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2022年9月27日 (火)

8月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)は+2%近い高い上昇率が続く!!!

本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.9%を記録し、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIも+1.5%の上昇を示しています。サービス物価指数ですので、国際商品市況における石油をはじめとする資源はモノであって含まれていませんが、こういった資源価格の上昇がジワジワと波及している印象です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、18カ月連続上昇 8月1.9% 日銀
日銀が27日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は107.1と前年同月比1.9%上昇した。上昇幅は7月から縮小したものの、18カ月連続のプラスとなった。堅調な移動需要を背景に国内航空旅客輸送などが上昇した。
宿泊サービスや情報通信なども上昇した。宿泊サービスは新型コロナウイルス感染拡大のなかでも行動制限がなかったことが影響した。情報通信ではソフトウエア開発などでシステムエンジニア職の人件費上昇が押し上げ要因となった。
調査対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは100品目、下落したのは18品目だった。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業物価指数(PPI)とともに、企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。なお、影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の最近の推移は、昨年2021年3月にはその前年2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響の反動もあって、+0.7%の上昇となった後、2021年4月には+1.1%に上昇率が高まり、本日公表された今年2022年8月統計まで、18か月連続の前年同期比プラス、17か月連続で+1%以上の上昇率を続けていて、6月統計と7月統計では+2%に乗せました。ただし、最新の8月統計では+1.9%とやや上昇幅を縮小させつつも、高止まりしている印象です。基本的には、石油をはじめとする資源価格の上昇がサービス価格にも波及したコストプッシュが主な要因と私は考えています。ですから、上のグラフでも、SPPIのうちヘッドラインの指数と国際運輸を除くコアSPPIの指数が、最近時点で少し乖離しているのが見て取れます。もちろん、ウクライナ危機の影響に加えて、新興国や途上国での景気回復に伴う資源需要の拡大もあります。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づく8月統計のヘッドライン上昇率+1.9%への寄与度で見ると、石油価格の影響が強い運輸・郵便が+0.67%、土木建築サービスや宿泊サービスなどの諸サービスが+0.60%、リース・レンタルが+0.35%、損害保険や金融手数料などの金融・保険が+0.13%、などとなっています。また、寄与度ではなく大類別の系列の前年同月比上昇率で見ても、特に、運輸・郵便が+4.1%の上昇となったのは、エネルギー価格の上昇が主因であると考えるべきです。もちろん、資源価格のコストプッシュ以外にも、リース・レンタルの+4.6%、広告の+1.8%の上昇などは、それなりに景気に敏感な項目であり、需要の盛り上がりによるディマンドプルの要素も大いに含まれている、と私は受け止めています。ですので、エネルギーなどの資源価格のコストプッシュだけでなく、国内需要面からもサービス価格は上昇基調にあると考えていいのかもしれません。
ただし、やや細かな点ですが、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率が6~7月の+2.0%から8月には+1.9%にやや上昇ペースが鈍っている一方で、石油価格の影響の強い国際運輸を除くコアSPPI上昇率は5~7月の+1.3%から8月には+1.5%に上昇ピッチが上がっています。単なる計測誤差である可能性が十分あるとは思いますが、インフレの主たる要因が、石油をはじめとする資源高から、その国内への波及によるホームメード・インフレに移ってきている可能性が無視できない、と私は考えています。

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最後に、企業向けサービス価格指数(SPPI)を離れると、昨日、経済協力開発機構(OECD)から「経済見通し中間報告」OECD Economic Outlook, Interim Report September 2022 が公表されています。副題は Paying the Price of War となっています。上のテーブルはOECDのサイトから Table 1. OECD Interim Economic Outlook GDP projections September 2022 を引用しています。今年2022年はそれほど大きな修正ではありませんが、来年2023年の成長率見通しは大きく下方修正されています。同じサイトには Summary が12点上げられているのですが、そのうちの3点目は、"Global growth is projected to slow from 3% in 2022 to 2¼ per cent in 2023, well below the pace foreseen prior to the war. In 2023, real global incomes could be around USD 2.8 trillion lower than expected a year ago (a shortfall of just over 2% of GDP in PPP terms)." と指摘しています。直接的な要因はインフレ抑制のための金融引締めなのですが、その大元の原因であるロシアのウクライナ侵攻が世界の経済減速をもたらしている、という主張です。

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