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2023年12月 7日 (木)

3か月連続で上昇し「拡大」の基調判断続く10月の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から10月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲0.6ポイント下降の108.7を示した一方で、CI一致指数は+0.2ポイント上昇の115.9を記録しています。CI一致指数の上昇は3か月連続となっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気動向一致指数10月は前月比0.2ポイント改善 判断据え置き
内閣府が7日公表した10月の景気動向指数速報(2020年=100)は、一致指数が前月比0.2ポイント上昇の115.9となり3カ月連続のプラスだった。投資財出荷指数や有効求人倍率、鉱工業生産指数の改善が寄与した。投資財はボイラーやコンベア、金型の出荷が増えた。
一方先行指数は前月比0.6ポイント低下の108.7と2カ月連続のマイナスだった。鉱工業用生産財在庫率や東証株価指数、中小企業売上見通しなどの悪化が響いた。定期修理の影響で化学製品の在庫が増えたことなどが影響した。
指数から一定のルールで決まる基調判断は、ことし4月以来の「改善を示している」で据え置いた。

とてもシンプルに取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

10月統計のCI一致指数については、3か月連続の上昇となりました。3か月後方移動平均の前月差でも+0.34ポイントの上昇となり、加えて、7か月後方移動平均でも0.20ポイント上昇と、7か月連続の前月差プラスとなっています。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いています。もっとも、CI一致指数やCI先行指数を見る限り、このブログで何度も繰り返しますが、我が国の景気回復・拡大は拡大ながら、その拡大局面の後半に入っていると考えるべきです。もちろん、すでに景気後退局面に入っているわけではなさそうで、さらに、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには景気後退入はしない可能性が高い、と私は考えています。CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与では、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.30ポイント、有効求人倍率(除学卒)+0.23ポイント、生産指数(鉱工業)+0.18ポイント、などとなっています。逆に、マイナス寄与が大きい系列は、商業販売額(小売業)(前年同月比)▲0.27ポイント、鉱工業用生産財出荷指数▲0.22ポイント、輸出数量指数▲0.14ポイント、などとなっています。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響などはともかく、日銀の異次元緩和政策の修正に伴う金利上昇に関してはマイナス要因と考えるべきです。もっとも、3~4四半期とラグが長いので注意が必要です。

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