1月の米国雇用統計はソフトランディングほぼ確定のサインか?
日本時間の今夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は昨年2021年から着実にプラスを記録していましたが、直近の1月統計では+353千人増となり、失業率は前月から横ばいの3.7%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を4パラだけ引用すると以下の通りです。
Economy added booming 353K jobs in January, unemployment held at 3.7%.
Hiring picked up sharply in January as employers added a booming 353,000 jobs, highlighting a labor market that continues to defy high interest rates and household financial strains.
The unemployment rate held steady at 3.7%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 185,000 jobs were added last month.
Job gains for November and December were revised up by a whopping 126,000, with the December tally upgraded to 333,000 from 216,000. The changes portray a strong labor market in the fall than previously believed.
いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。
ということで、米国の雇用は非農業部門雇用者の増加が、ひとつの目安とされる+200千人どころか、昨年2023年12月と今年2024年1月の2か月は+300千人増を超えていて、失業率も3%台後半を継続しています。1月統計を見ると、2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期からの回復過程にあった2021-22年のような勢いはないといえますが、12月の雇用増も+126千人上方修正されて、+333千人増に引き上げられていますので、USA Todayのタイトルのように booming というのは、決して誇張ではないかもしれません。引用した記事の3パラめにあるように、Bloomberg による市場の事前コンセンサスでは+185千人の雇用増を見込んでいましたので実績は大きく上振れました。昨年2023年12月13日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された最新の経済見通しである Summary of Economic Projections の想定するラインから、雇用についてはやや上振れている印象を私も持っています。従って、米国の連邦準備制度理事会(FED)は直近の1月30-31日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)でも金利引下げを見送っています。会議終了後のパウエル議長の会見でも次回会合の3月の金利引下げの可能性が小さいと示唆されているようですし、NY株式市場のダウ平均も史上最高値を更新し、大統領選挙を迎える年の米国経済は堅調と見えます。ソフトランディングはほぼ確定なのかもしれません。
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