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2025年3月20日 (木)

今春闘の賃上げはどこまで期待できるか?

先週金曜日の3月14日、春闘の集中回答日を終えて連合から「2025春季生活闘争 第1回回答集計結果」が明らかにされています。760組合の加重平均は17,828円、5.46%と、昨年第1回集計時を+1,359円、+0.18%ポイント、それぞれ上回っています特に、深刻な人手不足を受けて、300人未満の中小351組合は14,320円、5.09%と、これも昨年を上回っています。また、いわゆる非正規雇用である有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、時給75.39円(昨年比+4.29円増)、概算の時給引上げ率は6.50%と、一般組合員の+5%台半ばを上回っています。連合のプレスリリースから 2013以降の第1回回答集計結果の推移 と 有期・短時間・契約等労働者の賃上げ のグラフを引用すると以下の通りです。

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ただ、1点ご注意なのですが、連合の春闘賃上げ集計は年央に向けて数回発表されます。軽く想像されることながら、賃上げ率が高い企業・組合については鼻高々で早い時期に公表する一方で、賃上げが芳しくない企業・組合はコソッと後出しします。ですので、今後の第2回集計、第3回集計とジワジワと平均賃上げ率の集計結果は低下していくのが通例と考えるべきです。そうはいっても、出だしの第1回集計が+5%台半ばですので、今春闘の賃上げ率は+5%を超えることはほぼ確実です。昨春闘の+5.10%を超える可能性が高いのではないか、と私は見ています。
賃金だけでなく、消費に影響するファクターとして消費者物価も考慮した実質賃金の動向を考えると、例えば、3月11日付けのニッセイ基礎研究所「2024-2026年度経済見通し」を引用すれば、「実質賃金上昇率が持続的・安定的にプラスとなるのは、現在4%台となっている消費者物価上昇率(持家の帰属家賃を除く総合)が3%程度まで鈍化することが見込まれる2025年7-9月期以降と予想する。」と結論しています。私もこんなもんだと思います。

夏季ボーナスの出る年央まで何とかがんばって、実質賃金がプラスとなる好循環を迎えられるのは今年後半以降、ということになりそうです。幸か不幸か、その賃金と物価の好循環が本格化する前に参議院議員選挙があります。果たして、国民の審判やいかに?

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