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2025年5月 2日 (金)

3月の雇用統計では雇用は底堅いものの、さらに改善が続くわけではない

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。雇用業統計のヘッドラインは、失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.5%、有効求人倍率は逆に前月から+0.02ポイント改善して1.26倍を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

3月の求人倍率1.26倍、2カ月ぶり上昇 厚生労働省
厚生労働省が2日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍と前月から0.02ポイント上昇した。上昇は2カ月ぶり。好調なインバウンド(訪日外国人)消費への対応で宿泊・飲食業の求人が増えた一方、賃上げによる労働条件の改善で転職を控える動きが広がり求職者が減った。
総務省が同日発表した3月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月と比べて0.1ポイント上昇した。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。3月の有効求人数は前月比で0.3%増えた。有効求職者は1.2%減った。
景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月と比べて3.0%減った。産業別で卸売・小売業が7.7%の減少だった。特に小規模な商店で、光熱費の高騰や買い控えの影響から求人を絞る動きがみられるという。次いで生活関連サービス・娯楽業が6.9%減、教育・学習支援業が6.2%減だった。
2024年度平均の有効求人倍率は1.25倍で、23年度より0.04ポイント低下した。前年度を下回るのは2年連続。
24年度の有効求人は3.0%減り、2年連続の減少となった。物価高騰により企業収益が圧迫され製造業や建設業で求人を控える動きが続いた。宿泊・飲食業で、新型コロナウイルス禍後に求人を増やした反動により減少が続いたことも響いた。
有効求職者は0.2%増えた。要因について厚労省は「物価高の影響によって年金で生活する高齢者が生活費を補うため仕事を探す動きも見られる」としている。
24年度平均の完全失業率は2.5%で、前年度から0.1ポイント低下した。

続いて、雇用統計のグラフは下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.4%有効求人倍率は1.24倍でしたし、ロイターによる事前コンセンサスでは失業率は2.4%、有効求人倍率は1.25倍が見込まれていました。本日公表された実績で、失業率が2.5%、有効求人倍率が1.26倍、というのは、やや下振れした印象ながら、大きなサプライズはありませんでした。人口減少局面下の人手不足を背景に、失業率・有効求人倍率ともに雇用の底堅さを示す水準が続いています。ただし、そろそろ景気回復局面は後半期に入っている可能性が高いと考えるべきですし、その意味で、いっそうの雇用改善は難しいのかもしれません。ただ、あくまで雇用統計は最近の失業率と有効求人倍率のように横ばいや改善と悪化のまだら模様である一方で、人口減少下での人手不足は続くでしょうが、米国がソフトランディングに失敗して年内に景気後退局面に入る可能性が高まっており、いつまでも雇用の改善が続くわけではないと考えるべきです。

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