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2022年8月30日 (火)

緩やかながら改善を示す7月の雇用統計!!!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも7月の統計です。失業率は前月から横ばいの2.6%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.02ポイント上回って1.29倍に達しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

有効求人倍率7カ月連続で上昇、7月1.29倍 失業率横ばい
厚生労働省が30日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.29倍と前月に比べて0.02ポイント上昇した。7カ月連続で前月を上回った。持ち直しの傾向が続くが、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前の水準には届いていない。総務省が同日発表した完全失業率は2.6%で前月と同じだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。倍率が高いほど職を得やすい状況となる。
景気の先行指標とされる新規求人数は前月比12.8%増え、新規求人倍率は2.40倍と前月から0.16ポイント上がった。今後の消費回復への期待などから、業種別では宿泊、飲食サービスの伸びが大きい。運輸・郵便、製造業も増えた。
就業者数は6755万人と前年同月比で2万人減った。4カ月ぶりに減少した。

続いて、雇用統計のグラフは下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、失業率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月から横ばいの2.6%と見込まれ、有効求人倍率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、前月から横ばいの1.27倍と見込まれていました。実績では、失業率は前月から横ばいで、有効求人倍率は市場予想より改善しています。いずれにせよ、足元の統計はやや鈍い動きながらも雇用は底堅いと私は評価しています。ただし、休業者について見ると、1月から3月にかけて、季節調整していない原系列の休業者数の前年同月差が、3か月連続で増加した一方で、逆に、4~6月には3か月連続で減少した後、直近で利用可能な7月統計では再び増加しています。これはひとつの懸念材料ですが、詳細は把握しきれていません。また、失業率が季節調整済みの系列で5月から直近統計の7月まで3か月連続で2.6%で横ばいを記録している一方で、一致指標の有効求人倍率や先行指標の新規求人数・新規求人倍率が改善を示していますので、失業率についてもここ3か月は遅行しているだけで改善方向に動く可能性は十分ある、と私は考えています。その意味からも、改善ペースは緩やかながらも、雇用は底堅いと私は評価しています。

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最後に、参考まで、上のグラフは雇用形態別有効求人倍率をプロットしています。少し見にくいかもしれませんが、正社員有効求人倍率は季節調整済みの系列で見て前月を+0.02ポイント上回り1.01倍と1倍を超えています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大から、正規職員の確保が進んでいましたが、正社員有効求人倍率が1倍を超えたのは雇用の改善のひとつの特徴と考えるべきです。もちろん、パートの有効求人倍率の方がまだまだ高いのも事実ながら、グラフからも見て取れるように、リセッション前には正社員とパートの間には有効求人倍率の乖離が0.7ポイントほどあったのに対して、現在では0.3ポイントほどに縮小しているもの事実です。

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