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2022年8月 4日 (木)

内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書 2022」やいかに?

やや旧聞に属するトピックですが、7月29日に内閣府から「満足度・生活の質に関する調査報告書 2022」が公表されています。2019年5月に第1次報告書が公表されてから、このリポートで5回目になります。私はエコノミストとして、主観的な満足度は経済政策の目標としては疑問を感じつつも、客観的な指標によるWell-beingについては政策目標になり得る、と感じています。このリポートは、そのうちの主観的な満足度なのですが、性別・年齢別・地域別などのセグメントに従った分析がなされていますので、ごく簡単に図表とともに見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、リポート p.3 図表1-1-1 生活満足度の推移と前回調査からの変化 (男女別) を引用しています。見れば明らかな通り、女性の満足度は常に男性を上回っています。幸福度・満足度に関する調査では、日本に限らず先進国では女性が男性を上回るケースが多いと私は受け止めています。また、加えて、女性の満足度は今回調査では前回から改善しており、その改善度合いは10%水準で統計的に有意に改善しています。男性は前回調査から悪化しているのですが、統計的には有意ではありません。

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続いて、上のグラフは、リポート p.4 図表1-1-2 生活満足度の推移と前回調査からの変化 (年齢階層別) を引用しています。年齢階層としては、若年層(15-39歳)、ミドル層(40-64歳)、高齢層(65-89歳)にカテゴライズされています。これまた、見れば明らかな通り、ミドル層で満足度がもっとも低く、若年層がミドル層よりやや満足度が高い一方で、高齢層の満足度が年齢別ではもっとも高くなっています。この年令階層別の結果も多くの先進国に共通していて、日本に限定したことではありません。ただ、日本の高齢層は、おそらく私の想像では社会保障などの面から、先進国の中でももっとも恵まれていて、年齢階層別でも満足度が飛び抜けて高い点は忘れるべきではありません。政治的にシルバー民主主義で強い権力を発揮し、それでも、年金が少ないとの不満があったりするのですが、総合的な生活の満足度が高い点は従来から明らかです。ただし、前回調査からの改善度合いということになれば、ミドル層の改善幅が大きく、統計的にも5%水準で有意になっています。

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続いて、上のグラフは、リポート p.4 図表1-1-3 生活満足度の推移と前回調査からの変化 (地域別) を引用しています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、東京圏の一都三県はややイレギュラーな動きを示していますが、いわゆる3大都市圏の満足度が地方圏を上回っています。生活の利便性などを考慮すると、まあ、そうなんだろうという気がします。通常は、ブロック別、例えば、近畿とか九州とか、の分類なのですが、満足度や生活の質に関する調査に関しては、都市圏と地方圏で分類するのも一案かという気がします。強くします。

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最後に、上のグラフは、リポート p.13 図表1-2-4 SNS上の利用頻度・交流人数と満足度 を引用しています。大雑把に、SNSを利用している人の方が満足度が高いといえそうです。加えて、SNSの利用が多い方が、すなわち、SNSの利用頻度が年1回である場合と比べてより頻度が高い方が、また、SNS上の交流人数が多い方が生活満足度及び社会とのつながり満足度は緩やかに高まるようですが、天井があるようで、月に1回程度の利用や交流人数20~29人で幸福度の改善は頭打ちとなっているように見えます。

繰り返しになりますが、政策目標として主観的な幸福度が適当かどうかについて、私は疑問を持っています。もしもそうならば、オキシトシンだか、セロトニンだかの幸福ホルモンの分泌を促す政策が最優先課題とされるべきです。他方で、客観的なWell-being、例えば、所得や資産残高、失業率や労働時間、住宅の広さ、犯罪発生件数/率、高等教育の普及率、平均寿命・健康寿命、などなどは政策目標として適切なものがいっぱいあって、それらを総合的に計測できる指標の開発が望まれます。もちろん、GDP成長率は重要なのですが、カバレッジはそう広くなく、成長率だけが経済政策の目標ではない点は忘れるべきではありません。

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