研究への公的助成は「選択と集中」よりも「広く薄く」が効果的
研究活動への公的な助成は「選択と集中」では効率化出来ず、「広く薄く」配分する方が好ましい、という研究成果が米国のジャーナル Plos One で明らかにされています。pdfバージョンもオープンアクセスの利用可能です。サイテーションは以下の通りです。
私が国内メディアで見たのは、以下の毎日新聞だけですが、ほかにもあるかもしれません。
タイトルからも判るように、生命科学と医学 life science and medicine 分野に限った分析で、私の専門である経済学は含まれていません。でも、イノベーションもそうですが、研究についても、必要なリソースについては、政府や特定の団体、あるいは、経営者や企業の経営部局が判断する「選択と集中」の分野に特に厚く配分するよりも、「広く浅く」配分した方が、むしろ効率的であろうというのは理解できるところです。
この論文の分野があまりにも違いすぎるので、適当に Conclusion and implications だけを拾い読みしたのですが、"Both the amount range- and category-dependent analyses demonstrated that grants of less than 5 million JPY are more effective at generating ETs." とあり、500万円未満の小規模な助成が ETs (Emeging Topics) を生み出すのに効果的、とか、"Public support to young and/or early career researchers is considered a keystone factor in their future performance and careers." 若手やキャリアの浅い研究者に対する公的支援が重要な要素である、とかの指摘がいっぱいです。
日本政府では、私がいるころから EBPM=Evidence Based Policy Making 証拠に基づく政策立案を推進すべく取組みを進めている、といろんなところで表明していますが、こういったエビデンスは無視するんでしょうね、たぶん。そして、結果として、キャリアの長い年配の研究者がゴソッと多額の研究費を獲得するんでしょうね。
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