食品値上げなどの影響で大きく低下した1月の消費者態度指数
本日、内閣府から1月の消費者態度指数が公表されています。1月統計では、前月からさらに△1ポイント低下して35.2を記録しています。2か月連続の低下となります。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです
消費マインド1月は2カ月連続の悪化、食品値上げなど影響
内閣府が29日公表した1月の消費動向調査によると、消費者態度指数は前月比1.0ポイント低下の35.2となり、2カ月連続で悪化した。同指数を構成する4つの指標全てが悪化し、消費マインドの基調判断は「足踏みがみられる」に下方修正された。判断の引き下げは8カ月ぶり。内閣府は、食品などの物価上昇が響いた可能性があるとみている。
消費者態度指数を構成する4つの意識指標のうち、「暮らし向き」と「耐久消費財の買い時判断」はそれぞれ前月比1.9ポイントと大きく低下した。「収入の増え方」は0.3ポイント、「雇用環境」は0.2ポイント低下した。
内閣府では、名目賃金を上回る物価の上昇や、生鮮食品、コメの価格高騰・高止まりなど「身近なものの価格上昇が物価見通しが(消費マインドに)影響した可能性がある」(幹部)とみている。
これまでの基調判断は「改善に足踏みがみられる」だった。
1年後の物価が上昇するとの回答者比率は、前月比0.4ポイント低下の93.3%で5カ月ぶり低下した。ただ、物価が上昇するとの回答のうち、5%以上上昇するとの回答は12月の48.4%から52.3%に増え2023年6月以来の高水準となった。
いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」及び「耐久消費財の買い時判断」がともに△1.9ポイント低下し、それぞれ32.2、27.5となり、「収入の増え方」も△0.3ポイント低下して39.9、「雇用環境」も△0.2ポイント低下して41.0と、消費者態度指数を構成する4項目すべてが軒並み低下しました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「改善に足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」へと明確に1ノッチ下方修正しました。私が従来から主張しているように、いくぶんなりとも、消費者マインドは物価上昇=インフレに連動している部分があります。総務省統計局による消費者物価指数(CPI)のヘッドライン上昇率は昨年2024年11月の+2.9%から12月には+3.6%に跳ね上がりましたから、消費者マインドへのダメージが大きかった気がします。インフレとデフレに関する消費行動は、1970年代前半の狂乱物価の時期は異常な例としても、1990年代後半にデフレに陥る前であれば、インフレになれば価格が引き上げられる前に購入するという消費者行動だったのですが、デフレを経て、物価上昇により消費者が買い控えをする行動が目につきます。こういった消費者行動の経済分析が必要だという気がしています。というか、私も研究をしているわけですので、少し考えたいと思います。
また、物価上昇に伴って注目を集めている1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が昨年2024年12月統計の48.4%から本日公表の今年2025年1月統計では52.3%に大きく上昇する一方で、2%以上5%未満物価が上がるとの回答は33.7%から33.7%に、また、2%未満との解答も11.6%から8.5%に、それぞれ低下し、物価上昇を見込む割合は93.3%と高い水準が続いていて、物価上昇予想は上昇率の高い方にややシフトしています。これも、12月統計などで実績としてのCPI上昇率が加速している影響が現れている可能性が高いと考えるべきです。
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