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2024年2月13日 (火)

3か月連続で0%台の上昇となった1月の企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、日銀から1月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で保合いとなり、上昇率は12か月連続で鈍化しています。したがって、次の2月統計ではマイナス圏に舞い戻るという可能性もありそうです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

1月の企業物価、0.2%上昇 3カ月連続0%台
日銀が13日発表した1月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は120.1と、前年同月比で0.2%上昇した。23年12月(0.2%上昇)から横ばいで、3カ月連続で上昇率が0%台となった。政府の補助金が電気・ガスの価格を押し下げたが、飲食料品などの幅広い分野で原材料コストを販売価格に反映する動きがみられた。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。1月の上昇率は民間予測の中央値(0.0%)を0.2ポイント上回った。公表している515品目のうち406品目が値上がりした。
内訳をみると、電力・都市ガス・水道が前年同月比で27.7%下落した。燃料費の下落や政府による電力・ガスの価格抑制策がマイナスに寄与した。日銀の試算によると、抑制策は企業物価指数全体の上昇率を約0.3ポイント押し下げている。
一方、飲食料品は前年同月比で4.4%上昇した。原材料や包装資材のコスト上昇分を販売価格に転嫁する動きが続いている。金属製品も4.1%上昇した。飲料用のアルミニウム製の缶では原材料高のほか、人件費上昇が価格に与える影響もみられたという。
輸入物価は円ベースで前年同月比0.2%下落し、10カ月連続でマイナス圏となった。23年12月(マイナス4.9%)より下落幅が縮小した。

注目の指標のひとつですから、ついつい長くなりますが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の上昇率は前年同月から保合いの±0.0%と見込まれていましたので、実績の+0.2%はやや上振れした印象かもしれません。特に、円ベースの輸入物価は4月統計から前年同月比でマイナスに転じ、1時は2桁マイナスでしたが、1月統計では▲0.2%の下落まで縮小しています。本日公表の企業物価指数(PPI)にはサービスが含まれませんが、他方で、企業向けサービス価格指数(SPPI)は8~12月の統計では5か月連続で前年同月比+2%台を記録しています。しかも、やや上昇率は加速気味だったりしますので、資源高などに起因する輸入物価の上昇から国内物価への波及が、同時に、モノからサービスの価格上昇がインフレの主役となる局面に入る可能性がある、と私は考えています。したがって、日米金利差にもとづく円安の是正については、最近では1ドル150円弱の水準で安定していることも事実であり、経済政策として取り組む必要性や緊急性はそれほど大きくなくなった、と考えるべきです。消費者物価への反映も進んでいますし、企業間ではある意味で順調に価格転嫁が進んでいるという見方も成り立ちます。まあ、それが「迷惑」だという見方も否定はしません。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇・下落率で少し詳しく見ると、引用した記事にもある通り、電力・都市ガス・水道が▲27.7%と下落幅を拡大しています。農林水産物もとうとう▲0.6%の下落に転じましたが、他方、飲食料品は+4.4%の高い上昇率が続いています。ほかに、窯業・土石製品+10.9%、パルプ・紙・同製品+7.1%、石油・石炭製品+6.6%、生産用機器+5.5%、繊維製品+5.0%、などが+5%以上の上昇率を示しています。ただ、ここで上げたカテゴリーをはじめとして多くの品目でジワジワと上昇率が低下してきています。もちろん、上昇率が鈍化しても、あるいは、マイナスに転じたとしても、価格水準としては高止まりしているわけですし、しばらくは国内での価格転嫁が進むでしょうから、決して物価による国民生活へのダメージを軽視することはできません。特に、農林水産物の価格上昇はストップしたものの、農産物を原料とする飲食料品についてはまだ高い上昇率を続けています。生活に不可欠な品目ですので、政策的な対応は必要かと思いますが、エネルギーのように石油元売会社や電力会社のような大企業に対して選別的に補助金を交付するよりは、消費税率の引下げとかで市場メカニズムを活かしつつ、国民向けに普遍的な政策を取る方が望ましい、と私は考えています。

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