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2023年10月26日 (木)

+2%超の上昇続く9月の企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?

本日、日銀から9月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月と同じ+2.1%を記録し、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIについても前月と同じ+2.3%の上昇を示しています。ヘッドライン上昇率は8月統計から上昇幅が再加速しています。また、31か月連続の前年比プラスを継続しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、9月2.1%上昇 2カ月連続で2%超
日銀が26日発表した9月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は109.5と、前年同月比で2.1%上昇した。上昇幅は8月から横ばいで、2カ月連続で2%台となった。リース・レンタルなどで仕入れ価格や人件費の上昇をサービス価格に反映する動きがみられた。
企業向けサービス価格指数は企業間で取引されるサービスの価格変動を表す。指数は31カ月連続で前年同月を上回った。調査対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは96品目、下落は25品目だった。
リース・レンタルは前年同月比で3.5%上昇した。建設現場の資材などの仕入れ価格が上昇した分をサービス価格に転嫁する動きがみられた。情報通信も上昇した。システムエンジニア(SE)の人件費が上昇した分をソフトウエアの価格に反映した。
運輸・郵便は前年同月比0.6%上昇で、前月と横ばいだった。修学旅行など人流回復の影響で国内航空旅客輸送が上がったが、前年にウクライナ侵攻の影響などで運賃が高騰していた反動で、外航貨物輸送の価格が下落した。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業物価指数(PPI)の上昇トレンドは2022年中に終了した可能性が高い一方で、企業向けサービス物価指数(SPPI)はまだ上昇トレンドにあるのが見て取れます。なお、影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

photo

上のグラフで見ても明らかな通り、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率の昨年2022年以降の推移は、2022年9月に上昇率のピークである+2.1%をつけてから、ジワジワと上昇率は低下し今年2023年に入って6月統計で+1.5%まで縮小した後、先月7月統計で+1.7%と上昇幅を拡大し、本日公表された9月統計では前月と同じ+2.1%の上昇率を記録しています。8月統計から再加速したとはいえ、大雑把な流れとしては、+2%ほどの上昇率が継続しているようにも見えます。もちろん、+2%前後の上昇率はデフレに慣れきった国民マインドからすれば、かなり高いインフレと映っている可能性が高い、と私は受け止めています。ただし、インフレ率は高いながら、物価上昇がさらに加速するわけではないんではないか、と私は考えています。ヘッドラインSPPI上昇率にせよ、国際運輸を除いたコアSPPIにせよ、日銀の物価目標とほぼマッチする+2%程度となってい流転は忘れるべきではありません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて9月統計のヘッドライン上昇率+2.1%への寄与度で見ると、宿泊サービスや機械修理や労働者派遣サービスなどの諸サービスが+0.92%ともっとも大きな寄与を示し、ほかに、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスといった情報通信が+0.55%、リース・レンタルが+0.28%、その他の不動産賃貸や不動産仲介・管理や事務所賃貸などの不動産が+0.17%などとなっています。加えて、SPPI上昇率再加速の背景となっている石油価格の影響が大きい道路旅客輸送や国内航空旅客輸送や鉄道旅客輸送などの運輸・郵便が+0.11%のプラス寄与となっています。寄与度ではなく大類別の前年同月比上昇率で見ても、運輸・郵便は9月統計では+0.6%と、先月8月統計から上昇に転じています。

最後に、引用した記事にみられる通り、資材などの仕入れ価格や人件費の上昇分を価格転嫁する動きが広がっている点は、ある意味で、健全な経済活動といえます。少なくとも、下請けの中小企業がコストアップ分の価格引上げを納入先の大企業に拒否されるよりは価格転嫁できる方が経済的には健全である、と私は受け止めています。

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