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2024年2月19日 (月)

2023年12月の機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2023年12月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注が、季節調整済みの系列で見て前月比+0.7%増の8587億円となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

機械受注23年10-12月1.0%減 3四半期連続マイナス
内閣府が19日発表した2023年10~12月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く、季節調整済み)は前期比1.0%減の2兆5142億円だった。マイナスは3四半期連続。製造業の発注が減少した。
製造業は2.3%減で、2四半期連続のマイナスとなった。船舶と電力を除く非製造業は2.5%増で3四半期ぶりのプラスを確保した。
23年通年は製造業の減少が響き、全体で前年比3.6%減だった。マイナスは20年以来3年ぶりとなる。
内閣府は実績を見通しで割った「達成率」を公表しており23年10~12月期は93.2%だった。達成率は23年7~9月期の94.6%から低下した。
発注した業種ごとにみると、「化学工業」が26.0%減った。化学機械でまとまった受注があった23年7~9月期の反動が出た。「汎用・生産用機械」も9.1%減少した。クレーンやコンベヤーなどの運搬機械のマイナスが響いた。
船舶と電力を除く非製造業では通信業が18.1%増えた。11月に大型案件があった通信業が全体を押し上げた。卸売業・小売業も汎用コンピューターなどの電子計算機が増えてプラスに寄与した。
23年12月末時点の1~3月期の受注額見通しは前期比4.6%増だった。見込み通りなら4四半期ぶりのプラスとなる。製造業が11.7%増で全体をけん引する。モーターや電子・通信機械などの発注が増えると見込む。
23年12月単月の民需は前月比2.7%増の8388億円だった。プラスは2カ月ぶりとなる。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は2.5%増だった。内閣府は全体の基調判断を1年2カ月連続で「足踏みがみられる」とした。
製造業が10.1%増と2カ月ぶりにプラスだった。業種別では「化学」や「情報通信機械」が押し上げた。
船舶と電力を除く非製造業は2.2%減った。マイナスは2カ月連続。運輸業・郵便業や通信業が減少した一方、電子計算機が増えて金融業・保険業はプラスだった。

四半期統計中心でとても長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比+2.5%増でした。予想レンジがかなり広かったとはいえ、下限は+0.1%増でしたので、実績の+2.7%増は大きなサプライズなかったと私は受け止めています。引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いています。1年2か月連続の据え置きだそうです。上のグラフで見ても、太線の移動平均で示されているトレンドで見れば、明らかに下向きとなっています。事実、昨年2023年中、4~6月期▲3.2%減の2兆5855億円に続いて、7~9月期▲1.8%減の2兆5385億円、10~12月期▲1.0%減の2兆5142億円と、3四半期連続で減少しています。ただ、受注水準としてはまだ何とか月次で8,000億円を上回っており決して低くはありませんし、足元の2024年1~3月期の受注見通しは+4.6%増の2兆6294億円と見込まれています。ただし、製造業が2ケタ増と見込まれている一方で、船舶と電力を除く非製造業は▲1.8%減と予想されていて、やや業種でばらつきが見られます。ただ、先行きに関しては、今年2024年1~3月期の受注増見込みはやや慎重に見ておく必要があります。すなわち、引用した記事にもあるように、受注の達成率が低下してきているからです。2023年7~9月期94.6%から10~12月期には93.2%でした。エコノミストの経験的な通説として、この達成率が90%を下回ると景気後退局面入りのひとつのサインとみなされています。私は、先日の2023年10~12月期のGDP養鶏速報1次QEなどを見ても、ひょっとしたら、すでに景気後退局面に入っているかの末芋ゼロではない、と考えていますし、この先、防衛費や子育予算などで国民負担が増加すると本格的な景気後退に入る可能性がさらに高まると考えています。

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