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2025年7月25日 (金)

徐々に上昇率を縮小させる6月の企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、日銀から6月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月4月の+3.4%からわずかに縮小して+3.3%を記録しています。ただ、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は前月から横ばいの+3.5%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、6月は前年比3.2%上昇 伸び鈍化
日銀が25日に公表した6月の企業向けサービス価格指数速報は前年比で3.2%上昇し、5月の3.4%からは減速した。前月比では0.1%低下した。2カ月連続での前月比下落は2021年8-9月以来。日銀は今後とも「足元の物価の基調を注視する」としている。
内訳をみると、諸サービスは、全体で前年比4.0%上昇だったが、前月の4.6%から伸びが縮小した。そのうち宿泊サービスは7.5%上昇したものの、5月の16.5%上昇から伸び率が大幅に鈍化した。日銀の担当者は、インバウンドの外国人旅行者数が頭打ちになっていることが最大の要因とみている。
広告は同1.9%上昇、金融・保険は1.5%上昇、不動産も2.5%上昇したがいずれも前月より伸び率が鈍化した。
一方、リース・レンタルは2.6%、情報通信2.7%ともに、前月より伸び率を拡大した。
東短リサーチ社長でチーフエコノミストの加藤出氏は「今後とも物価と賃金の好循環を達成できるかはサービス価格がカギを握っている」とし「基調的なインフレの見通しが確認できれば、日銀は10月にも動くだろう」との見方を示している。

注目の物価指標だけに、やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

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上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、2024年12月の前年同月比上昇率から再び+4%台となり、2025年4月統計まで+4%超の上昇率が続いた後、5月統計で+3.3%に減速し、6月統計でさらに+2.9%に急速に上昇幅を縮小させています。他方、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)は、指数水準としてコンスタントに上昇を続けている一方で、今年2025年四月までは国内企業物価指数ほど上昇率が大きくなかったのが見て取れます。企業向けサービス価格指数(SPPI)のヘッドラインの前年同月比上昇率は、今年2025年3-4月に+3.5%の直近での上昇率のピークを記録してから、5月統計、さらに、本日公表の2025年6月統計までジワジワと上昇率を縮小させていますが、まだ+3%台の上昇率を続けています。2024年10月からカウントしても9か月連続の+3%台の上昇率です。日銀物価目標の+2%を大きく上回って高止まりしているわけです。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、+3%超の上昇率はデフレに慣れきった国民や企業のマインドからすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が高いと考えるべきです。人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ても、低人件費比率のサービス価格であっても+3%近い上昇率を示しています。すなわち、人件費をはじめとして幅広くコストアップが価格に転嫁されている印象です。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っており、国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて6月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.2%への寄与度で見ると、機械修理や土木建築サービスやその他の技術サービスといった諸サービスが+1.53%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の半分近くを占めています。諸サービスのうち、引用した記事にもあるように、宿泊サービスは5月の+16.5%の上昇から6月には+7.5%に大きく縮小したとはいえ、引き続き高い伸びが続いています。加えて、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやアクセスチャージなどといった情報通信が+0.60%、さらに、SPPI上昇率高止まりの背景となっている項目として、昨年2024年10月から郵便料金が値上げされた郵便・信書便、石油価格の影響が大きい道路貨物輸送、さらに、サードパーティーロジスティクスなどの運輸・郵便が+0.49%、ほかに、不動産+0.23%、リース・レンタルも+0.15%、広告も+0.09%などとなっています。

最後に、好み説の年中行事的なものとして、中央最低賃金審議会 (目安に関する小委員会)が7月下旬に頻繁に開催されるようになっています。7月22日付けの朝日新聞の記事「食料の消費者物価、伸び率6.4% 最低賃金改定で厚労省が指標提示」というのも見かけました。私は最低賃金をもっと引き上げるべきだと考えていますが、物価への影響とともに、今後の議論の方向が気がかりです。

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