5か月ぶりに低下した10月の消費者態度指数
本日、内閣府から10月の消費者態度指数が公表されています。10月統計では、前月から▲0.7ポイント低下して36.2を記録しています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
消費者態度指数10月は0.7ポイント低下、5か月ぶりマイナス=内閣府
内閣府が30日に発表した10月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯・季節調整値)は、前月から0.7ポイント低下の36.2と5カ月ぶりのマイナスとなった。
ただ、前月比の3カ月移動平均は小幅なマイナスにとどまっており、内閣府は消費者態度指数の基調判断を「改善に足踏みがみられる」で据え置いた。
指数を構成する4つの指標すべてが悪化。特に耐久消費財の買い時判断の下落幅が1.3ポイントと大きかった。
1年後の物価が上昇するとの回答比率は93.2%と前月比で0.1ポイント上昇、2か月連続の上昇となった。内閣府では「コメの値上げが影響した可能性がある」(幹部)とみている。5%以上上昇するとの回答比率は前月の46.6%から47.9%に増えた。
内閣府では「物価上昇が消費者マインドに影響したかは不明確」(幹部)としている。
的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。
消費者態度指数は今後の暮らし向きの見通しや雇用環境などについての消費者の意識について質問するものであり、4項目の消費者意識指標から成っています。10月統計では、引用した記事にある通り、前月に比べてすべての指標が低下しており、「耐久消費財の買い時判断」が▲1.3ポイント低下し29.7、「収入の増え方」が▲0.7ポイント低下し39.4、「雇用環境」が▲0.6ポイント低下し41.6、「暮らし向き」が▲0.2ポイント低下し34.2となっています。消費者態度指数は、直近では今年2024年5月に36.2を記録して底となったものの、8月統計の横ばいを含めて6月から9月まで上昇または横ばいとなった後、本日公表の10月統計では5か月ぶりの前月差マイナスとなっています。引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善に足踏みがみられる」で据え置いています。5月統計で下方修正されてから6か月連続での「足踏み」です。
注目すべきは、引用した記事にもある通り、インフレを見込む割合が上昇を続けている点です。すなわち、物価上昇を見込む割合は、直近で今年2024年6月に93.8%を記録した後、7月93.2%、8月92.1%とジワジワと低下していましたが、9月統計では+93.1%と再上昇に転じ、さらに、本日公表の10月統計でも+0.1%ポイントとわずかながら上昇して93.2%を記録しています。もちろん、90%を超えた結果で大きな変化はないという見方もできます。ただ、物価上昇を見込む90%超のうち、+5%以上の高いインフレを予想する割合が、引用した記事の通り、前月の+46.6%から今月10月統計では+47.9%に上昇しています。いずれにせよ、圧倒的に高い比率で物価上昇を見込む消費者マインドに大きな変化はありません。ただ、10月9日に公表された最新の日本経済研究センターのESPフォーキャストに示されたエコノミストの見方では、消費者物価上昇率は今年2024年7~9月期に+2.57%でピークとなり、その後もしばらく+2%超で高止まりを続けるものの、来年2025年7~9月期になると日銀インフレ目標の+2%を下回る+1.85%まで物価上昇率が縮小すると予想されています。1年ほどは日銀の物価目標を上回るインフレが続く見込みです。引用した記事の最後のパラでは、物価上昇と消費者マインドの動きの関係について、内閣府では「不明確」としていますが、消費者マインドもいくぶんなりとも物価に連動する部分は否定できない、と私は考えています。
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