11月の米国雇用統計は大きくリバウンド
日本時間の今夜、米国労働省から11月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、9月統計で+223千人増から10月統計では+12千人増と大きく減速し、失業率も前月から横ばいの4.1%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に4パラだけ引用すると以下の通りです。
Is labor market bouncing back? Here's what the November jobs report tell us.
U.S. hiring bounced back in November with employers adding 227,000 jobs as the adverse toll on payrolls from two Southeast hurricanes and worker strikes reversed.
The unemployment rate rose from 4.1% to 4.2%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg had forecast 215,000 job gains.
Also encouraging: Job gains for September and October were revised up by a total 56,000. September's tally was upgraded from 223,000 to 255,000 and October's, from 12,000 to 36,000. The changes paint a modestly brighter picture of the job market in late summer ad early fall than previously believed.
いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。
ということで、米国の雇用は非農業部門雇用者の増加が、10月統計で大きく減速した後、本日公表の11月統計では大きくリバウンドして+227千人を記録しています。引用した記事の後に出てくるのですが、"Bank of America expected a somewhat larger bump to November job gains of about 100,000 or more." というセンテンスがあり、+100千人強の雇用者増くらいの市場の事前コンセンサスだったようです。加えて、これは記事にあるように、9月統計は+223千人増から+255千人増に、また、10月統計も+12千人増から+36千人増に、それぞれやや上方修正されています。他方、失業率については、ほぼ安定的に推移しており、11月統計の4.2%は10月統計の4.1%からわずかに上昇したものの、歴史的に低い水準を維持していると考えるべきです。どうやら、10月の雇用者数の減速はインフレ抑制のための連邦準備制度理事会(FED)による金融引き締めの影響というよりも、ハリケーンとストライキに起因し、11月統計ではきっちりとリバウンドした、というのが私の受止めです。
広く報じられているように、米国連邦準備制度理事会(FED)は9月17-18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の2倍の▲50ベーシスの利下げを実施し、さらに、11月6-7日のFOMCでも▲25ベーシスの追加利下げを決めています。おそらく、12月17-18日のFOMCでも▲25ベーシスの利下げとなるだろう、というのが市場における一般的な観測のようです。日銀の次の金融政策決定会合は12月FOMC直後の12月18-19日です。ひょっっとしたら、日銀は再利上げに踏み切る可能性もあります。はてさて、日米の金融政策動向やいかに?
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