の要因をみると、内需が0.2ポイントのプラス寄与、外需が0.4ポイントのマイナス寄与だった。
1~3月は東京都などに重点措置を発令した時期にあたる。GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.03%減少し、2四半期ぶりのマイナスとなった。重点措置で飲食店は時短営業や酒類提供の制限を求められた。外食や宿泊などのサービス消費は0.2%減った。自動車などの耐久財は1.6%減、衣服などの半耐久財は1.8%減だった。
内需のもう一つの柱である設備投資は0.5%増で2四半期連続で伸びた。ガスタービンや研究開発向けの投資が好調だった。
住宅投資は1.1%減と3四半期連続でマイナスになった。名目では0.2%のプラスだった。建築資材の価格上昇の影響を除いた実質では落ち込んだ。公共投資は3.6%減で5四半期連続のマイナス。東日本大震災関連の復興需要が一巡した可能性がある。
政府消費(政府支出)は0.6%増と2四半期ぶりのプラスだった。コロナワクチンの購入や接種にかかる費用が増えた。
外需は3四半期ぶりにマイナスだった。自動車などを中心に輸出は1.1%増えた。海外から購入するワクチンなどで輸入は3.4%増えた。GDPの計算上、外需は輸出から輸入を差し引くため、全体への寄与度は0.4ポイントのマイナスとなった。
名目GDPは前期比0.1%増、年率0.4%増だった。収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比0.7%増となった。
4月以降は重点措置の解除で人出が戻っている。ゴールデンウイークは3年ぶりに緊急事態宣言のない大型連休となり、飲食店や外食、旅行需要などは回復しつつある。4~6月期は個人消費の持ち直しなどで、プラス成長に転じるとの見方が多い。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2021/1-32021/4-62021-7-92021/10-122022/1-3
国内総生産GDP▲0.3+0.5▲0.7+0.9▲0.2
民間消費▲0.8+0.7▲1.0+2.5▲0.0
民間住宅+1.0+1.0▲1.7▲1.2▲1.1
民間設備+0.0+2.2▲2.4+0.4+0.5
民間在庫 *(+0.0)(+0.1)(+0.1)(▲0.2)(+0.2)
公的需要▲0.5▲0.2+0.0▲1.1▲0.2
内需寄与度 *(▲0.5)(+0.8)(▲0.8)(+0.8)(+0.2)
外需(純輸出)寄与度 *(+0.1)(▲0.2)(+0.1)(+0.1)(▲0.4)
輸出+2.6+2.8▲0.3+0.9+1.1
輸入+1.8+4.3▲0.8+0.3+3.4
国内総所得 (GDI)▲1.1+0.1▲1.5+0.3▲0.7
国民総所得 (GNI)▲1.0+0.2▲1.5+0.5▲0.3
名目GDP▲0.6+0.3▲1.0+0.3+0.1
雇用者報酬 (実質)+1.1+0.2▲0.2+0.3▲0.4
GDPデフレータ▲0.1▲1.1▲1.2▲1.3▲0.4
国内需要デフレータ▲0.5+0.3+0.6+1.1+1.8

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された今年2021年1~3月期の最新データでは、前期比成長率がマイナス成長を示し、GDPのコンポーネントのうち黒の純輸出=外需の寄与が大きくなっています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比年率成長率が▲1.8%でしたが、実績は▲1.0%でしたので、やや上振れた印象です。しかも、テーブルに収録したように、インフレの影響とはいえ名目GDP成長率がプラスとなっています。実質所得の面から物価上昇により購買力が目減りしたことは確かですが、売上などについては大きなマイナスではないのではないか、と私は考えています。消費はほぼほぼ前期2021年10~12月期から横ばいですし、設備投資は前期からわずかながら増加しています。在庫が積み上がった影響を除いても内需寄与度はほぼほぼゼロですし、むしろ、外需によってマイナス成長となった印象です。輸入が大きく増加しているわけです。別の表現をすれば、資源高と円安による交易条件の悪化に起因するマイナス成長と考えるべきです。交易利得は昨年2021年10~12月期に前期差で▲3.3兆円の所得流出増を記録しましたが、本日公表された今年2022年1~3月期にも前期からさらに▲2.3兆円の流出増となっています。もう一度、物価について見ておくと、上のテーブルにある通り、GDPデフレータは低下している一方で、国内需要デフレータは上昇しています。すなわち、GDPの控除項目である輸入の価格上昇に起因するインフレですから、GDPデフレータは低下、輸入価格が国内に波及して国内需要デフレータは上昇、となっているわけです。国内需要デフレータの上昇がインフレの生活実感に近いと私は受け止めています。

最後に、足元の景気から考えて、4~6月期はある程度のプラス成長の可能性が高いながら、リスクは下方に厚い、と私は見込んでいます。すなわち、COVID-19とロシア/ウクライナ情勢が経済外要因として大きな影響がありますし、ほかに、米国をはじめとする日本以外の先進国での金融引締め政策の影響、中国のゼロ・コロナ政策による上海などのロックダウンの影響、自動車向け半導体をはじめとする途上国や新興国におけるサプライチェーンの動向、などなど、下振れリスク要因がいっぱいです。

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2022年5月17日 (火)

1-3月期のGDP統計速報1次QEは軒並みマイナス成長の予想が並ぶ!!!

4月末の商業販売統計や鉱工業生産指数などをはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、明日5月18日に1~3月期GDP統計速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。まん延防止等重点措置が3月21日に解除されるまで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のオミクロン型変異株の感染拡大のために行動制限が広がっていましたので、マイナス成長を見込む機関が多くなっています。でも、すでに「過去の数字」なのかもしれません。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。ただし、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の動向、さらに、ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う経済制裁の影響も極めて不透明です。こういった中で、テーブルの下の方の三菱系2機関を例外としつつ、ほとんどのシンクタンクでは、先行きの4~6月期までの予想について言及しています。特に、大和総研とみずほリサーチ&テクノロジーズでは極めて詳細な需要項目別などの見通しを明らかにしていますが、いろいろな事情があって、以下のテーブルではこの2機関だけは一部省略して最初のパートだけをピックアップしてあります。これら2機関の残りの部分も含めて、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.1%
(▲0.2%)
4~6月期を展望すると、活動制限の緩和で人出が回復し、個人消費が本格的に回復する見込み。また、自動車の挽回生産などを背景に、輸出や設備投資も一段と増加することから、高めのプラス成長となる見通し。
大和総研▲0.2%
(▲0.7%)
2022年4-6月期の日本経済は経済活動の正常化が進み、自動車の供給制約が小幅に緩和されるとの想定のもと、サービス消費や自動車関連需要が持ち直すだろう。自動車以外の輸出や設備投資に加え、政府消費も増加することで、実質GDPは高めのプラス成長(前期比年率+6.4%)になると見込んでいる。
個人消費は、経済の正常化に向かう中で2四半期ぶりの増加が見込まれる。サービス消費や自動車などの耐久財消費が増加しよう。新たなGo Toトラベル事業は6月にも実施される可能性があり、個人消費の押し上げ要因となるとみられる。
自動車生産については感染状況の改善に伴い、緩やかに増加すると想定している。もっとも、トヨタ自動車は4月18日に、半導体を含む部品不足により、5月の世界生産計画を年初に取引先に通達していた台数から10万台程度下方修正すると発表した。さらに3月時点では、6月の世界生産を年初の計画から5%程度減らす見通しを立てていた。他の自動車メーカーでもこうした動きが広がる可能性がある。当面は供給制約が継続し、ペントアップ(繰り越し)需要に対応した大幅な挽回生産は期待しにくいだろう。
みずほリサーチ&テクノロジーズ▲0.7%
(▲2.6%)
4~6月期は、ブースター接種の進展や経口治療薬の普及に伴い、対人サービス消費を中心に経済活動の回復が見込まれる。現時点では、年率+5%以上のプラス成長を予測している。
4月中旬までは新規感染者数が地方を中心に増加傾向で推移したことを受けて消費行動に慎重姿勢が残ったとみられ、人出(全国の小売・娯楽モビリティ)は4月に入り回復傾向が一服した。一方、足元では関東・近畿・中部の大都市圏で新規感染者数が減少しているほか、4月中旬まで感染増加が鮮明だった九州・沖縄や北海道・東北でも増勢が鈍化しており、オミクロン亜種による感染再拡大(第7波)は回避される可能性が高まっている。新規感染者数の増勢鈍化に伴い、GWにかけて人出は再び回復に転じる見込みであり、対人サービス消費も回復に向かうだろう。
しかし、今後の人出増加で感染者数は再び増勢を強める可能性もある。亜種についてもワクチンは有効であることから、医療体制の負荷は大幅には高まらず緊急事態宣言等の行動規制が再発令されるような事態には至らないとみているものの、ワクチン未接種者や子育て世帯(ワクチンを接種していない子どもと同居する親)、重症化した場合の死亡リスクが相対的に高い高齢者等を中心に引き続き消費行動に慎重姿勢が一定程度残るとみられ、個人消費の回復ペースは緩やかなものになるだろう。
ニッセイ基礎研▲0.5%
(▲2.1%)
まん延防止等重点措置は3/21で終了しているため、3月下旬以降は外食、宿泊などの対面型サービスを中心に個人消費が持ち直しているとみられる。物価高による家計の実質購買力低下が下押し要因となるものの、行動制限がなければ消費性向の引き上げによって個人消費は急回復することが期待できる。現時点では、4-6月期の実質GDPは民間消費の高い伸びを主因に前期比年率4%台のプラス成長を予想している。ただし、新型コロナウイルス感染症を完全に終息させることは困難であり、感染拡大時にこれまでと同様に行動制限の強化を繰り返すようであれば、消費の持続的な回復は実現しないだろう。
第一生命経済研▲0.4%
(▲1.5%)
4-6月期については、感染状況の落ち着きを背景にサービス消費を中心として再び景気が持ち直すと予想する。その先もコロナ禍からの正常化に向けた動きは続くとみられ、22年度の景気は緩やかな回復基調で推移する可能性が高い。
もっとも、資源価格の高騰による企業収益の圧迫や家計の実質購買力毀損、ゼロコロナ政策継続による中国経済下振れ懸念やサプライチェーンの混乱、速いペースでの金融引き締めによる米国経済失速懸念、新型コロナウイルスの感染再拡大リスク等、懸念材料には事欠かない。ウクライナ情勢の落ち着きどころが見えないなか、今後も先行き不透明感が非常に強い状況が続くとみられる。
伊藤忠総研▲0.5%
(▲2.2%)
続く4~6月期は、個人消費が物価上昇の逆風を受けつつもコロナ感染縮小を受けて持ち直し、設備投資も徐々に動き出すと見込まれ、前期比プラス成長に転じると予想。経済活動(実質GDP)の水準は、ようやくコロナ前(2019年10~12月期)を取り戻そう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.4%
(▲1.7%)
2022年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比-0.4%(年率換算-1.7%)と再びマイナス成長に陥ったと予想される。
三菱総研▲0.2%
(▲0.9%)
2022年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比▲0.2%(年率▲0.9%)と2四半期ぶりのマイナス成長を予測する。

見れば明らかな通り、ほぼ横ばいに近い小さなマイナス幅から、年率で▲2%を下回るような大きなマイナス成長まで、いろんなバリエーションが見られるのですが、私自身の感触としては、それほど大きなマイナス成長にはならないのではないか、と直感的に感じています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前期比年率で見て、中央値が▲1.8%のマイナス成長で、レンジだと▲0.2%~▲6.4%という結果になります。プラス成長を予測するシンクタンクはないわけです。もっともマイナス幅の大きな▲6.4%というのは野村証券金融経済研であり、ほぼほぼ外れ値に近いと私は考えていますが、直感ながら、私は前期比年率で▲1%くらいの予想で見ています。というか、1次QEの時点ではもう少しマイナス幅が大きい可能性はありますが、2次QEでおそらく上方改定され、仕上がりとして年率▲1%くらいのイメージです。たぶん、最新データを入れ込めばマイナス幅は小さくなる可能性が高い、と私は考えています。その理由としては、円安の進行です。資源価格の高騰による物価高は実質所得の低下によるマイナス効果が決して無視できませんが、円安については物価高への影響を差し引いても輸出からの影響へのインパクトにより景気拡大効果が見られる可能性が十分ある、と私は考えています。
最後に、下のグラフは、仕上がりの数字として、私の直感にもっとも近い大和総研のリポートから 実質GDP成長率と需要項目別寄与度の推移 を引用しています。

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2022年5月16日 (月)

とうとう上昇率が2ケタに達した企業物価指数(PPI)の先行きをどう見るか?

本日、日銀から4月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+10.0%まで上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業物価指数、前年比10.0%上昇 前月比1.2%上昇
日銀が16日発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は113.5で前年同月比で10.0%上昇、前月比で1.2%上昇だった。市場予想の中心は前年比9.4%の上昇だった。
円ベースで輸出物価は前年比17.3%上昇、前月比で5.6%上昇した。輸入物価は前年比44.6%上昇、前月比で10.8%上昇した。

とてもコンパクトながら、包括的に取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価上昇の要因は主として3点あり、いずれも、コストプッシュが大きな要因となっています。すなわち、第1に、国際商品市況の石油価格をはじめとする資源価格の上昇、さらに、第2に、我が国製造業のサプライチェーンにおける半導体などの供給制約の2点がコストプッシュの要因です。ただし、資源価格の高騰についてはウクライナ危機に段を発する供給要因だけではなく、一部のエコノミストから「中国要因」と呼ばれているように、新興国の景気回復による資源需要増という需要要因も同時に背景としています。とはいえ、あくまで我が国から見れば、という前提ですが、コストプッシュとみなすエコノミストも多いと考えられます。加えて、第3に、コストプッシュとデマンドプルの両面から、為替レートが減価している円安要因です。しかしながら、主としてコストプッシュ要因とはいえ、物価の上昇そのものは本格的なデフレ脱却には決して悪くない条件を提供している可能性があります。もちろん、円安は輸出増拡大による需要面からもデフレ脱却に寄与する可能性が十分あります。少なくとも供給面からの価格上昇に関しては、コストプッシュなのですから製品価格への転嫁を許容し、企業規模格差により価格転嫁が難しい中小企業に対する支援を強化し、さらに、消費者に対して生計費の上昇に対応した所得増を実現する、という企業行動や経済政策がデフレ脱却につながる可能性です。特に、最低賃金の引上げについては低所得者への影響が大きい上に、この先議論が本格化する季節ですし、何とか大幅な最低賃金引上げが実現することが必要です。逆に、コスト増で企業経営が苦しいからといって労働者が賃上げ抑制を押し付けられたり、中小企業からの納入単価が引き下げられたり、あるいは、現在の政府のガソリン補助金のようにコストプッシュの方を抑え込んで価格上昇を抑制しようとする方向は、価格シグナルに応じた市場メカニズムによる効率的な資源配分に歪みをもたらした上で、なかなか払拭できないデフレマインドをさらに強固に定着させかねない危険すらあります。価格転嫁が困難でお給料が上がらないことを前提に物価の方を抑え込む政策はデフレ脱却には逆行することは明らかです。中央銀行である日銀がデフレ脱却を目指した金融政策に取り組んでいる中で、政府が日銀と真逆の方向を向いていれば、日銀が「政府の子会社」であるかどうかはともかくとして、経済政策の有効性や整合性が低下するおそれが大きいと考えるべきです。

最後に、石油や天然ガスなどの化石燃料の価格上昇をある程度まで容認すれば、タバコ値上げと同様の効果があり、石油や天然ガスなどの消費を抑制して、地球温暖化や気候変動への対策にもつながる可能性が大きいと指摘しておきたいと思います。

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2022年5月15日 (日)

今日も猛虎打線爆発で横浜を圧倒!!!

  RHE
阪  神022021001 8112
横  浜000100000 192

連日の猛虎打線爆発の大量点で、横浜に連勝でした。
まず、投手陣については、先発のウィルカーソン投手は打線にも助けられ6回1失点のQSでした。2勝目ながら昨日の青柳投手に続いて安定感は抜群です。後をつないだリリーフ陣も勝ちパターンの投手を温存しながら、何とかゼロに抑えました。打撃陣は、佐藤輝選手のソロ2発に、タイムリーあり、犠牲フライあり、ウィルカーソン投手のバントに反応して糸井選手の好走塁あり、と多彩な攻撃で得点を重ねました。ついでながら、5回と9回の攻撃では相手エラーを着実に得点に結びつけています。このまま打線が調子を上げることを願うばかりです。

次のヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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2022年5月14日 (土)

久しぶりの猛虎打線爆発で横浜に大勝!!!

  RHE
阪  神202032000 9130
横  浜100010000 280

誠に久しぶりの猛虎打線爆発の大量点で、横浜に大勝して連敗ストップでした。雨天中止≈打てん中止もありましたが、日曜日以来の勝利でした。
まず、ピッチャーについては、相変わらず信頼度抜群で、先発の青柳投手は打線にも助けられ6回2失点のQSで降板して、連続完投からひと休みながら今季4勝目です。後をつないだリリーフ陣も勝ちパターンではない投手ばっかりでしたが、しっかりとゼロに抑え切りました。バッター人は、中野遊撃手がツーラン2発に、スリーベースが出ればサイクルヒットと、気を吐きました。クリンナップ3人もそろって打点を上げて、ひょっとしたら、少しずつ調子が上がって来ている気もします。まあ、気がするだけかもしれません。

明日も連勝目指して、
がんばれタイガース!

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今週の読書は経済書やミステリをはじめとして計5冊!!!

今週の読書感想文は以下の通りです。
玄田有史・萩原牧子[編]『仕事から見た「2020年」』(慶應義塾大学出版会)は、雇用に関する経済書です。さらに関連して、佐藤明彦『非正規教員の研究』(時事通信社)は、かなりブラックな職場といわれる学校の中でも、非正規教員の実態を明らかにしたノンフィクションです。さらに、単行本で最新刊のミステリを2冊読みました。方丈貴恵『名探偵に甘美なる死を』(東京創元社)と坂上泉『渚の螢火』(双葉社)です。前者は我が母校である京都大学推理小説研究会ご出身の作者で、後者は本土復帰50年を迎えようとしている沖縄を舞台にしています。最後に、酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎』(講談社現代新書)では、ネオリベ政策で数多く生み出されたブルシット・ジョブを解説する新書です。計5冊です。
なお、今週の5冊を含めて、今年に入ってから新刊書読書は計78冊と去年に比べてちょっぴりスローペースです。でも、年間200冊くらいには達するのではないかと考えています。また、新刊書読書ではないのですが、劉慈欣の『三体』を借りることができました。読み終えれば、このブログではなくFacebookでシェアしたいと考えています。

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まず、玄田有史・萩原牧子[編]『仕事から見た「2020年」』(慶應義塾大学出版会) です。著者は、東大とリクルートワークス研の研究者です。本書では、リクルートが2016年に始めた大規模パネルデータである「全国就業実態パネル調査」(JPSED)に基づく研究が収録されています。出版社が出版社ですから、かなりレベルの高い学術書のようにも見えますが、それほど小難しい内容ではなく、直感的に理解できやすい事実が数量的に確認されています。2020年のコロナ禍の時点までを対象に、主として新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響について分析を試みています。もちろん、COVID-19による雇用や国民生活への影響についてはon-goingで継続している課題ですので、今後も研究が続けられるものと考えるべきであり、その意味で、中間報告的な位置づけと私は受け止めています。まあ、永遠に中間報告なのかもしれません。いろんな論点が示されていますが、働き方の柔軟性による格差の拡大、すなわち、テレワークなどの活用による柔軟な働き方は高所得者層ほど利用可能性が高くなっているわけですが、こういった働き方のレジリエンスの格差は確かに生じたものの、ウェルビーイングの格差にまではつながっていない、と結論しています。また、緊急事態宣言下においてテレワークの実施による通勤時間の削減は確実に家事・育児時間の増加につながったことが明らかにされています。地域別の失業の状況については、最低賃金の4地域別の考察がなされていて、都会ではテレワークの活用により失業率の高まりが抑制された一方で、地方では、というか、収録論文ではかなり露骨に「田舎」と記述していますが、テレワークとともに、転職の容易さという要因もあって難しい面がある、と指摘しています。また、ワーク・エンゲージメントについては、経験年数の短い若年労働者と事業を営む経営者・事業者にダメージ大きかった、との結論が示されています。加えて、エッセンシャルワーカーの高いワーク・エンゲージメントが示され、国民生活がエッセンシャルワーカーの義務感の上に成り立っていた事実が明らかにされているとともに、休業や自粛要請は業務が不要不急であることを示すシグナルとなってワーク・エンゲージメントの低下につながった可能性を示唆しています。ただ、「やりがい搾取」といった観点は含まれていません。テレワークの分析に関しては、緊急事態宣言とともにテレワークに移行したものの、宣言終了とともに60%超がフルタイム出社に戻っていて、必ずしも定着率は高くなかったことが明らかにされています。テレワークでは、仕事の評価に対する不安が残るとともにヨコの連絡が取りにくくて業務効率を阻害している可能性が示唆されています。また、こういったテレワーク下の職場でのコミュニケーションとして、労働組合や労働者代表・職場代表の存在が重要である可能性を指摘しています。この点については、ここまで考えが至りませんでしたが、実は、私は大学の労働組合の執行委員をしていたりして、それなりに組合活動に対する貢献はしているつもりだったりします。また、右派エコノミストから労働の流動性を阻害していると批判の大きい休業手当については、就業確率、人間関係などのスコアが高くて非労働力化しにくいという結果が示されています。私の想像ながら、人的資本の維持にもつながっていると考えるべきです。最後に、正規・非正規の格差については、従来から、所得と安定性の二重の格差が指摘されてきましたが、コロナ禍における雇用・労働においてはテレワークの利用可能性なども含めた柔軟性が重要となりますが、この柔軟性も含めて、正規・非正規の間には従来の所得と安定性の二重の格差に加えて、柔軟性という三重の格差が出現した可能性が示唆されています。そうかもしれません。

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次に、佐藤明彦『非正規教員の研究』(時事通信社) です。著者は、教育ジャーナリストです。本書では、臨時的任用教職員=臨任と呼ばれる非正規教員を中心に、その実態を明らかにしようと試みられています。p.51図表2-1に見られるように、教員とは、実は私も大学教員なのですが、正規教員のほかに4種類の非正規教員のカテゴリがあります。1年間で期間が区切られた臨時的任用教職員=臨任、産休・育休代替教職員、主として定年後の再任用教職員、そして、非常勤講師です。そして、非常勤講師のほかは副業、というか、兼業は認められず、クラス担任を受け持ったり、中高の場合は部活動の顧問をしたりと、ほぼほぼ正規教員と同じ役割が割り振られています。ただ、校長や教頭の学校経営方針により大きく違いがあり、非正規教員にはやっかいな業務はやらせないという学校がある一方で、逆に、非正規教員こそやっかいな業務を担当して使い捨てにする、という学校もあるといいます。ただ、私のような大学教員は何ら教員免許を必要としませんが、小中高の場合は、いわゆる教員免許が必要である一方で、教員免許を持っていても教員採用試験に合格する必要があり、教員免許を持ちながら教員採用試験に不合格となってしまった人が非正規教員になる場合が多いわけです。しかも、決して事実として公式に認められる内容ではありませんが、教員の年代構成に歪みをもたらさないという観点から、特定の年代の教員が採用されにくくなっているのではないか、という疑問も本書では指摘されています。最近、都立高校での男女別の合格ラインの違いが話題になりましたが、教員採用でも年代別に合格ラインが意図的に異なるようにされている可能性があるわけです。他方で、今年2022年1月31日付けで文部科学省から「『教師不足』に関する実態調査」の結果が明らかにされており、小中学校合わせて2500人を超える教員不足が報告されています。この背景には、制度的な劣化があり、2004年には総額裁量性が導入され、さらに、いわゆる三位一体改革の一環として義務教育国庫負担の負担率が½から⅓に引下げられたりといった財政面での教育の軽視が上げられています。加えて、将来の少子化進行の影響を見据えて、解雇できない正規教員の採用を手控えている可能性も示唆されています。学校教育の雇用や労働というのはかなり独特の制度であり、有期雇用の無期転換ルールはありませんし、残業に対する超過勤務手当もありません。ですから、非正規はいうに及ばず、正規教員ですらも、かなり「ブラック」なお仕事であるという認識はかなり広く国民各層で共有されているのも事実かと思います。学校はいわゆる「やりがい搾取」の職場なわけです。ですから、非正規教員は民間の派遣社員のように、派遣会社にお給料をピンハネされていることこそないものの、クラス担任を受け持ったり、部活の顧問をしたりと、正規教員と大差ないお仕事であるにもかかわらず、ボーナスの額が低かったり、1年ごとの契約で不安定だったりと、通常の正規・非正規の所得と安定性の二重の格差があるのはまったく同じであり、本書でも、まずは、非正規教員にも初任者研修の場を確保することから始めて、教員不足なのだから正規教員の採用数を増やすのがもっとも正当な解決策であることを指摘しています。私もまったく同感です。教育のクオリティが低下すると、経済はもちろん、いろんな点から不都合が生じます。何とかすべき大きな課題と考えるべきです。

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次に、方丈貴恵『名探偵に甘美なる死を』(東京創元社) です。著者は、京都大学推理小説研究会出身のミステリ作家です。2019年に『時空旅行者の砂時計』で鮎川哲也賞を受賞してデビューし、長編第2作は『孤島の来訪者』、そして本作品は第3作となります。「竜泉家の一族」シリーズだそうですが、私はこの作品が初読です。綾辻行人や法月綸太郎などと同じく、我が母校出身のミステリ作家ながら、私は不勉強にしてこの作品をが初めてのわけです。だもので、前の「竜泉家の一族」シリーズの2作品を読んでいませんから、少し判りにくいところがあったかもしれません。でも、ミステリ大道のクローズド・サークルにおける密室殺人ミステリであり。相変わらず、まったく現実味はないものの、エンタメとしてのミステリの楽しさは十分に得られる大作です。主人公の加茂冬馬はゲーム会社のメガロドン・ソフトのプロデューサーから犯人役を依頼され、岡山沖の瀬戸内海に浮かぶ孤島での試遊会に出席します。なお、「犯人役」という役回りは後ほど。そこには、前作でごいっしょっだったらしい遠い親戚の竜泉佑樹もいて、現在はミステリ作家となっています。2024年秋に時代は設定されていて、ほぼコロナの感染拡大が抑制ないし管理されて、昔のノーマルな生活に戻った、との設定です。加茂冬馬と竜泉佑樹のほかには、素人探偵が数人招かれていて、さらに、メガロドン・ソフトのプロデューサーとディレクターと名前すら出ないスタッフが加わります。メガロドン・ソフトが開発したのはVR=ヴァーチャル・リアリティのミステリのゲームであり、ゲームの中で殺人が実行されます。ですから、主人公の加茂冬馬が犯人役として招待されるわけです。ただ、この犯人役についてもいろいろとトリックが隠されていますし、犯人役だけではなく、ほかの役割を持った人物もいたりします。しかし、試遊会のイベントは実のところ、メガロドン・ソフトのディレクターが仕組んだ実際のゲームであり、招待された素人探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームが始まってしまいます。なお、ここで人質というのは、例えば、主人公の加茂冬馬の場合、妻と娘であり、人質は招待されたゲストと同じスマートウォッチを付けていて、何と、VR制作のゲーム会社でありながら極めてアナログな毒針が仕込まれている、という設定です。デジタル・アナログ両方でご活躍の会社のようです。とても大掛かりな殺人が、リアルとバーチャルの両方でいくつか実行され、登場人物も決して多くはないので、私もじっくりとていねいに読み進みましたが、さすがに私くらいの頭の回転ではトリックを見破ることはできませんでした。特に、最初の方の毒殺については、現実にはありえないとしても、エンタメ小説ですから、とっても斬新な殺害方法と評価できます。あるいは、私くらいの頭の回転でも、何度か読み返せば、ひょっとしたら、どこかに論理のほころびがあって、それを見つけることが出来るかもしれませんが、取りあえず初読の段階ではムリでした。VRのミステリといえば、その昔に岡島二人の『クラインの壺』を読んだ記憶がありますが、細かな点、例えば、ポケットに鍵が入っているかどうか、といった部分については岡嶋二人の作品に軍配を上げたくなりますが、大掛かりな特殊設定によるとはいえ、斬新なクローズド・サークルにおける密室殺人という点では、本作品が優れています。ミステリとしての濃厚な殺人事件があり、しかも、めいっぱいのトリックを駆使しています。ただし、私の場合は、繰り返しになりますが、「竜泉家の一族」シリーズの前2作品を読んでいませんから、不明の点が少なくありませんでした。砂時計のペンダントがクラッキングを実行出来るとか、ワトソン役、というよりは、クイーン作品のJJマック役のホラの存在と砂時計のペンダントとホラの関係とか、できれば、前作にさかのぼってこの作家さんの作品を読んでみたいと思います。

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次に、坂上泉『渚の螢火』(双葉社) です。著者は、注目のミステリ作家です。デビュー作の『へぼ侍』、第2作『インビジブル』に続いて、本作品が第3作となります。私は不勉強にして、この作者の作品は初めて読みました。前2作と同じで警察小説です。舞台は本土復帰直前の1972年4-5月の沖縄であり、琉球警察本部、すなわち、後の沖縄県警に勤務し、東京の日大を卒業し警視庁に出向していた経験を持つエリート刑事が、ドルから円への切替えに際して起こった100万ドル強奪事件の真相に迫ります。ということで、もうすぐ、沖縄の本土復帰50年ですし、私が毎朝熱心に見ているNHK朝ドラも沖縄が舞台です。特に、NHK朝ドラでは主人公の兄がドルから円への切替えに当たって詐欺に巻き込まれます。ということで、この作品を読んでみました。なかなかによく出来た警察ミステリなのですが、同時に、沖縄の少しビミョーなあり方というのにも接することができました。米軍基地がいっぱいあるというのは、ある意味で重荷でしょうし、そのために、というか、それを遠因として倒れた内閣もありました。他方で、いろんな不都合はありつつも、米軍基地のお陰で生活が成り立っている県民もいるのかもしれません。私は沖縄と米軍基地というテーマを考える時、私はル-グィンの『風の十二方位』に収録されているヒューゴー賞受賞作「オメラスから歩み去る人々」を思い出します。確か、サンデル教授の何かの本でも紹介されていました。脱線してしまいましたが、この作品の読書感想文に戻って、最後に一挙に真相が明らかにされる、というよりも、ジワジワとタマネギの皮をむくように少しずつ真相に迫るミステリの手法であり、私の好きなミステリのタイプといえます。もちろん、少しずつ真相に迫りつつも、読者をミスリードする点でも作者の素晴らしい力量が示されています。すなわち、大量に人が死んで、しかも、米軍はもちろん、米国国務省の役人まで関係していたことから、「ひょっとしたら、日米外交関係にも影響を与えかねない大事件」と思わせつつ、実は、単なる、といっては申し訳ないのですが、個人的な復讐が動機になっていたりします。そのあたりの作者のプロット作りの上手さには舌を巻きます。そして、私がもうひとつ感激したのは、沖縄生まれの登場人物が、いかにも、沖縄っぽい苗字で登場する点です。鈴木とか田中とか佐藤とかいった姓の登場人物はいません。実に巧みに、私のような沖縄通ではない読者に、いかにも沖縄という雰囲気をもたらしてくれています。また、主人公にかけられる疑いの中で、極めて通俗的なのですが、「スパイ」というのがあります。実は、そのスパイが主人公の身近にいるというのも、まあ、プロット上で判るのですが、それなりに上手く描き出されています。主人公自身のアイデンティティの問題とも絡めて、果たして、どちらに付けばいいのか、というとても大元の問題を見ているようで、その意味で、沖縄の複雑さを際立たせている気がします。

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最後に、酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎』(講談社現代新書) です。著者は、大阪府立大学の研究者であり、専門は社会学です。というよりも、本書のタイトル通りに、グレーバー教授の『ブルシット・ジョブ』や『負債論』の邦訳者です。ですから、本書のタイトルに深く関連する『ブルシット・ジョブ』だけでなく、『負債論』からも多くの引用が引かれています。本書は、序論に当たる0講から始まって8講までの講義形式を取っています。ということで、私は本家のグレーバー著『ブルシット・ジョブ』をすでに読んでいて、昨年2021年2月7日付けで読書感想文を明らかにしていますので、特に、大きな感激はなかったのですが、今回改めて知らされたのは、ブルシットなジョブが資本主義、というか、特に現在のネオリベと深く関係しているという点です。逆にいえば、ネオリベな経済政策によって、しょうもなくて有害ですらあるジョブがはびこっているということで、実に、マルクス主義的な阻害の実体を見る気がします。本書や本家の『ブルシット・ジョブ』で、ブルシットなジョブとされているのは、マーケティングで「欲しい!」を作り出す仕事とか、たんなるマネジメントだけの仕事とかなのですが、実は、現在の先進国において、そういったマネジメントの仕事が、もっともお給料がよくて、しかも、社会的なステータスも高いわけです。典型的には、私のいた官界ではキャリアの国家公務員、ということになります。例えば、官界でもエリートとされる財務省主計局でいえば、電卓をたたいて計算し、表計算ソフトにインプットするという作業をするのはノンキャリの公務員なのですが、そういったノンキャリの公務員を統括して仕事を割り振ったり、大きな会議で発言したりするだけのキャリア公務員の方が地位は上だし、さらに、お給料は多い、ということになっています。しかも、こういったブルシットなジョブの逆転現象は日本だけではありませんし、もちろん、官界だけではなく広く民間企業に見られます。実際に組立ラインで製品を作ったり、あるいは、計器とにらめっこをしてプラントを動かしたりしている現場の作業員ではなく、ホワイトカラーと呼ばれマネジメントに携わる従業員の方がランクは上だし、お給料も多い場合が圧倒的多数です。同じことが社会的グループにもいえて、非正規職員の方が正規職員よりも所得が低くて安定性にも欠ける、というのが通り相場だったりします。ホントは、経済学的に考えると、「雇用の調整弁」という言葉があるように、非正規雇用が不安定な雇用であれば何らかのプレミアムがお給料に上乗せされていてもおかしくないのですが、そうなっているのはほとんど見かけません。現場作業している労働者の方がランクが上という例外であるのは、病院の医師と学校の教員だけです。どちらも高学歴職であり、少なくとも大学を出ている必要があるとはいえ、病院の事務職員よりも医師の方がステータスは上でお給料も高いのが普通であろうと思います。私が勤務経験あるのは学校の中で大学だけなのですが、たぶん、現場で教育サービスを提供する教員の方が事務職員よりも高ステータスで高給なのではないか、と思います。実に不思議なのですが、こういった謎のブルシット・ジョブについての講義形式の解説書です。

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2022年5月13日 (金)

国土建設省「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定に関する検討会議」の報告書やいかに?

本日、国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」の不適切処理に関して報告書が明らかにされています。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」とか、統計の不適切処理はいっぱいあったのですが、私は総務省統計局勤務経験ある身として、それほどの批判は加えてこなかったのですが、さすが額がデカいです。2019年12月分から2021年3月分までで下請受注高を含めて3.6兆円、それ以前なら5.8兆円の過大推計がなされていた、と結論しています。報告書p.4から引用した以下のテーブルの通りです。

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遡及改定の手法としては、以下の4つを上げて精度と簡便性の観点から、最初の方法が適当と判断しています。

  1. 合算月数で均等割りし、各月の受注額を推計する方法
  2. 標本抽出層ごとの月別受注高の平均値に比例させて配分する方法
  3. 調査票裏面の個別工事の請負契約額の合計に比例させて配分する方法
  4. 「当月に近い受注月ほど受注高が大きい」という仮説に基づく推定により配分する方法

そして、国土交通省において、今後、この「推計手法」に基づき、二重計上が影響する全期間9年分の受注統計及び建設総合統計について、適正かつ速やかに遡及改定を実施・公表すると結論しています。
統計は適切な政策運営には欠かせない情報であり、正確な統計が公表されることが必要です。

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2022年5月12日 (木)

改善続く4月の景気ウォッチャーと黒字が拡大した3月の経常収支を見る!!!

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.6ポイント上昇の50.4と改善し、先行き判断DIも+0.2ポイント上昇の50.3となっています。また、経常収支では、季節調整していない原系列で+2兆5493億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、現状判断指数は2カ月連続改善
内閣府が12日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は50.4で、前の月に比べて2.6ポイント上昇(改善)した。改善は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用が改善した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.3で、0.2ポイント上昇した。上昇は3カ月連続。企業動向、雇用が改善した。
内閣府は現状の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
3月の経常収支、2兆5493億円の黒字 民間予測は1兆7523億円の黒字
財務省が12日発表した3月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆5493億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆7523億円の黒字だった。
貿易収支は1661億円の赤字、第1次所得収支は3兆2603億円の黒字だった。

短いながら、よく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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現状判断DIは、ここ半年ほどを見れば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大にほぼ従う形で、やや荒っぽい動きを示しています。上のグラフの通りです。すなわち、昨年2021年12月まで上昇を示し、2021年12月には57.5に達した後、オミクロン型変異株の感染拡大などを背景に、今年2022年1月統計では前月差▲19.6ポイントと大きく低下して37.9の水準を記録し、2月統計でも37.7と引き続き低い水準で推移した後、3月統計では+10.1ポイント上昇の47.8と大きく上昇し、さらに、本日公表の4月統計では+2.6ポイント上昇して50超の水準まで回復を示しています。ただし、昨年2021年12月の水準にはまだ▲7ポイントほどの差があります。先行き判断DIは現状判断DIほどの荒っぽい動きではないのですが、3月統計と4月統計では50の水準を超えています。他方で、家計動向関連と企業動向関連では、現状判断DIと先行き判断DIで少し違った傾向が見られます。すなわち、現状判断DIでは家計動向関連と企業動向関連に大きな差が見られないのですが、先行き判断DIでは家計動向関連が低下する一方で、企業動向関連は改善を示しています。製造業に対しては円安の影響、非製造業に対してはCOVID-19の感染抑制の影響、ではないかと受け止めています。すなわち、3月決算の企業の売上や利益などがぼちぼち公表され始めましたが、特に、電機や自動車、さらに、総合商社などでは円安による好業績が大きく報道されています。日経新聞の業績ニュースの一覧などを見れば歴然としています。非製造業についても、COVID-19感染抑制が、例えば、JR各社の「ゴールデンウィーク期間のご利用状況」を見れば、軒並み前年比倍増3倍増となっています。関西でいえば、JR西日本の「ゴールデンウィークのご利用状況について」では、山陽新幹線が前年度比286%、北陸新幹線269%、在来線特急290%などとなっています。同時に、2018年対比の数字も明らかにされており、もちろん、COVID-19前の水準にはまだまだ及びませんが、昨年からは大きく回復を示していることも確かです。他方で、家計や消費者のサイドではインフレの影響で実質所得が目減りしているわけです。この国民生活の軽視はずっと続いてきているのですが、何度も繰り返してきたように、そろそろ、インフレに見合った所得の増加がないと日本経済はサステイナビリティを失いかねないような気がして、私はとても怖い気がします。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。季節調整をしていない原系列の統計で見て、3月統計では2か月連続で経常黒字を記録していますが、国際商品市況における資源価格の高騰などを受けて、貿易収支が▲1661億円の赤字、サービスと合わせて貿易・サービス収支が▲2938億円の赤字を計上しています。しかしながら、季節調整済みの系列ではまだ経常収支は+1兆円を超える黒字を維持しています。何度も繰り返しますが、ロシアのウクライナ侵攻などを受けて、国際商品市況で石油をはじめとする資源価格が値上がりしていますので、資源に乏しい日本では輸入額が増加するのは当然であり、消費や生産のために必要な輸入をためらう必要はまったくなく、貿易赤字は何の問題もない、と私は考えています。

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2022年5月11日 (水)

景気動向指数の基調判断は2月統計から「改善」に上方改定されていたのか?

本日、内閣府から3月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から+0.9ポイント上昇して101.0を示し、CI一致指数も+0.2ポイント上昇して97.0を記録しています。まず、時事通信のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

景気動向指数、2カ月連続改善 3月
内閣府が11日発表した3月の景気動向指数(2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント上昇の97.0となり、2カ月連続で改善した。基調判断は「改善」に据え置いた

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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先月2月の速報統計の公表時には、基調判断は「足踏み」だったと私は記憶していて、本日の3月速報統計では「改善」に改定されていますが、引用した時事通信を含めて多くのメディアでは「据え置き」と報じられています。景気動向指数の基調判断の基準については、実は、本日5月11日に改めて示されていて、「足踏み」から「改善」への変更の基準は「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇」かつ「当月の前月差の符号がプラス」となっていて、旧来から変更はありません。実は、3か月後方移動平均は昨年2021年11月から今年202年2月まで、一貫してプラスで上昇を続けており、もちろん、3月速報統計でもプラスです。ただし、1月速報統計や2月速報統計の段階では当月の前月差がマイナスだったもので、「改善」への改定ができなかったものの、先月4月25日公表の2月改定統計では前月差もプラスになり、その時点で基調判断が「足踏み」から「改善」に改定されたようです。このあたりは、今週月曜日の5月9日付けのダイヤモンド・オンラインの記事に詳しいところです。通常は、多くのエコノミストには速報統計がもっとも重視すべき指標なのですが、改定統計で基調判断が変更されたのは、長きに及ぶ私の経験ですら初めてです。ですから、3月速報統計の基調判断は「改善」で「据え置き」ということのようです。
ということで、3月統計についてCI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与が大きい順に、商業販売額(小売業)(前年同月比)+0.20ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)+0.19ポイント、有効求人倍率(除学卒)+0.16ポイント、などとなっています。他方、マイナス寄与が大きいのは、耐久消費財出荷指数▲0.25ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.14ポイント、などが目立っています。景気の先行きについては、4月統計は3月21日でまん延防止等重点措置が解除され、消費のリバウンドなどにより「改善」を続ける可能性が高いと考えていますが、さらに先となれば下方へのリスクが大きいと感じています。すなわち、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の国内新規感染者数が足元でジワリと増加を始めている可能性が指摘されていますし、ウクライナ危機は長引きそうだと報じられています。自動車向けなどの半導体不足も続いていますし、中国では上海が事実上のロックダウン状態にあります。私自身は国内のインフレや円安には楽観的ですが、メディアの報道などからマインドに悪影響を及ぼす可能性もなしとはしません。ですから、繰り返しになりますが、景気の先行きリスクはやや下方にある、と考えるべきです。

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2022年5月10日 (火)

海外ファンドは雇用を減らして賃金下落を招くのか?

日本における企業活動に関する大学の授業のために資料を整理していて、経済産業研究所のディスカッションペーパー "The Effect of Investment Funds on Employment and Wages" が検索にヒットし、やっぱり、投資ファンドからターゲットにされた企業では雇用減少と賃金への下方圧力が統計的に有意に確認される、ということが示されていました。このディスカッションペーパーのありかは以下の通りです。

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まず、東証の資料「2020年度株式分布状況調査の調査結果」から、主要投資部門ごとの株式保有比率の推移のグラフを引用すると以下の通りです。昨年2021年7月の公表でして、もう2か月待てば新しくアップデートされた統計が入手できそうな気がするのですが、授業は待ってくれません。1990年のバブル崩壊から最近30年間の大きな変化は見ての通り、「都銀・地銀等、生・損保、その他金融」の保有比率が大きく低下し、逆に、「外国法人等」の比率が上昇しています。まあ、「事業法人等」の保有比率も低下して、いわゆる株式持合いが解消に向かいつつあるトレンドは確認できます。
そして、経産研のディスカッションペーパーでは、"The most important result is that both employment and wages decrease after acquisition by investment funds." と結論されています。ただし、私もよく認識していますが、投資ファンドがすべて外国人投資家だとは限りませんし、逆に、外国人投資家がすべて投資ファンドであると主張するつもりもありません。事実、経産研のディスカッションペーパーでは、" In particular, firms acquired by domestic funds are more likely to reduce wages and to make larger reductions in employee numbers." すなわち、国内資本のファンドに買収された企業ほど賃金を引き下げ、また、雇用者を大きく削減する蓋然性が高いと指摘されています。買収するファンドの "country of origin" も十分考慮する必要があるのは当然ですが、国内の投資ファンドであれ、海外の投資ファンドであれ、アクティビスト的な活動を主とする、というか、まあ、やや強引に別の表現をすれば、カギカッコ付きで「グローバル・スタンダード」に従った活動をする投資ファンドによる買収は、雇用と賃金にネガな影響を及ぼす、ということなのだろうと考えるべきです。

ですから、本日の記事のタイトルにはややごまかしがあるわけで、ついつい「海外ファンドは」で書き始めてしまいましたが、ホントは、「投資ファンドは」、あるいは、「アクティビスト・ファンドは」が主語にならないといけないのかもしれません。

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2022年5月 9日 (月)

IMF Blog に見る1970年代の石油ショック時との違いは何か?

5月5日付けの IMF Blog は Chart of The Week の特集で、"Lower Oil Reliance Insulates World From 1970s-Style Crude Shock" と題して、現在の石油価格の高騰は1970年代の石油ショックの時とはかなり様相を異にする、との分析結果を明らかにしています。

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IMF Blog の書き出しは、"The war in Ukraine and sanctions on Russia are causing substantial economic spillovers, notably for energy." と上のグラフの右のパネルの現状を説明しつつ、それでも、タイトル通りに、今週のグラフの説明として、"As the Chart of the Week shows, the world relies less on oil, easing any potential shocks. Economists track oil intensity by comparing how many barrels are needed to produce $1 million in gross domestic product, and this measure was about 3.5 times higher than current levels when crude prices almost tripled between August 1973 and January 1974." と主張しています。世界経済の石油依存度は1070年代前半の第1次石油ショックのころから大きく低下し、GDP100万ドルに必要な石油を計算すると当時は現在の3.5倍必要だった、と分析しています。加えて、"wage-setting mechanisms" を取り上げて、いわゆる賃金と物価のインデクセーションは減少し、"the credibility of monetary policy has broadly strengthened over the intervening decades." として、中央銀行による金融政策の信頼性が強化されている事実を指摘し、インフレに対する警戒感は共有しつつも、決してかつての大幅なインフレになる可能性は高くない、との主張であると私は受け止めています。

今の学生諸君には何の記憶もないのは当然ながら、1970年代前半の第1次石油ショックのころのいわゆる「狂乱物価」で、スーパーマーケットでトイレットペーパーの争奪戦があったことなどは私はまだ覚えています。たしかに、メディアはインフレ目標手前の+1.9%の東京都区部のコアCPI上昇率を大きく報じましたが、先行きについては少なくとも狂乱物価当時の混乱を予想するエコノミストは少ないのではないでしょうか。加えて、石油価格ではなくて円安を題材にしているのですが、5月2日付けの Financial Times では "Yen weakness is an opportunity, not a threat, for Japan" と題して、円安擁護の姿勢を明らかにしています。すなわち、"Yen intervention falls into the category of policies that would do little good and little harm." として、円安回避のために市場介入することは効果も害悪も小さい、とか、"Pushing for a hawkish turn at the BoJ, by contrast, would do a great deal of harm and almost no good." として、タカ派的な金融引締めは害悪ばかりで効果なし、と指摘しています。そして、結論として、"the weak yen is a chance to stimulate exports - even if Japan is no longer the currency-sensitive export machine it once was - and get inflation closer to the BoJ's 2 per cent target. "A weak yen is positive for Japan's economy as a whole," Kuroda argued. In this, he is correct." ということで、円安のコストプッシュという供給面ではなく、輸出増加による需要面からの物価上昇により、日銀の2%物価目標の達成の好機である、との主張です。

ただし、1点だけ忘れるべきではないのは、1970年代とは違って、今の日本ではお給料が上がっていないことです。ですから、お給料が上がらないことを前提に物価を抑え込もうとするのではなく、逆に、物価上昇に応じた所得の増加を目指すことが重要です。この点は何度でも繰り返したいと思います。

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2022年5月 8日 (日)

何とかバンテリンドームの連続3タテは免れる!!!

  RHE
阪  神001000210 471
中  日000021000 371

ショボイ決勝点でしたが、何とか3タテは免れ連敗ストップでした。
先発の西純矢投手は、中日の柳投手にも投げ負けておらず、6回3失点ですから、まずまず立派なピッチングでした。相手エラーで先制点をもぎ取った後、逆転はされましたが、大山選手のツーランで追いつき、もうひとつのショートゴロが決勝点でした。ワンアウトでサードに文句なしの俊足ランナーがいて、それでもショートゴロ2つですかね。決勝点とはいえ、あの場面で外野フライも打てない外国人スラッガーというのも情けない気がします。終盤ズルズル行かなかったのはいいとしても、勝ちパターンのリリーフ陣が安定してきただけに、打撃陣の奮起が期待されます。

次の広島戦も、
がんばれタイガース!

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2022年5月 7日 (土)

GWの読書は経済書2冊とミステリを合わせて計5冊!!!

今週の読書感想文は以下の通りです。さすがに、ゴールデンウィークの中心となる週でしたので、ついついミステリ小説が多くなりました。
オリヴィエ・ブランシャール & ダニ・ロドリック[編]『格差と闘え』(慶応義塾大学出版会)は2019年に米国のシンクタンクであるピーターソン国際経済研究所(PIIE)が主催したコンファレンスでの発表論文を取りまとめています。タイトル通りに、現時点での格差や不平等の現状を計測しつつ、その是正に関する議論が多岐にわたって展開されています。本日5月7日の朝日新聞の書評欄で取り上げられています。渡辺努『物価とはなにか』(講談社選書メチエ)は我が国物価研究の第一人者により物価について解説されています。物価指数の計測などについては詳細な議論がなされている一方で、アベノミクスや現在の黒田総裁のもとでの異次元緩和などの評価については旧来の日銀理論が顔をのぞかせます。相沢沙呼『invert』(講談社)は好評だった前作『medium』の続編となる短編ないし中編ミステリ3作を収録しています。すべてが倒叙ミステリであり、犯人の特定や犯行手口などの謎解きがあまりなくて、もっぱら犯行の証拠固めに費やされていて、それほど高い評価のミステリにはならないだろうと思います。最後に、アンソニー・ホロヴィッツ『ヨルガオ殺人事件』(創元推理文庫)は、大きな話題を集めた 前作の『カササギ殺人事件』の続編であり、別のミステリが本編中に挿入されるというメタ構造となっています。海外長編にありがちな登場人物いっぱいで、しかも構造は複雑なのですが、謎解きを中心に据えるミステリとしてとても上質で明快な作品に仕上がっています。
なお、今週の5冊を含めて、今年に入ってから新刊書読書は計73冊と去年に比べてちょっぴりスローペースです。

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まず、オリヴィエ・ブランシャール & ダニ・ロドリック[編]『格差と闘え』(慶応義塾大学出版会) です。編者2人は、私ごときが紹介する必要ないくらいに著名なエコノミストであり、そのうちにノーベル賞を受賞するのではないか、と予想しています。ということで、本書に収録されている論文は、米国のシンクタンクであるピーターソン国際経済研究所(PIIE)主催で2019年10月に開催された Combating Inequality: Rethinking Policies to Reduce Inequality in Advanced Economies と第するコンファレンスに提出されたものであり、このコンファレンスのコーディネータが本書の編者2人ということになります。なお、PIIPのサイトには論文やプレゼン・ファイル、さらに、プレゼンの動画もアップされています。ご参考まで。まず、本書は11部構成で、各部に3章ほどが含まれていて、全てで29章構成となっています。寄稿者はダイヤモンド教授のようにすでにノーベル経済学賞を受賞したエコノミストから、この先、ほぼほぼ確実に受賞するであろう大物エコノミスト、さらに、エコノミストではないけれども格差や不平等の問題に意見表明している哲学者や政治学者などなど、極めて水準高い研究者を取りそろえています。とても長くなるのをいとわずに、論文タイトルとともに敬称略でズラズラと書き連ねると以下の通りです。

第Ⅰ部
状況の展望
第1章
先進国の格差をめぐる10の事実 (ルカ・シャンセル)
第2章
状況についての議論 (ピーター・ダイアモンド)
第Ⅱ部
倫理と哲学の元
第3章
経済理論に新たな哲学的基盤が求められる時代か? (ダニエル・アレン)
第4章
経済学者が対処すべきはどんな格差か? (フィリップ・ヴァン・パリース)
第5章
なぜ格差が問題なのか? (T.M. スキャンロン)
第Ⅲ部
政治の次元
第6章
資産格差と政治 (ベン・アンセル)
第7章
格差への対処に必要な政治的条件 (シェリ・バーマン)
第8章
アメリカで経済格差に取り組む際の政治的な障害 (ノーラン・マッカーティ)
第Ⅳ部
人的資本の分配
第9章
現代のセーフティーネット (ジェシー・ロススタイン、ローレンス・F・カッツ、マイケル・スタインズ)
第10章
教育の未開拓の可能性 (ターマン・シャンムガラトナム)
第Ⅴ部
人的資本の分配
第11章
なぜ「チャイナショック」は衝撃だったのか、政策にとって何を意味するのか (デヴィッド・オーター)
第12章
貿易、労働市場、チャイナショック - ドイツの経験から何が学べるか (クリスチャン・ダストマン)
第13章
格差との戦い - 先進国の格差縮小政策を再考する (キャロライン・フロイント)
第Ⅵ部
金融資本の(再)分配
第14章
(するべきなら)富裕層に増税する方法 (N. グリゴリー・マンキュー)
第15章
資産税は格差との戦いに役立つか? (ローレンス H.サマーズ)
第16章
資産に税を課すべきか? (エマニュエル・サエズ)
第Ⅶ部
技術変化のスピードと方向性に影響を与える政策
第17章
(過度な)自動化を後戻りさせられるか、させるべきか (ダロン・アセモグル)
第18章
イノベーションと格差 (フィリップ・アギオン)
第19章
技術変化、所得格差、優良な仕事 (ローラ・ダンドレア・タイソン)
第Ⅷ部
労働市場についての政策、制度、社会規範
第20章
ジェンダー格差 (マリアンヌ・ベルトラン)
第21章
所有権による格差の解消策 (リチャード B.フリーマン)
第Ⅸ部
労働市場ツール
第22章
万人への雇用保障 (ウィリアム・ダリティ・ジュニア)
第23章
仕事を底上げする (デビット T. エルウッド)
第24章
労働市場における効果的な政策手段を設計する際の法的執行力の重要性 (ハイディ・シアホルツ)
第Ⅹ部
社会的セーフティネット
第25章
社会的セーフティネットの向上を基盤にミクロとマクロのレジリエンスを高める (ジェイソン・ファーマン)
第26章
子供のいる世帯向けの社会的セーフティネット - 何が有効か、さらに効果を上げるにはどうするか? (ヒラリー・ホインズ)
第Ⅺ部
累進税制
第27章
再分配政策を支援する税制についての考察 (ヴォイチェフ・コプチュク)
第28章
私たちはなぜ再分配の増加を支持しないのか? - 経済学的調査からの新しい説明 (ステファニー・スタンチェヴァ)
第29章
資産税に効果はあるか? (ガブリエル・ズックマン)

あまりに多岐にわたる論点の論考が収録されていますので、いくつかに絞って取り上げておくと、まず、冒頭の第1章のシャンセル論文では、"The rise of inequality in rich countries is not driven by population ageing" と指摘して、不平等が高齢化に由来することを明確に否定しています。その論拠はそれほど明らかではないのですが、我が国では、従来から、というか、15年ほど前に出版された大竹文雄著『日本の不平等』を引いて、不平等や格差は高齢化で強調されている、とする見解を政府が繰り返しています。もちろん、もちろん、高齢化がすべての経済的格差や不平等の原因であるというわけではありませんし、やや不平等が大きく現れることの一因であるに過ぎないわけですが、この一文は目を引きます。そして、各論文に共通する考えとして、もはや先進国における不平等は社会的に許容できる水準を超えており、何らかの政策などで是正する必要がある、という点に関してはかなり多くのエコノミストの間に緩やかなコンセンサスがあると考えるべきです。そして、高所得者と低所得者の限界消費性向の違いを考慮すれば、高所得者から低所得者への所得移転により成長を加速することができる可能性が高まっています。加えて、本書を読んでいて、私は格差や不平等とともに貧困問題の解決も重要であると実感させられました。世界的に強気認められている自由や民主主義を実現するためには、あるいは、社会的文化的な生活をおくるためには、最低限必要な条件というものがあります。かつてはこの最低限の水準がそれほど高くなかったかもしれませんが、今ではそれ相応の知的レベルに達していないと、あるいは、十分な生活条件が満たされていないと自由で民主的な活動、あるいは、社会的に満たされていて、さらに文化的な生活を送ることができなくなりつつあります。仕事で十分な働きをなし、選挙で適切な判断を下し、健康で文化的な生活を送るためには一定の教育を必要とし、それは義務教育ギリギリの9年間では不足する可能性があります。ですから、日本では高等学校まで事実上全入に近くなっていますし、社会的な分業を維持するためには、一定割合の大学進学者の必要性も高まっています。インターネットに安価に接続できるパーソナルなデバイスがなければ、自由と民主主義の実践は難しくなりつつあります。さらに、日本では昨年「親ガチャ」なる新語・流行語が現れましたが、世代を超えて貧困や格差が継承=相続されるとすれば、機会の平等だけではなく、結果においても平等、あるいは、一定程度の格差の縮小が必要です。ホントの自由と民主主義のために、格差の縮小や貧困の是正が必要とされていると考えるべきです。本書では、日本が必ずしも含まれる論考ばかりではなく、米国、あるいは欧米先進国を中心とする論考が並んでいますが、格差や不平等ばかりではなく、貧困問題を考える上でも重要な論点が数多く取り上げられています。各チャプターの執筆者や出版社からしても、かなりの程度に学術書の色彩が強いのですが、可能な範囲で多くの方が手に取って読むことを私は願っています。

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次に、渡辺努『物価とはなにか』(講談社選書メチエ) です。著者は、東大の研究者であり、日銀ご出身です。私は総務省統計局に勤務していたころ、物価調査のセクションも統括していたのですが、その私の目から見ても我が国における物価指数の第一人者といえます。ですから、物価の計測、特に物価指数の作成なんかについては懇切丁寧に展開していますが、政策編となると、いかにも日銀官僚の言い訳に満ちている気もします。前者の評価できる点としては、いわゆる物価の会計理論に対する冷めた見方が上げられます。ここで強調しておきたいと思うのですが、私は物価とは貨幣価値の逆数であると考えています。ですから、現在のエネルギーを始めとする資源価格の高騰に起因する物価上昇率の高まりについては、どこまで政策対応すべきかについてやや冷めた見方をしています。我が国マクロ経済学界では、大御所の吉川先生が積上げ型の物価の会計理論に親近感を表すことがあるので、この点はそれなりに重要な気もします。そして、生計費指数に対するトルンクビスト指数の応用とか、物理学的な自信の発生を物価理論に応用するとか、なかなかに理論・実践ともに有益な見方が提供されています。特に、デフレとインフレに対する非対称な期待の働きは明快です。まあ、期待を「潰す」という表現には著者の感情がこもっていると受け止めました。ただし、繰り返しになりますが、特に力の入っていた物価に対する期待の影響力については、デフレとインフレで非対称、まではよかったものの、最後の最後で少しがっかりさせられました。すなわち、連邦準備制度理事会(FED)の金融政策の実践などを通じて、金融市場には期待の役割が大きいとしつつも、一般人のインフレ期待への影響を及ぼすことは難しい、との結論となっています。また、1円でも値上がりしていたら買わない選択をする消費者の存在とか、まあ、日銀ご出身らしい一般消費者への上から目線というか、不首尾な日銀金融政策の言い訳としか聞こえないような部分もあったりします。加えて、全体としてアベノミクスについての言及、というか、金融政策のレジーム転換に対する評価がまったくなされていません。少なくとも、渡辺教授もアベノミクス前には日銀的な岩石理論とか、ハイパーインフレ到来説に加担していたこともありましたから、その逆で、黒田総裁になってからの異次元緩和のインフレ率への効果が小さい点について批判するほどの不整合こそありませんが、結局は、旧来の日銀理論で物価のコントロールはできない、と考えているのではないか、と思わせる部分がいくつかありました。最後に、物価安定とマクロ経済の関係には大した言及がなく、物価の専門家だけに、マクロ経済から物価だけを取り出してしまう意味のなさ、ナンセンスに気づいていないかもしれません。

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次に、相沢沙呼『invert』(講談社) です。著者は、ミステリ作家であり、私は前作の『medium』をそれなりに評価したので、城塚翡翠を主人公とする同じシリーズの本作品も図書館で借りて読んでみました。しかし、やや期待は裏切られて、それほど感心するミステリではありませんでした。長編だった前作と違って、この作品は『短編、というよりも、中編くらいの長さの3つのミステリから編まれています。すべて叙情ミステリとなっています。「雲上の晴れ間」ではIT企業のエンジニア、「泡沫の審判」では小学校教員、そして、「信用ならない目撃者」では警視庁の刑事から探偵に転じた犯罪界のナポレオン、がそれぞれ殺人犯であり、犯人の特定ではなく、単なる証拠固めをするという役回りが主人公に割り振られています。ただ、前作から当然のようにハードルが高くなるわけですし、その分も含めてですが、それほどの出来のミステリとは思えません。まず、叙情ミステリですので仕方ないとはいえ、犯人が明らかな上に、他の犯人候補、というか、疑うべき被疑者がまったくいません。一応、被疑者の特定についても説明がなされるのですが、その被疑者の特定がかなりずさんで、叙情ミステリだから手を抜いているようにすら見えてしまいます。しかも、ストーリーの語り手はその犯人だったりします。ですから、主人公の名探偵さんは犯人を特定する必要も、犯人の心情を察する必要もほぼほぼなく、殺人を隠蔽するトリックを暴くというミステリらしい展開がまったくありません。その上、決して、論理的ではないとはいいませんが、かなり偶然に依存する方法、ないしは、故意に近い捏造が示唆される方法で証拠集めがなされています。ここでも、かなりの程度に、叙情ミステリで読者が鋭く突っ込まないという前提でストーリーが展開されています。謎解きも犯人の特定も何もなしで、ひたすら証拠集めというのは、実際の警察による犯罪捜査に近い気もしますが、ミステリ小説としては出来がよくないと考えるべきです。では、何に工夫するかといえば、例えば、東川篤哉の「魔法使いマリィ」のシリーズでは、コミカルな表現力とマンネリ化したギャグ的展開があったわけですが、この作品ではそこまで到達していません。主人公のキャラに依存しているということなのかもしれません。第2の残念な点なのですが、おそらく、主人公である城塚翡翠のミステリアスで謎多きキャラが少しずつ明らかにされていく、といったあたりが読ませどころなのかもしれませんが、少なくとも、この作品ではまったく進展ありません。引き続き、超絶技巧を示してくれるだけで、なんの目新しさもありません。助手の千和崎真も頭脳の冴えが主人公の翡翠に少し劣る以外は万能ぶりを発揮しています。ほぼほぼ欠陥なき主人公コンビなわけで、同時に面白みもありません。ただし、この主人公の素顔については、東野圭吾作品のガリレオこと湯川学教授についても、ようやく最新作で実の母親が登場したところですので、今後の展開で少しずつ明らかになるのかもしれません。主人公2人の女性キャラに好感を持てれば次回作も読む人が多そうな気がしますが、私自身は子に2人のキャラが好きにはなれませんから、このシリーズはこの作品で私は読むのを打ち止めにする可能性が高いと思います。他にも出来のいいミステリはいっぱいあります。この作品で「オッ」と思わせたのは、カクテルのサンドリヨンが登場したところくらいでした。理由は知る人ぞ知るところです。ということで、さよなら、城塚翡翠!!!

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最後に、アンソニー・ホロヴィッツ『ヨルガオ殺人事件』上下(創元推理文庫) です。著者は、前作『カササギ殺人事件』で日本でも話題になった英国のミステリ作家です。実に、本作品は『カササギ殺人事件』の続編であり、主人公は英国人の元編集者で、英国で教師をしていたギリシア人の夫とともに、現在はクレタ島でホテルを経営するスーザン・ライランドです。この主人公の経営するホテルに、同じように英国でホテルを経営するトレハーン夫妻が訪れます。というのは、8年前にトレハーン夫妻の経営するホテルで起こった殺人事件を題材にして、作家のアラン・コンウェイが探偵アティカス・ピュントのシリーズのひとつとして『愚行の代償』と題して発行したミステリがあり、その編集を主人公がしていました。トレハーン夫妻の経営するホテルで起こった実際の殺人事件はすでに犯人が逮捕され、判決も下っているのですが、この『愚行の代償』を読んだトレハーン夫妻の娘セシリーが、『愚行の代償』の中に8年前の殺人事件の真相を発見したとトレハーン夫妻に連絡し、その直後、セシリーが失踪した事件を聞かされます。コンウェイはすでに死亡しており、残る関係者は主人公のスーザンしかおらず、トレハーン夫妻は失踪した娘セシリーの行方と実際の殺人事件の真相究明を主人公のスーザンに依頼します。カネに目のくらんだ、とまではいわないものの、主人公のスーザンは依頼主のトレハーン夫妻の陽性を受入れて英国で真相究明と失踪したセシリーの捜索に乗り出します。というのがストーリーです。前作『カササギ殺人事件』と同じでメタ構造になっていて、作品中にアラン・コンウェイ作の『愚行の代償』が丸ごと挿入されています。このミステリの出来も優れていて、クリスティ作品みたいです。でも、海外ものの長編ミステリらしく登場人物がいっぱいいる上に、さらに、メタ構造で別の小説が挿入されているわけですから、私のような頭の回転の鈍い読者にはキャラを把握するだけでもタイヘンですし、なかなかストーリー展開もドラマチックで、楽しくはあるのですが、かなり集中して読まないと理解がはかどりません。軽い娯楽読み物ではなく、学術書とか古典文学を読むような重さを感じたりします。これは読書の良し悪しであって、重厚な読書を志向する場合もあれば、時間つぶしで軽い読み物がほしい時もあります。読者ニトリ、あるいは、TPOによってさまざまですが、本書は重厚なミステリと考えた方がいいかもしれません。私の場合は学術書を読む機会も少なくなく、重厚な読書が苦にならない上に、特に今週についてはゴールデンウィークまっさいちゅうで時間的な余裕があるタイミングでしたのでOKなのですが、そういった集中力を要しじっくりと読む読書ばかりではなく、軽い時間つぶしの読書を求める向きには、あるいは、そういったタイミングの読書には不適なミステリかもしれません。でも、労力を必要とするだけに、軽くて時間つぶしにうってつけのミステリにはない濃厚で奥の深い謎解きが楽しめます。私はどちらのミステリも大好きです。

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2022年5月 6日 (金)

米国雇用統計は完全雇用を示しインフレ抑制のために金融政策は引締めに転じる!!!

日本時間の今夜、米国労働省から4月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は昨年2021年から着実にプラスを記録していましたが、本日公表の4月統計では+428千人増を記録し、失業率は前月と変わらず3.6%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を久し振りに全パラ引用すると以下の通りです。

Economy adds 428,000 jobs in April even as COVID cases edge higher, unemployment is unchanged at 3.6%
Employers added 428,000 jobs in April, extending a streak of booming payroll gains despite a recent uptick in COVID-19 cases, persistent worker shortages and the war in Ukraine.
The unemployment rate was unchanged at 3.6%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 390,000 jobs were added last month.
The nation has recouped 20.8 million, or 95%, of the 22 million jobs lost early in the health crisis, leaving it 1.2 million jobs short of its pre-pandemic level. The deficit could be closed by summer.
Job growth averaged more than half a million a month in the first quarter as the pandemic eased following the surge in cases triggered by the omicron variant. And the economy now has added more than 400,000 jobs a month for 12 months, the longest such streak on record.
In April, leisure and hospitality, which includes restaurants and bars, the sector hit hardest by the pandemic, led the broad-based job gains with 78,000; manufacturing added 55,000; transportation and warehousing, 52,0000; professional and business services, 41,000; financial activities, 35,000; health care, 34,000; and retail, 29,000.
Daily COVID-19 cases are averaging about 60,000 compared to 25,000 in early April, with contagious omicron subvariants continuing to spread, according to the Centers for Disease Control and Prevention. Still, that's far below the 800,000 daily average recorded in January and omicron remains far less severe than prior virus strains.
As a result, the spike is having less impact on economic activity, Goldman Sachs economist Spencer Hill says. Restaurant seatings have held steady at close to pre-crisis levels in recent weeks, according to Goldman and OpenTable, an online restaurant reservation service.
Meanwhile, Americans who were caring for children or staying home out of COVID fears have been streaming back into a hot labor market with sharply rising wages. That trend paused in April, however. The number of people working or looking for jobs fell by 363,000 last month, pushing the labor force participation rate from 62.4% to 62.2%, still well below the pre-COVID level of 63.4%.
The drop came despite a record 11.5 million job openings in March, making it even tougher for firms across the country that are struggling to find workers. That tends to slow job growth during the typically busy spring hiring season, Hill says.
While job growth remains sturdy, it has slowed somewhat from January and February, when employers added 504,000 and 714,000 jobs, respectively. Business uncertainty created by Russia's war in Ukraine and high energy prices could be tempering hiring, says economist Ian Shepherdson of Pantheon Macroeconomics.
Small business hiring intentions hint at a possible downshift in monthly payroll to about 250,000 a month, Shepherdson, says citing surveys by the National Federation of Independent Business.
Most metro areas saw a decline in the number of hours worked and employees working at small businesses last month, according to Homebase, a payroll software provider.
April's strong report likely solidifies the Federal Reserve's tentative plans to raise interest rates by a half point at both its June and July meetings despite the recent stock market selloff, says economist Paul Ashworth of Capital Economics. A similar hike this week marked the Fed's largest such move in 22 years.

とてつもなく長く引用しましたが、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

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引用した記事の第3パラにもあるように、Bloombergによる市場の事前コンセンサスでは+390千人程度の雇用増が予想されていたため、実績の+428千人増はやや上振れた印象です。失業率についても、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック前の2020年1~2月には3.5%まで低下していましたが、この50年ぶりの水準に今年2022年3~4月の3.6%は肉薄しています。失業率だけからすれば、米国労働市場はほぼほぼ完全雇用状態に近いと考えるべきです。雇用逼迫に基づくホームメード・インフレに加えて、エネルギーをはじめとする資源価格の急騰が加わって米国ではインフレが加速しています。世界的なレベルでのCOVID-19からの回復局面における新興国や途上国でのエネルギーや鉄・非鉄金属などへの需要の高まりがあり、さらに、何といっても、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー供給制約によって資源価格が高騰し、米国をはじめとする先進各国のインフレに拍車をかけています。米国ではヘッドラインのインフレ率が+8%を超えています。ですから、広く報じられているように、一昨日5月4日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイントの利上げを決定し、量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小も近く開始される予定です。日本でも、本日公表された東京都区部の4月の消費者物価指数(CPI)統計では、昨年からの携帯電話料金引下げの効果が剥落し、一気に、コアCPI上昇率は+1.9%に達しました。日銀インフレ目標をまだ下回っているにもかかわらず、メディアでは「インフレ高騰」の大合唱が始まっています。いずれにせよ、米国では金融政策はハッキリと引き締めに転じていますが、景気回復の思わしくない我が国では、物価上昇と景気や雇用との兼ね合いで金融政策の舵取りが難しい段階に達しています。

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2022年5月 5日 (木)

押出し2つでヤクルトにサヨナラ勝ちして連敗ストップ!!!

  RHE
ヤクルト101000000 270
阪  神001010001x 391

ヤクルトに対して2試合連続で完封された後、何とか押出しフォアボール2つでサヨナラ勝ちして連敗ストップでした。
2連敗の後に今日の試合も先制され、苦しい試合展開ながら、佐藤輝選手のタイムリーでジワリと追い上げ、押出しのフォアボール2つをもらっての逆転勝ちでした。地上波のカンテレでのテレビ観戦でした。引退したばかりの鳥谷+岩田のダブル解説でした。一昨日のNHK藤川解説と違って、なかなかに、たどたどしい解説だったのですが、先行き予想の的確さでは鳥谷解説にも分があった気がします。

バンテリンドームの中日戦も、
がんばれタイガース!

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2022年5月 4日 (水)

ゴールデンウィークに彦根城へ出かける!!!

3年ぶりに緊急事態宣言とかの行動制限のない大型連休で、このゴールデンウィークは近場のお出かけを志向してカミさんが検討した結果、信楽にタヌキを見に行くというのは、鉄道便が悪いということで、彦根城を見に行きました。小高い山の上に作られた小ぶりなお城でした。でも、徳川期には大老を出せる格の譜代大名だったのはよく知られている通りです。桜田門外の変で暗殺された井伊直弼は社会科や日本史でも習うんではないでしょうか。
写真は上から順に、彦根駅前の初代藩主井伊直政像と彦根城の天守閣です。天守閣に登ろうと考えないでもなかったのですが、90分待ちということで諦めました。でも、抜けるような青空で、気温も上がって、まさに、行楽日和でした。

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2022年5月 3日 (火)

ヤクルト小川投手に手も足も出ず連勝ストップ!!!

  RHE
ヤクルト210000000 340
阪  神000000000 061

ヤクルト小川投手に完封され、連勝ストップでした。
先発の西勇輝投手が序盤から失点し、3回以降は目の覚めるようなピッチングでしたが、試合の流れを引き寄せることが出来ませんでした。打線もそこそこヒットは出ましたが、得点なりませんでした。NHKの藤川球児さんの解説では、復帰したヤクルト中村捕手の存在が大きい、というお説でした。私の目から見て、初回のヤクルト村上選手の先制ツーランは、その昔の掛布選手のバッティングを見ているようでした。

明日は、
がんばれタイガース!

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2022年5月 2日 (月)

久しぶりにわずかながら上昇した4月の消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から4月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.2ポイント上昇し33.0を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の消費者態度指数、前月比0.2ポイント上昇 コロナ対策緩和で「雇用環境」上向く
内閣府が2日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯(2人以上の世帯)の消費者態度指数(季節調整値)は、前月比0.2ポイント上昇の33.0だった。新型コロナウイルスの感染防止対策が緩和され、サービス業を中心に雇用が増えるとの見通しから「雇用環境」がプラスとなったことが寄与した。
指数を構成する4指標のうち「暮らし向き」「耐久消費財の買い時判断」「収入の増え方」はいずれもマイナスだった。緊迫が続くウクライナ情勢や生活関連用品の価格上昇が消費者マインドの重荷になっている。
内閣府は消費者心理についての基調判断を「弱い動きがみられる」で据え置いた。
1年後の物価見通し(2人以上の世帯が対象)では「上昇する」と答えた割合は、前月から0.9ポイント増えて93.7%(原数値)だった。比較可能な2013年4月以降で最も高い水準となった。
消費者態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について、今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と回答すればゼロになる。

いつになく長い記事で、よく取りまとめられている印象です。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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消費者態度指数の4項目のコンポーネントについて、前月差で見ると、「雇用環境」が+1.3ポイント上昇し36.1となったほかは、残りの3項目はすべて前月差マイナスでした。すなわち、「収入の増え方」が▲0.6ポイント低下し36.8、「暮らし向き」及び「耐久消費財の買い時判断」がともに▲0.1ポイント低下し、それぞれ31.2、27.7を記録しています。上のグラフを見ても明らかなように、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が大きく減少していた昨年2021年10~12月期の時期から、今年2022年が明けて1~3月まで3か月連続で低下した後、4月統計で少しだけ上昇を示したとはいえ、わずかに前月差で+0.2ポイントです。従って、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「弱い動きがみられる」で据え置いています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の新規感染者数はピークを過ぎて、3回目のワクチン接種=ブースター接種も順調に進んでいるようなのですが、他方で、ウクライナ危機が消費者心理に影を落としています。戦争被害が連日のように報じられて、悲惨なウクライナの現状に心痛めるとともに、身近なエネルギーや食料の価格を中心に、物価が目立ってが上昇を示しており、おそらく、購買力という意味も含めて、「収入の増え方」の前月差マイナスが大きくなっています。ただ、雇用環境の改善幅が大きいのは私は歓迎すべきと受け止めています。何度か繰り返しましたが、物価の上昇を受け入れられるような所得の増加が必要です。インフレの影響については、短期的にはマインドも含めて悪影響出る可能性は大いにありますし、食料価格は生活上の障害にもなりかねません。しかし、雇用の改善や財政支援も含めた所得増でカバーできるのであれば、長い目で見て、エネルギー価格の上昇により脱炭素化が進み、地球温暖化=気候変動の抑制には一定の効果が見込める可能性もあります。

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2022年5月 1日 (日)

巨人を3タテし6連勝も今季ようやく10勝目のトホホ!!!

  RHE
阪  神000002042 8150
読  売010000000 140

終盤に猛虎打線が爆発し、西純矢投手の好投もあって、巨人を3タテ6連勝で今季ようやく10勝目です。
先発の西純矢投手が躍動するようなピッチングで7回1失点と抑えつつ、打線は6回に梅野捕手のタイムリーで逆転し、8回と9回には代打の糸井選手、山本内野手、島田外野手、近本外野手と、タイムリーが次々に飛び出して計6点と、何度もダメを押し、昨日に続いて勝ちパターンのリリーフ陣を温存してジャイアンツに大勝しました。プロ初安打はともかく、西純矢投手のプロ2勝目と今季初勝利おめでとうございます。
昨日も書きましたが、今日もどうでもいいことを2点。まず、監督をすっ飛ばしてすぐにヒーロー・インタビューを始めて欲しいです。それから、昨季はデーゲームに強かったような記憶が...

甲子園に戻ってのヤクルト戦も、
がんばれタイガース!

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