5月の景気動向指数は3か月連続で上昇し基調判断が引き上げられる
本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+0.2ポイント上昇の111.2を示し、CI一致指数は+1.3ポイント上昇の116.5を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。
5月景気動向指数1.3ポイント上昇、3カ月連続改善で判断引き上げ
内閣府が5日公表した5月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、指標とされる一致指数は前月比1.3ポイント上昇し116.5と3カ月連続のプラスとなった。先行指数も同0.2ポイント上昇し111.1となり3カ月ぶりのプラスだった。基調判断を従来の「下方への局面変化」から「下げ止まり」に引き上げた。
一致指数はコロナ禍前の2019年9月以来の高水準。指数を押し上げたのは、耐久消費財出荷指数や鉱工業用生産財出荷指数、鉱工業生産指数など。自動車の生産回復でカーナビや照明など関連製品の生産・出荷が伸びに寄与した。
先行指数を押し上げたのは、最終需要財在庫率指数や鉱工業用生産財在庫率指数など。自動車や関連部材の出荷増が寄与した。
一方、消費者態度指数や新設住宅着工床面積などは指数を押し下げた。消費者態度指数は連休中の宿泊料金値上げなどが響いた。
基調判断の上方修正は昨年4月の改定値以来。
包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
5月統計のCI一致指数については、今年2024年3月から続けて3か月ぶりのの上昇となりました。加えて、3か月後方移動平均の前月差が+1.40ポイント上昇し、7か月後方移動平均の前月差も0.13ポイント上昇しています。3か月後方移動平均は3か月連続の上昇、7か月後方移動平均は5か月振りの上昇となりました。引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「下方への局面変化」から「下げ止まり」に上方修正しています。引用した記事にもある通り、基調判断の上方改定は昨年2023年4月以来だそうです。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏みや悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。いずれにせよ、私は従来から、基調判断が「下方への局面変化」であっても、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えています。そして、実際に、5月統計から「下げ止まり」に上方改定されました。もちろん、景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、米国経済がそれほど減速の兆しを見せず高金利が続くとすれば、円安がさらに進行しかねないわけですので、それはそれで好ましくないという見方もあり得るんではないかと思います。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、耐久消費財出荷指数が+0.71ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が+0.55ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.50ポイント、といった生産関係の系列が大きな寄与であったほか、商業販売額(小売業)(前年同月比)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)がともに+0.13ポイントの寄与を示しています。他方で、輸出数量指数が▲0.52ポイント、有効求人倍率(除学卒)が▲0.28ポイント、とマイナスの寄与を示しています。
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