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2025年8月15日 (金)

4-6月期GDP統計速報1次QEは年率+1%と予想を超える高成長

本日、内閣府から4~6月期GDP統計速報1次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.3%増、年率換算で+1.0%増を記録しています。プラス成長は5四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.0%、国内需要デフレータも+2.2%に達し、2年あまり9四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期実質GDP、年率1%増 市場予想上回り5四半期連続プラス
内閣府が15日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.3%増、年率換算で1.0%増だった。過去の数値も見直しとなり、5四半期連続でプラスとなった。
QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率0.3%増だったが、これを上回った。
個人消費は前期比0.2%増となり、1~3月期と同じ伸び率になった。暑かったことで夏物の衣服が好調だった。自動車の消費も増加した。食料品ではお菓子や野菜、パン・穀物がプラスだった。価格改定の影響もありアルコールなどの飲料の消費は減少した。
設備投資は1.3%増だった。ソフトウエアの投資が目立った。公共投資は0.5%減、政府消費は横ばいだった。民間在庫は成長率を0.3ポイント押し下げた。
民間住宅は0.8%増だった。4月から住宅の省エネルギー基準が厳しくなり、新設住宅の着工戸数は法改正前の駆け込み需要の反動で4月、5月に落ち込んでいた。ただGDPでは工事の進捗状況をもとに計上するため、4~6月時点ではマイナスの影響は表れなかった。
輸出は電子部品・デバイスなどが増加に寄与し、2.0%増だった。輸入は原油や天然ガスなどが増え0.6%増だった。輸入の増加はGDPの計算上、成長率にはマイナスとなる。
前期比の実質成長率に対する寄与度をみると、内需が実質でマイナス0.1ポイントと2四半期ぶりのマイナスとなった。在庫のマイナス寄与が大きかった。外需は0.3ポイントのプラスだった。
1~3月期の実質GDPについて、見直し後は前期比0.1%増で、改定前のマイナスからプラスに転じた。基礎統計の改定を踏まえ、季節調整も更新した。これに伴いGDPは5四半期連続でプラスだった。
GDP成長率は2016年7~9月期から18年4~6月期まで8四半期連続でプラスだった。足元の5四半期連続プラス成長はそれ以来の長さとなる。
物価上昇分を含んだ25年4~6月期の名目GDPは前期比で1.3%増、年率換算で5.1%増だった。年換算の実額では過去最高の633兆3047億円だった。実質の実額は562兆9878億円でこちらも過去最高だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2024/4-62024/7-92024/10-122025/1-32025/4-6
国内総生産GDP+0.7+0.3+0.6+0.1+0.3
民間消費+0.9+0.7+0.1+0.2+0.2
民間住宅+1.5+0.8▲0.1+1.4+0.8
民間設備+1.2+0.1+0.5+1.0+1.3
民間在庫 *(+0.1)(+0.0)(▲0.3)(+0.6)(▲0.3)
公的需要+1.3+0.1▲0.1▲0.2▲0.3
内需寄与度 *(+1.2)(+0.5)(▲0.2)(+0.9)(▲0.1)
外需(純輸出)寄与度 *(▲0.5)(▲0.2)(+0.8)(▲0.8)(+0.3)
輸出+1.1+1.3+1.9▲0.3+2.0
輸入+3.1+2.0▲1.5+2.9+0.5
国内総所得 (GDI)+1.4+0.3+0.8▲0.1+0.8
国民総所得 (GNI)+1.8+0.4+0.3+0.3+0.3
名目GDP+2.2+0.7+1.3+1.0+1.3
雇用者報酬 (実質)+1.4▲0.1+1.4▲1.5+0.8
GDPデフレータ+3.1+2.4+2.9+3.3+3.0
国内需要デフレータ+2.6+2.2+2.4+2.7+2.2

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、内需では水色の民間設備がプラス寄与し、黒の純輸出も大きなプラス寄与しているのが見て取れます。他方で、灰色の民間在庫がマイナス寄与しています。

photo

引用した記事にある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前期比年率で+0.3%のプラス成長であり、予想レンジの上限が+1.2%ということでしたのでレンジ内ながら、実績の年率+1.0%成長はやや上振れした印象です。ただし、引用した記事のあるように、内需のうちの消費が猛暑効果で伸びていて、設備投資も増加しているのはその通りなのですが、国内需要全体としては公的需要と民間在庫によるマイナス寄与が大きく、内需寄与度は△0.1%となっていて、純輸出=外需寄与度の+0.3%でGDP成長率としてはプラス成長を記録している点は忘れるべきではありません。すなわち、外需依存のプラス成長ということです。ただ、内需寄与度の△0.1%の中で、△0.3%は民間在庫の減少が占めていますので、在庫調整が進んでいると評価できます。
そして、季節調整していない原系列の前年同期比でGDPデフレータが+3%、国内需要デフレータも+2%超の上昇を示しており、特に、消費に関してはコメをはじめとする食料の値上がりが続いている中で、消費が堅調な伸びを示している点も印象的です。引用した記事にある猛暑効果に加えて、春闘の賃上げに支えられた雇用者報酬の堅調な伸びが消費の伸びに寄与していると考えるべきです。ただ、その猛暑も足元の7~8月には、梅雨が早く終わったこともあって、ここまでの高温が続けば、逆に外出の手控えなどから消費にマイナスの影響を及ぼしている可能性も否定できません。他方、民間設備は前期比+1.3%増、前期比年率+5.5%増ですから、現時点で詳細は不明であるとしても、引用した記事で推測されているように、ソフトウェアなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の設備投資が出始めているのであれば、将来の日本経済にとって好材料と考えられます。
最後に、プラス成長の牽引役となった輸出については、米国のトランプ関税を相殺する形で自動車の価格引下げなどを実施して輸出数量が維持されたと見るべきであり、決してサステイナブルではありません。足元の7~9月期には輸出が減少することも十分予想されます。したがって、こういった消費や輸出の動向を考慮すれば、7~9月期はマイナス成長に陥る可能性が高まったと考えるべきです。

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