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2022年11月29日 (火)

8か月連続のプラスが続く商業販売統計と堅調な雇用統計をどう考えるか?

本日、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも10月統計です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+4.3%増の13兆820億円でした。季節調整済み指数では前月から+0.2%増を記録しています。また、雇用統計では、失業率は前月から横ばいの2.6%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.01ポイント上回って1.35倍に達しています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額4.3%増 8カ月連続プラス
経済産業省が29日発表した10月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比4.3%増の13兆820億円だった。8カ月連続で前年同月を上回った。外出機会の増加による売り上げの伸びや商品価格の引き上げが寄与した。
業態別でみると、スーパーは前年同月比2.8%増の1兆2599億円だった。2カ月連続で増加した。前年同月より土日祝日が1日多く、衣料品や行楽用品に改善の動きがみられた。飲食料品は値上げが販売金額を押し上げた。
百貨店は10.7%増の4721億円だった。気温の低下でコートなどが売れた。コンビニエンスストアは6.5%増の1兆577億円。2021年10月の増税の反動で、たばこの売り上げが伸びた。家電大型専門店は0.1%増の3516億円、ドラッグストアは6.0%増の6445億円、ホームセンターは1.9%増の2850億円だった。
小売業販売額の季節調整済みの指数は106.8で、前月比で0.2%の上昇だった。経産省は基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
10月の求人倍率1.35倍、10カ月連続上昇 失業率は2.6%
厚生労働省が29日に発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍で、前月に比べて0.01ポイント上昇した。10カ月連続で前月を上回った。持ち直しが続くものの、新型コロナウイルス禍前の水準には届いていない。総務省が同日発表した完全失業率は2.6%で、前月から横ばいだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。倍率が高いほど職を得やすい状況となる。コロナ禍前の2020年1月は1.49倍だった。20年9月に1.04倍まで落ち込み、その後は上昇傾向にある。
景気の先行指標となる新規求人数は92万4946人で前月比1.4%増加し、新規求人倍率は2.33倍と前月比0.06ポイント上昇した。業種別では、政府の観光喚起策「全国旅行支援」や水際対策の緩和で観光需要の持ち直しを見込んだ宿泊や飲食サービスの伸びが大きかった。
完全失業率は20年8月から21年1月にかけて3%台に達することが多かったが、その後は2%台で推移している。10月の就業者数は6755万人で前年同月に比べて50万人増えた。3カ月連続の増加となった。正規の職員・従業員は3614万人と17万人増え、5カ月ぶりに増加。非正規は2116万人で34万人増えた。

やや長くなったものの、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、小売業販売額は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大による行動制限のない状態が続いており、外出する機会にも恵まれて堅調に推移しました。上のグラフを見ても明らかな通り、季節調整していない原系列の前年同月比で見た増加率も、季節調整済み系列の前月比も、どちらも伸びを示しています。そして、季節調整済み指数の後方3か月移動平均で判断している経済産業省のリポートでは、10月までのトレンドで、この3か月後方移動平均の前月比が+1.0%増となり、基調判断を「持ち直している」で据え置いています。ここ3か月、すなわち、8~10月では前年同月比で+4%を超える増加率となっており、消費者物価指数(CPI)の上昇率がまだ、というか、何というか、+4%には達していませんから、小売業販売額と消費者物価指数のカバレッジが異なるとはいえ、消費は実質で増加していると考えてよさそうです。産業別では、特に、自動車小売業が前年同月比で+10.6%増となっています。前四半期の7~9月期に供給制約を脱して生産が回復したことが大きな要因であろうと私は受け止めています。また、医薬品・化粧品小売業も+10.5%と大きく伸びています。他方、先月の9月統計まで大きな増加を示していた燃料小売業が10月統計では+1.9%増にとどまっていて、やや不思議な気がします。価格はこれ以上に上昇していますから、おそらく、数量ベースでは減少という結果なのだろうと私は考えています。ということで、いつもの注意点ですが、2点指摘しておきたいと思います。すなわち、第1に、商業販売統計は名目値で計測されていますので、価格上昇があれば販売数量の増加なしでも販売額の上昇という結果になります。第2に、商業販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていません。ですから、足元での物価上昇の影響、さらに、サービス業へのダメージの大きな新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響は、ともに過小評価されている可能性が十分あります。特に、前者のインフレの影響については、10月の消費者物価指数(CPI)のヘッドライン前年同月比上昇率は+3.7%に達しており、名目の小売業販売額の+4.5%増は物価上昇を上回っているとはいえ、実質の小売業販売額はやや過大評価されている可能性は十分あると考えるべきです。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。なお、影を付けた部分は商業販売統計のグラフと同じで景気後退期を示しています。そして、失業率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月からやや低下して2.5%と見込まれ、有効求人倍率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、前月からやや改善の1.35倍と見込まれていました。実績では、失業率は市場の事前コンセンサスから下振れし、有効求人倍率は市場予想と一致しました。総合的に見て、「こんなもん」という気がします。いずれにせよ、足元の統計はやや鈍い動きながらも雇用は底堅いと私は評価しています。ですので、休業者も10月統計では前年同月から+8万人増と、増加したものの微増にとどまりました。季節調整していない原系列の統計ながら、実数として7~8月ともに250万人を超えていた休業者が、9月には194万人、10月には174万人にまで減少していることも事実です。そういった中で、雇用の先行指標である新規求人を産業別に、パートタイムを含めて新規学卒者を除くベースの前年同月比伸び率で見ると、宿泊業・飲食サービス業(+29.3%増)、卸売業・小売業(+11.7%増)、生活関連サービス業・娯楽業(+10.1%増)が2ケタ増と伸びが大きく、明らかに、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のダメージの大きかった産業で新規求人が回復しているのが確認できます。入国規制が緩和されたインバウンドの回復も一因だろうと考えられます。

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