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2024年9月17日 (火)

東大の学費値上げと OECD Education at a Glance 2024 に見る大学学費の家計負担を考える

先週9月10日に、東大は記者会見を開いて学費値上げの検討状況を明らかにしています。同日に学生向けに公表された授業料引き上げ案について説明があり、学士課程は来年度2025年4月入学者から、修士課程は2029年度入学者から引上げを行うことなどが盛り込まれています。まず、私が見た範囲で、メディアの報道は以下の通りです。

他方、9月12日には、経済協力開発機構(OECD)から Education at a Glance 2024 が公表されています。日本語のカントリーノートも公表されています。日本では教育に割り当てられている財政リソースは少なく、教員が授業をしている労働時間は少なく、とても先進国と思えない教育の質の悪さや量の不足が何点も指摘されています。

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上のグラフは、リポート p.292 の Figure C3.4. Trends in the share of expenditure on tertiary institutions coming from households (2015 and 2021) を引用しています。高等教育機関への支出に占める家計支出の割合、すなわち、大学学費のうち家計で負担する比率をプロットしています。見れば明らかですが、大学学費の家計負担比率が50%を超えているのは先進国の中でも、英国とチリと日本だけです。OECD平均が20%程度ですが、フィンランドはゼロのようですし、北欧のほかのスウェーデンとノルウェイも極めて低い比率です。ほかにも、10%を下回っている国は少なくありませんし、繰り返しになりますが、OECD加盟の先進国の平均は20%ほどです。では、家計が負担する以外の大学学費は国庫からの助成金なわけです。もちろん、奨学金も含まれているのでしょうが、返済が必要な貸与型か必要ない給付型か、など、少し複雑な計算になります。

生産性を向上させ、国民に豊かな生活をもたらし、あるいは、貧困から抜け出すためには大学教育の果たす役割は重要です。当然ながら、若者の学ぶ権利を保証するために学費の高騰は避けねばなりません。家計の負担を増やすことなく国庫助成金の拡充が必要です。我が国の経済から考えて、OECD平均が加盟の先進国並みは不可能ではないと考えます。

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