日本の研究はもはや世界レベルではないのか?
やや旧聞に属する話題ながら、先週10月25日付けで科学誌 Nature のサイトに Japanese research is no longer world class と題するニュースが掲載されています。じつは、8月9日の文部科学省による「科学技術指標2022」及び「NISTEP定点調査2021」のニュースリリースの英訳が利用可能になったので、早速にも取り上げられたわけです。まず、日本語資料で文部科学省のプレスリリースから、そのうちの「科学技術指標2022」に関するパラを引用すると以下の通りです。
科学技術指標2022
科学技術指標は、科学技術活動を客観的・定量的データに基づき体系的に把握するための基礎資料です。昨年から続いて日本の研究開発費、研究者数は主要国(日米独仏英中韓の7か国)中第3位、パテントファミリー数では世界第1位です。日本の論文数(分数カウント法)は世界第4位から第5位、注目度の高い論文数のうちTop10%補正論文数は第10位から第12位、Top1%補正論文数は第9位から第10位となりました。Top1%補正論文数では中国が初めて米国を上回り、世界第1位となりました。
要するに、我が国の研究開発費、研究者数、パテントファミリー数は、そこそこ世界のトップレベルにあるのですが、論文数は少し見劣りがしつつ、しかも、順位を下げており、引用のトップ10%や1%の極めて高いレベルの論文は世界ランクがさらに低く、その上、ランクを落としている、ということです。
Nature のサイトから Slipping Down と題するグラフを引用すると上の通りです。グラフのタイトル通りに、徐々に世界水準から日本の研究が滑り落ちているようです。上のパネルに示されているように、論文の公刊数は米中に大きく水を開けられながらも、さらに、インドやドイツを下回りながらも、何とか世界ランク5位につけているものの、トップ10%のもっとも引用の多い論文数となると日本は世界13位まで落ちます。G7各国中の最下位であり、オーストラリアや韓国やスペイン、果てはイランの後塵を拝しているわけです。
まあ、何と申しましょうかで、私は大学の授業では「日本はまだまだ大きな経済力を有しており、経済大国の地位を降りるべきではないし、その経済力を背景にした外交力も行使すべきである」と教えているのですが、私の講義の賞味期限は短そうな気がします。
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