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2023年1月20日 (金)

とうとう+4%に達した2022年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率をどう見るか?

本日、総務省統計局から昨年2022年12月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+4.0%を記録しています。報道によれば、第2次石油危機の影響がまだ残っていた1981年12月の+4.0%以来、41年ぶりの高い上昇率だそうです。ヘッドライン上昇率も+4.0%に達している一方で、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+3.0%にとどまっています。というか、エネルギーと生鮮食品を除いてもインフレ目標の+2%を超えています、というべきかもしれません。まず、日経新聞のサイトから統計を報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、22年12月4.0%上昇 41年ぶり上げ幅
総務省が20日発表した2022年12月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で4.0%上昇した。第2次石油危機の影響で物価が上がっていた1981年12月(4.0%)以来、41年ぶりの上昇率となった。22年通年は生鮮食品を除く総合で102.1となり、前年比2.3%上がった。
上昇は22年12月まで16カ月連続になった。4.0%という伸び率は消費税の導入時や税率引き上げ時を上回り、日銀の物価上昇目標2%の2倍に達した。事前の市場予想におおむね沿う数字だった。
通年での上昇は19年(0.6%)以来3年ぶり。2%を超えるのは、消費税率を上げた14年(2.6%)を除くと1992年(2.2%)以来。消費増税時を除いた比較で、2022年の上昇率2.3%は1991年(2.9%)以来31年ぶりの高い水準になった。
2022年12月は調査対象の522品目のうち、前年同月より上がったのは約8割に相当する417品目。変化なしは47、下がったのが58だった。上昇した品目は11月の412から増加した。
生鮮食品を含む総合指数は4.0%上がった。1991年1月(4.0%)以来、31年11カ月ぶりの上昇率だった。生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数は3.0%上がり、消費増税時を超えて91年8月(3.0%)以来31年4カ月ぶりの水準となった。
エネルギーや食料など生活に欠かせない品目で値上がりが続いている。品目別に上昇率を見ると、エネルギー関連が15.2%で全体を押し上げた。11月の13.3%を上回り、15カ月連続で2桁の伸び。都市ガス代は33.3%、電気代は21.3%上がった。
生鮮を除く食料の上昇率は7.4%で、76年8月(7.6%)以来46年4カ月ぶりの水準に達した。食料全体は7.0%だった。鳥インフルエンザ拡大の影響もあって鶏卵が7.8%上昇した。食用油が33.6%、炭酸飲料は15.9%、弁当や冷凍食品といった調理食品は7.3%伸びた。外食も5.8%と高い。
家庭用耐久財は10.8%上がった。原材料や輸送価格の高騰でルームエアコン(13.0%)などが値上がりしている。
日本経済研究センターが16日にまとめた民間エコノミスト36人の予測平均では、2023年は物価上昇の勢いが鈍る。生鮮食品を除く消費者物価上昇率は23年1~3月期に前年同期比で2.71%になり、7~9月期(1.70%)に1%台になるという。
主要国の生鮮食品を含む総合指数は、22年12月の前年同月比の伸び率で日本を上回る。米国は6.5%、ユーロ圏は9.2%、英国は10.5%だった。

なにせ今一番の注目の経済指標ですのでやたらと長くなりましたが、いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+4.0%の予想でしたので、ジャストミートしました。もちろん、物価上昇の大きな要因は、基本的に、資源とエネルギー価格の上昇による供給面からの物価上昇と考えるべきですが、もちろん、円安による輸入物価の上昇も一因です。すなわち、コストプッシュによるインフレであり、日銀による緩和的な金融政策による需要面からのディマンドプルによる物価上昇ではありません。CPIに占めるエネルギーのウェイトは1万分の712なのですが、12月統計におけるエネルギーの前年同月比上昇率は+15.2%に達していて、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度は+1.21%あります。このエネルギーの寄与度+1.21%のうち、電気代が+0.78%と過半を占め、次いで、都市ガス代の+0.33%などとなっています。加えて、生鮮食品を除く食料の上昇率も高くなってきていて、10月統計+5.9%、11月統計+6.8%に続いて、12月統計では+7.4%の上昇を示しており、ウェイトがエネルギーの3倍超の1万分の2230ありますので影響も大きく、+1.67%の寄与となっています。統計からしても、値上がりの主役はエネルギーから食料に移ったと考えるべきです。12月統計の生鮮食品を除く食料の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率に対する寄与度を少し細かく中分類で見ると、+17.9%の上昇を示したハンバーガーをはじめとする外食が+5.8%の上昇率で+0.27%の寄与度、+10.4%の上昇を示したからあげをはじめとする調理食品が+7.3%で+0.26%の寄与度、+14.1%の上昇をを示したあんパンをはじめとする穀類が+9.6%の上昇率で+0.20%の寄与度、などとなっています。私も週に2~3回くらいは近くのスーパーで身近な商品の価格を見て回りますが、ある程度は生活実感にも合っているのではないかと思います。繰り返しになりますが、ヘッドライン上昇率とコアCPI上昇率は12月統計で、どちらも+4%ですから、エネルギーの寄与度が+1.21%、生鮮食品を除く食料による寄与度が+1.67%となっていますから、これだけで+3%近い寄与となります。それ以外の寄与は+1%強なわけです。
ただし、現在のインフレ目標+2%を超える物価上昇率は長続きしません。すなわち、おそらく、今年2023年1月統計で+4%が続く可能性は十分あるとしても、その後、急速にインフレ率は縮小します。引用した記事にもある通り、日本経済研究センター(JCER)によるEPSフォーキャストでは今年2023年1~3月期は+2.71%になり、2023年7~9月期には道銀のインフレ目標を下回って+1.70%まで上昇幅を縮小させると予想されています。他にも、ニッセイ基礎研究所のリポートによれば、「コアCPIは23年夏場以降に1%台後半まで伸びが鈍化すると予想している」と日本経済研究センターのESPフォーキャストと同じ見方をしています。政府による物価高対策の影響が大きいといえます。

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