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2022年5月11日 (水)

景気動向指数の基調判断は2月統計から「改善」に上方改定されていたのか?

本日、内閣府から3月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から+0.9ポイント上昇して101.0を示し、CI一致指数も+0.2ポイント上昇して97.0を記録しています。まず、時事通信のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

景気動向指数、2カ月連続改善 3月
内閣府が11日発表した3月の景気動向指数(2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント上昇の97.0となり、2カ月連続で改善した。基調判断は「改善」に据え置いた

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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先月2月の速報統計の公表時には、基調判断は「足踏み」だったと私は記憶していて、本日の3月速報統計では「改善」に改定されていますが、引用した時事通信を含めて多くのメディアでは「据え置き」と報じられています。景気動向指数の基調判断の基準については、実は、本日5月11日に改めて示されていて、「足踏み」から「改善」への変更の基準は「原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇」かつ「当月の前月差の符号がプラス」となっていて、旧来から変更はありません。実は、3か月後方移動平均は昨年2021年11月から今年202年2月まで、一貫してプラスで上昇を続けており、もちろん、3月速報統計でもプラスです。ただし、1月速報統計や2月速報統計の段階では当月の前月差がマイナスだったもので、「改善」への改定ができなかったものの、先月4月25日公表の2月改定統計では前月差もプラスになり、その時点で基調判断が「足踏み」から「改善」に改定されたようです。このあたりは、今週月曜日の5月9日付けのダイヤモンド・オンラインの記事に詳しいところです。通常は、多くのエコノミストには速報統計がもっとも重視すべき指標なのですが、改定統計で基調判断が変更されたのは、長きに及ぶ私の経験ですら初めてです。ですから、3月速報統計の基調判断は「改善」で「据え置き」ということのようです。
ということで、3月統計についてCI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与が大きい順に、商業販売額(小売業)(前年同月比)+0.20ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)+0.19ポイント、有効求人倍率(除学卒)+0.16ポイント、などとなっています。他方、マイナス寄与が大きいのは、耐久消費財出荷指数▲0.25ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.14ポイント、などが目立っています。景気の先行きについては、4月統計は3月21日でまん延防止等重点措置が解除され、消費のリバウンドなどにより「改善」を続ける可能性が高いと考えていますが、さらに先となれば下方へのリスクが大きいと感じています。すなわち、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の国内新規感染者数が足元でジワリと増加を始めている可能性が指摘されていますし、ウクライナ危機は長引きそうだと報じられています。自動車向けなどの半導体不足も続いていますし、中国では上海が事実上のロックダウン状態にあります。私自身は国内のインフレや円安には楽観的ですが、メディアの報道などからマインドに悪影響を及ぼす可能性もなしとはしません。ですから、繰り返しになりますが、景気の先行きリスクはやや下方にある、と考えるべきです。

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