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2024年2月14日 (水)

昨年2023年10-12月期GDP統計速報1次QEの予想は2四半期ぶりのプラス成長か?

少し前の商業販売統計や家計調査をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、明日2月15日に昨年2023年10~12月期GDP統計速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である昨年2023年10~12月期ではなく、足元の1~3月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。そのため、大和総研やみずほリサーチ&テクノロジーズの引用がやたらと長くなっています。いつもは適当に端折るのですが、まあ、今回は長々と引用してみました。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.6%
(+2.5%)
2024年1~3月期の実質GDPも、プラス成長が続く見通し。好調な企業収益が積極的な賃上げや設備投資の拡大につながり、わが国景気は内需主導で緩やかな回復が続く見込み。能登半島地震による影響は限定的と判断。
大和総研+0.2%
(+0.7%)
2024年1-3月期の日本経済は横ばい圏で推移する見込みだ。経済活動の正常化や所得環境の改善などを受けて内需の持ち直しが進むとみられる一方、外需は輸出の反動減によりマイナス寄与に転じよう。
個人消費はインフレ率の低下や賃金上昇による所得環境の改善などを背景に、小幅に増加すると予想する。サービス消費はコロナ禍からの回復余地が依然として大きいこともあり、2023年10-12月期の停滞は一時的とみられる。2024年1-3月期には再び増加に転じよう。財消費のうち、耐久財では自動車の挽回生産が下支えするとみている。
住宅投資は横ばい圏で推移しよう。住宅価格の高騰が続く中、持家を中心に軟調な推移が続くとみられる。
設備投資は増加に転じよう。企業が先送りしてきた更新投資や工場の新設などを含む能力増強投資、人手不足に対応するための省人化投資などが増加すると見込む。デジタル化、グリーン化に関連したソフトウェア投資や研究開発投資も底堅く推移しよう。
公共投資は増加しよう。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の執行が下支えするとみられるが、人手不足により回復ペースは緩やかなものになりそうだ。政府消費は、前述のワクチン接種にかかる押し上げ効果が剥落する一方、医療費の増加が全体を押し上げるとみられる。
輸出はサービスにおける反動減が下押し要因となって減少に転じよう。中国経済が回復する一方で米欧経済の減速が見込まれることで、財輸出は伸び悩むとみられる。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+0.6%
(+2.4%)
1~3月期成長率はマイナスに転じる可能性が高いと予測する。サービス輸出の反動減が見込まれることに加え、欧米を中心とした海外経済の減速が外需の重石になるほか、国内で生じた一時的な要因による下押し影響も重なることが経済活動を抑制するだろう。
米国については、10~12月の実質GDP成長率が前期比年率+3.3%と、個人消費を中心に想定を大きく上回る伸びを維持している。移民やプライム層の労働供給が増加することで、雇用の増加と労働需給の緩和が同時に進展し、景気の強さと賃金・物価の減速が両立している状況にある。これまで大幅な利上げが行われた一方で、金融コンディションの緩和や企業債務の減少、株価上昇に伴う家計の資産効果、地方政府による支出の継続などが国内需要の下支えとなり、雇用の深刻な悪化には至らず「ソフトランディング」の可能性が高まったとみている。しかしそれでも、これまでの金融引き締めの影響が企業部門を中心に顕在化することで、2024年前半にかけて景気は減速基調で推移すると予想している。
欧州についても、金融引き締め効果が次第に顕在化し、2023年末から2024年前半にかけて小幅な景気後退に陥ると予想している。利上げの影響等から消費者マインドは低水準が続いており、消費は当面弱含みが続く公算が大きい。需要の弱さを背景にPMIは8カ月連続で50(好不況の節目)割れとなっている。生産も輸送機械や資本財等の減産、化学等のエネルギー多消費業種の低迷が下押し要因になり、減少傾向が継続している状況だ。中東情勢緊迫化による物流網混乱が経済に影響を与えるリスクにも注意が必要だろう。
中国は、サービス消費のリベンジ需要がはく落するほか、不動産部門の調整が長期化する下で景気減速感が強まる展開となるだろう(不動産については、販売低迷により在庫調整のペースが鈍っており、過剰在庫の調整完了時期は2025年以降にずれ込む公算が大きい)。国債1兆元増発によるインフラ投資が先行きの景気下支え要因になる一方、政府は大幅な財政赤字を伴う巨額の景気刺激策に慎重なスタンスであり、成長率鈍化は避けられないとみている。
半導体については、メモリ価格の下げ止まり・ロジック価格の上昇を受けて単価が上昇しており、シリコンサイクルは好転している。一方、上記のとおり当面は米国の景気減速などが最終需要を下押しすると見込まれることから、本格回復はスマホの買い替え等が進む2024年後半以降になる可能性が高いだろう。
以上を踏まえると、1~3月期の財輸出は伸び悩む可能性が高い。インバウンド需要も、中国については国内志向や航空便制約が影響して春節休暇(2/10~17)も大幅な伸びは見込みにくいほか、ASEANや欧州の繰り越し需要も一巡すると予想され、訪日客数はいったん減速が見込まれる。1~3月期の外需に景気のけん引役は期待できないだろう
一方、内需も緩やかな回復にとどまる見通しだ。実質賃金の前年比マイナス幅の縮小ペースが緩やかな中で、当面の個人消費は緩やかな回復にとどまる可能性が高い(消費者物価指数の前年比については、2月に政府の電気・ガス代価格抑制策による押し下げ寄与が剥落することで上昇率が高まる点に留意が必要である)。設備投資も、前述した供給制約が引き続き下押し要因となることで増加ペースが抑制されるだろう。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)をみると、10~11月平均は7~9月平均対比で▲ 1.0%と減少傾向での推移が継続しており、製造業を中心に機械投資の伸び悩みを示唆している。半導体関連産業の在庫調整の進展等を背景に、先行きの設備投資は回復基調を維持するとみているが、急速な回復は期待しにくいだろう。
さらに、1~3月期は令和6年能登半島地震や一部自動車メーカーの生産停止が一時的な下押し要因になるだろう。1月に発生した令和6年能登半島地震の被害状況について、内閣府は住宅・社会インフラ等の資本ストック棄損額を1.1~2.6兆円程度と試算している。2016年の熊本地震について内閣府が資本ストック棄損額を2.4~4.6兆円程度、フローへの影響としてGDP損失額を900~1,270億円程度と推計している点を踏まえて機械的に計算すると、今回の令和6年能登半島地震におけるGDPへの影響は1,000億円程度となる可能性がある。ただし、現時点で被害状況の全容が見えているわけではなく、引き続き状況を注視する必要がある。全国の製造業の付加価値に占める主要被災地域(石川県・新潟県・富山県)のシェアは4%程度であるが、繊維工業(同8%)、生産用機械工業(同7%)、電子部品・デバイス工業(同7%)のシェアがやや大きく、部品等の生産停止が長引けば関連サプライチェーンに悪影響が拡大する可能性があるだろう(実際、足元で一部の自動車メーカーが部品不足により減産を余儀なくされるといった動きが出ている)。地震発生に伴う風評リスクがインバウンド需要の抑制につながる懸念もある。政府には、一日でも早い復旧・復興に向けた取組みが求められる。
一部自動車メーカーの生産停止については、(代替生産・代替需要の動きも出るとみられるものの)生産停止が長引いた場合の影響は相応に大きなものになる可能性がある(報道によると少なくとも2月までは当該メーカーの生産回復は期待しにくい模様である)。経済産業省が本日公表した製造工業生産予測指数をみると、1月の輸送機械工業の計画前月比は▲10.6%(2月は同+0.8%)となっているが、下振れリスクも大きい。
こうした一時的な要因の影響については不確実性が大きいが、現時点では、上記の令和6年能登半島地震や一部自動車メーカーの生産停止により1~3月期のGDPが▲0.4%程度(年率▲1%台後半程度)下押しされると想定している。前述したとおりサービス輸出の反動減が生じることが見込まれる点も踏まえ、1~3月期は2期ぶりのマイナス成長になると予測している。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.9%)
2023年10-12月期は2四半期ぶりのプラス成長となったが、7-9月期の落ち込みを取り戻すには至らず、景気の回復ペースは依然として緩やかなものにとどまっている。2024年1-3月期は、海外経済の減速を背景に輸出が低迷し、民間消費、設備投資などの国内民間需要も低い伸びにとどまることから、現時点では前期比年率ゼロ%台の低成長を予想している。
第一生命経済研±0.0%
(±0.0%)
先行きについても、牽引役不在のなか、景気の回復ペースは緩慢なものにとどまるだろう。米国景気は足元で依然堅調に推移しているが、方向としては先行き減速していくとみるのが妥当だろう。欧州や中国経済にも多くは望めず、輸出が景気の牽引役となることは期待薄だ。内需についても、コロナ禍からのリバウンドの動きが一巡するなかで引き続き物価高が消費回復の頭を押さえる。景気は今後も停滞感が残るだろう。なお、24年1-3月期については、内需の回復が限定的ななか、サービス輸出で反動減が生じることから、マイナス成長となる可能性が高いと予想している。
伊藤忠総研+0.5%
(+2.0%)
続く2024年1~3月期については、輸出が海外景気の減速により伸び悩むものの、個人消費や設備投資の拡大傾向は維持され、基本的にはプラス成長が見込まれるが、一部自動車メーカーの生産・出荷停止により個人消費や設備投資、在庫投資が落ち込み、実質GDP成長率が大きく押し下げられる恐れがある点に留意が必要であろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.4%)
2023年10~12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%(前期比年率換算+1.4%)とプラス成長に転じる見込みである。しかし回復力は力強さに欠け、7~9月期の同-0.7%(同-2.9%)の落ち込みを取り戻すには至らない。
三菱総研+0.6%
(+2.3%)
2023年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.6%(年率+2.3%)と、プラス成長を予測する。
明治安田総研+0.5%
(+2.2%)
先行きについて、まず個人消費は、春闘における高めの賃上げ率が期待できることに加え、物価上昇率の鈍化に伴う実質所得の増加が下支え要因となるため、回復傾向で推移すると予想する。一方、設備投資は、日銀短観など各種調査で見られるとおり計画自体は強いものの、当面は人手不足や資材不足が足枷になるとみられ、緩やかな回復にとどまると見込む。外需にも景気の牽引役は期待しづらい。財輸出に関しては、中国景気の停滞が長引くほか、欧米景気も減速に向かう可能性が高いことから、年の前半を中心に低迷が続くと予想される。インバウンドは引き続き景気の下支え要因になるとみられるが、訪日外客数はすでにコロナ禍前の水準まで戻っており、今後は需要拡大ペースの鈍化が見込まれる。こうした点を踏まえると、2024年の日本景気の回復ペースは緩やかなものにとどまると予想する。

ということで、現在の最新の前期比年率のデータで考えて、2022年10~12月期+1.0%、2023年1~3月期+5.0%、4~6月期+3.6%と、3四半期連続のプラス成長の後、7~9月期に▲2.9%のマイナス成長に陥りましたが、上のテーブルに見る多くのシンクタンクの予想では、10~12月期にはプラス成長に回帰するとの見込みとなっています。ただ、その成長率にはかなり開きが見られるのも事実です。例えば、第一生命経済研究所のゼロ成長もあれば、+2%台半ばの高成長を予測するシンクタンクも少なくありません。基本は、純輸出=外需の見方で違いが生じているのではないか、と私は考えています。私は米国をはじめとして欧米先進国についてはソフトランディングのシナリオが当てはまる一方で、中国の見方が分かれている気がします。そういった中で、単純に平均を取っている日経・QUICKの事前コンセンサスでは+1.1%という数字が明らかにされています。まあ、単純平均であればそうなのかもしれません。ただ、こういった見方の違いにもかかわらず、先行きについては押しなべて停滞ないし横ばい圏内から、見方によってはマイナス成長と、2024年も日本経済の先行きがそれほど明るくないという事実が示されています。大雑把に考えて、昨年2023年10~12月期に高成長を予測するエコノミストは反動を考慮して、今年2024年1~3月期の横ばいないしマイナス成長を見込んでいる気がします。まあ、当然です。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。前期比年率で+2%前後の高成長で純輸出の寄与が大きい、という私の感覚によく合致しています。

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