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2025年3月28日 (金)

3月調査の日銀短観は大企業製造業で業況判断DIがやや悪化か?

来週4月1日の公表を控えて、各シンクタンクから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2025年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、シンクタンクにより少し見方が異なっています。2025年度設備投資計画についても、基本的に強気を見込んでいるのですが、ビミョーに違っていたりします。注目です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (最近)+14
+33
<n.a.>
n.a.
日本総研+12
+32
<+1.1%>
先行き(2025年6月調査)は、全規模・全産業で3月調査から▲2%ポイントの悪化を予想。製造業では、引き続き米国の関税政策による世界経済の減速や、わが国企業の収益悪化への懸念が景況感を下押しする見通し。非製造業の景況感は、高水準で推移するものの、人手不足の深刻化や人件費の増加などが企業マインドの重石となる見込み。
大和総研+12
+32
<+4.1%>
大企業製造業では、トランプ政権の関税政策に対する警戒感が顕著に表れる見込みだ。本稿執筆時点で、トランプ大統領は相互関税や分野別の関税を4月2日から課すと述べている。とりわけ後者の対象に挙げられた自動車、鉄鋼、アルミニウムやその関連業種では、先行き懸念から業況判断DI(先行き)が下振れする可能性が高い。他方、「食料品」など足元でコストの急騰に直面している業種では、価格転嫁の進展を見据えた業況改善の見込みが示される可能性がある。
大企業非製造業では、このところ業況判断DI(最近)に比べて▲6%pt 前後の弱気な見通しが示される傾向が強く、3月日銀短観(引用者注-「6月日銀短観」の間違いか)においても同様の結果となる見込みだ。米国の関税政策による先行き不透明感や、コスト増、国内の消費者マインドの悪化などが幅広い業種の見通しを押し下げよう。他方、インバウンド関連業種では相対的に底堅い見通しが示されるとみている。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+13
+33
<+2.2%>
大企業・製造業の業況判断DIの先行きは、横ばいを予測する。日本の半導体生産については、在庫調整局面に向かっていくと予想され、力強さに欠ける動きとなるだろう。また、米国のトランプ政権は自動車等への関税引き上げを示唆しており、通商政策における先行き不透明感は高い。一方で、半導体製造装置等の生産用機械については、出荷・在庫バランスが改善傾向で推移しており、需給の引き締まりが期待される。半導体市場の調整や米国政策の不透明感の高さが景況感の抑制要因となる一方で、生産用機械の需給の引き締まりはポジティブな材料となり、大企業・製造業の業況判断DIの先行きは横ばいを予想する。
大企業・非製造業の業況判断DIの先行きは1ポイントの改善を予測する。春闘賃上げ率の高まりによる所得環境の改善が、先行きの個人消費の押し上げ要因となるだろう。3月14日に公表された日本労働組合総連合会の第1回回答集計では、賃上げ率は5.46%と、昨年同時期の回答集計(5.28%)を上回る力強い結果となった。先行きは消費者の所得環境が徐々に改善していくことで、非製造業の景況感を押し上げるだろう。
ニッセイ基礎研+12
+35
<+1.8%>
先行きの景況感については総じて悪化が示されると予想。製造業では、トランプ政権による関税引き上げやそれに端を発する貿易戦争への警戒感が景況感に現れるだろう。非製造業では、物価上昇の継続による消費の腰折れや人件費・物流費など各種コストの増大懸念が反映される形で、先行きの景況感が悪化すると見ている。
第一生命経済研+13
+35
<大企業製造業6.0%>
今後、トランプ関税は、自動車や半導体、医薬品、銅、木材などにも適用されていく公算が高く、それが各業界に不安を与えているだろう。この点は、短観の先行きDIのところに示されると予想している。
三菱総研+12
+33
<+2.5%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業+9%ポイント(3月調査「最近」から▲3%ポイント低下)、非製造業は+34%ポイント(同+1%ポイント上昇)を予測する。米国トランプ政権は4月2日に相互関税・品目別関税(自動車・半導体・医薬品など)の発表を予定しており、製造業では輸出環境をめぐる不透明感から業況が悪化するだろう。非製造業では、春闘における平均賃上げ率(連合第1回回答集計)が 5.46%と前年を上回るなど高水準の賃上げ継続が見込まれるなか、個人消費持ち直しに対する期待から消費関連業種を中心に業況が改善するだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+12
+33
<大企業全産業+3.4%>
大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から2ポイント悪化の12と予測する。海外景気の減速や半導体需要の回復一服等を受けて、素材業種、加工業種ともに業況感は悪化しよう。先行きも、米国トランプ大統領の通商政策を巡る不確実性の高まりや不安定な為替相場等から、業況判断DI(先行き)は4ポイント悪化の8と慎重な見通しになるだろう。
大企業非製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から横ばいの33と予測する。堅調なインバウンド需要が下支えとなるものの、業況感はすでに歴史的な高水準にあり、さらなる改善の余地は小さい。先行きは、人手不足の深刻化や金利上昇への警戒感等から、業況判断DI(先行き)は4ポイント悪化の29と慎重な見通しになるだろう。
明治安田総研+13
+32
<+1.9%>
3月の先行きDIに関しても、大企業・製造業は2ポイント悪化の+11、中小企業・製造業は3ポイント悪化の▲4と予想する。トランプ米大統領は、米国が輸入する自動車に対し25%程度の関税を課す意向を表明している。詳細は4月2日に明らかになる予定であるが、自動車や自動車部品を合わせた自動車関連は対米輸出の約3分の1を占める。自動車産業はすそ野が広く、関税が実際に発動されれば、関連産業を含めた幅広い分野に影響が及ぶ。こうした米国の関税政策をめぐる不透明感の高まりは、企業のマインドを冷やし、先行きの業況判断を押し下げる要因になったとみる。
農林中金総研+12
+34
<2.0%>
先行きに関しても、トランプ関税への警戒感が強まっており、製造業を中心に先行き不透明感が高まっている。一方、所得改善による消費の本格回復への期待は根強いもの、人件費増による業績圧迫への警戒もあるほか、人手不足感が高い非製造業を中心に業務を順調にこなせないことへの不安もあるとみられる。以上から、製造業では大企業が7、中小企業が▲3と、今回予測からそれぞれ▲5ポイント、▲6ポイントの悪化と予想する。非製造業についても大企業が30、中小企業が12 と、今回予測からそれぞれ▲4 ポイント、▲5ポイントの悪化と予想する。

3月調査の日銀短観における景況判断DIは、トランプ関税により大企業製造業では悪化する一方で、大企業非製造業では影響が小さく、むしろ、国内の賃上げやインバウンド消費の恩恵などによっておおむね横ばい、ないし、改善すると見込むシンクタンクもあります。ただし、3月調査の短観では非製造業が改善する可能性があるとしても、先行きについては大企業製造業・非製造業ともに、▲5ポイントくらいの大きな幅で悪化すると見込んでいる機関が多い印象です。日銀のサイトによれば、2025年3月短観の調査表発送日は2月26日、回収基準日は3月12日となっており、つい最近発表された4月3日発動予定の自動車への25%関税については、どこまで織り込まれているかは不明ながら、その前の報道などからも先行き不透明感が広がっていたことは確かです。
設備投資についても、3月調査であるにもかかわらず、前年度比プラスで始まると見ているシンクタンクが多くなっています。すなわち、日銀短観の設備投資計画の統計としてのクセとして、3月調査時点では年度計画が固まっていない企業もあり、低い伸びから始まって、6月調査で大きく上方修正された後、9月調査や12月調査では景気動向によって上乗せされたり、あるいは、下方修正されたり、といった動きになる場合が少なくありません。しかし、2023年度と2024年度については、いずれも3月調査で前年度比プラスで始まっており、2025年度も3月調査の時点で前年度比プラスとなっています。ただし、日本だけでなく米国も景気は先行き不透明であり、最終的に設備投資として実現されることなく計画倒れに終わる可能性も十分あると見ています。
最後に、下のグラフは三菱リサーチ&コンサルティングのリポートから 業況判断DIの推移 を引用しています。製造業については大企業・中小企業とも12月調査から3月調査への推移は少し悪化するという程度ですし、非製造業についても大企業・中小企業とも12月調査から3月調査への推移はほぼ横ばい圏内ですが、次の6月調査の先行きについては、製造業・非製造業ともに業況判断DIが大きく悪化すると予想されているのが見て取れます。

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