インテージ「夏休みに関する調査結果」やいかに?
小中高と、多くの学校では先週までで1学期が終了し、今週から夏休みという生徒諸君も少なくないものと思います。誠に残念ながら、私の勤務校では明日から期末試験が始まり、期末リポートなんかもあって、学生諸君の夏休みはもう少し先になりそうです。ということで、先週水曜日の7月17日にネット調査大手のインテージから「夏休みに関する調査結果」が明らかにされています。まず、調査結果のポイントをインテージのサイトから5点引用すると以下の通りです。
[ポイント]
- 今年の夏休みの予算は平均58,561円。昨年は60,146円で前年比1.2倍と大きく増加したものの、今年は微減
- 予算が増える/減る理由いずれも「物価高・円安だから」がトップ。また7割が「物価高・円安は予定に影響」と回答
- 昨年、前年比2.5倍と大きく増加した「海外旅行」は昨年並み。「国内旅行」も「宿泊あり」、「日帰り」ともに昨年並み
- 海外旅行の予算は平均443,058円で昨年から約7万円の減少(前年比86%)。渡航先としてヨーロッパ減、アジア増
- 「猛暑で予定変更検討」13.5%。過ごし方は「水分をこまめにとる」、「外出を控える」、「冷房がきいた施設で過ごす」上位
このポイントだけでもう十分という気もしますが、エコノミストとして気にかかる経済への影響などを中心に、いくつか図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、インテージのサイトから 夏休みにかける予算平均 を引用すると上の通りです。エコノミストとしては、家計消費の動向に大きく影響する支出面の動きは重要です。まず、昨年2023年に1.2倍に増加したのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について感染法上の分類変更が2023年5月に実施されましたので、その直後の夏休みということで大きく増加しているわけです。ですが、今年2024年の夏休みについてご予算が減少しているのは経済的理由であるとしか考えるべきです。図表は引用しませんが、ご予算が減る理由は「物価高・円安だから」が51.5%でもっとも高く、「給料が増えないから」35.2%、「電気代・ガス代が上がるから」33.1%が続いています。春闘における賃上げが進み、定額減税が実施されたにもかからわず、こういった理由で夏休みのご予算が減っているわけです。例えば、旅行については、海外旅行の予算は443,058円と昨年の513,987円からから約▲7万円、▲14%の減少となっています。円安にもかかわらず予算が大きく減少している理由は渡航先です。すなわち、ヨーロッパなど遠い国が減少し、円安の影響が小さめで旅費が抑えられるアジアなどの近い国にシフトしているようです。国内旅行(宿泊あり)の予算は102,318円と昨年の100,282円から+2千円、+2%の増加となりました。ただし、予算が増える理由は、これも、「宿泊料金が高くなっているから」37.7%、「物価高・円安だから」29.6%などが上げられています。
最後に、上のテーブルはインテージのサイトから 夏休みシーズンの希望の過ごし方と現実の予定 を引用しています。なかなかに興味深い質問で、「もし、昨今の物価高や円安、電気・ガスの補助金終了などがなければどう過ごしたいか?」と夏休みの希望の過ごし方と現実についてたずねています。「海外旅行」に行きたい人は5.2%、一方、現実に予定している人は2.1%でその差は▲3.1%ポイント、「国内旅行(宿泊あり)」、「国内旅行(日帰り)」、「テーマパーク」でも希望が現実の予定を上回っているのが見て取れます。他方で、「自分の実家への帰省」、「自宅で過ごす」は、それほど希望が高くないにもかかわらず、現実の方が高かったりします。海外旅行や国内旅行に代えて実家への帰省で我慢していることが読み取れます。
最後に、この調査では猛暑になった場合の過ごし方も質問していますが、選択肢にはないものの、やっぱり、日本脱出、というのも悪くなさそうな気がしますが、現実は厳しいのでしょう。
| 固定リンク
コメント