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2023年9月22日 (金)

相変わらず+3%を超える8月の消費者物価指数(CPI)上昇率をどう見るか?

本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+3.1%を記録しています。前年比プラスの上昇は24か月連続で、+3%以上のインフレも1年12か月連続ですから、日銀のインフレ目標を大きく上回る高い上昇率での推移が続いています。ヘッドライン上昇率も+3.2%に達している一方で、エネルギー価格の高騰が一巡したことから、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+4.3で高止まりしています。コアCPIはもちろん、エネルギーと生鮮食品を除くコアコアCPIでも、ヘッドラインCPIでも、日銀のインフレ目標である+2%を超えています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、8月3.1%上昇 伸び横ばいで高止まり
総務省が22日発表した8月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が105.7となり、前年同月比3.1%上昇した。伸びは7月から横ばいだった。食品やガソリンなどが押し上げ、上昇率は12カ月連続で3%以上での推移となった。
QUICKが事前にまとめた市場予想の中央値の3.0%を上回った。上昇は24カ月連続となる。日銀の物価目標である2%を上回る水準での推移が続く。生鮮食品を含む総合指数は3.2%上昇した。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は4.3%上がった。伸びは7月から横ばいだった。5月に並び、1981年6月の4.5%以来となる高い上昇率が続いている。
総務省は政府の電気・ガス料金の抑制策がなければ、生鮮食品を除く総合が4.1%上昇だったと試算した。政策効果で伸びは1.0ポイント程度抑えられたとみる。
モノとサービスに分けて上げ幅をみると、公共サービス以外の一般サービスは2.5%上昇した。7月の2.4%から伸びが加速した。消費税増税の影響があった1997年10月に並び、25年10カ月ぶりの上昇率となる。
品目別では電気代が前年同月比20.9%低下した。7月の16.6%から下げを拡大し、比較可能な1971年1月以降で最大のマイナス幅となった。都市ガス代も13.9%下がった。
電気代や都市ガス代は政府の抑制策が押し下げる構図が続く。液化天然ガス(LNG)など燃料価格の下落もマイナスに寄与した。燃料価格は燃料費調整制度により数カ月遅れて電気代に反映する。
政府が石油元売りなどへの補助金を段階的に縮小していたガソリンは7.5%上がった。7月の1.1%プラスから伸びは大幅に拡大した。エネルギーは全体では9.8%マイナスだった。
生鮮食品を除く食料は9.2%プラスだった。伸びは5月から4カ月連続で横ばいで高い上昇率が続く。原材料費の値上がりや物流コストの高騰でアイスクリームは12.7%、炭酸飲料は16.7%それぞれ上昇した。
新型コロナウイルス禍からの回復で観光需要の増加が続き、宿泊料は18.1%上がった。7月の15.1%から伸びは大きくなった。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やたらと長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+3.0%の予想でしたので、実績の+3.1%の上昇率はやや上振れたとはいえ、特段のサプライズはありませんでした。まず、エネルギー価格については、2月統計から前年同月比マイナスに転じていて、本日発表された8月統計では前年同月比で▲9.8%に達し、ヘッドライン上昇率に対する寄与度も▲0.84%の大きさを示しています。総務省統計局の公表資料によれば、政府による「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の寄与度は▲0.99%、内訳として、電気代▲0.83%、都市ガス代▲0.16%との試算結果を示しています。したがって、こういった政府の対策がなければ、エネルギー価格はインフレに対して小幅ながらプラス寄与していたわけです。他方で、政府のガソリン補助金が7月から縮減された影響で、6月統計で前年同月比▲1.6%だったガソリン価格は7月統計で+1.1%の上昇に転じ、本日公表の8月統計では+7.5%の上昇を示しています。また、食料については生鮮食品を除く食料が8月統計では7月統計と同じ+9.2%の上昇となっていて、寄与度が+2.08%の大きさに達しています。ですから、エネルギーに代わって食料がインフレの主役となった感があります。さらに細かく食料の内訳をヘッドライン上昇率に対する寄与度で見ると、からあげなどの調理食品が+0.34%、アイスクリームなどの菓子類が+0.28%、メディアでの注目度も高い鶏卵などの乳卵類が+0.27%、外食ハンバーガーなどの外食が+0.25%、などなどとなっています。

最後に、このインフレに対する政策として、一部に為替政策を割り当てる議論を見かけます。すなわち、金融引締めにより日米間の金利差を縮小させて円高を誘導し、輸入比率の高いエネルギー価格などの引下げを目指す、という方向性です。ハッキリいって、経済政策の割当問題としてメチャクチャなので、あまり真剣に議論したくもないのですが、為替政策を物価に割り当てるのは明らかに間違いであることは指摘しておきたいと思います。すなわち、円高誘導で物価が抑制されるのは事実かもしれませんが、貿易などを通じた景気へのダメージの方が大き過ぎるわけです。

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