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2022年11月16日 (水)

2か月連続で前月比マイナスを記録し基調判断が下方修正された9月の機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から9月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比▲4.6%減の8680億円となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

9月の機械受注、前月比4.6%減 市場予想は0.7%増
内閣府が16日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比4.6%減の8680億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は0.7%増だった。
製造業は8.5%減、非製造業は4.4%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は2.9%増だった。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比+0.6%増と微増の予想で、予想レンジの下限では▲7.0%減でしたから、実績の+4.6%減はやや下振れた印象です。従って、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と半ノッチ下方修正しています。上のグラフで見ても、増加のトレンドが反転したようには見受けられませんし、受注水準としても決して低くはない、と私は受け止めていますから、大きな判断は「持ち直しの動き」としても、まあ、その動きに「足踏み」というところなのかもしれません。
7~9月期の四半期でみると、コア機械受注の受注総額は前期比1.6%減の2兆7438億円と減少しているものの、足元の10~12月期の見通しを見ると、コア機械受注は+3.6%増の2兆8439億円と増加の可能性が示唆されています。産業別に少しだけ詳しく見ると、製造業が+2.9%増の1兆4419億円、船舶と電力を除く非製造業も+4.6%増の1兆4107億円と、いずれも増加する見通しが示されています。ですから、円安で価格競争力を増しているとはいえ、世界経済が先進国を中心にインフレ抑制を目指して金融引締めを継続し明らかに停滞色を強めている中で、輸出に依存する割合が高い製造業の伸びが内需に軸足を置く非製造業よりも低くなっています。ただし、足元での新型コロナウィルス(COVID-19)の新規感染拡大が第8波に入った可能性を考慮すれば、非製造業の10~12月期見通しが達成できるかどうかは不透明です。

最後に、7~9月期の四半期データが利用可能になりましたのでコア機械受注の達成率をチェックすると、4~6月期の109.4%からやや低下したものの、7~9月期でも99.5%と、景気後退局面入りの経験則である90%はまだ上回っています。最近では、COVID-19の感染拡大により緊急事態宣言が出された2020年4~5月期に85.1%を記録した後、継続的に90%を上回っています。

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