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2024年2月 5日 (月)

在宅勤務技術の進歩は何をもたらすのか?

最近、在宅勤務技術の進歩が何をもたらすのか、についての論文を見かけました。サイテーションは以下の通りです。なお、Review of Economic Studies は、経済学の中ではインパクトファクターの高いジャーナルとして知られています。

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まず、上のグラフは FIGURE 1 Fraction of all days with more than 4 h of work performed only at home, 2003-19 を引用しています。学位が熟練の代理変数として用いられているのですが、学士あるいはそれ以上の修士や博士の学位を持つ高学歴労働者は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックの2020年以前から着実に在宅勤務が増えている点が明らかです。他方で、高校卒業以下の労働者はCOVID-19パンデミック以前は、ほとんど在宅勤務が増加していません。

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次に、上のグラフは FIGURE 4 Change in REIT prices from January 1, 2020 to December 31, 2021 を引用しています。ということで、在宅勤務技術の進歩がもたらす在宅勤務の増加によって、オフィス街の不動産価格が低下し、住宅の方の不動産価格が上昇する、それも、アパートメントではなく、家族向けの借家の不動産価格の方がより大きく上昇しているのがグラフから見て取れると思います。まあ、エコノミストが考えるのはこういった不動産に及ぼす経済効果なんかなんでしょうね。家族の絆とか、地域の活性化とか、そういった価値観はなかなか計測が難しくて、エコノミストの目には入らないのかもしれません。

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