« +3%超の上昇率で高止まりする5月の企業向けサービス価格指数(SPPI) | トップページ | 伸びが鈍化し始めた5月の商業販売統計と改善が鈍化する5月の雇用統計 »

2025年6月26日 (木)

来週7月1日公表予定の6月調査の日銀短観予想やいかに?

来週7月1日の公表を控えて、各シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2025年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+12
+35
<+0.1>
n.a.
日本総研+12
+34
<+3.1%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査から▲1%ポイントの悪化を予想。製造業では、引き続き米国の関税引き上げに対する懸念が景況感を下押しする見通し。足元の資源価格の上昇などを受けて、素材系産業でも先行きの見方が慎重化する公算。一方、夏場にかけて物価が鈍化することで消費者マインドが改善し、対面サービスなどを中心に非製造業の景況感は幾分持ち直す見込み。
大和総研+14
+35
<+6.1%>
6 月日銀短観では、大企業製造業の業況判断 DI(先行き)は+11%pt(最近からの変化幅: ▲3%pt)、同非製造業は+34%pt(同: ▲1%pt)を予想する。
大企業製造業では、トランプ関税の悪影響をとりわけ強く受ける「自動車」で業況判断DI(先行き)が低下すると予想する。加えて、中国経済の停滞が続く中、同国向け輸出の多い機械関連の業種でも業況判断DI(先行き)が低下するとみている。
大企業非製造業については、トランプ関税が世界的な物流網に悪影響を与えるリスクへの警戒感から、「卸売」や「運輸・郵便」といった業種の業況判断DI(先行き)の低下を予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+11
+35
<+4.5%>
大企業・製造業の業況判断DIの先行きは、2ポイントの悪化を予測する。トランプ関税を巡る日米関税交渉は依然着地点を見出すことができない状況にある模様だ。日本側は自動車等に対する25%の関税見直しが不可欠としており、米国との隔たりが大きい。ベッセント財務長官は、「誠意を持っている交渉していること」等を条件に、相互関税の猶予期間を一部延長する考えを示しており(6/11)、現状の関税水準(相互関税10%、特定品目25%(鉄鋼・アルミについては50%))が長期化する可能性がある。こうしたもとでは、特に鉄鋼・アルミや自動車といった高関税が課せられる業種の景況感の下押し圧力が強まる展開が予想される。
大企業・非製造業の業況判断DIの先行きは1ポイントの改善を予測する。春闘賃上げ率の高まりによる所得環境の改善により、先行きの個人消費は緩やかながらも回復するとみられるほか、好調なインバウンド消費も景況感の改善に寄与するだろう。トランプ関税は、卸売や海運など一部の業種に影響を与えるとみられるが、非製造業全体としてみれば、景況感は小幅ながらも改善を見込む。
ニッセイ基礎研+8
+32
<+4.0%>
先行きの景況感も総じて悪化が示されると予想。製造業では、トランプ関税の長期化やさらなる引き上げ、それに端を発する世界的な貿易摩擦への懸念が重石となる。非製造業でも、関税による悪影響の国内経済への波及のほか、物価高による消費の腰折れや各種コストの増加懸念が反映される形で、先行きの景況感が悪化すると見ている。
第一生命経済研+10
+36
<大企業製造業16.5%>
6月調査の日銀短観は、すでに実行されたトランプ関税の悪影響がじわじわと表れて、大企業・製造業の業況判断DIを小幅悪化させそうだ。非製造業は、前回比で改善が進むと予想する。日銀は、仕入価格・販売価格DIにも注目し、企業段階のインフレ圧力を測ろうとするだろう。
三菱総研+9
+34
<+4.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業+7%ポイント(3月調査「最近」から▲2%ポイント低下)、非製造業は+34%ポイント(同横ばい)を予測する。延期されている相互関税の上乗せ分の適用や、自動車関税の更なる引き上げの可能性が燻る中、日米間の関税交渉の着地点も予見しがたく、輸出環境を巡る不透明感は強い。製造業の景況感は一段と悪化するだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+8
+34
<大企業全産業+5.7%>
大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から4ポイント悪化の8と予測する。米国トランプ大統領による関税引き上げ等を受けて、素材業種、加工業種ともに業況感は悪化しよう。一方、先行きは、日米関税交渉の進展に対する期待が下支えとなり、業況判断DI(先行き)は1ポイント改善の9と企業マインドの底堅さを示す見通しになる可能性がある。
明治安田総研+10
+35
<+3.5%>
6月の先行きDIに関しても、大企業・製造業は2ポイント悪化の+8、中小企業・製造業も2ポイント悪化の▲2と予想する。米国による相互関税措置が90日間停止されるなか、これまで6度に及ぶ日米交渉が行なわれたが、いまだ合意には至っていない。焦点となる自動車関税について交渉が難航しているとの報道も相次いでおり、関税政策の不確実性の高まりは、先行きの業況感にも悪影響を与えるとみる。
農林中金総研+8
+33
<1.5%>
先行きに関しても、製造業を中心にトランプ関税の影響が徐々に出てくる可能性が高い。また、賃上げによる消費回復への期待は根強いもの、人件費増が業績圧迫につながることへの警戒もあるほか、人手不足感が高い非製造業を中心に業務を順調にこなせないことへの不安もあるとみられる。

見れば明らかな通り、3月調査から設備投資計画こそ上方改定されると見込まれるものの、景況感についてはやや下方にシフトし、先行きはまったく不透明です。先行き景況感が不透明な最大の理由は米国トランプ政権による関税などの通商政策の行方が方向感ないからです。加えて、ウクライナ戦争や中東における地政学的なリスクについても、方向感が失われていると考えるべきです。やはり経済外要因だったコロナ禍がかなり後景に退いたとはいえ、地政学リスクも含めて安定的なマクロ経済運営の基礎が失われているような気がしてなりません。私のようなアカデミック分野のエコノミストは「不明」とか、「不透明」の一言で済ませてしまいますが、人ごととはいえ、ビジネス界のエコノミストはタイヘンなんだろうと想像しています。
下の画像は、三菱総研のリポートから引用しています。

photo

|

« +3%超の上昇率で高止まりする5月の企業向けサービス価格指数(SPPI) | トップページ | 伸びが鈍化し始めた5月の商業販売統計と改善が鈍化する5月の雇用統計 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« +3%超の上昇率で高止まりする5月の企業向けサービス価格指数(SPPI) | トップページ | 伸びが鈍化し始めた5月の商業販売統計と改善が鈍化する5月の雇用統計 »