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2022年11月30日 (水)

2か月連続の減産となった10月の鉱工業生産指数(IIP)の先行きやいかに?

本日、経済産業省から10月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。ヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲2.6%の減産でした。9月統計に続いて、2か月連続の減産です。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、10月2.6%低下 2カ月連続マイナス
経済産業省が30日発表した10月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は95.9となり、前月から2.6%下がった。低下は2カ月連続。中国・上海市でのロックダウン(都市封鎖)が6月に解除されて以降、部品などの供給制約の緩和で回復基調にあった反動が続く。
経産省は基調判断を「生産は緩やかな持ち直しの動き」から「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に引き下げた。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、鉱工業生産指数(IIP)は▲1.7%の減産という予想でしたが、実績の▲2.6%減はやや下振れた印象ですが、予想レンジの範囲内という意味では、サプライズではありませんでした。ただし、引用した記事にもある通り、2か月連続の減産ですので、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」から「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」と、半ノッチ下方修正しています。中国の上海における6月からのロックダウン解除をはじめとする海外要因から、7~9月期は季節調整済みの系列の前期比で見て+5.8%の増産でしたので、9~10月の減産は反動の面もあるともいえます。もっとも、欧米先進国ではインフレ対応のために急激な金融引締を進めており、海外景気は大きく減速していますので、この要因の方が大きいと私は考えています。例えば、、経済産業省の解説サイトでは「これまでの上昇の反動」に加えて「海外需要の減少等」と減産の要因を分析しています。他方で、製造工業生産予測指数を見ると、足元の11月+3.3%、12月+2.4%と、それぞれ増産の動きが予想されています。産業別に10月統計を少し詳しく見ると、生産増の寄与がもっとも大きかった産業は自動車工業であり、前月比5.6%の増産により鉱工業生産全体への寄与度は+0.74%に達しています。続いて、汎用・業務用機械工業の前月比+6.1%増、寄与度+0.47%、電気・情報通信機械工業の前月比+2.0%増、寄与度+0.16%となります。減産寄与が大きいのは生産用機械工業の前月比▲5.4%減、寄与度▲0.54%、電子部品・デバイス工業の前月比▲4.1%減、寄与度▲0.25%、化学工業(除、無機・有機化学工業・医薬品)の前月比▲4.9%減、寄与度▲0.20%となっています。
鉱工業生産の先行きに関しては、米国の連邦準備制度理事会(FED)をはじめとして、欧米先進国ではインフレ抑制のためにいっせいに金融引締めを強化しており、景気後退まで考えられると私は見ています。この金融引締めに加えて、ウクライナ危機も相まって外需の動向が懸念されます。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大も冬を迎えて第8波に入ったとする向きもあり、政府の「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の経済効果の大きさは直接のGDP押上げ効果が4.6%と試算されていますが、物価高騰の抑制が主眼だけに何とも評価が難しく、いずれにせよ、生産の先行きは不透明といわざるを得ません。

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