9月調査の日銀短観予想やいかに?
来週月曜日10月3日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2022年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ危機といった経済外要因の動向次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、景況感が低下するのは明らかだという予想です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 大企業製造業 大企業非製造業 <設備投資計画> | ヘッドライン |
6月調査 (最近) | +9 +13 <+14.1> | n.a. |
日本総研 | +8 +12 <+13.9%> | 先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査対比+3%ポイントの上昇を予想。供給制約の緩和により生産活動が正常化に向かうほか、国内の旅行支援策の実施や水際対策の緩和に伴い、サービス業を中心に景況感が改善する見込み。ただし、海外経済の減速や原材料価格の上昇が引き続き製造業の景況感の重石に。 |
大和総研 | +10 +12 <+14.9%> | 大企業製造業では、半導体不足の緩和による生産拡大を見込む「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。大企業非製造業については、「全国旅行支援」による旅行需要の回復の後押しや、水際対策の更なる緩和によるインバウンドの増加への期待感から、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」、「小売」といった業種で業況判断 DI(先行き)が上昇すると予想する。 |
みずほリサーチ&テクノロジーズ | +10 +13 <+14.6%> | 製造業・業況判断DIの先行きは、横ばいでの推移を予測する。自動車生産の回復が緩やかにとどまることに加えて、海外経済の減速や半導体市場の調整が重石となろう。(略) 一方、非製造業・業況判断DIの先行きは2ポイントの改善を見込む。対人接触型サービス消費持ち直しへの期待から、宿泊・飲食サービスや対個人サービス(遊園地・テーマパークや美容室等)中心に改善するだろう。 |
ニッセイ基礎研 | +11 +12 <+6.3%> | 先行きの景況感は方向感にばらつきが出ると予想している。まず、製造業・非製造業ともに、原材料・エネルギー高の継続や値上げによる需要減少に対する懸念が燻る。さらに、製造業では利上げによる欧米の景気後退、中国での都市封鎖再発、国内での冬場の電力不足などへの懸念も加わり、先行きにかけて景況感の悪化が示されそうだ。一方、非製造業ではコロナの感染縮小や水際対策の緩和などに伴う人流のさらなる回復への期待が反映され、先行きにかけて、景況感の小幅な回復が示されると見ている。 |
第一生命経済研 | +12 +7 <大企業製造業+21.4%> | 9月の短観は、大企業・製造業が前回比+3ポイントと小幅改善すると見込まれる。6月に上海ロックダウンが解除されて、需要のリバウンドが生産回復に寄与している。しかし、その先では米利上げが世界経済を減速させる懸念も控えている。2022年度計画全体の変化にも目配りをしておく必要がある。 |
三菱総研 | +12 +12 <+14.5%> | 先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が9月時点から▲1%ポイント低下の+11%ポイント、非製造業は+2%ポイント上昇の+14%ポイントと予測する。製造業は、米欧の利上げ加速に伴う外需の減速懸念から悪化を見込む。一方、非製造業は、本格的な経済活動正常化への期待から改善を見込む。水際対策緩和等を背景にインバウンド需要回復が見込まれることも押し上げ要因となろう。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +11 +15 <大企業全産業+17.4%> | 日銀短観(2022年9月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業で、前回調査(2022年6月調査)から2ポイント改善の11と、4四半期ぶりの改善が見込まれる。円安と資源価格高によるコスト上昇が多くの業種で企業収益を圧迫する一方、供給制約の緩和で自動車や機械類を中心に景況感の悪化に歯止めがかかり、改善に向かうとみられる。先行きは、加工業種を中心に供給制約の緩和継続が期待され、2ポイント改善の13となろう。 |
農林中金総研 | +12 +14 <+14.5%> | 先行きに関しては、引き続き、一次産品価格の高騰による収益圧迫への警戒が強いほか、欧米諸国での利上げ加速による景気鈍化懸念やゼロコロナ政策を続ける中国経済の足踏み、欧州のエネルギー危機への警戒が不安材料ともみられるが、非製造業ではウィズコロナへの移行、インバウンド需要の回復などへの期待も根強いと思われる。以上から、製造業では大企業が10、中小企業が▲3と、今回予測からともに▲2ポイントの悪化予想と見込む。一方、非製造業では大企業が14、中小企業では1と、今回予測からともに+1ポイントと改善を予想する。 |
極めて大雑把に見て、6月調査からの変化として9月調査の短観では、大企業製造業・非製造業ともに業況判断DIは横ばい、ただ、直感的には製造業がわずかに改善、非製造業がわずかに悪化、加えて、設備投資計画もほぼ横ばいながら、やや上方修正、というように私は受け止めています。また、先行き業況判断は改善方向にある、といえそうです。ただし、設備投資計画については、6月調査から9月調査への修正幅は小さくても、昨年度からの設備投資の伸びは全規模全産業で+10%超とかなり大きいわけですから、ここ2年余り新型コロナウィルス感染症(COVID-19)もあって設備投資に積極的でなかった企業が、改めて、人手不足や先行きの将来見通しも明るくなり、旺盛な設備投資意欲を示している雰囲気が伝わってきます。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから業況判断DIの推移を引用しています。
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