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2025年4月16日 (水)

3か月ぶりの前月比プラスを記録した2月の機械受注

本日、内閣府から2月の機械受注が公表されています。機械受注のうち民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から+4.3%増の8947億円と、3か月振りの前月比プラスを記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

2月機械受注4.3%増、3カ月ぶりプラス 非製造業伸びる
内閣府が16日発表した2月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前月比で4.3%増の8947億円だった。3カ月ぶりにプラスに転じた。非製造業(船舶・電力除く)が11.4%増と大きく伸びた。
非製造業を業種別にみると、運輸業・郵便業が39.6%増と高い伸び率だった。鉄道車両で100億円を超える大型案件の受注があったという。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連の投資が堅調な金融業・保険業や、建設業も全体を押し上げた。
製造業は3.0%増だった。核燃料処理施設関連の受注があった影響から、非鉄金属が前月と比べ2倍超に膨らんだ。このほか、化学工業が39.6%増、鉄鋼業が33.7%増だった。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.5%増で、実績は市場予測を上回った。毎月のぶれをならした3カ月移動平均の民需(船舶・電力除く)は横ばいだったことから、基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
米トランプ政権が打ち出す一連の施策の影響については「3月以降に先取りの動きが出るのか様子見となるのか、数字を注視する必要がある」(内閣府)と説明した。官公需などを含む受注総額全体では、3.0%増の3兆3623億円と2カ月連続で増加した。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事には、コア機械受注の季節調整済みの前月比で見て「市場予測の中央値は0.5%増」とあるものの、私が調べた範囲では、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、市場の事前コンセンサスは季節調整済みのコア機械受注で前月比+0.8%増でした。また、予測レンジ上限は+2.6%増でしたから、実績の+4.3%増はレンジ上限を超えて、大きく上振れした印象です。ただし、これまた記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では、コア機械受注の3か月後方移動平均が▲0.0%であることなどから、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いています。季節調整済みの前月比で見て、製造業が+4.3%増であった一方で、船舶・電力除く非製造業は+11.4%増と大きく伸びています。非製造業のうちの運輸業・郵便業が+39.6%増と大きく伸びたのは鉄道車両の大型受注があったとはいえ、金融業・保険業で+33.8%増であったのはデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が出始めている印象です。人手不足の象徴ともなっている建設業も+14.1%増と堅調な受注となっています。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を示している一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合がありましたが、さすがに、人手不足への対応やDXあるいはGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、やや異常な気すらしていましたので、今後の伸びを期待したいところです。しかし、先行きについては決して楽観はできません。特に、米国のトランプ政権の関税政策により先行き不透明さが増していることは設備投資にはマイナス要因です。加えて、国内要因として、日銀が金利の追加引上げにご熱心ですので、すでに実行されている利上げの影響がラグを伴って現れる可能性も含めて、金利に敏感な設備投資にはネガな影響を及ぼすことは明らかです。いずれにせよ、先行きリスクは下方に厚いと考えるべきです。

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