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2022年11月21日 (月)

今年の年末ボーナスの予想やいかに?

今月11月に入って、例年のシンクタンク4社から今年2022年年末ボーナスの予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下のテーブルの通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因で決まりますので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほリサーチ&テクノロジーズのみ国家公務員+地方公務員であり、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員ベースの予想、と明記してあります。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研38.8万円
(+1.8%)
63.9万円
(▲2.0%)
賞与の企業間格差が鮮明に。海外展開している大企業では円安の進行により為替差益が発生する一方、中小企業では円安・資源高による原材料コスト増が収益を圧迫。既に今夏の賞与も事業所規模100人以上の企業では前年から増加する一方、100人未満はほぼ横ばいにとどまる状況。7~9月期以降も円安・資源高が中小企業の業績を下押ししているとみられ、今冬の賞与では企業規模間の格差がさらに広がる可能性。
みずほリサーチ&テクノロジーズ38.6万円
(+1.2%)
74.1万円
(+1.1%)
物価高は消費回復の重石になる。原材料価格の高騰等を背景に、値上げの動きは当面続く見込みである。みずほリサーチ&テクノロジーズでは、10~12月期の消費者物価(生鮮食品を除く)を前年比+3.4%、2023年1~3月期を同+2.4%と予想しており、冬のボーナスが増えても、物価高の影響で家計の実質的な所得は前年対比で減少する計算になる。2022年10~12月期、2023年1~3月期の個人消費はサービス消費を中心に回復が見込まれるものの、物価高が下押し要因となり緩慢な伸びにとどまるだろう。
第一生命経済研n.a.
(+2.6%)
n.a.物価上昇も懸念材料だ。足元で物価上昇は加速しており、22年10-12月期の消費者物価指数の上昇率は前年比で+3%台半ば~後半に達する見込みである。今冬のボーナスが比較的高い伸びになるとみられることは好材料ではあるが、それでも賃金の増加ペースが物価上昇に追い付かない状況には変わりがない。今冬のボーナス増加が個人消費の活性化に繋がる可能性は低いだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング39.0万円
(+2.5%)
65.1万円
(▲0.1%)
コロナ禍での業績悪化で支給を取りやめていた事業所での支給が続々と再開され、支給労働者割合は83.4%(前年差+0.9%ポイント)と上昇しよう。同割合はコロナ前の2019年の水準には届かないものの、雇用者数の増加が続く中で、ボーナスを支給する事業所で働く労働者の数は4,291万人(前年比+1.5%)まで増加し、コロナ前を上回る見込みである。

テーブルから明らかな通り、今年の冬のボーナスはそこそこ上がる期待が持てます。ただし、注意すべき点が2点あります。第1に、ボーナスの増加が物価上昇に追いつかなおそれです。日本総研以外のみずほリサーチ&テクノロジーズ、第一生命経済研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティングにヘッドラインで引用しておきました。おそらく、ボーナス増は物価上昇で相殺され、というか、物価上昇がボーナス増を上回って、実質所得の増加はほぼほぼ見込めません。ただ、名目の貨幣賃金が増加しますので、一定の消費促進効果はあるものと私は期待しています。第2に、日本総研のリポートで強調されているところで、ボーナスの企業間格差が大きくなる可能性にも注意すべきです。上のテーブルで取り上げた4シンクタンクのうち、日本総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2機関のリポートでは民間企業を製造業と非製造業に分けて示しています。日本総研では製造業が+6.3%増の53.4万円に対して、非製造業が+0.9%増の36.2万円、また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでも製造業が+5.5%増の53.0万円に対して、非製造業が+1.9%増の36.4万円、と、伸び率でも額でも製造業と非製造業の格差が大きくなっている点が明らかにされています。海外展開が進んでいる大企業では、特に製造業では円安の進行によって為替差益が享受できる一方で、中小企業では円安は資源高とともにコスト増をもたらして収益を圧迫する要因となると考えられます。日本ではもともと企業の規模による格差が大きく、大企業は中小企業と比較して給与水準が高い上に、財務体質などの経営の安定性もあり、学生諸君はこぞって大企業への就職を希望するのですが、今年の円安や資源高はこの企業規模による格差を拡大している可能性が大きく、特に、年末ボーナスにはその影響が現れている、と私は考えています。最後に、地域限定ながら、浜銀総研から「2022年冬の神奈川県民ボーナスの見通し」が明らかにされています。民間企業は+1.4%増、公務員は+7.6%増と予想しています。
最後の最後に、下のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから引用しています。

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