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2024年5月30日 (木)

金利引上げは住宅購入において低所得家計に不平等をもたらすのか?

3月に日銀が異次元緩和を終了し利上げに踏み切りました。どうも、円安是正を目指したり上げだったように受け止める見方もありますが、当然ながら金利引上げは企業活動、中でも設備投資に悪影響を及ぼします。しかし、家計に対しては貯蓄からの利子受取りが増加する好ましい面を強調する意見もあります。しかし、最新の経済ジャーナルで、"Monetary Policy and Home Buying Inequality" と題する論文が掲載され、家計のうちの低所得家計が金利引上げにより住宅投資に悪影響を受けかねない可能性を指摘しています。まず、引用情報は以下の通りです。

ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると以下の通りです。

Abstract
Does monetary policy inuence who becomes a home owner? Lower-income home buyers may be more sensitive to interest rates, at least in part because they more frequently come up against binding payment-to-income ratio constraints in credit decisions. Exploiting the timing of high-frequency observations of individual mortgage rate locks around monetary policy shocks, I find that a 1 percentage point policy-induced increase in mortgage rates lowers the presence of lower-income households in the population of home buyers by 1 to 2 percentage points immediately following the shock. Effects are substantially stronger among first-time home buyers, and persist for approximately one year.

もちろん、pdfの全文ファイルも利用可能となっており、Figure 2: Effect of Mortgage Rates on Fraction of Home Purchase Loans to Lower-Income Households, by Day を引用すると下の通りです。

photo

当然ながら、低所得家計では信用を供与される際に支払額と所得の比率が低くなることが考えられ、流動性制約に直面する可能性が高くなります。したがって、低所得家計は住宅を購入する際に金利により敏感であると見なすべきです。上のグラフの下のパネルが低h祖特化型の金利引上げショックに対する反応を示しています。上のパネルよりも大きな乖離を生じているのが見て取れます。この論文では、住宅ローン金利が+1%ポイント上昇すると金利引上げ後に▲1~2%の低下を生じると試算しています。しかも、ある意味で当然なのですが、初めて住宅を購入する場合は上のグラフに見られる数日間というショックだけではなく、1年ほどの期間に渡って低下が継続する、と結論しています。

はい。金利が引き上げられると、消費にも影響しますが住宅投資にもネガなインパクトを持ちます。しかも、決してユニバーサルな影響ではなく、金利引上げは低所得家計に不利な影響を及ぼします。加えて、帝国データバンクのリポート「金利上昇による企業への影響調査」によれば、金利上昇による影響は「マイナスの影響の方が大きい」が 37.7%に対して、「プラスの影響の方が大きい」は2.8%にしか過ぎなかったようです。でも、金利を引き上げて、カギカッコ付きの「金融正常化」を進めたい姿勢は変わりないようです。

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