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2023年12月22日 (金)

上昇率が大きく縮小した11月の消費者物価指数(CPI)をどう見るか?

本日、総務省統計局から11月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.5%を記録しています。前年比プラスの上昇は27か月連続ですが、先月10月統計の+2.9%のインフレ率からは上昇幅が大きく縮小しています。+3%を下回る上昇が続いていますが、日銀のインフレ目標である+2%をまだ上回る高い上昇率での推移が続いています。ヘッドライン上昇率も+2.8%に達している一方で、エネルギーや食料品の価格高騰からの波及が進んで、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+3.8%と高止まりしています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価11月2.5%上昇 伸び率2カ月ぶり縮小
総務省が22日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が106.4となり、前年同月比で2.5%上昇した。食料品の価格転嫁が一服し、伸び率は2カ月ぶりに前月から縮小した。22年7月の2.4%以来16カ月ぶりの低水準となる。
QUICKが事前にまとめた上昇率の市場予測の中央値は2.5%で同じだった。
前年同月比の上昇は27カ月連続。日銀の物価目標である2%を上回る水準での上昇が続く。10月の上昇率は2.9%だった。
生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数は3.8%上昇した。前月からの伸び率の縮小は3カ月連続となる。
生鮮食品を含む総合指数は2.8%上がった。猛暑による生育不良で上昇していたトマトやブロッコリーなどの価格が落ち着き、伸び率は2カ月ぶりに縮んだ。
総務省によると、政府の電気・ガスの料金抑制策がなければ、生鮮食品を除いた総合指数の上昇率は3.0%だった。政策効果で物価の伸びを0.5ポイント抑えていたことになる。
品目別では生鮮食品を除く食料品が前年同月比で6.7%上昇と10月の7.6%から伸び率を縮めた。伸びの縮小は3カ月連続となる。鶏卵は26.3%、外食のフライドチキンは19.2%それぞれ高まった。
全体をモノとサービスに分けると、サービスの上昇率は2.3%と10月から0.2ポイント伸びが加速した。消費増税の時期を除くと1993年10月の2.4%上昇以来30年1カ月ぶりの高水準となった。
宿泊料は62.9%上がった。観光需要の回復に加え、政府の観光振興策「全国旅行支援」が各地で終了していることが影響した。このほか予備校などの教育費が6.0%、自宅などの警備費が4.2%上昇した。
電気代は低下している。下落率は11月は18.1%で、10月の16.8%からマイナス幅が広がった。燃料価格の低下に加え、政府の料金抑制策が押し下げている。都市ガス代も16.8%下がった。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やたらと長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.5%の予想でしたので、実績の+2.5%の上昇率はまさにジャストミートしました。品目別に消費者物価指数(CPI)を少し詳しく見ると、まず、エネルギー価格については、2月統計から前年同月比マイナスに転じていて、本日発表された10月統計では前年同月比で▲10.1%に達し、ヘッドライン上昇率に対する寄与度も▲0.87%の大きさを示しています。先月の10月統計ではこの寄与度が▲0.75%ありましたので、11月統計でコアCPI上昇率が10月統計から▲0.4%ポイント縮小した背景は、こういったエネルギー価格の動向にあります。すなわち、11月統計ではエネルギーの寄与度差が▲0.13%に達しています。たぶん、四捨五入の関係で寄与度差は寄与度の引き算と合致しません。悪しからず。特に、そのエネルギー価格の中でもマイナス寄与が大きいのが電気代です。エネルギーのウェイト712の中で電気代は341と半分近くを占め、10月統計では電気代の寄与度が▲0.69%あったのが、11月統計では▲0.75%に拡大し、▲0.06%ポイントの寄与度差を示しています。統計局の試算によれば、政府による「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の影響を寄与度でみると、▲0.49%に達しており、うち、電気代が▲0.41%に上ります。他方で、政府のガソリン補助金が縮減された影響で、ガソリン価格は7月統計から上昇に転じ、直近の11月統計では+3.9%となっています。中東の地政学的なリスクも高まっています。すなわち、ガザ地区でのイスラエル軍の虐殺行為、親イラン武装組織フーシによる商船の襲撃なども、今後、どのように推移するかについても予断を許しませんし、食料とともにエネルギーがふたたびインフレの主役となる可能性も否定できません。なお、食料について細かい内訳をヘッドライン上昇率に対する寄与度で見ると、コアCPI上昇率の外数ながら、生鮮野菜が+0.20%、生鮮果物が+0.17%の大きな寄与を示しています。引用した記事にもあるように、猛暑の影響と見られます。コアCPIの中では、調理カレーなどの調理食品が+0.28%、アイスクリームなどの菓子類が+0.25%、フライドチキンなどの外食が+0.19%、牛乳などの乳卵類が+0.18%、食パンなどの穀類も+0.17%、などなどとなっています。

何度も書きましたが、現在の岸田内閣は大企業にばかり目が向いていて、東京オリンピックなどのイベントを開催しては電通やパソナなどに多額の発注をかけましたし、物価対策でも石油元売とか電力会社などの大企業に補助金を出しています。こういった大企業向けの選別主義的な政策ではなく、たとえ結果としては同じであっても、国民に対して出来るだけ普遍主義的な政策を私は強く志向しています。物価対策であれば、例えば、消費税減税・消費税率引下げ、あるいは、物価上昇に見合った賃上げを促す政策が必要であると私は考えます。

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