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2023年9月14日 (木)

足踏みがみられる7月の機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比▲1.1%減の8449億円となっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから手短に引用すると以下の通りです。

機械受注7月1.1%減 2カ月ぶりマイナス、製造業が低調
内閣府が14日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)は前月比1.1%減の8449億円だった。マイナスは2カ月ぶりとなる。製造業からの発注が5.3%減って全体を押し下げた。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値の0.2%減を下回った。内閣府は全体の基調判断を9カ月連続で「足踏みがみられる」とした。

続いて、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比▲0.6%減の予想でしたから、実績+2.7%増はやや下振れた印象です。引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いています。9か月連続での基調判断の据え置きだそうです。上のグラフで見ても、トレンドとして下向きとなっている可能性が読み取れると思います。ただし、受注水準としてはまだ8,000億円をかなり上回っており決して低くはありません。「足踏み」という基調判断のひとつの根拠は、4~6月期の見通しでは、前期比+4.6%増の2兆7926億円と見込まれていたところ、実績では3.2%減の2兆5855億円にとどまりましたし、加えて、7~9月期の見通しは、製造業・非製造業ともに減少し、コア機械受注で見て▲2.6%減の2兆5,174億円と見込まれている点にあると私は考えています。特に、本日公表された7月統計では、船舶・電力を除く非製造業が季節調整済みの前月比で+1.3%増の4376億円であった一方で、製造業は▲5.3%減の4067億円と明暗が別れました。当然ながら、インフレが収束せずに金融引締めが継続されている欧米先進国への輸出への依存度が相対的に高い製造業では厳しい状況となっています。他方で、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染法上の分類変更から国民生活がパンデミック前に戻りつつあることから、インバウンドも含めて内需に依存する割合の高い非製造業は拡大の方向にあります。

9月11日に経団連が「令和6年度税制改正に関する提言」を明らかにした際に、「消費税については、(略)、社会保障財源としての重要性が高く、中長期的な視点からは、その引上げは有力な選択肢の1つである。」と指摘した点は、日経新聞朝日新聞などでも広く報じられました。非製造業よりも製造業の代表性の高い経団連は海外経済の減速の影響を大きく感じているのかもしれません。

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