帝国データバンクによる「全国主要路線バス運行状況調査」の結果やいかに?
先週水曜日11月22日に帝国データバンクから「全国主要路線バス運行状況調査 (2023年)」の結果が明らかにされています。少子高齢化に伴う人口減少や来年からのいわゆる2024年問題をはじめ、バス業界では深刻な運転手不足に直面しています。ただ、この背景には、給与水準の低さや長時間労働など待遇面の悪さが人材定着に悪影響を及ぼしているとの見方もあり、構造的な要因も指摘されています。関西では大阪の金剛バスが9月11日付けで、今年2023年12月にはバス事業を廃止するとのプレスリリースを出しています。2023年中、さらに2024年に減便・廃止するなどの路線バス運行状況の調査結果が気になるところです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を2点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 路線バスの8割が今年「減便・廃止」を実施 全路線数の約1割に影響の可能性
- 「人手不足」深刻 コロナ前から人手「減少」が約半数を占める
pdfの全文リポートも参照して、いくつかグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、リポートから 路線バス運行127 社の「減便・廃止」動向 のグラフを引用すると上の通りです。こういった減便や廃止街次ぐ要因として、リポートでは以下のようなものを上げています。すなわち、2024年問題への対応としては、残業規制に対する人材配置が困難ないし不可能、あるいは、運転手の確保難や既存ドライバーの高齢化、また、観光・貸切バスへの運転手流出などといった要因であり、加えて、収益環境が悪化しているのは、沿線住民の利用が減少しているとともに、コロナ禍からの減収分が戻らず、経営を圧迫していて、高速バス・貸切バス事業を犠牲にした路線バス維持策が限界に達している、との分析です。こういった減便や廃止は、調査対象となった127社で運行が判明した約1万4000路線のうち、少なくとも約1割に相当する路線に影響が及ぶ可能性がある、と指摘しています。
続いて、リポートから 路線バス会社の人手状況 のグラフを引用すると上の通りです。需要サイドの人口減少とともに、供給サイドの運転手不足も深刻であり、運転手だけではない従業員単位ですが、1社当たりの従業員数はコロナ前の2019年時点に比べ、対象307社のうち53.1%にあたる163社で減少しています。特に、運転手については「待遇の良い貸切観光バスに人材が流出している」などの要因から、2024年問題への対応も含めたダイヤ維持に必要な運転手の確保や増員が難しくなっている、と指摘しています。
私は今年2023年9月に65歳の誕生日を迎えて、地元バス会社の「敬老パス」のような運賃体系の恩恵にあずかれることから、大学への通勤はJRからバスに切り替えました。しかし、朝夕の通勤時間帯でも30分に1本の運行であり、東京の地下鉄のように終電が夜の12時を軽く超えていたのが懐かしく、コチラの終バスは夜8時台ではないかと思います。確かに、バス会社にもいろんな困難があるとはいえ、加えて、十分な公共交通機関の発達が見られずマイカーに頼りがちな地域ではありますが、私のような自動車すら持たない一般庶民にとってバスは必要な交通手段です。
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