帝国データバンク「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?
昨日2月21日付けで帝国データバンクから「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップロードされています。デフレ脱却のために賃金動向がとても気にかかるところです。今年2024年度には、過去最高となる59.7%の企業で賃金改善を見込んでいるとの結果が示されています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果のポイントを4点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 2024年度、過去最高となる59.7%の企業で賃金改善を見込む。ベースアップは過去最高を記録
- 賃金改善の理由、「労働力の定着・確保」が75.3%へ増加、「物価動向」も半数を超える
- 賃金を改善しない理由、「自社の業績低迷」が56.3%でトップ
- 総人件費は平均4.32%増加見込み、従業員給与は平均4.16%増と試算
ということで、リポートから、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、リポートから 2024年度の賃金改善見込み のグラフを引用すると上の通りです。大きな違いではありませんが、2020年度から最近5年間で、もっとも高い59.7%の企業で賃金改善を見込んでいます。逆に、賃金改善が「ない」との回答は13.9%ともっとも低くなっています。また、グラフは引用しませんが、賃金改善の具体的な内容を見ると、「ベースアップ」が53.6%(前年比+4.5%ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(+0.6%ポイント増)と、収益見合いの賞与などではなく、ベースアップ中心の賃金改善が予定されています。「ベースアップ」は過去最高となった前年の49.1%をさらに上る勢いです。また、賃金改善があると見込んでいる企業を産業別に見ると、「製造」が64.7%ともっとも高く、「運輸・倉庫」63.7%や「建設」62.5%が続いて高くなっています。
続いて、リポートから 賃金を改善する理由 (複数回答) のグラフを引用すると上の通りです。2024年度に賃金改善が「ある」と回答した企業の理由は、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が75.3%ともっとも高くなっています。また、昨年2023年度から「物価動向」を上げる企業の割合が高くなっているのも見て取れます。グラフは引用しませんが、賃金を改善しない理由としては「自社の業績低迷」がもっとも高いのですが、昨年度2023年の62.2%から今年度2024年度は56.3%までやや低下しています。また、総人件費の増加率は前年度2023年度から平均+4.32%増加すると見込まれ、うち従業員の給与は平均+4.16%、賞与は平均+4.04%、それぞれ増加し、さらに、各種手当などを含む福利厚生費も平均4.06%の増加が見込まれています。
今年は物価と賃金の動向に注目が集まり、デフレ脱却が現実味を帯びています。金融政策ではデフレ脱却前にマイナス金利などの非伝統的政策の解除が先行しかねない勢いですが、マイルドなインフレと賃金の着実な上昇が期待されます。
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