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2024年4月10日 (水)

再び上昇幅が拡大した3月の企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、日銀から3月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で保合いとなり、上昇率は12か月連続で鈍化しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業物価、3月0.8%上昇 2カ月連続で伸び率拡大
日銀が10日発表した3月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は120.7と、前年同月比で0.8%上昇した。2月(0.7%上昇)から伸び率が0.1ポイント拡大し、2カ月連続で伸び率が拡大した。政府による電気・ガスの補助制度の一巡が寄与したほか、飲食料品などの幅広い分野で値上げも続いているとみられる。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。企業物価は前年同月比で37カ月連続の上昇で、3月の上昇率は民間予測の中央値(0.8%上昇)と同じだった。
輸入物価は円ベースで前年同月比1.4%上昇した。2月の0.2%上昇を上回り、23年3月(9.4%上昇)以来の水準となった。契約通貨ベースではマイナス6.9%だったが、24年3月の円の対ドル相場が1ドル=149円台と、23年3月(1ドル=133円台)より円安にふれたことが影響した。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、引用した記事にあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+0.8%と見込まれていましたので、ジャストミートしました。これも引用した記事にある通り、国内物価指数は2か月連続で上昇率を高めています。すなわち、1月の前年同月比上昇率はその直前の12月と同じ+0.3%だったのですが、2月+0.7%、3月+0.8%となっています。上昇幅が拡大した背景には、政府による「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が一巡した影響もあると考えるべきです。輸入物価がジワリと再上昇を始めている背景として、引用した記事にもある円安は決して無視できないのですが、原油価格の上昇も考慮すべきです。すなわち、企業物価指数のうちの輸入物価の原油価格の円建ての前年同月比を見ると、2023年12月に+3.0%と再上昇に転じた後、1月+10.4%、2月+7.9%、3月+7.8%となっています。我が国では、金融政策を通じた需給関係などよりも、原油価格のパススルーが極端に大きいので、国内物価にも無視し得ない影響を及ぼしている可能性があります。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇・下落率で少し詳しく見ると、電力・都市ガス・水道が▲19.1%と前月2月の▲21.5%の低下から下落幅を縮小させています。食料品の原料として重要な農林水産物+▲0.4%は2月の▲0.8%から同じく上昇幅が縮小していますし、飲食料品も+3.7%と高い伸びが続いています。ほかに、窯業・土石製品+9.8%、非鉄金属+5.7%、石油・石炭製品+5.3%、などといった費目で+5%以上の上昇率を示しています。そして、価格上昇がかなり幅広い費目に及んでおり、生産用機器と電気機器がともに+4.4%、繊維製品+4.1%、パルプ・紙・同製品+3.8%、はん用機器と事務用機器がともに+3.7%、などとなっています。ある意味で、企業間で順調な価格転嫁が進んでいると見ることも出来ます。その意味では、悲観する必要はまったくありません。

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